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       主   文
一 原告の請求を棄却する。
二 訴訟費用は原告の負担とする。
       事実及び理由
第一 原告の請求
被告が平成七年二月七日付けでした
一 原告の平成三年四月一日から平成四年三月三一日までの事業年度に係る法人税
の更正のうち納付すべき税額七億八六二六万九六〇〇円を超える部分及び右事業年
度に係る法人税の過少申告加算税賦課決定のうち納付すべき税額八七七万八〇〇〇
円を超える部分
二 原告の右事業年度に係る法人臨時特別税の更正のうち納付すべき税額一八六七
万八九〇〇円を超える部分及び同事業年度に係る法人臨時特別税の過少申告加算税
賦課決定のうち納付すべき税額二〇万七〇〇〇円を超える部分をいずれも取り消
す。
第二 事案の概要等
一 事案の概要
 本件は、被告が平成七年二月七日付けで行った平成三年四月一日から平成四年三
月三一日までの事業年度(以下「本件事業年度」という。)における原告の法人税
及び法人臨時特別税についての各更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分につ
いて、原告がその各一部の取消しを求めるものである。すなわち、被告は、原告の
特定外国子会社等である香港の微笑堂が、租税特別措置法(平成四年法律第一四号
による改正前のもの。以下「旧措置法」という。)六六条の六第一項所定のタック
スヘイブン課税の適用除外要件を定める同条第三項所定の要件のうちのいわゆる
「管理支配基準」を充足しているとは認められないとして、本件事業年度に対応す
る微笑堂の平成二年九月一日から平成三年八月三一日までの事業年度(以下「本件
対応事業年度」という。)に係る課税対象留保金額に相当する金額を原告の本件事
業年度の益金に算入したが、原告は、微笑堂は右管理支配基準を充足しており、ま
た、右各更正処分等は信義則違反であると主張しているものである。
二 当事者間に争いがない事実
1 課税の経緯
(一) 原告の確定申告
 原告は、平成四年六月三〇日、本件事業年度における法人税及び法人臨時特別税
について、次の内容の確定申告書を被告に提出した。
法人税     課税標準    一七億七九二七万四〇四〇円
        納付すべき税額 六億九八四八万六〇〇〇円
法人臨時特別税 課税標準    六億六四二二万七〇〇〇円
        納付すべき税額 一六六〇万五六〇〇円
(二) 被告の処分
 被告は、平成七年二月七日付けで、原告の本件事業年度
における法人税及び法人臨時特別税について、次の更正及び過少申告加算税賦課決
定をした(以下、併せて「本件各処分」という。)。
法人税     課税標準     四三億〇九八六万四五三八円
        納付すべき税額  一六億〇七〇六万六四〇〇円
        過少申告加算税額 一億〇一三六万二五〇〇円
法人臨時特別税 課税標準     一六億一三一九万九〇〇〇円
        納付すべき税額  四〇三二万九九〇〇円
        過少申告加算税額 二七二万七五〇〇円
(三) 原告の審査請求
 原告は、平成七年四月七日付けで、国税不服審判所長に対して審査請求をした
が、これに対し、同所長は、平成八年一二月一六日付けで、次のとおりであるとし
て、本件各処分の一部を取り消す旨の裁決(以下「本件裁決」という。)をし、右
裁決書は、同月二五日、原告に送達された。その結果、本件各処分の内容も次のと
おり変更された。
法人税     課税標準     四二億〇七六七万六八七〇円
        納付すべき税額  一五億六八七四万五九〇〇円
        過少申告加算税額 九五六一万三〇〇〇円
法人臨時特別税 課税標準     一五億七四八七万八〇〇〇円
        納付すべき税額  三九三七万一九〇〇円
        過少申告加算税額 二五八万三五〇〇円
 なお、本件課税の経緯は別表課税の経緯のとおりである。
2 微笑堂
 BISHODO(HONG KONG)LIMITED(微笑堂(香港)有限公
司。本店所在地香港。以下「微笑堂」という。)は、昭和六一年(一九八六年)九
月二六日、香港で、香港法に基づき設立された原告が一〇〇パーセントを出資する
子会社であり、原告がその設立に当たり出資金として一〇〇万香港ドルを負担し
た。
 したがって、微笑堂は、軽課税国である香港に本店を有しており、その発行済株
式の全てを内国法人である原告が保有していたから、旧措置法六六条の六第一項所
定の原告に係る特定外国子会社等に該当する。
3 タックスヘイブン課税と適用除外要件
(一) タックスヘイブン課税
 旧措置法六六条の六第一項によれば、軽課税国に本店等を有する特定外国子会社
等の発行済株式等を一定割合以上保有している内国法人等について、特定外国子会
社等の各事業年度に係る未処分所得の金額から留保したものとして租税特別措置法
施行令(平成四年政令第
八七号による改正前のもの。以下「旧施行令」という。)三九条の一五第一項で定
める金額(適用対象留保金額)のうち、右内国法人の有する当該特定外国子会社等
の保有株式等に対応するものとして同条二項に定めるところにより計算した金額
(課税対象留保金額)を、右事業年度終了の日以後二月を経過した日を含む右内国
法人の各事業年度の所得の金額の計算上益金の額に算入するものとされている。こ
れは、内国法人等が租税の軽課税国(タックスヘイブン)に子会社等を設立して税
負担を不当に回避することを防止するためであり、タックスヘイブン課税といわれ
ている。
(二) 適用除外要件
 ただし、旧措置法六六条の六第三項によれば、特定外国子会社等が、同項所定の
タックスヘイブン課税の適用除外要件のすべてを充足している場合には、右のタッ
クスヘイブン課税に関する規定を適用しないものとされ、右要件として、事業基
準、実体基準、非関連者基準又は所在国基準のほかに、特定子会社等が、本店又は
主たる事務所の所在する国又は地域(本店所在地国)において、その事業の管理、
支配及び運営を自ら行っているという「管理支配基準」が挙げられている。
4 被告の課税の根拠
 被告は、原告の本件事業年度における法人税の更正に当たり、微笑堂が旧措置法
六六条の六第三項所定の適用除外要件のうち「管理支配基準」を充足しているとは
認められないとして、本件対応事業年度に係る課税対象留保金額に相当する金額を
原告の益金に算入して、本件各処分をした。
 なお、微笑堂は、同項所定の適用除外要件のうち他の要件である事業基準、実体
基準、非関連者基準又は所在国基準は充足している。
5 法人税、法人臨時特別税の計算等
 微笑堂が旧措置法六六条の六第三項所定の適用除外要件のうち「管理支配基準」
を充足しているとは認められない場合、原告の本件事業年度における課税対象留保
