弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件控訴を棄却する。
         理    由
 本件控訴の趣旨は末尾添附の弁護人河内守名義の控訴趣意書と題する書面に記載
の通りである。これに対して次の様に判断する。
 論旨一及び二に対して
 原判決挙示の証拠によると、原判示事実即ち被告人が原判示日時場所で手拳をも
つて原判示Aの顔面顎下等を数回殴打しその結果同人の上唇部等に全治約一週間を
要する裂創打撲傷を負わせ、更にその直後同所で同人に対し後に手を廻し所携の刃
物に手をかける様な態度をしながら「たゝき切つてやるぞ」と申向け同<要旨第一>
人に危害を加えかねない態度と気勢を示して脅迫したことを認めるのに十分であ
る。被告人の右所為は手拳により殴打傷害を加えた後更に別個の害悪を
告知して新に別の法益侵害に出でたものであるから、仮令暴行傷害行為の直後同所
で脅迫行為がなされたものであつても、傷害罪の外に脅迫罪が成立し両者は併合罪
の関係に立つものと解すべきものであつて、これと同趣旨にでた原判決は正当であ
る。なお本件起訴状には被告人が原判示日時場所で右脅迫行為をなし更に右暴行傷
害行為に出でた旨の記載があつて、脅迫傷害として起訴された訴因事実を原判決が
前記の様に傷害脅迫と順序を変えて認定していることは所論の通りであるが、原判
決は起訴<要旨第二>された訴因と全く同一の訴因を認定したものであつて、右の様
に脅迫傷害として起訴されたものを順序を変えて傷害脅迫と認定するこ
とは公訴事実の同一性を害するものでなく、また訴因の変更手続を必要とするもの
でもない。所論に基き記録を精査するも原判決には所論の様な審理不尽乃至は事実
誤認の廉はなく、また法令適用の誤りも存しない。論旨はいずれも理由がない。
 (その他の判決理由は省略する。)
 (裁判長判事 久礼田益喜 判事 武田軍治 判事 江里口清雄)

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