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平成28年3月30日判決言渡同日原本受領裁判所書記官
平成27年(行ケ)第10094号審決取消請求事件
口頭弁論終結日平成28年3月16日
判決
原告小橋工業株式会社
同訴訟代理人弁護士高橋雄一郎
同北島志保
同弁理士林佳輔
同福永健司
被告松山株式会社
同訴訟代理人弁理士樺澤襄
同樺澤聡
同山田哲也
主文
1特許庁が無効2014-800071号事件について平成27
年4月10日にした審決を取り消す。
2訴訟費用は被告の負担とする。
事実及び理由
第1請求
主文1項と同旨
第2事案の概要
1特許庁における手続の経緯等
(1)原告は,平成20年10月15日,発明の名称を「ロータリ作業機のシー
ルドカバー」とする発明について特許出願(特願2008-266269号。以下
「本件出願」という。同年3月26日にした特許出願(特願2008-81313
号)の分割出願)をし,平成26年1月17日,設定の登録(特許第545484
5号)を受けた(請求項の数2。甲7。以下,この特許を「本件特許」という。


(2)被告は,平成26年5月2日,本件特許について特許無効審判を請求し,
無効2014-800071号事件として係属した。
(3)原告は,平成27年2月17日,本件特許に係る特許請求の範囲等を訂正
する旨の訂正請求をした(甲8の1・2。以下「本件訂正」という。


(4)特許庁は,平成27年4月10日,
「請求のとおり訂正を認める。特許第5
454845号の請求項1及び2に係る発明についての特許を無効とする。
」との
別紙審決書(写し)記載の審決(以下「本件審決」という。
)をし,その謄本は,
同月20日,原告に送達された。
(5)原告は,平成27年5月14日,本件審決の取消しを求める本件訴訟を提
起した。
2特許請求の範囲の記載
本件訂正後の特許請求の範囲の請求項1及び2の記載は,次のとおりである(甲
8の2。なお,
「/」は原文の改行部分を示す。以下同じ。