金額及び法人税額の計算は、別表1ないし3のとおりとなり、法人臨時特別税額及
び各過少申告加算税の額は、別表課税の経緯記載の金額(ただし、本件裁決後のも
の)を下回らない。
6 原告の主張額
 原告は、本件訴訟において、本件事業年度における法人税及び法人臨時特別税に
ついて、被告の行った本件各処分のうちタックスヘイブン課税の適用除外要件を認
めなかったことを違法とし、次のとおり主張して、それを超える部分の本件各処分
の取消しを求めている。
法人税 
    課税標準     二〇億〇〇四一万七七二一円
        納付すべき税額  七億八六二六万九六〇〇円
        過少申告加算税額 八七七万八〇〇〇円
法人臨時特別税 課税標準     七億四七一五万六〇〇〇円
        納付すべき税額  一八六七万八九〇〇円
        過少申告加算税額 二〇万七〇〇〇円
三 争点
 本件の争点は、微笑堂が旧措置法六六条の六第三項に定めるタックスヘイブン課
税適用除外要件の一つである管理支配基準を充足しているか否かという点と、被告
の本件各処分が信義則違反となるか否かという点である。
 この各争点に関する当事者双方の主張は次のとおりである。
(被告の主張)
1 管理支配基準について
(一) タックスヘイブン課税の適用除外規定について
 旧措置法六六条の六第三項所定のタックスヘイブン課税の適用除外規定は、特定
外国子会社等が独立企業としての実体を備え、かつ、その所在地国で事業活動を行
うにつき十分な経済的合理性がある場合にまでタックスヘイブン課税規定を適用す
ることは、我が国企業の正常な海外投資活動を阻害する結果を招くことになるので
避けるべきであるとの趣旨で設けられたものと解されるので、管理支配基準は、右
のような場合に当たるかどうかを事業の管理運営の面から判断する基準をいうもの
と考えられる。
 したがって、特定外国子会社等が管理支配基準を満たしているか否かは、当該子
会社等の重要な意思決定機関である株主総会及び取締役会の開催、役員の職務執
行、会計帳簿の作成及び保管等が本店所在地国で行われているかどうか、業務遂行
上の重要事項を当該子会社等が自らの意思で決定しているかどうかなどの諸事情を
総合的に考慮し、当該子会社等がその本店所在地国において親会社から独立した企
業としての実体を備えて活動しているといえるかどうかによって判断すべきものと
解するのが相当である。
(二) 微笑堂の実態について
(1) 事業内容等
 微笑堂は、昭和六一年九月二六日、原告の東南アジア・中国に対する進出の拠点
として、原告の一〇〇パーセント出資により香港に設立された法人であり、本件事
業年度に対応する本件対応事業年度には、社長のA(原告の海外事業部長)、現地
マネージャーのFのほか、現地従業員一名が勤務していた。
 事業内容は、平成三年三月にその所有不動産を原告に売却するまでは、主に不動
産の賃
貸であったが、右不動産の売却後は、主に中華人民共和国に所在する合弁会社(北
京国際藝苑有限公司、桂林賓館股分有限公司等)への投資、融資である。
 すなわち、微笑堂は、昭和六一年一一月から香港グッドホープビルディングの地
下一階、一階、八階及び九階(以下、右ビル全体又は微笑堂の取得部分を「本件ビ
ル」という。)を取得し、同ビルの賃貸等を行っていたが、昭和六二年一〇月に同
ビルの九階を香港教育専業人員協会に、平成元年一〇月に同ビルの地下一階をマク
ドナルド(香港)に、平成三年三月二八日には同ビルの一階及び八階を原告にそれ
ぞれ譲渡した。そのため、同日以降は、原告の委託により、同ビルの原告所有部分
の管理を行っているが、主な業務は、中華人民共和国で設立された前記合弁会社へ
の投資、融資になっている。
(2) 組織、職務執行状況について
ア 微笑堂の業務執行に関する重要な意思決定機関である取締役会は、微笑堂の本
店所在地ではなく、すべて原告の本店所在地である熊本市において開催されてい
る。
イ 微笑堂の取締役は、B、C、A、D及びEであるが、いずれも日本に在住して
おり、順に原告の代表取締役社長、代表取締役専務、貿易開発部長、取締役営業部
長、取締役常務を兼ねているのであって、微笑堂の常勤取締役ではない。
 右の五名のうちAを除く四名は、微笑堂の本店所在地における勤務を行っておら
ず、微笑堂から役員報酬を受け取っていない。Aも、本件対応事業年度中の平成二
年一一月八日から平成三年八月三一日までの合計二九五日間のうち香港に滞在した
のはわずか一五日間であって、同人が微笑堂の職務を行うために香港に出張する際
は、いずれも当時Aが部長をしていた原告海外事業部の申請による原告の稟議によ
り海外出張の承認を受けている。また、同人への役員報酬は、平成三年三月以降、
原告から支払われており、微笑堂からは支払われていない。
 微笑堂の常勤職員は、香港在住のマネージャーFほか一名であるが、Fは原告と
の事務連絡、もう一名は事務所の清掃等に従事しているにすぎない。
ウ 平成三年四月以降、微笑堂の総勘定元帳の勘定科目において、通常の営業活動
に伴い要するであろうビル賃借料、通信費、電話・ファックス料金等の費用は計上
されていない。
(3) 原告の微笑堂に対する管理支配状況
 原告は、以下のとおり、本件対応事業年度及びその前後において、微笑堂の事業
に関する
処理の方針及びこれらに要する費用の支出について最終的な決定を行っている。
ア 不動産事業について
 原告は、その取締役会において、平成元年九月二五日微笑堂所有の本件ビルの地
下一階をマクドナルドに売却すること、平成三年三月二五日同ビルの一階及び八階
を微笑堂から買収(代金四〇億円)すること、同月二九日に原告の中国ホテル事業
への投資を微笑堂に譲渡することを決議し、同年九月二日、原告が本件ビルの右部
分を用いて賃貸業を行うための香港における原告の代表事務所を微笑堂の所在地と
することを決議している。
イ 金融業について
 原告は、その取締役会において、平成三年四月二二日、北京国際藝苑有限公司の
五〇〇万米ドルの増資のうち、微笑堂の持株比率相応分二四五万米ドル(全体の四
九パーセント)を微笑堂の同有限公司への貸付金債権により引当、相殺する旨を、
海外事業部申請の社内稟議を経て決議し、また、同年五月九日、中国・桂林市から
市内の合弁会社の外国側出資者に対する寄付依頼に基づいて、微笑堂が桂林市に対
して五〇万円を寄付することを、原告の海外事業部申請の社内稟議により決裁して
いる。
ウ 経費等について
 原告は、平成三年五月一一日微笑堂の銀行預金口座開設について、同年六月五日
微笑堂の監査法人への手数料等の支払について、同月二二日微笑堂の福岡シティフ
ァイナンスからの借入金(一五〇〇万米ドル)について、同年七月二〇日微笑堂の
従業員の賞与及び休暇について、同年八月八日微笑堂の監査法人への経費の支払に
