弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
         理    由
 弁護人佐伯修の上告趣意第一点について。
 論旨は、被告人に対する逮捕状記載の被疑事実の犯行日時は昭和二四年八月一五
日午前(論旨に午后とあるは午前の誤記と認める)二時三〇分頃と記載されている
のに、勾留状記載被疑事実の犯行日時は同二三年八月一四日午前二時三〇分頃と記
載されていて両者の年月の相違が甚しく右勾留状は逮捕状と異る事実に基いて発付
されたものでありかかる違法の勾留に基く本件公訴及び原審判手続は違法であると
いい違憲を主張するが、逮捕勾留を違法と主張する救済の申立は別途の手続による
べく、これを上告の理由とすることができないことは当裁判所の判例とするところ
である(昭和二三年(れ)四二四号、同年一二月二七日大法廷判決、集二巻一四号
一九四〇頁)。論旨は採用できない〔記録によると、本件捜査は昭和二九年九月一
三日附A巡査の捜査状況報告書の作成された頃、すなわち、判示犯行後六年を経て、
始めて開始されたので、逮捕状発付当時は犯行は昭和二四年中であつたような疎明
しかなかつたけれども、逮捕後犯行は昭和二四年でなく同二三年八月である旨の被
告人供述その他の疎明が現われたので、勾留状は、犯行日時を一審判決認定のとお
り昭和二三年八月一四日午前二時三〇分頃と改めたほかは逮捕状記載被疑事実と同
一の事実(両事実は犯人、犯行の場所、方法及び被害者を同じくし同一性がある)
について発付された事跡が明らかである。従つて本件逮捕勾留手続には所論のよう
な違法はない。〕また、論旨は刑訴三九二条、三九三条違反をいうが、原判決は控
訴趣意につき十分判断しているのであり、刑訴三九二条二項の職権調査は裁判所が
必ずしなければならない義務あるものではないことは当裁判所数次の判例であるか
ら、原審が事実の取調をしないで控訴を棄却したことについては何等所論の違法は
ない。なお、第一審公判廷での検察官の溝端証人に対する尋問方法が刑訴二九五条
に違反する旨の論旨は、原審で主張判断を経ていない事項に関するものであつて、
上告適法の理由とならない。その他の論旨は単なる事実誤認と証拠の取捨の非難で
あつて刑訴四〇五条の上告理由に当らない。
 同第二点について。
 しかし、記録によると、所論司法警察員が被告人の取調に当り利益誘導をした事
跡は認められず、また、被告人の検察官調書は勾留中に作成されたことは明らかで
あるが右勾留が違法と認められないこと論旨第一点において判示したとおりである
のみならず、第一審公判廷では被告入側は右各供述調書を証拠とすることに同意し
ていることが認められるから、所論違憲、違法の主張は前提を欠き採用できない。
 同第三点について。
 論旨は刑訴一条違反をいうが実質は単なる審理不尽及び事実誤認の主張であつて
刑訴四〇五条の上告理由に当らない。
 同第四点は事実誤認、審理不尽、法令適用の誤、量刑不当の主張を出でず、被告
人本人の上告趣意は単なる事実誤認の主張であり、いずれも刑訴四〇五条の上告理
由に当らない。(一審判決挙示の証拠によれば、被告人は被害者Bと縁故関係ある
知合であつて予ねて同人方に数回泊めて貰つたことがあり、昭和二三年八月一三日
夜同人方に宿泊中翌一四日午前二時三〇分頃判示の意思から判示のとおり同人の頸
を両手で扼して殺害しようとしたが目的を遂げず、被害者より諭されてまた就寝の
上辞去した事実を認めるに十分であり、被告人は一審公判廷でも犯意の点を除くほ
か判示挙動をした事実を自白し、挙示の証拠中被害者の日記帳には八月一四日午前
二時三〇分首締められたとの記載がある。被告人本人の上告趣意も昭和二三年中夜
一一時半頃被害者の家に行き夜一時頃か二時頃被害者に按摩した事情は認めている
のである。)
 その他記録を調べても刑訴四一一条を適用すべきものとは認められない。
 よつて同四〇八条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。
  昭和三二年一二月二四日
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    垂   水   克   己
            裁判官    島           保
            裁判官    河   村   又   介
            裁判官    小   林   俊   三

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