。以下,請求項1及び
2に係る発明をそれぞれ「本件発明1」及び「本件発明2」といい,併せて「本件
発明」という。また,本件訂正後の明細書(甲8の2)を本件特許の図面(甲7)
を含めて「本件明細書」という。
【請求項1】
トラクタの後部に装着され,トラクタと共に走行する作業機本体に支持される作
業ロータと,その上方を覆うシールドカバー本体とその進行方向後方側に連結され,
前記作業ロータの後方を覆うエプロンを有するシールドカバーを備えるロータリ作
業機において,/その進行方向後方側の位置で固定され,その進行方向前方側の端
部から前記後方側の位置までの区間が自由な状態であり,前記端部寄りの部分が自
重で垂れ下がる,弾性を有する土除け材が,前記シールドカバー本体の前記作業ロ
ータ側の面に2枚以上固定されるとともに,前記エプロンの前記作業ロータ側の面
に1枚以上固定され,/前記土除け材は前記シールドカバー本体と前記エプロンの
周方向に隣接して複数枚配置され,/前記土除け材の内,前記シールドカバー本体
に固定された各土除け材の固定位置すべてが,隣接する他の土除け材と互いに重な
っていることを特徴とするロータリ作業機のシールドカバー。
【請求項2】
前記土除け材の内,前記作業ロータの回転方向上流側に位置する土除け材が,前
記シールドカバー本体に固定された下流側に位置する土除け材を前記作業ロータ側
から覆う状態で重なっていることを特徴とする請求項1に記載のロータリ作業機の
シールドカバー。
3本件審決の理由の要旨
(1)本件審決の理由は,別紙審決書(写し)のとおりである。要するに,本件
発明は,下記アの引用例1に記載された発明(以下「引用発明1」という。
)及び
下記イの引用例2に記載された発明(以下「引用発明2」という。
)に基づいて,
当業者が容易に発明をすることができたものであるから,本件特許は,特許法29
条2項の規定に違反してされたものであり,同法123条1項2号に該当し,無効
とすべきである,というものである。
ア引用例1:実願昭63-106917号(実開平2-29202号)のマイ
クロフィルム(甲1)
イ引用例2:特開平6-303802号公報(甲2)
(2)本件審決が認定した引用発明1は,次のとおりである。
トラクタの後部に装着され,トラクタと共に走行するロータリ機枠2に支持され
るロータリ耕耘部6と,その上方を覆う主カバー12とその進行方向後方側に連結
され,ロータリ耕耘部6の後方を覆う後部カバー13を有するロータリカバー11
を備えるロータリ耕耘機1において,/主カバー12のロータリ耕耘部6側の面に,
弾性を有する土付着防止部材20が,その進行方向後方側の位置で複数枚固定され,
/前記土付着防止部材20は,進行方向前方側の端部から前記後方側の位置までの
区間が自由な状態であり,前記端部寄りの部分が自重で垂れ下がるもので,/前記
土付着防止部材20は,主カバー12の周方向に隣接して複数枚配置され,/前記
土付着防止部材20の内,固定位置のある進行方向後方側に隣接する土付着防止部
材20が存在しない土付着防止部材20を除いて(言い換えると,進行方向におい
て最も後方側の土付着防止部材20を除いて)
,主カバー12に固定された各土付
着防止部材20の固定位置すべてが,隣接する他の土付着防止部材20と互いに重
なっているロータリ耕耘機1のロータリカバー11。
(3)本件発明1と引用発明1との対比
本件審決が認定した本件発明1と引用発明1との一致点,相違点は次のとおりで
ある。
ア一致点
トラクタの後部に装着され,トラクタと共に走行する作業機本体に支持される作
業ロータと,その上方を覆うシールドカバー本体とその進行方向後方側に連結され,
前記作業ロータの後方を覆うエプロンを有するシールドカバーを備えるロータリ作
業機において,/その進行方向後方側の位置で固定され,その進行方向前方側の端
部から前記後方側の位置までの区間が自由な状態であり,前記端部寄りの部分が自
重で垂れ下がる,弾性を有する土除け材が,前記シールドカバー本体の前記作業ロ
ータ側の面に2枚以上固定され,/前記土除け材は前記シールドカバー本体の周方
向に隣接して複数枚配置され,/前記土除け材の内,シールドカバー本体に固定さ
れた進行方向において最も後方側の土除け材を除いて,シールドカバー本体に固定
された各土除け材の固定位置すべてが,隣接する他の土除け材と互いに重なってい
るロータリ作業機のシールドカバー。
イ相違点
本件発明1では,
「その進行方向後方側の位置で固定され,その進行方向前方側
の端部から前記後方側の位置までの区間が自由な状態であり,前記端部寄りの部分
が自重で垂れ下がる,弾性を有する土除け材が,

「前記エプロンの前記作業ロータ
側の面に1枚以上固定され」
,シールドカバー本体とエプロンに固定された土除け
材はシールドカバー本体とエプロンの周方向に隣接して配置され,シールドカバー
本体に固定された進行方向において最も後方側の土除け材の固定位置が,隣接する
エプロンに固定された土除け材と互いに重なっているのに対し,引用発明1では,
エプロン側に土除け材がなく,そのような構成を有していない点。
(4)本件審決が認定した引用発明2は,次のとおりである。
リヤカバー13のロータリー11側の面に,弾性を有する弾性部材23が,その
進行方向後方側の位置で固定されるとともに,固定部を除いて前方側が自由な状態
であり,その弾性部材23が,メインカバー12の補強板18に対する低摩擦係数
の部材14の固定位置において,その低摩擦係数の部材14と互いに重なっている
ロータリカバー。
4取消事由
相違点の容易想到性の判断の誤り
第3当事者の主張
〔原告の主張〕
(1)本件審決による引用発明2の認定の誤り
本件審決は,引用発明2の「低摩擦係数の部材14の後端部14aのプレート2
1による固定部」が,
「メインカバー12の補強板18に対する低摩擦係数の部材
14の固定位置」であると認定し,当該プレート21による固定部が,本件発明1
の「シールドカバー本体に固定された各土除け材の固定位置」に相当すると判断し
た。
しかし,本件発明1における「シールドカバー本体に固定された各土除け材の固
定位置」とは,土除け材のうち,カバー部材に固定されて自由に振動することがで
きない部分をいう。
これに対して,引用発明2では,低摩擦係数の部材14の前端部14bから後端
部14aまでの全体が,
「メインカバー12の裏面にすきまなく密着して取り付け
られ」ているため(引用例2【0010】

