弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
         理    由
 弁護人牧野芳夫の上告趣意第一、二点について。
 しかし、原判決挙示の証拠(ことに被告人の原審公判廷における供述並びに司法
警察官に対する供述記載)を綜合すれば、所論の点その他原判示の事実認定を肯認
することができる。それ故、所論はその理由がない。
 同第三点について。
 しかし、原判決の確定したところによれば、被告人は、本件労働関係の当事者で
ある判示A工業株式会社B工場の労働組合員ではないから、被告人の行為を判示工
場の労働争議行為の範囲内に属する行為と認め難く、所論は既にその前提において
採用できないばかりでなく、仮りに争議行為の範囲内に属する行為であるとしても、
原判決説示のごとく目的が正当であるからといつて常にその手段を正当化するもの
ではないから、本件侵入行為を憲法二八条労働組合法一条等の正当行為でないとし
た原判決の判断は正当で論旨はその理由がない。
 よつて、旧刑訴四四六条に従い、裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。
 検察官 竹原精太郎関与
  昭和二六年七月一二日
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    齋   藤   悠   輔
            裁判官    澤   田   竹 治 郎
            裁判官    眞   野       毅

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