弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     本件上告を棄却する。
     当審における未決勾留日数中一〇〇〇日を本刑に算入する。
         理    由
 弁護人小泉幸雄、同上田國廣、同津田聰夫、同辻本育子の上告趣意のうち、憲法
三三条、三四条、三八条違反をいう点は、実質は単なる法令違反の主張であり、判
例違反をいう点は、当裁判所の判例を具体的に摘示しておらず、その余は、事実誤
認の主張であつて、いずれも刑訴法四〇五条の上告理由に当たらない。
 なお、所論事実誤認の主張にかんがみ、付言する。本件強盗殺人事件については、
第一審、原審の審理を通じて、被告人の自白の信用性並びにそれとの関連において
アリバイ主張の当否が、事実認定上の要点となつているので、その点について触れ
る。本件強盗殺人事件についての被告人の供述の変遷を見ると、被告人は、事件発
生直後から参考人として事情聴取されたのに対し、被害者宅を訪問したことはない
旨の弁解をし、その後別件の詐欺事件によつて逮捕、勾留され、その間本件につい
ても取調べを受けたのに対し、当初は同旨の弁解をしていたが、遂には犯行を自供
し、改めて本件で逮捕、勾留された。そして、その後本件により取調べを受けた際
には、一貫して犯行を認めて自白を維持し、第一審第三回公判までは犯行を認めて
いたが、同第四回公判に至り犯行を否認し、当日被害者宅を訪問しているが強盗殺
人は犯していない旨の主張をし、その後は第一審公判、原審公判を通じて同旨の主
張をして犯行を否認し、当審に至つているものである。そこで被告人の自白の信用
性を検討するに、記録によれば、その自白の内容は、実際体験した者でなければ困
難と認められる供述が随所に含まれており、一部においては客観的な裏付けも得ら
れているのであつて、信用性が高いものと認められる。現場から被告人の指紋が発
見されていないこと、被告人の身辺から血痕が確認されていないこと、犯行に使用
したというふきんが発見されていないこと、さらに被害者の転倒位置、奪取金額等
の点について、十分に解明が尽されていないことは、所論指摘のとおりであるが、
それらの点を考慮しても、自白の信用性が失われるものとはいえない。それに対し、
被告人のアリバイ主張は、その弁明内容に変遷があり、自白を翻して第一審公判途
中から新たなアリバイ主張をするに至つた経緯についても、原判決が説示するとお
り、客観的に納得し得るだけの事由が見出せず、不自然さがあることは否定できな
い。のみならず、被告人がアリバイとして最終的に主張する内容については、その
主張する時間帯に被害者宅を訪問したとの点は、原判決がそこに引用する証拠に照
らしても不自然であり、また、原判決も指摘するとおり、主張する時間帯に被害者
宅を訪問し退去したとすれば、パチンコ店で知人と会つた旨のアリバイ主張の一部
とも矛盾が生じることになり、不自然、不合理な点が存し全体として措信し難いと
いわざるを得ない。従つて、被告人の自白その他の証拠を総合すれば、本件強盗殺
人は被告人の犯行によるものと認められ、記録を精査しても、被告人の有罪を認定
した第一審判決及びそれを是認した原判決に、事実誤認の疑いがあるとはいえない。
よつて、刑訴法四一四条、三八六条一項三号、刑法二一条により、裁判官全員一致
の意見で、主文のとおり決定する。
  昭和六〇年六月一四日
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    和   田   誠   一
            裁判官    谷   口   正   孝
            裁判官    角   田   禮 次 郎
            裁判官    矢   口   洪   一
            裁判官    高   島   益   郎

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