,低摩擦係数の部材14のうち,
「プレ
ート21による固定部」のみならず,メインカバー12の裏面に隙間なく密着して
取り付けられている前端部14bから後端部14aまでの全体が,本件発明1の
「シールドカバー本体に固定された各土除け材の固定位置」に相当する。
そうすると,引用例2には,せいぜい,弾性部材23が,
「シールドカバー本体
に固定された各土除け材の固定位置」の一部である「低摩擦係数の部材14の後端
部14aのプレート21による固定部」と互いに重なることが開示されているにす
ぎず,低摩擦係数の部材14のうち「低摩擦係数の部材14の後端部14aのプレ
ート21による固定部」以外の部分は,弾性部材23と互いに重なっていないから,
「前記シールドカバー本体に固定された各土除け材の固定位置すべてが,隣接する
他の土除け材と互いに重なっている」という本件発明1の構成は開示されていない
し,本件審決が認定した相違点のうち,
「シールドカバー本体に固定された進行方
向において最も後方側の土除け材の固定位置が,隣接するエプロンに固定された土
除け材と互いに重なっている」という構成は開示されていない。
(2)引用発明1に引用発明2を組み合わせて本件発明1に想到することができ
ないこと
ア引用発明1に引用発明2を組み合わせる動機付けがないこと
(ア)課題の共通性がないこと
本件発明1の課題は,土除け材がその周方向の一端で固定され,他端側が自由な
状態になる構成において,土除け材自身の振動が生じない固定位置に土砂が集中的
に付着するという課題を解決するものであり,本件明細書の【0005】の記載か
ら,特に,土除け材の固定位置の中でも,シールドカバーの後方側に固定される土
除け材の固定位置への土砂の付着を課題とするものである。
これに対して,引用発明1の課題は「ロータリカバー側に土が付着するのを防止
すること」であるが,引用発明1において,進行方向において最も後方側のボルト
21が,他の土付着防止部材20によって覆われないことから,引用発明1では,
固定位置の中でも,特にシールドカバーの後方側に固定される土除け材の固定位置
への土砂の付着という本件発明1の課題は全く認識されていない。
また,引用発明2の課題は,引用例2の【図6】において,メインカバー1に固
着した土付着防止部材4は自重で垂れ下がりやすく,飛散した土の流れが悪くなり,
メインカバー1とロータリとの間に土が詰まりやすくなること,メインカバー1と
リヤカバー2との「枢着」部分に,双方の土付着防止部材4と5との間隙が生じ,
この間隙から飛散した土が侵入して「枢着」部分に土がたまりやすくなることであ
る(引用例2【0003】

【0004】

。したがって,引用発明2は,そもそも自
重で垂れ下がる土付着防止部材を用いないから,土除け材がその周方向の一端で固
定され,他端側が自由な状態になる構成において,土除け材自身の振動が生じない
固定位置に土砂が集中的に付着するという本件発明1の課題は全く認識されていな
い。
以上のとおり,本件発明1の課題は,引用発明1及び引用発明2のいずれの課題
とも共通性がない。
(イ)作用効果の共通性がないこと
本件発明1は,土除け材がその周方向の一端で固定され,他端側が自由な状態に
なることで,作業機本体の振動に起因して発生する振動時の振幅が最大限発揮され
るため,付着した土砂の落下を誘発する効果が高まり,土砂の付着と堆積を回避す
る効果が得られるとともに,土除け材の固定位置を覆うように隣接する土除け材を
重ねて固定することによって,付着した土砂が落下しにくい固定位置への土砂の付
着自体を生じにくくすることができ,この結果,振動による落下を期待するまでも
なく,土砂を落下させる必要がない状態を得ることが可能になり,土砂の付着と堆
積を有効に防止することができる(本件明細書【0016】

