弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件各上告を棄却する。
         理    由
 被告人Aの上告趣意について。
 所論は単なる訴訟法違反および事実誤認の主張であつて、刑訴四〇五条の上告理
由に当らない。記録を調べても被告人に対し取調官による強迫その他不当の取調べ
がなされたものとは認められない。
 弁護人山内忠吉、同岡崎一夫、同米村正一の上告趣意第一点、第二点および第五
点について。
 原判決は刑法一二五条一項の電車往来危険罪における危険とは「電車の安全な往
来を妨げるおそれある状態、すなわち顛覆、衝突等の事故発生の可能性ある状態を
いう」とした上、被告人らが共謀して第一審判示の如くいわゆるB電車を運行せし
め、もつて電車の往来の危険を生ぜしめたことを認定し、刑法一二五条一項を適用
処断しているのである。従つて原判決は、被告人らが右の如き往来の危険を生ぜし
めることを認識して、その犯行をしたものと認めた趣旨であること明白である。そ
して原判決のこの点の判断はすべて正当である。原判決には所論判例に違反すると
ころはなく、判例違反の主張は理由がない。また所論法令違反、事実誤認の主張も
採用できない。
 同第三点および第六点について。
 所論は事実誤認または単なる法令違反の主張であつて、いずれも刑訴四〇五条の
上告理由に当らない。被告人らの本件B電車運行の原判示所為が、公共企業体等労
働関係法一七条にかかわりなく、正当な争議行為として許されないものであること
は、本件につきさきに第一次上告審において、昭和二九年一二月二三日第一小法廷
判決の判示したとおりである。
 同第四点について。
 所論は憲法一三条違反を主張する点があるけれども、要するに原判決の刑法一二
五条一項の「危険」の解釈を非難するものであつて、単なる法令違反の主張を出ず、
刑訴四〇五条の上告理由に当らない。
 弁護人米村正一の上告趣意第一点について。
 所論は憲法二八条違反を主張する。しかし、被告人らの本件B電車運行の原判示
所為は、公共企業体等労働関係法一七条にかかわりなく、正当な争議行為として許
されないものであつて、これを威力業務妨害罪として処罰することが憲法二八条に
違反するものでないことは判例の趣旨により明らかである(昭和二三年(れ)一〇
四九号昭和二五年一一月一五日大法廷判決、集四巻一一号二二五七頁、昭和二七年
(あ)四七九八号同三三年五月二八日大法廷判決、集一二巻八号一六九四頁参照)。
 同第二点について。
 所論は判例違反を主張するけれども、その理由のないことは弁護人山内忠吉外二
名の上告趣意第一点について判示したとおりである。
 弁護人馬場数馬の上告趣意第一について。
 所論中判例違反の点については、引用にかかる判例中昭和九年(れ)五三三号同
年六月二二日大審院判決は、業務上の注意義務に関するものであつて、本件に適切
でない。次に昭和五年(れ)七九四号同年七月四日大審院判決は「刑法三五条にい
わゆる正当なる業務に因る行為とは、法令の定むるところ、または条理の命ずると
ころに従い、正当なる業務の執行と認めらるべき行為を指称す」と判示するもので
ある。ところが、原判決は被告人らがその統括機関の管理を排除し、業務命令に背
き、ほしいままに原判示の如くいわゆるB電車を運行させた所為につき、それが法
秩序に反するものとして、正当な業務行為とは認められないという趣旨を判示して
いること判文上明らかであり、何ら右大審院判決と矛盾するものではない。従つて
所論判例違反の主張は採用できない。その余の論旨は単なる法令違反の主張であつ
て、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。
 同第二について。
 所論は法令違反ないし事実誤認の主張であつて、刑訴四〇五条の上告理由に当ら
ない。被告人らの本件B電車の運行が電車の往来の危険を生ぜしめたとの原判決の
判断は正当である。
 また記録を調べても、刑訴四一一条を適用すべきものとは認められない。よつて
同四〇八条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。
  昭和三六年一二月一日
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    藤   田   八   郎
            裁判官    池   田       克
            裁判官    河   村   大   助
            裁判官    奥   野   健   一
            裁判官    山   田   作 之 助

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