弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人等の負担とする。
         理    由
 上告代理人北川定務、同野方寛の上告理由第一点について。
 仮に、上告人等主張の間接的事実を認定し得たとしても、これによつては、所論
の如き投票のすり替がなされた事実を推認し得ない。所論の投票すり替の事実を否
定した原審の判断に、所論の違法はない。
 論旨は、採用し得ない。
 同第二点について。
 なるほど、本件選挙において、同一筆跡の投票が多数存在したとの上告人等主張
事実について、原審が、上告人等の所論鑑定申請を却下しながら、原告等(上告人
等)の主張を認めるに足る証拠はない旨判断したことは、説明簡略に過ぎる憾があ
る。しかしながら、公職選挙法四六条により代理投票の許される現制度下において
は、同一筆跡の数ある投票の存在することは、あり得る事実である。仮に本件選挙
において、同一筆跡の投票が多数あつたからとて、その事実のみにより、必ずしも、
所論の如くに投票すり替の事実を推認し得るものではない。同一筆跡の投票が多数
存在したとの事実は、上告人等が本件選挙の無効原因として主張した投票すり替の
事実に対しては間接事実となるに過ぎないのであり、しかも当事者申出の証拠を裁
判所が不必要と認めるものまでを悉く取調べなければならないものでないのである
から、他の証拠調の結果、所論投票すり替の事実を認定し得ない本件において、所
論鑑定申請を却下したからとて、これに所論の違法があるとは、なし得ない。
 論旨は、理由がない。
 上告人等の上告理由二について。
 本件選挙において同一筆跡の投票が多数存在したとの事実は、原審の認定しない
所であるから、この事実に基き原判決を非難することは、上告適法の理由とならな
い。更に、本件選挙の候補者別得票発表経過において、上告人Aの得票が第一回発
表では五〇票あり、第二回発表以降なく、最終発表に到り四三票あつたとの事実を
以つて、所論投票すり替のあつた事実を推認しなければならないものではない。ま
た、印刷を注文した投票用紙数、投票所入場人員数、使用投票用紙数、投票用紙の
残存数等については、原判決に詳細説明せられて居り、その説明は、是認するに足
るものであり、これ等は、所論の如く投票のすり替があつた事実を推認する根拠と
ならない。D候補の所論得票数が経過表と選挙録とにおいて二票の差があるからと
て、これを以つて、所論の如くに選挙録を改ざんしたものと断すべき理由とは、も
とよりなし得ないところである。
 論皆は、採用し得ない。
 同理由三について。
 当事者の提出した書証の写が原本と相違して居つたとしても、裁判所は、その原
本に基いて判断して居るのであるから、その写の誤りは、判決の結果に何等の影響
がない。また開票会閉会の時刻が所論経過表に誤記せられて居つたとしても、これ
によつて選挙録が改ざんせられたものと判断しなければならないものではない。そ
の他、選挙録、開票録の押印等の不備があつても、それのみによつて、選挙に不正
があつたと推認し得るものではない。論旨は要するに、原審の裁量に委ねられた証
拠の判断、事実の認定を非難するものであるか或は原審の判断を独目の見解に立つ
て攻撃するものであるかに帰する。
 論旨は採用し得ない。
 同理由自余の点につき。
 論旨は、要するに、原判決において認定せられて居らない事実或は独自の見解を
主張し、これによつて本件選挙につき不正があつた旨を論じ或は原審の判断を非難
攻撃するものであるに帰着するのであつて、すべてこれを採用し得ない。
 よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員の一致で、
主文のとおり判決する。
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    石   坂   修   一
            裁判官    河   村   又   介
            裁判官    垂   水   克   己
            裁判官    五 鬼 上   堅   磐
            裁判官    横   田   正   俊

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