ついて、平成四年一月二七日本件対応事業年度の決算処理について、同年六月三日
本件対応事業年度の所得に関する税務申告内容について、いずれも原告の社内稟議
により決裁している。
(三) 右(二)の事実によれば、微笑堂は、取締役会による同社の重要な意思決
定を専ら原告の本店所在地で行い、役員五名も全員が原告との兼務であり、うち四
人は微笑堂での勤務をしておらず、残りの一人もわずかな期間しか微笑堂の本店所
在地での勤務をしていないのであって、事業に関する処理の方針やこれに要する費
用の支出についても、微笑堂が独自に決定するのではなく、原告の決裁により、そ
の事業の管理、運営が行われていたというべきである。
 そうすると、微笑堂は、本件対応事業年度において、その本店所在地国である香
港において、独立した法人としての立場で、その事業の管理、支配及び運営
を自ら行っていたとは到底いえず、むしろ、その親会社である原告がその本店所在
地国である日本において、微笑堂の管理、支配及び運営を行っていたというのが相
当である。
 したがって、微笑堂は、本件対応事業年度において、旧措置法六六条の六第三項
所定の管理支配基準を満たしておらず、原告は、同項のタックスヘイブン課税の適
用除外規定の適用を受けることはできないというべきである。
2 信義則違反について
(一) 原告は、微笑堂から原告への本件ビルの売却に当たり、被告から非公式に
右売却につき課税負担がない旨の見解を得ており、被告に課税の意思がないと確信
するに妥当な客観的な事情が存したのであるから、右売却につき課税することは、
信義則に違反し、実質的に権利の濫用に当たる旨主張する。
(二) しかしながら、租税法規に適合する課税処分について、法の一般原理であ
る信義則の法理の適用により、右課税処分を違法なものとして取り消すことができ
る場合があるとしても、法律による行政の原理、とりわけ租税法律主義の原則が貫
かれるべき租税法律関係においては、右法理の適用については慎重でなければなら
ず、租税法規の適用における納税者間の平等、公平という要請を犠牲にしてもなお
当該課税処分に係る課税を免れしめて納税者の信頼を保護しなければ正義に反する
といえるような特別の事情が存する場合に、初めて右法理の適用の是非を考えるべ
きものである。
 そして、右の特別の事情が存するかどうかの判断に当たっては、少なくとも、税
務官庁が納税者に対し信頼の対象となる公的見解を表示したことにより、納税者が
その表示を信頼しその信頼に基づいて行動したところ、後に右表示に反する課税処
分が行われ、そのために納税者が経済的不利益を受けることになったものであるか
どうか、また、納税者が税務官庁の右表示を信頼しその信頼に基づいて行動したこ
とについて納税者の責めに帰すべき事由がないかどうかという点の考慮は不可欠の
ものであるといわなければならない。
 さらに、税務相談についていえば、税務相談は、専ら行政サービスの一環として
相談に応ずるものであるから、税務相談に対する回答は、将来における課税処分の
内容を拘束するものではない。このことは、税務相談に対する回答が、納税者から
申述された事実関係及び提供された資料を前提に行われるものであり、自ずと不確
定要素が入り込むものであることを考
えても明らかである。したがって、税務相談での回答が、税務官庁が表示した、納
税者の信頼の対象となる公的見解ということができないのは明らかである。
 これを本件についてみると、原告の主張によっても、原告の顧問税理士が税務署
職員から原告に対する本件ビルの売却が課税対象にならないと聞いたというものに
すぎず、右の税務署職員の氏名も明らかでなく、右税務署職員からの回答に関する
具体的な経過も何ら明らかではない。
 そうすると、仮に、税務署職員が原告が右に主張するように答えたとしても、極
めてあいまいな話であって、これをもって、納税者の信頼の対象となる公的見解が
表示されたものということは到底できない。
 なお、原告は、税理士や公認会計士等に尋ねたところ、原告に対する本件ビルの
売却につきタックスヘイブン課税はされないとの見解を有していた旨主張するが、
原告が相談した税理士等がこのような見解を持っていたことをもって、本件各処分
の適法性が否定されるものでないことはいうまでもない。
(三) したがって、本件各処分が被告が原告に対して与えた公的見解に反するも
のということはできず、本件各処分について信義則の適用を考える余地はない。
 なお、原告は、過年度の税務調査においてタックスヘイブン課税を受けなかった
ことも信義則違反の根拠としているようであるが、かかる事実をもって被告が原告
に対して公的見解を表示したとは到底いえないし、また、過去にタックスヘイブン
課税をされなかったことをもって、直ちに後続年度においても課税を減免すべきで
あるという理由もない。したがって、原告の右主張も失当である。
(原告の主張)
1 管理支配基準について
(一) 微笑堂は、本店所在地である香港で、次のとおり、その主たる事業である
不動産賃貸業の管理、支配及び運営を自ら行っている。
(1) 微笑堂が本件ビルを取得した経緯等について
 微笑堂は、昭和六一年一一月、香港の新しい繁華街旺角の中心部にある本件ビル
で小売業(百貨店)を営業しようと計画して本件ビルを取得したが、小売業の経営
が大変難しい状況にあったこと、不動産賃貸業が当時香港で有利な事業であったこ
とから、不動産賃貸業に切り替えたものである。
 微笑堂は、本件ビルを取得するに当たって、手附金二八二〇万香港ドルを親会社
である原告から借り入れたほかは、微笑堂の代表者であるAが中華社会における個
人的信用により
、チャウ・タイ・フックから一億一五六二万香港ドルの資金を借り入れて取得した
ものであり、原告は、本件ビルの取得について資金的にも殆ど援助していない。
 なお、原告から微笑堂に対する設立当初の貸付けは、右手附金を含め合計五〇〇
〇万香港ドルである。
 また、運転資金として、微笑堂は、平成元年九月、安田信託銀行から二六九〇万
米ドル(二億一〇〇〇万香港ドル)の融資を受け、平成三年三月に福岡シティファ
イナンスから一五〇〇万米ドルの融資を受けている。
(2) 微笑堂が本件ビルで不動産賃貸業を営んでいたことについて
 微笑堂は、不動産賃貸業を営むについて、テナントの募集、賃料の回収を香港の
不動産仲介業者Jに委任していたが、テナントの決定・賃貸借契約の内容の決定に
ついては、微笑堂の代表者Aが決めていたものである。テナントの決定・賃貸借契
約内容の決定については、原告は全く関与していない。
 微笑堂は、その経営上の判断により、昭和六二年九月、本件ビルのうち修理費の
かさむ九階部分をテナントの香港教育専業協会に売却し、平成元年一〇月に地下一
階部分のテナントであるマクドナルドが同年六月に突如発生した天安門事件で香港
の経済状況が混沌としていたにもかかわらず、高い買値で買い受けることを申し出
