弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件各上告を棄却する。
         理    由
  各被告人の弁護人諌山博、被告人A、同B、同C、同D、同E、同F、同G、
同H及び同Iの各上告趣意は、末尾添付の書面記載のとおりであり、これに対し当
裁判所は次のとおり判断する。
 弁護人諌山博の上告趣意第二点は判例違反をいうけれども、引用の判例は、数個
の犯罪事実についてこれに対応する証拠を一括羅列した場合に関するもので、本件
のように一個の犯罪事実においてその共謀、実行行為等個々の構成要件的事実の認
定に対応する証拠を区別して挙示することを要するか否かに関するものでないから
本件に適切でない。そして一個の犯罪事実を認定するには、それを綜合してその犯
罪事実を認定するに足るとする証拠の標目を挙示するをもつて足ることもとよりで
ある。同第一、三点は共謀に関する事実誤認もしくは単なる法令違反の主張であつ
て、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。
 被告人Aの上告趣意第二点、同Bの上告趣意第二点及び同Cの上告趣意第二点中
違憲をいう点は、いずれも原審において主張せられず従つてその判断を経ないもの
であつて刑訴四〇五条の上告理由に当らない(本件のような場合が憲法二八条の保
障する団体行動権の行使というをえないことについては、昭和二四年(れ)第一六
〇一号、同二五年一〇月一一日大法廷判決、集四巻一〇号二〇一二頁、昭和二七年
(あ)第八三八号、同三二年二月二〇日大法廷判決、集一一巻二号八〇二頁各参照)。
同被告人らのその余の論旨は、いずれも事実誤認、量刑不当の主張を出でないもの
であるからこれまた上告理由に当らない。
 被告人Dの論旨は、事実誤認、訴訟法違反の主張、同Eの論旨は、違憲をいうが
実質は事実誤認の主張、同F及びGの論旨は、事実誤認の主張を出でず、即ち各上
告趣意はいずれも刑訴四〇五条の上告理由に当らない。
 被告人Hの上告趣意中(二)の、原審が証人申請を却下したことを違憲であると
する点は、憲法三七条二項は、裁判所がその必要を認めて尋問を許可した証人につ
いて規定しているものと解すべく、この規定を根拠として裁判所は被告人側の申請
にかかる証人を必ず取調べなければならないものではないから(昭和二三年(れ)
第八八号、同年六月二三日大法廷判決、集二巻七号七三四頁)、所論は採るをえな
い。その余の論旨は、違憲をいう点もあるが、原審において主張せられず従つてそ
の判断を経ない第一審の訴訟手続について、当審ではじめて違憲を主張するものや
事実誤認の主張であつて、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。
 被告人Iの上告趣意は、違憲の語もあるが実質は単なる法令違反、事実誤認の主
張を出でないものであつて、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。
 よつて同四〇八条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。
  昭和三二年一二月一三日
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    小   谷   勝   重
            裁判官    藤   田   八   郎
            裁判官    河   村   大   助
            裁判官    奥   野   健   一

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