弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決を破棄する。
     本件を原裁判所に差戻す。
         理    由
 被告人Aの弁護人正岡松彦が陳述した控訴の趣意は同弁護人並被告本人提出の各
同趣意書に記載の通りであり被告人Bの弁護人高良一男、被告人Cの弁護人山田思
郎が陳述した控訴の趣意は夫々同弁護人等提出の同趣意書に記載の通りであるか
ら、ここにこれを引用する。
 山田弁護人の同趣意書第一点に付いて。
 記録によると原審第四回公判調書(判決言渡調書)には昭和二十九年一月二十三
日裁判官Dは同記載の訴訟関係人立会の上原判決の宣告をした旨の記載があり末尾
に立会書記官補Eの署名押印があると共に同調書欄外の裁判官認印欄には右Dの認
印なく却つて第一乃至第三回公判の関与裁判官であり且原判決の作成者である裁判
官Fの認印と認むべきFなる印影の存すること洵に所論の通りである。
 凡そ刑事訴訟規則第四十六条が公判調書には作成書記官の署名押印の外、なお関
与裁判官の認印をも要求している法意は両者相俟つて同記載通りの裁判所により同
記載通りの訴訟手続の履践されたこと換言すれば同調<要旨>書の記載の真実性を確
保し認証せんとするにあること論議の余地がない。果してそうだとすれば立会裁判
官として記載されている裁判官と同調書の欄外に認印している裁判官と別人
であること明白な右公判調書によつては果して何人が判決の宣告をしたのか換言す
れば判決言渡が適法になされたか否かこれを証明し得ない。(最高裁昭和二四年
(れ)第一五八四号判決参照)従つて論旨は理由がある。
 よつて刑事訴訟法第三百九十七条第四百条本文第四百一条に則り爾余の各趣意に
対する判断を省略し控訴人全員に対し主文の通り判決する。
 (裁判長判事 下川久市 判事 青木亮忠 判事 鈴木進)
 (弁護人の控訴趣意は省略する。)

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