たので、その地下一階部分をマクドナルドに売却し、平成三年三月に本件ビルの一
階、八階部分をテナントが入居しているままで原告に売却しているが、本件対応事
業年度の主な事業が不動産賃貸業(本件ビルを原告に売却後は、原告の委託による
不動産管理業を継続)であることは明らかである。
 微笑堂の本件ビルの保有期間は結果的に短期間で終わっているが、設立当初から
転売を予定していたわけではない。
(3) 微笑堂の日常業務について
 微笑堂は、設立以来、会計事務・監査事務を香港所在のアーサーアンダーセン香
港(G会計士)に委嘱しており、会計帳簿の作成及び保管は本店所在地国である香
港でしていた。
 微笑堂は、本件ビルの八階の本社を営業拠点とし、F等を雇用し、不動産賃貸業
の日常業務、すなわち、会計帳簿の保管等の業務を行っていたものである。
(4) 微笑堂の業種と事業規模からいって本店所在地国に役員全員を常勤させる
必要がなく、株主総会や取締役会を熊本市で開催する方が便宜であり経済的であっ
たのでこれらを熊本市で開催することが多かったが、昭和六三年一月二七日、平成

年三月二三日、平成二年二月五日の株主総会は香港で開催している。
(5) 微笑堂の代表者Aは、テナントの決定や営業方針の決定など必要なときだ
け香港へ行けば足り、また、日本の永住権を取得するため、昭和六二年以降日本の
滞在日数を多くする必要があったが、平成二年までは日本よりも香港など海外に滞
在する期間が多く、所得税の申告も香港で行っていた。
(二) 微笑堂の管理支配基準の充足について
(1) 微笑堂は、設立当初から本件対応事業年度まで主な事業として不動産賃貸
業を営んでいたことは明らかであり、この実態に基づくと、微笑堂はその本件対応
事業年度においても正常な不動産賃貸業を営んでおり、微笑堂がペーパーカンパニ
ーなどではなく、管理支配基準を充足していることは明らかである。
(2) タックスヘイブン課税は、経済的合理性を欠くような不当な租税回避を防
止するために設けられたものであり、その適用除外要件は、特定外国子会社等が正
常な海外投資活動を阻害することのないように設けられたものであるから、特定外
国子会社等がその本店所在地において独立企業としての実体を備え、それぞれの業
態に応じてその地において事業活動をしているか否か判断し、当該子会社の真正な
事業活動を正しく認定し運用することが強く要求されている。
 被告は、微笑堂が昭和六一年九月二六日に設立されて以来タックスへイブン課税
の適用除外要件を充足するものとして扱ってきたにもかかわらず、微笑堂の本件対
応事業年度のうち、微笑堂が本件ビルを原告に売却した平成三年三月二八日以降右
管理支配基準を満たさなくなったとして、その全期間について本件各処分をしたも
のである。
(3) 租税特別措置法通達六六の六-一〇(現行の租税特別措置法通達六六の六
-一六、以下「措置法通達」という。)は、管理支配基準の判定について、「当該
特定外国子会社の株主総会等の開催、役員としての職務執行、会計帳簿の作成及び
保管が行われている場所並びにその他の状況を勘案してなされるが、当該特定外国
子会社等の株主総会が本店所在地国等の場所で行われていること、当該特定外国子
会社等が現地における事業計画の策定等に当たり、当該内国法人と協議し、その意
見を求めていること等の事実があるとしても、そのことだけでは、当該特定外国子
会社等が事実の管理、支配及び運営を自ら行っていないことにはならないことに留
意する。」と定め
ている。
 また、子会社は、株主である親会社に報告を行い協議をした上で事業活動を行う
のは極めて当然のことであり、措置法通達の示している基準を親会社に適用する場
合には、系列化の親会社の経営スキームを当然に考慮すべきであり、本件各処分の
ように措置法通達の判定基準を形式的に適用すると、親子会社の場合にはおよそ管
理支配基準は適用の余地がないことになり不当である。
 本件では、主な株主総会を香港で開催し、代表者の職務執行や会計帳簿の作成、
保管等が行われていた場所も香港であり、香港に所在する不動産を所有・使用して
不動産賃貸業を営んでいたのであるから、措置法通達にいう判定基準も十分に充足
しているものである。
 微笑堂の取締役会が親会社の所在地である日本で開催されたり、微笑堂の役員五
名のうち四名が親会社の役員と兼任になっていたり、微笑堂が事業計画の策定等に
当たり親会社と協議をしている等の事実があったとしても、それだけでは措置法通
達のいうとおり、特定外国子会社等である微笑堂が管理、支配及び運営を自ら行っ
ていないということにはならない。微笑堂は、原告が租税回避のために設立した会
社ではなく、微笑堂の営業活動について租税負担を不当に軽減するような意図も行
為もないから、本件についてタックスヘイブン課税をすることは立法趣旨とも矛盾
し、不合理である。
(4) 特定外国子会社等が管理支配基準を満たしているか否かの判断は、特定外
国子会社等が本店所在地において行っている主たる事業を対象として行うべきもの
である。
 微笑堂は、本件対応事業年度の途中である平成三年三月二八日、厳しい経営判断
から本件ビルを原告に売却しているが、主たる事業が何であるかは期末で判断すべ
きことではなく、本件対応事業年度中の全期間を通じて主たる事業が何であったか
判断すべきである。本件対応事業年度における微笑堂の主たる事業は不動産賃貸業
であり、タックスヘイブン課税の適用除外要件である管理支配基準を充足してい
る。
2 信義則違反について
(一) 原告は、本件ビルを微笑堂から買い取るについて、タックスヘイブン課税
を受けないように万全の検討を行い、国際税務に詳しい監査法人トーマツをはじめ
元税務署勤務のH顧問税理士、I税理士など専門家の意見を聞いたほか、H税理士
やI税理士を介して税務当局の意見も聞いて、タックスヘイブン課税を受けること
はあり得ないという意見
に従って、微笑堂から本件ビルを買い取ったものである。
 このように、原告は、微笑堂から原告への本件ビルの売却に当たり、被告から非
公式に右売却につき課税負担がない旨の見解を得ており、被告に課税の意思がない
と確信するに妥当な客観的な事情が存したのであるから、被告が、右売却につき課
税することは、信義則に違反し、実質的に権利の濫用に当たる。
(二) また、微笑堂は、その税務会計事務を世界のトップレベルのアーサーアン
ダーセン香港のG公認会計士に委嘱していたのであるが、G公認会計士は、本件に
ついて措置法通達にいう「管理支配基準」の判定基準を被告が機械的・形式的に適
用しているのは誤りであるとの見解を述べており、本件にタックスヘイブン課税の
適用除外を認めていないのは違法であると指摘している。
第三 当裁判所の判断
一 管理支配基準について
 旧措置法六六条の六第三項は、同条第一項に定めるタックスヘイブン課税の適用
