弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
         理    由
 被告人両名の弁護人鈴木紀男、同比志島竜蔵、同内藤義憲および被告人Aの弁護
人鎌形寛之の上告趣意第一点について。
 所論のうち違憲をいう点は、日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約(昭
和二七年四月二八日条約第六号)が主権国としてのわが国の存立の基礎に極めて重
大な関係をもつ高度の政治性を有するものであつて、その内容が違憲であるか否か
の法的判断は、純司法的機能をその使命とする司法裁判所の審査には、原則として
なじまない性質のものであり、それが一見極めて明白に違憲無効であると認められ
ない限りは、裁判所の司法審査権の範囲外のものであること、アメリカ合衆国軍隊
の駐留に関する右安全保障条約およびその三条に基づく行政協定の規定は、憲法九
条、九八条および前文の趣旨に適合こそすれ、これらの条章に反して違憲無効であ
ることが一見極めて明白であるとは到底認められないことおよび右行政協定は、特
に国会の承認は経ていないけれども違憲無効とは認められないことは、昭和三四年
(あ)第七一〇号、同年一二月一六日大法廷判決の判示するとおりであるから理由
がなく、その余は、単なる法令違反の主張であつて、適法な上告理由とならない。
 同第二点について。
 所論は、憲法二九条違反をいうが、第一審判決およびこれを是認した原判決が認
定しない事実を前提として違憲を主張するもので、適法な上告理由とならない。
 同第三点、第四点について。
 所論は、事実誤認、単なる法令違反の主張であつて、適法な上告理由にあたらな
い。
 同第五点について。
 所論は、判例違反をいうが、所論引用の判例(昭和三七年三月二八日の判決とあ
るのは、昭和二七年の誤記と認める)は、収税官吏が所得税法により帳簿書類等の
検査をするにあたつて、法定の検査章を携帯していなかつたとしても、納税義務者
等において、右検査章の不携帯を理由として右検査を拒んだ事実のない以上、これ
に対し暴行脅迫を加えたときは公務執行妨害罪を構成するというものであつて、本
件に適切ではなく、第一審判決および原判決の認定した事実関係のもとにおいては、
本件測量にあたつては、立会人の適法な立会があつたものと解するのを相当とする
から、所論判例違反の主張は不適法であり、所論はすべて単なる法令違反の主張に
帰し、適法な上告理由にあたらない。
 同第六点について。
 所論は、事実誤認の主張で、適法な上告理由にあたらない。
 よつて、刑訴法四〇八条により、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決す
る。
  昭和四一年六月二三日
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    岩   田       誠
            裁判官    入   江   俊   郎
            裁判官    松   田   二   郎

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