弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
         理    由
 弁護人松永東及び同名尾良孝の上告趣意について。
 論旨は原判決が証拠として採用しない資料を援用して原判決の認定を非難するも
のである。原判決が採用した各証拠の間には所論のような矛盾という程のものは存
しないか、枝葉の点において多少の喰違いがあつたとしても、一つの事実に関して
数多の証拠を綜合認定の資料とする場合にその一部において互に相容れない点があ
つてもそれ等を取捨することは論理の法則又は実験則に反しない限り差支えないこ
とである。(昭和二三年(れ)第一三一二号同二四年二月二四日最高裁判所第一小
法廷判決参照)そうして原判決挙示の各証拠を綜合すれば判示事実は認定できない
訳ではなく、そのことが論理の法則又は実験則に反するとは認められないから、原
判決には所論のような違法はなく、論旨は理由がない。
 よつて旧刑訴四四六条に従い主文の通り判決する。
 この判決は裁判官全員一致の意見によるものである。
 検察官 茂見義勝関与
  昭和二五年一二月一二日
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    長 谷 川   太 一 郎
            裁判官    井   上       登
            裁判官    島           保
            裁判官    河   村   又   介

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