除外要件を規定し、事業基準(特定外国子会社等が株式若しくは債券の保有、工業
所有権等若しくは著作権の提供又は船舶若しくは航空機の貸付を主たる事業とする
ものでないこと)、実体基準(特定外国子会社等がその本店又は主たる事務所の所
在する国又は地域においてその主たる事業を行うに必要と認められる事務所、店
舗、工場その他の固定施設を有していること)、管理支配基準(特定外国子会社等
がその本店又は主たる事務所の所在する国又は地域においてその事業の管理、支配
及び運営を自ら行っていること)、所在地国基準(その事業を主として本店所在地
国において行っていること)又は非関連者基準(その事業を主としてその特定外国
子会社等の関連者以外の者との間で行っていること)を全て充足している場合は、
タックスヘイブン課税を行わないとしている。
 これは、特定外国子会社等が独立企業としての実体を備え、かつ、その所在地国
で事業活動を行うにつき十分な経済的合理性がある場合にまでタックスヘイブン課
税を適用することは、我が国企業の正常な海外投資活動を阻害する結果を招くこと
になるので避けるべきであるとの趣旨で設けられたものと解される。
 そして、右タックスヘイブン課税の適用除外要件の一つである管理支配基準は、
右のような場合に当たるかどうかを事業の管理運営の面から判断するための基準と
みることができる。
 したがって、特定外国子会社等が管理支配基準を
満たしているか否かは、当該子会社等の重要な意思決定機関である株主総会及び取
締役会の開催状況、役員の構成、職務執行状況、会計帳簿の作成及び保管状況、そ
の業務遂行上の重要事項を当該子会社等が自らの意思で決定しているかどうかなど
の諸事情を総合的に考慮し、当該子会社等がその本店所在地国において親会社から
独立した企業としての実体を備えて活動しているといえるのか否かによって判断す
べきものと解するのが相当である。
二 本件における事実関係について
1 微笑堂の設立について
 原告の当時の専務取締役であるCは、昭和六一年春ころ、山一証券の社員から、
香港に所在する本件ビルを買収しないかとの申出を受けた。そこで、Cや当時の原
告の貿易開発部長であるA等が香港に行き、現地視察や市場調査を行った結果、原
告は、子会社を設立して本件ビルを取得することとし、Aに対して、本件ビルの取
得及び子会社の設立をゆだねた。
 Aは、香港の法律事務所であるジョンソン・ストークス&マスター(以下「ジョ
ンソンストークス」という。)に依頼して子会社の設立手続を行い、昭和六一年九
月二六日、原告の一〇〇パーセント子会社として微笑堂が設立された。なお、資本
額は一〇〇万香港ドルであり、その出資者は、名義上、原告が九八パーセント、B
及びCが各一パーセントである。
 また、微笑堂の社名は、設立当初は、「NIKO NIKO DO(HONG 
KONG)LIMITED・微笑堂(香港)有限公司」であり、平成四年五月一九
日に、「BISHODO(HONG KONG)LIMITED・微笑堂(香港)
有限公司」に改称された。
(甲第四号証、甲第一六号証、甲第三〇号証、乙第二九号証の一ないし三、証人
A、原告代表者)
2 本件ビル取得について
 Aは、微笑堂の設立手続と並行する形で、ジョンソンストークスに本件ビルの取
得を依頼し、会計事務所であり本件ビルの売却に関与していたアーサーアンダーセ
ン香港事務所(以下「アーサーアンダーセン」という。)とも接触した上で、本件
ビルの売主であるホーシン・インベストメント・カンパニー・リミテッド(以下
「ホーシン」という。)及びニューワールド・デベロップメント・カンパニー・リ
ミテッド(以下「ニューワールド」という。)との間で売却交渉を行い、昭和六一
年九月初旬ころ、本件ビル(地下一階の一部、一階、八階及び九階)を合計一億四
一〇〇万香港ドル
で取得することになった。
 その後、同月二六日に微笑堂が設立され、同年一一月三日、微笑堂が右金額で本
件ビルを購入した。
 右購入代金のうち、購入契約当日に支払われた二五三八万香港ドルについては、
原告から同年一〇月二一日に送金を受けた二八二〇万香港ドルによって賄われた
が、残額一億一五六二万香港ドルについては、微笑堂において、同年一一月一三
日、本件ビルの売主のグループ企業であるチャウ・タイ・フック・ジュウルリ・カ
ンパニー・リミテッドから、本件ビルに担保権を設定して融資を受けることによっ
て賄われた。
 また、原告は、微笑堂に対し、同年一〇月一四日に三〇〇万香港ドル、同年一一
月七日に二〇〇万香港ドル、同年一二月九日に五〇万香港ドル、昭和六二年三月九
日に九〇万香港ドル、同年五月二二日に四五五万三〇〇〇香港ドルを融資してお
り、これらの融資は、いずれも微笑堂の運転資金に充てられたものと認められる。
(甲第五号証、甲第六号証、甲第一六号証、甲第二四号証の一、甲第三七号証の
一、二、証人A)
3 微笑堂の事業活動状況について
(一) 微笑堂の機関の状況について
(1) 取締役会
 設立当時の微笑堂の取締役は、A(代表取締役)、B、C、D及びEであり、原
告における役職(当時)は、Aが貿易開発部長、Bが代表取締役社長、Cが代表取
締役専務、Dが取締役営業本部長、Eが取締役常務であり、この微笑堂の取締役を
誰にするかは、CがBと相談して決めたものである(証人A、原告代表者)。
 そして、微笑堂の設立当時の取締役のうち、Eは、昭和六三年八月一日に、D
は、平成二年三月一日に、それぞれ微笑堂の取締役を辞任しているが(乙第二八号
証)、Eは昭和六三年三月一五日付けで、Dは平成元年二月一六日付けで、いずれ
も原告の取締役も辞任している(乙第二九号証の三)。
 微笑堂の取締役のうち、A以外の取締役は、いずれも香港での勤務を全くしてお
らず、Aの香港での勤務も、その日数は限られており、特に昭和六三年ころ以降は
滞在日数が少なくなり(甲第一四号証、甲第一六号証、乙第三号証の一、二)、本
件対応事業年度内である平成二年一一月八日ないし平成三年八月三一日の間の勤務
日数は、二九五日間のうち一五日間であった。また、微笑堂の取締役会は、日本に
おいて、必要に応じて取締役が集まり、行われていた(甲第三号証、原告代表者、
弁論の全趣旨)。
(2) 株主総会
 微
笑堂の株主総会は、設立後第三期分までは香港において開かれており、その出席者
は次のとおりである(甲第一八号証の一ないし三、証人G)。
① 昭和六三年一月二七日 A(ニコニコ堂代理人)、C
② 平成元年三月二三日  A(ニコニコ堂代理人)、
             F(B及びCの代理人)
③ 平成二年二月五日   C(ニコニコ堂代理人を兼任)
             A(Bの代理人)
(二) 不動産賃貸業務の態様について
 微笑堂は、不動産賃貸業務について、当初は不動産賃貸仲介業者であるJ、平成
元年六月以降はJから独立したNに業務委託した。