【0018】

【002
8】

【0029】
)という顕著な作用効果を有する。
これに対して,引用発明1の作用効果は,土付着防止部材20が付着した土の重
量で下降すると,回転する耕耘爪10によって土が掻き落とされ,土が掻き落とさ
れた後に,土付着防止部材20が元の位置に復元するというものである。したがっ
て,付着した土砂が落下しにくい固定位置への土砂の付着自体を生じにくくすると
いう本件発明1の作用効果を目的とするものではなく,また,前記(ア)のとおり,
引用発明1では,進行方向において最も後方側のボルト21が他の土付着防止部材
20によって覆われないことから,特に土砂の付着しやすいシールドカバーの後方
側に固定される土除け材の固定位置において,土砂の付着と堆積を防止するという
作用効果も有しない。
また,引用発明2の作用効果は,引用例2の【0006】に記載されたとおりで
あり,弾性を有する土除け材の振動による土砂の落下を誘発する効果を最大限発揮
させるという本件発明1の作用効果を目的とするものではなく,他端側が自由な状
態である土除け材の固定位置において土砂の付着と堆積を防止するという作用効果
も有しない。
以上のように,本件発明1の作用効果は,引用発明1及び引用発明2のいずれの
作用効果とも共通性がない。
(ウ)引用例1の内容中に示唆がないこと
本件審決は,引用例1には,後部カバー13に土付着防止部材を設けることが示
唆されていると判断した。
しかし,引用例1の第6図に記載された発明において,主カバー12及び後部カ
バー13は,共に矩形状の鉄製の枠体34で構成されており,第1図から第3図に
記載された引用発明1に対応する実施例とはロータリーカバー11の構成が異なる。
したがって,引用例1の第6図に記載された可とう性を有する部材20bは本件
発明1の土除け材に相当するものではないから,引用例1には後部カバー13に本
件発明1の土除け材を設けることは示唆されていない。
イ引用発明1に引用発明2を組み合わせることに阻害要因があること
引用発明2は,従来のゴム等の弾性部材からなる土付着防止部材が自重で垂れ下
がることによる不都合を課題とする発明であるから(引用例2【0004】

,自重
で垂れ下がる土付着防止部材を用いることを排除するものである。
これに対して,引用発明1は,土付着防止部材20が付着した土の重量で下降す
ると,回転する耕耘爪10によって土が掻き落とされ,土が掻き落とされた後に,
土付着防止部材20が元の位置に復元するとの作用を有し,進行方向前方側の端部
が自由な状態であり,自重で垂れ下がる土付着防止部材を用いることを前提として
いる。
そうすると,引用発明1に,引用発明2を組み合わせることには阻害要因があり,
当業者であっても引用発明2に記載された低摩擦係数の部材14や弾性部材23の
前端部23aを,進行方向前方側の端部が自重で垂れ下がるように変更することは
通常行わないし,引用発明2の目的にも反する。
(3)相違点の容易想到性の判断の誤り
ア本件審決は,引用発明2の弾性部材の端部寄りの部分が自重で垂れ下がるも
のであるなどとして,相違点の容易想到性を肯定した。
しかし,引用発明2は,従来のゴム等の弾性部材からなる土付着防止部材が自重
で垂れ下がることによる不都合を課題とする発明である(引用例2【0004】


したがって,弾性部材23の前端部23aはブラケット19に密着しており,自重
での垂れ下がりがなく,このことは,
「図3に示した弾性部材の前端部23aを更
に前方へ延設し,前記低摩擦係数の部材14と重ね合わせた状態」にした場合も同
様である(引用例2【0015】


そうすると,引用発明2の弾性部材23について端部寄りの部分が自重で垂れ下
がるような材質のものに変更することは,土付着防止部材が自重で垂れ下がること
による不都合を課題とする引用発明2の目的に反するから,当業者が適宜になし得
ることではない。
イ被告は,引用発明2は,引用例2の【図6】におけるリヤカバー2に固着さ
れた土付着防止部材(弾性部材)5が自重で垂れ下がることによる不都合を課題と
するものではなく,メインカバー1に固着された土付着防止部材(弾性部材)4が
自重で垂れ下がることによる不都合を課題とするものである旨主張する。
しかし,引用例2の【0004】の記載によれば,耕耘作業によって飛散した土
が,ロータリの回動領域に沿って配置されるメインカバー及びリヤカバーからなる
ロータリカバーとロータリとの間に流れることは明らかであるから,リヤカバーに
固着された土付着防止部材が自重で垂れ下がる場合も,飛散した土の流れが悪くな
ることは同様である。
また,引用例2の【0004】

