弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

主文
被告人を懲役3年に処する。
未決勾留日数中300日をその刑に算入する。
この裁判確定の日から5年間その刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人は,Aを含む弟らの育児等を母から押し付けられていたが,軽度知的障害
の影響もあってそのような家庭環境から逃れることができず,不満を募らせていた。
被告人は,平成31年4月2日早朝から同日午前11時20分頃までの間に,大
阪市(住所省略)被告人方において,A(当時3歳)に対し,その腹部を足で踏み
つける暴行を加え,よって,腹部圧迫による下腸間膜動脈裂傷等の傷害を負わせ,
同日午後0時30分頃,同所付近において,前記傷害に起因する失血により同人を
死亡させた。
(証拠の標目)
省略
(法令の適用)
罰条刑法205条
未決勾留日数の算入刑法21条
刑の全部執行猶予刑法25条1項
訴訟費用の不負担刑事訴訟法181条1項ただし書
(量刑の理由)
本件は,3歳の弟に対する傷害致死1件の事案である。
何ら落ち度のない3歳の被害者の命を失わせた結果はいうまでもなく重大である。
また,幼児の腹部を踏みつけるという犯行態様は,両者の体格の違いなどを考慮す
れば,被害者に重篤な傷害を負わせる可能性が高い危険なものである。もっとも,
精神鑑定によれば,被告人は軽度の知的障害を有し,その知能や発達年齢は概ね9
歳から10歳程度と診断されており,自らの行為の危険性を十分に認識していたと
は認め難い。
犯行に至る経緯,動機についてみるに,被告人は,父から幼少期等に暴力を受け,
母からは弟妹への暴力を指示されるなど,暴力肯定的な家庭で生育した。そのよう
な生活の中,弟らの世話を押し付けられ,これが知的障害を有する被告人にとって
は過度の負担となっていたものの,両親に逆らうことができず,不満を募らせて犯
行に及んだと認められる。何ら落ち度がない被害者に暴行を加えた点は非難を免れ
ないものの,劣悪な家庭環境に置かれる中,知的障害の影響により自力でそこから
逃れることができず,犯行に及んだ点は相応に酌むべき事情といえる。
そうすると,本件は,同種事案との比較では中程度より軽い部類に属し,実刑と
執行猶予いずれの選択肢もあり得る事案といえる。
そこでその余の事情について検討すると,被告人については,両親と別居するた
めのグループホームへの入居のめどが立っている上,後見人が選任され,福祉の援
助が見込まれるなどの手厚い支援体制も構築されている。また,被告人は,被害者
の命を失わせたことを後悔し,朝晩に手を合わせて冥福を祈るなど,被告人なりに
反省の態度を示しており,これまでに前科もない。
これらの事情に鑑みれば,被告人を直ちに実刑に処すべきとまでは認め難く,被
告人を主文の刑に処し,今回に限り,その刑の執行を猶予するのが相当と判断した。
(求刑懲役5年)
令和2年9月25日
大阪地方裁判所第5刑事部
裁判長裁判官長瀨敬昭
裁判官久博一
裁判官平山裕也

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