 右業者は、テナントの選定に当たり、テナントの募集、賃借申出人との交渉を行
い、Aは、テナントの決定及びこれに要する交渉を行い、また、賃貸借契約書にお
ける賃貸人の署名は、右業者の職員であるL又は微笑堂の現地マネージャーである
Fが行っていた。
 賃借人を決定した後は、右業者が賃料の回収、共用部分の管理等を行い、微笑堂
は賃料収入の管理、ビルの警備、テナントとの連絡、領収書の管理といった日常的
な管理事務を行った。昭和六三年八月以降は、新たに雇用したFが主に不動産賃貸
業務に携わっており、Aは、香港滞在時に、原告の中国でのホテル事業に主に携わ
っていた。
(甲第一〇号証、甲第一一号証、甲第一二号証、甲第二二号証の一、証人A)
会計業務その他の日常業務について
微笑堂は、設立当初、ジョンソンストークスの事務所に事務所を置いていたが、昭
和六三年夏ごろ、本件ビルの八階に事務所を移した。
 微笑堂の常勤職員は、Fほか一名であり、Fは、現地マネージャーとして、昭和
六三年八月ころから微笑堂で勤務を始めたが、それ以前は、現地マネージャーはい
なかった。Fの主な仕事は、微笑堂における金銭の出納や帳簿の記載などの日常的
な経理管理であったが、同人は、Aの中学時代の数学の教師であり、経理関係の経
験はなく経理を専門とする者でもなかった。また、ほか一名の職員は、主に本件ビ
ル内の清掃等をしていた。
 他方、微笑堂は、監査及び税務申告について、設立当初の事業年度である昭和六
二年八月期から平成五年一二月期までの間、会計事務所のアーサーアンダーセン香
港事務所に委託しており、同事務所のG公認会計士がその処理を担当していた。そ
して、G公認会計士の紹介により、微笑堂は、帳簿の記載及び整理について、当初
はヘイズア
ンドカンパニーに、その後個人会計士であるMに、平成二年からはワイズコンサル
ティングに代行を委託しており、これらの記帳代行業者は、G公認会計士に月一回
の月次報告を提出していた。なお、右のような会計業務は、香港での不動産賃貸業
では通常の形態であった。
 G公認会計士は、微笑堂に監査の事務的な補助のできる人材がなく、監査作業が
非効率的なものとなることを理由に、追加の監査料を徴収していた。G公認会計士
は、微笑堂に対し、平成二年九月二八日付けで、右追加の監査料請求に関する文書
(乙第二〇号証の一、二)を交付しているが、これは、アーサーアンダーセンの監
査料について、原告の顧問事務所であって競争会社でもあるトーマツから文句を言
われないようにするためのものでもあった。
 微笑堂は、原告への本件ビルの譲渡(平成三年三月二八日)と前後して、原告の
顧問事務所であるトーマツの香港提携事務所に相談を持ちかけるようになり、アー
サーアンダーセンへの相談は減少した。
(甲第一六号証、甲第一九号証、甲第二三号証、証人A、証人G)
(四) 原告の社内制度の整備について
 原告は、平成元年(一九八九年)九月ころ、株式上場を考えていたことから、各
種の社内制度を整備し始めており、当時海外事業部長でもあったAについても、原
告の海外事業を取り仕切っていたが、経費の使い方、給料の取り方、出張行動の不
明確さ等の点において問題があったことから、出張先の行動記録等を社内稟議等に
よりチェックすることになった(甲第一六号証、甲第三〇号証、乙第三号証の一な
いし六、証人A、原告代表者)。
4 本件ビルの売却について
(一) マクドナルドに対する売却について
 微笑堂は、マクドナルド・レストラン(香港)社(以下「マクドナルド」とい
う。)に対し、本件ビルの地下一階及び一階(一部)について、昭和六二年三月か
ら賃貸していたが(甲第一〇号証)、マクドナルドから右賃貸部分につき買取りの
要請があったことから、Aがマクドナルドとの売却交渉を行い、平成元年一〇月五
日、九八五〇万香港ドルで売却することになった(甲第三五号証の一、甲第一六号
証)。
 右売却について、原告は、同年九月二五日、取締役会において承認可決している
が、微笑堂の取締役が集まったことはない(乙第五号証、C本人調書二三五項)。
また、Cは、Aから、右売却交渉の際に、途中経過及び事後の報告を受けており、

クドナルド側の申出価格よりも相当高額で売却する旨聞き、その後、売却価格がA
が出した価格に近い価格に決まったと聞いて驚いたという経緯があった(原告代表
者)。
 また、原告の海外事業部門が作成した稟議書(乙第三号証の一及び二)によれ
ば、右売却手続等に関するAの香港出張についても、原告の稟議がされている。
(二) 原告に対する本件ビルの売却について
 原告は、平成三年九月の株式市場への上場に向けて条件整備を進める過程におい
て、原告の中国(桂林及び北京)でのホテル事業への投資について見直しを図る必
要に迫られ、中国でのホテル事業への投資は微笑堂が行い、本件ビルを原告が所有
することが最善であると判断し、併せてその売買代金により原告が微笑堂に対して
有する貸付金を回収し、借入債務のふくらんだ微笑堂の財務体質の健全化を図るこ
とととした(甲第三〇号証、乙第六号証、原告代表者)。
原告は、Aに対し、本件ビル売却の話を持ちかけたところ、Aは、当初はこれに反
対していたが、最終的には原告の提案に応じることにした(甲第一六号証、証人
A)。
 原告は、平成三年三月二五日、取締役会において、右の本件ビルの買収、中国で
のホテル事業への出資金の譲渡、微笑堂に対する貸付金の回収について承認可決し
た上(乙第一号証、乙第六号証)、微笑堂から、同月二八日、本件ビルの一階の一
部及び八階を四〇億円(約二億二五二〇万香港ドル・乙第二号証の一、乙第二八号
証)で買収するとともに、微笑堂に対し、同月二九日、中国ホテル事業への出資金
合計一一億一一一一万一六一九円(桂林の合弁会社につき三億四八九三万四一一九
円、北京の合弁会社につき七億六二一七万七五〇〇円)を譲渡し、微笑堂に対する
貸付金合計二四億〇二七七万九一七六円を微笑堂から回収した。右貸付金の内訳
は、長期貸付金が、元本合計額五億二一〇七万四〇一〇円及び利息合計額一億三二
四五万〇六〇一円で、短期貸付金が、元本合計額一六億八九〇六万八〇〇〇円、利
息合計額六〇一八万六五六五円である(乙第六号証)。
(三) 本件ビルの売却益について
 微笑堂は、本件ビルを取得した後、五年以内にその全部を転売しているところ、
本件ビルの取得価額とその後の売却価額は、左のとおり大きな差があり、微笑堂
は、本件ビルの取得及び売却により、大きな利益を得ている(乙第二八号証)。
取得価額(昭和六一年一一月) 一億四一〇〇万香港
ドル
売却価額          計三億三三〇〇万香港ドル
九階(昭和六二年九月)       九三〇万香港ドル
地下一階及び一階の一部(平成元年一〇月) 九八五〇万香港ドル
一階及び八階(平成三年三月) 二億二五二〇万香港ドル
売却益            一億九二〇〇万香港ドル
