弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件各上告を棄却する。
         理    由
  被告人Cの弁護人大西正男の上告趣意第一点及び被告人Dの弁護人山本耕幹の
上告趣意第一点について。
 前者は違憲をいうけれども実質は単なる法令違反の主張に帰し、後者は判例違反
をいうけれども引用の判例は事案を異にし本件に適切でなく原判決はこれと相反す
る判断をしたものでないから、所論はいずれも刑訴四〇五条の上告理由に当らない。
 原判決の支持した第一審判決の認定によれば、被告人両名は共謀の上、行使の目
的をもつて被告人Cにおいて予め作成しておいた同人名義のA鉄道管理局B電力区
出納責任者D宛の内容虚偽の電柱代金代理受領承諾書と題する文書の末尾に、A鉄
道管理局B電力区の助役である被告人Dにおいて、右を承認する旨記載し、A鉄道
管理局B電力区出納責任者Dなる奥書をし、庁印として備付の同電力区の公印をほ
しいままに押捺し、D名下にその私印を押捺した文書を作成したものであるところ、
論旨は、被告人Dは右電力区の助役であり当該公務員である。同被告人が自己名義
の公文書を作成したからとて刑法一五五条の罪を構成するいわれはないと主張する。
よつて案ずるに、第一審判決挙示の証拠によれば、被告人Dは同電力区助役として
区長を補佐する傍ら同管理局から出納員もしくは事務助役出納員として指名され、
部内職員の給料、旅費、共済組合関係の給付、貸付金の交付、保管等の職務をも有
していたことが認められるけれども、これらはいずれも対内的な出納事務に過ぎな
いもので、同電力区助役もしくは右出納員名義をもつて対外部関係に関する公文書
を作成することは許されず、そのような場合は必ず区長名義をもつてしなければな
らないことがわかる。従つて同被告人は本件証明文書を作成すべき一般的職務権限
を有しないものといわなければならない。しかも、本件文書の形式外観は一般人を
して当該公務員がその権限内において作成した真正な公文書であると信ぜしめるに
足るものであるから、これを行使の目的をもつてほしいままに作成する所為は刑法
一五五条一項の公文書偽造罪を構成するものというべく、原判示は正当であつて論
旨は採るをえない。
 弁護人大西正男のその余の上告趣意について。
 論旨第二点は事実誤認、同第三、第四点は量刑不当の主張であつて刑訴四〇五条
の上告理由に当らない。
 弁護人山本耕幹の上告趣意第二点について。
 原判決が、本件詐欺の点に関する被告人両名の共謀の事実が一審判決挙示の証拠
によつて優に肯認できる以上被告人Dにおいて財物騙取の直接の実行行為に加担し
なかつたとしても罪責を免れるものでないとしたのは、当裁判所の判例に照らして
正当である(昭和二九年(あ)第一〇五六号同三三年五月二八日大法廷判決集一二
巻八号一七一八頁、昭和一〇年(れ)第一七九一号、同一一年五月二八日大審院刑
事連合部判決、集一五巻七一五頁各参照)。論旨引用の大審院判例はいわゆる実力
犯に関するものでいわゆる知能犯に属する本件に適切でないのみでなく、その後の
前掲判例によつて変更されているものであつて、所論は採るをえない。その他記録
を調べても同四一一条を適用すべきものとは認められない。
 よつて同四〇八条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。
  昭和三四年八月二八日
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    小   谷   勝   重
            裁判官    藤   田   八   郎
            裁判官    河   村   大   助
            裁判官    奥   野   健   一

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