弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人井上二郎、同上原康夫、同中島光孝の上告理由について
 一 原審の適法に確定した事実関係の概要等は、次のとおりである。
 1 上告会社は、「A」という名称の預託金会員制ゴルフクラブ(以下「本件ゴ
ルフクラブ」という。)を経営する会社である。同クラブの平成五年三月二六日に
改正される前の会則には、(1) 本件ゴルフクラブに上告会社の推薦により選任さ
れる理事長、理事等によって構成される理事会を置き、理事会は、本件ゴルフクラ
ブにおけるゴルフプレイに関する一切の管理運営に当たる、(2) 本件ゴルフクラ
ブに入会を希望する者は、理事会の承認を得た上、上告会社の定める入会保証金を
預託しなければならず、会員は、会費その他の料金の支払義務を負う、(3) 入会
保証金は、これを全額上告会社に差し入れ、原則として三年間据え置き、退会の際
にその時点における入会保証金の額を利息を付さず返還するものとし、会員は、右
返還を受けた際にその会員としての資格を失うものとする旨の規定が存在していた
が、右会則及びこれに基づいて定められた細則(以下、これらを併せて「本件会則
等」という。)には、正会員が死亡した場合における右会員としての地位の帰すう
に関する規定は存在しなかった。なお、右細則二六条には、「本クラブに入会希望
者で会員券業者から買入れをした会員券は理事会で調査の上本理事会の承認を得た
後、会員として登録されるものとする。」との規定が存在した。
 2 D(以下「D」という。)は、昭和五四年五月ころ、上告会社に対して入会
保証金二〇〇万円を預託して、本件ゴルフクラブの正会員となった。
 3 Dは、昭和五七年一二月五日死亡し、同人の相続人間において、同人の子で
ある被上告人が右正会員としての地位を承継する旨の遺産分割協議が成立した。
 4 なお、前記の会則改正前に、本件ゴルフクラブにおいては、正会員が死亡し
た場合に、その相続人が理事会の承認を得て正会員となった例が存在した。
 二 本件は、Dの相続人である被上告人が、上告会社に対し、被上告人が本件ゴ
ルフクラブの理事会の承認を停止条件とする同クラブの正会員としての地位を有す
ることの確認等を求めるものである。
 上告会社は、一般にゴルフクラブは会員相互間の人的な信頼関係を基礎とする親
睦的団体であり、会員契約は右のような団体に入会する契約の性質を有するところ、
右は、預託金会員制ゴルフクラブにおいても異なるところはなく、その会員として
の地位に含まれる権利義務のうちゴルフ場施設を利用し得る権利は、その性質上一
身専属的なものであって、会則等に特別の定めのない限り、会員の死亡によって消
滅し、相続の対象にはならないと主張して争っている。
 三 原審の確定したところによれば、Dが有していた本件ゴルフクラブの正会員
としての地位は、上告会社との間で締結した預託金会員制ゴルフクラブである本件
ゴルフクラブへの入会契約に基づく契約上のものであり、その具体的な権利義務の
内容は、会則の規定によって定められるものである。ところで、前記細則二六条に
よれば、本件ゴルフクラブにおいては、正会員はその地位を理事会の承認を得て他
人に譲渡し得る旨が定められていると解するのが相当であり、したがって、本件ゴ
ルフクラブにおいては右の限りで会員の固定性は放棄されているのであって、他方、
右のような正会員としての地位の譲渡について本件ゴルフクラブの理事会の承認を
要するものとして、会員となろうとする者を事前に審査し、会員としてふさわしく
ない者の入会を認めないことにより、ゴルフクラブの品位を保つこととしているも
のと解される。
 本件会則等においては、「正会員が死亡した場合におけるその地位の帰すうに関
しては定められていないが、右のような正会員としての地位の譲渡に関する規定に
照らすと、本件ゴルフクラブの正会員が死亡しその相続人が右の地位の承継を希望
する場合について、本件会則等の趣旨は、右の地位が譲渡されたときに準じ、右相
続人に上告会社との関係で正会員としての地位が認められるか否かを本件ゴルフク
ラブの理事会の承認に係らしめ、右の地位が譲渡されたときに譲受人が踏むべき手
続についての本件ゴルフクラブの会則等の定めに従って相続人が理事会に対して被
相続人の正会員としての地位の承継についての承認を求め、理事会がこれを承認す
るならば、相続人が上告会社との関係で右の地位を確定的に取得するというところ
にあると解すべきである。けだし、正会員としての地位の変動という結果に着目す
れば、それが譲渡によるものか会員の死亡に伴う相続によるものかで特に選ぶべき
ところはなく、前記のとおり本件ゴルフクラブにおいては会員としての地位の譲渡
が認められていて、会員の固定性は既に放棄されているのであって、会員が死亡し
た場合に、相続人自身がこれを承継することを禁ずべき根拠は見いだし難い上、本
件会則等は、右正会員としての地位が、単に金銭的な権利義務のみならずゴルフ場
施設の利用権も一体的に含むものとして、いわゆるゴルフ会員権市場において売買
や担保設定のために広く取引されることを想定しているのであって、右のような取
引の対象とされた正会員としての地位につき、上告会社との関係において地位の保
有者の変更手続が行われる前に右地位の名義人が死亡した場合には、当該取引の対
象とされた権利義務の一部が消滅することを当然の前提としていたとは解し難く、
また、会員が死亡し相続人が右市場等において右の地位を処分することを希望した
場合についても、これが妨げられると解すべき理由は見当たらないほか、本件ゴル
フクラブの親睦的団体としての性格の保持についても、正会員としての地位が譲渡
された場合に準じ、会員の死亡によるその地位の承継について理事会の承認を要す
るとすることで、その趣旨を実現することは可能であると考えられるからである。
 四 右と同旨の見解に立って、被上告人が本件ゴルフクラブの理事会の承認を停
止条件とする同クラブの正会員としての地位を有することを確認するとした原審の
判断は、これを是認することができる。所論引用の最高裁昭和五〇年(オ)第二七
〇号同五三年六月一六日第二小法廷判決・裁判集民事一二四号一二三頁は、本件と
は事案を異にし、論旨は、採用することができない。
 よって、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主
文のとおり判決する。
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    大   野   正   男
            裁判官    園   部   逸   夫
            裁判官    千   種   秀   夫
            裁判官    尾   崎   千   信

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