 本件対応事業年度においては、微笑堂が得た本件ビルの売却益は、一億二九一五
万五〇二九香港ドルであったのに対し、賃貸収入額は、一〇九三万五四七九香港ド
ルであった(乙第二号証の二)。
 なお、微笑堂は、本件ビルの一部につき、平成二年、売却の募集広告を出してい
る(甲第八号証、証人A)。
5 中国でのホテル事業への投資について
(一) 原告は、昭和五九年ころ、中国でホテル事業を営むこととし、そのために
右事業に関する合弁会社に対して出資することにした(乙第一号証)。
 原告の貿易開発部(後の海外事業部)が右事業を担当しており、Aが当時の同部
長であった(甲第一六号証)。
(二) 桂林での事業について
 原告は、昭和五九年一〇月、桂林賓館股分有限公司(以下「桂林の合弁会社」と
いう。)に対し、一二五万米ドル(出資比率五〇パーセント)を出資し、昭和六二
年五月、桂林の合弁会社により、ホテル「ホリディイン桂林」が開業された。
 微笑堂は、平成三年一月、桂林の合弁会社の増資に伴い、八二万米ドルを出資し
た(乙第一号証)。
 原告は、同年三月一一日、取締役会において、桂林の合弁会社への出資者名義を
原告から微笑堂に変更する件について、海外事業部申請の稟議書に基づき承認した
(乙第二二号証)。原告の海外事業部長であるAは、右稟議書による申請に当た
り、右稟議書に名義変更に伴う手続の詳細を記載し、その末尾に決裁印を押した。
 原告は、微笑堂に対し、同月二九日、桂林の合弁会社に対する投資を譲渡した
(乙第六号証)。
(三) 上海での事業について
 微笑堂は、昭和六二年五月、マウンテンオーク(米国法人)を三六九万米ドルで
買収し、もって、上海海崙賓館有限公司(以下「上海の合弁会社」という。)の出
資持分の二〇パーセント(二一〇万米ドル)を取得した。
 平成五年ころ、上海の合弁会社により、上海においてホテルが開業された(甲第
二四号証、乙第一号証、証人A、原告代表者)。
(四) 北京での事業について
 原告は、昭和六三年三月、北京国際藝苑有限公司(以下「北京の合弁会社」とい
う。
)の出資持分の四九パーセント(四四一万米ドル)を五六五万米ドルで買収した
(乙第一号証)。
 原告は、平成二年一一月二六日、取締役会において、微笑堂が北京の合弁会社に
対する貸付資金三〇〇万米ドルをシティファイナンスから借り入れる際に、右借入
れを保証する旨承認した(乙第二一号証)。
 原告は、微笑堂に対し、平成三年三月二九日、北京の合弁会社に対する投資を譲
渡し(乙第六号証)、微笑堂は、同年四月、北京の合弁会社の増資(五〇〇万米ド
ル)に伴い、その四九パーセントである二四五万米ドルを出資した(乙第一号証、
乙第八号証、乙第九号証)。
 同年一一月、北京の合弁会社により、ホテル「ホリディイン・クラウンプラザ北
京」が開業された(乙第一号証)。
(五) 原告は、平成三年三月二五日、取締役会において、微笑堂が福岡シティフ
ァイナンスとの間で一五〇〇万米ドルを限度とする金銭消費貸借契約を締結した件
(甲第二六号証)について、原告が、右借入れに対する保証として、福岡シティフ
ァイナンスに念書を差し入れる旨の承認決議を、原告の海外事業部申請の稟議書に
基づく社内稟議を経た後に行っている(乙第二三号証、第二四号証)。
(六) アーサーアンダーセンは、微笑堂の本件対応事業年度における監査報告書
において、北京、上海及び桂林の各合弁会社について、微笑堂ではなく、親会社で
ある原告が支配を及ぼしている旨記載している(乙第二号証の二、証人G)。
6 本件ビルの譲渡以降の事実について
(一) 原告側の事情
(1)原告は、平成三年四月二二日、取締役会において、微笑堂が北京の合弁会社
の増資(五〇〇万米ドル)に伴い、その四九パーセントである二四五万米ドルを出
資した件について、右二四五万米ドルを微笑堂の北京の合弁会社に対する貸付金債
権により引当て、相殺する旨を承認可決した(乙第一号証、乙第八号証、乙第九号
証)。
(2) 原告は、同年五月九日、桂林市から桂林の合弁会社の外国側出資者に対す
る寄付依頼に応じて、微笑堂が桂林市に対して五〇万円を寄付することについて、
海外事業部申請の社内稟議により決裁している(乙第一〇号証)。
(3) 原告は、同月一一日、微笑堂が銀行預金口座を開設することについて、海
外事業部申請の社内稟議により決裁している。
 これは、原告が、微笑堂の銀行預金口座を原告の資金を管理する口座に変えたた
め、微笑堂の銀行預金口座を新設する必
要が生じたことから行われたものである。微笑堂の現地職員の給与等の日常収支
は、右の新設口座によって管理され、原告においてその収支を管理することとされ
た(乙第一一号証)。
(4) 原告は、同年六月五日、微笑堂の監査法人への手数料等について、微笑堂
の資金により支払うことについて、海外事業本部申請の社内稟議により決裁した
(乙第一二号証)。
(5) 原告は、同月二二日、微笑堂の福岡シティファイナンスからの借入金一五
〇〇万米ドルについて、海外事業部申請の社内稟議により、微笑堂の資金によって
返済して金利負担を減らす方法と、右資金を利子課税のない香港で定期預金にして
資金の需要に備える方法のいずれを採るかを検討し、後者の方法を採ることで決裁
した(乙第一三号証)。
(6) 原告は、同年七月二〇日、微笑堂の従業員の賞与及び休暇について、原告
の経営企画室申請の社内稟議により、休暇に代えて賞与を支給することを決裁した
(乙第一四号証)。
(7) 原告は、平成三年九月一日から実施された関係会社管理規定(乙第四号
証)において、出資比率が五〇パーセントを超える関係会社を子会社として管理す
ることとし、当該子会社の経営上の重要事項について、原告の取締役で承認を受け
なければならない旨定めた。
(二) 微笑堂側の事情
 微笑堂は、原告に本件ビルの一階の一部と八階を売却した平成三年三月二八日以
降は、原告からの委託を受けて、本件ビルの右売却部分の賃貸業務を従前どおり継
続している(甲第一六号証、証人A)。
 微笑堂の総勘定元帳の勘定項目には、平成三年四月以降、通常の営業活動に伴い
要するであろうビル管理料、通信費、電話・ファックス料金が計上されていない。
また、微笑堂の所在地には、同年九月二日の原告の取締役会決議に基づいて、原告
が本件ビルにおいて不動産賃貸業を行うための原告の事務所が設けられることにな
った(乙第七号証)。
三 微笑堂の管理支配基準の充足について
1 前記一の旧措置法六六条の六第三項に定める管理支配基準に照らし、微笑堂が
本件対応事業年度(平成二年九月一日から平成三年八月三一日)において、その管
理支配基準を充足するか否かについて検討する。
 まず、微笑堂の設立当初から本件対応事業年度のうち微笑堂が原告へ本件ビルを
売却した平成三年三月二八日以前の微笑堂の実態につき検討する。
 前記二1ないし5のとおり、微笑堂は原告の一〇〇パーセ
ントの子会社であり、その設立当時の代表取締役であるAは同時に原告の貿易開発
部長を兼ねておりその他の役員四名も原告の役員を兼務していたこと、微笑堂の役
員のうちA以外の取締役はいずれも香港での勤務を全くしておらず取締役会も日本
で開催されていたこと、香港で開催された三回の株主総会も形式的なものであった
こと、微笑堂の業務である不動産賃貸業も、Aがテナントの決定・賃貸借契約の内
容の決定をするほかは、香港の賃貸業者にテナントの募集、賃借人との交渉、賃料
の回収、共用部分の管理を行わせており、微笑堂の従業員としては、現地でAの中
学時代の教師であるF他一名を雇用し、Fに不動産賃貸業務における日常的な管理
事務、経理事務を行わせ、他の職員には主に本件ビル内の清掃等を行わせていたに
すぎないこと、Aは、昭和六三年八月以降香港に滞在時には、原告の海外事業部の
部長として、主に原告の中国でのホテル事業に携わっていたこと、Aの香港での滞
在日数は限られており、特に昭和六三年以降の滞在日数は少なく、本件対応事業年
度内である平成二年一一月八日から平成三年八月三一日までの間の勤務日数は、二
九五日間のうち一五日間に過ぎなかったこと、微笑堂の唯一の基本的財産である本
件ビルの取得は原告において決定し、また、本件ビルの地下一階及び一階の一部の
微笑堂からマクドナルドへの売却については原告の取締役会の承認を受けており、
さらに、微笑堂から原告への本件ビルの八階及び一階の一部の売却についても、原
告が自らの株式市場への上場に向けた条件整備の中で本件ビルを微笑堂から買い受
けその売買代金から原告の微笑堂に対する貸付金の回収を図ることが最善であると
の原告側の事情と判断のもとで行われていること、原告の微笑堂に対する貸付金は
平成三年三月時点で約二四億円あったこと、などが認められる。
 右によると、微笑堂が原告へ本件ビルを売却した平成三年三月二八日の以前にお
いても、微笑堂の事業の管理、運営について、親会社である原告の管理、支配が強
く及んでおり、微笑堂の独立性の程度は低いものであったことがうかがえる。
2 次に、微笑堂の本件対応事業年度のうち、微笑堂が原告に対し本件ビルを売却
した平成三年三月二八日以降の微笑堂の実態について検討するに、前記二6による
と、微笑堂は原告の委託を受けて本件ビルの不動産管理業をしているにすぎず、そ
の管理業務や中国でのホ
テル事業の投資についての重要事項については、逐一原告の決裁のもとで行われて
おり、その間の微笑堂の事業の運営についての原告の関与の実態からみると、微笑
堂は、ほぼ完全に原告の管理、支配の下に置かれているものと評価することができ
る。
3 以上の微笑堂の本件対応事業年度における業務に関する各事情に前記二で認定
した諸般の事実を総合考慮すると、微笑堂は、本件対応事業年度において、その本
店所在地である香港において、独立した企業として、その事業の管理、支配及び運
営を自ら行っていたとはいえず、旧措置法六六条の六第三項所定の管理支配基準を
充足していなかったというべきである。
四 本件課税処分の信義則違反について
1 原告は、微笑堂から原告への本件ビルの売却に当たり、被告から非公式に右売
却につき課税負担がない旨の見解を得ており、被告に課税の意思がないと確信する
に妥当な客観的な事情が存したのであるから、右売却につき課税することは、信義
則に違反し、実質的に権利の濫用に当たる旨主張する。
 そして、原告代表者は、原告の職員のKが、「原告の顧問税理士で元熊本西税務
署長であるIが、税務署職員から本件ビルの原告への譲渡が課税対象にならないと
の回答を得た。」と言っていた旨供述しており、また、Kの陳述書(甲第四四号
証)にもこれに沿う記載が存在する。
2 しかしながら、租税法規に適合する課税処分について信義則の法理の適用によ
る違法を考え得るのは、納税者間の平等、公平という要請を犠牲にしてもなお当該
課税処分に係る課税を免れしめて納税者の信頼を保護しなければ正義に反するとい
えるような特別の事情が存する場合でなければならず、右特別の事情が存するかど
うかの判断に当たっては、少なくとも、税務官庁が納税者に対し信頼の対象となる
公的見解を表示し、納税者がその表示を信頼しその信頼に基づいて行動したとこ
ろ、右表示に反する課税処分が行われ、そのために納税者が経済的不利益を受ける
ことになったものかどうか、また、納税者が税務官庁の右表示を信頼しその信頼に
基づいて行動したことについて納税者の責めに帰すべき事由がないかどうかという
点の考慮は不可欠のものであるといわなければならない。
 さらに、税務相談についていえば、税務相談は、納税者から申述された事実関係
及び提供された資料を前提に、専ら行政サービスの一環として相談に応ずるもので
あるから、自ずと
不確定要素が入り込むものであって、税務相談での回答を納税者の信頼の対象とな
る公的見解とすることはできない。
 これを本件についてみると、原告の主張及び原告代表者の右供述等によっても、
原告の顧問税理士が税務署職員から原告に対する本件ビルの売却が課税対象になら
ないと聞いたというものにすぎず、右の税務署職員の氏名も明らかでなく、右税務
署職員からの回答に関する具体的な経過も何ら明らかではないから、仮に、税務署
職員が原告の主張するような回答をしたとしても、極めてあいまいな話であって、
これをもって、納税者の信頼の対象となる公的見解が示されたものということはで
きない。
3 したがって、本件各処分が被告の公的見解に反するものとか信義則違反となる
という原告の主張は採用できない。
五 本件各処分の適法性について
 右三のとおり、微笑堂は、旧措置法六六条の六第三項所定の管理支配基準の要件
を充足していなかったのであるから、原告は、本件事業年度において、同条第一項
に規定するタックスヘイブン課税の適用除外を受けることはできず、本件事業年度
の所得の金額の計算上、同項所定の課税対象留保金額に相当する金額は、益金に算
入されるべきである。
 そして、原告の本件事業年度に係る法人税及び法人臨時特別税について、右の益
金算入に基づき、課税所得金額を計算した結果は、別表課税の経緯及び別表1ない
し3のとおりであり、右課税所得金額は、いずれも本件各処分の課税標準額と同じ
かこれを上回っている。
 よって、本件各処分は、いずれも適法である。
六 結論
 以上によると、原告の請求は理由がないのでこれを棄却することとし、主文のと
おり判決する。
熊本地方裁判所民事第三部
裁判長裁判官 杉山正士
裁判官 伊藤正晴
裁判官 渡部市郎

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今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
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