【0006】の記載に照らすと,リヤカバーに固
着された土付着防止部材(弾性部材)を自重で垂れ下がるように構成すると,リヤ
カバー2の枢着部分では,メインカバーに取り付けた低摩擦係数の部材と,リヤカ
バーに取り付けた弾性部材との接合部に間隙が生じるため,ここに土がたまりやす
くなるという引用発明2の課題を解決できない。よって,引用発明2の弾性部材2
3について端部寄りの部分が自重で垂れ下がるような材質のものに変更することは,
引用発明2の目的に反する。
ウ被告は,引用発明2の弾性部材23の前端部23aを前方へ延設して低摩擦
係数の部材14と重ね合わせた状態にした場合,端部寄りの部分が自重で垂れ下が
ることは当然に生じる事象にすぎないが,メインカバー側の低摩擦係数の部材14
とリヤカバー側の弾性部材23との接合部には間隙は生じないため,接合部に土が
たまりやすくなるという引用発明2の課題を解決できる旨主張する。
しかし,引用例2の【図3】において,弾性部材23のリヤカバー13に対する
最も前方の固定位置は,固定具27の鍔部27aの部分である。仮に弾性部材23
が自重で垂れ下がる程度の弾性係数を有する部材で形成されているとすると,弾性
部材23の延長された前方側の端部寄りの部分は,鍔部27aを支点として前方に
向かって徐々に垂れ下がりが大きくなり,ブラケット19の下面と弾性部材23と
の間に隙間が生じてしまうため,ここに土がたまりやすくなるという引用発明2の
課題を解決できない。
特に,引用発明2で,リヤカバー13を下降させた状態において,既に前方側の
端部寄りの部分が自重で垂れ下がるような弾性部材23を用いた場合,リヤカバー
13を上方へ回動させると,弾性部材23の垂れ下がり位置はリヤカバー下降時よ
りさらに下方になるため,リヤカバーの枢着部分では,メインカバーに取り付けた
低摩擦係数の部材と,リヤカバーに取り付けた弾性部材との接合部にさらに間隙が
生じ,ここに土がたまりやすくなってしまい,引用発明2の作用効果(
【001
5】
)を奏することができない。そうすると,上記作用効果を奏するためには,リ
ヤカバー13を下降させた状態において,既に前方側の端部寄りの部分が自重で垂
れ下がるような弾性部材23を用いることはできない。
したがって,被告の上記主張は理由がない。
(4)本件発明1に顕著な作用効果があること
本件発明1は,前記(2)ア(イ)に記載したとおりの顕著な作用効果を有する。
これに対して,引用発明1では,前記(2)ア(イ)のとおり,進行方向において最
も後方側のボルト21が他の土付着防止部材20によって覆われないことから,特
に土砂の付着しやすいシールドカバーの後方側に固定される土除け材の固定位置に
おいて,土砂の付着と堆積を防止するという作用効果を有しない。
また,引用発明2では,そもそも土除け材がその周方向の一端で固定され,他端
側が自由な状態になることで,作業機本体の振動に起因して発生する振動時の振幅
が最大限発揮されるという構成を有しないため,他端側が自由な状態である土除け
材の固定位置において土砂の付着と堆積を防止するという作用効果を有しない。
したがって,本件発明1は,引用発明1にも引用発明2にもない顕著な作用効果
を有する。
(5)小括
以上のとおり,本件審決は,引用発明2の認定を誤り,その結果,相違点の容易
想到性の判断を誤っているから,取り消されるべきである。
〔被告の主張〕
(1)本件審決による引用発明2の認定に誤りがないこと
本件審決は,引用発明2において,プレート21による固定部である「メインカ
バー12の補強板18に対する低摩擦係数の部材14の固定位置」が,本件発明1
の「シールドカバー本体側の他方の土除け材のシールドカバー本体への固定位置」
に相当すると判断しているのであって,
「シールドカバー本体に固定された「各」
土除け材の固定位置」に相当するとの判断をしているものではない。
そして,引用例2の【図3】には,低摩擦係数の部材14の後端部14aがメイ
ンカバー12の補強板18にプレート21によって固定された構成が記載されてお
り,その低摩擦係数の部材14の後端部14aのプレート21による固定部は,前
方へ延設(延出)された弾性部材23の前端部23aによって覆われて,この前端
部23aと互いに重なっている。
また,引用例2の【0010】には,前端部14b及び後端部14aがメインカ
バー12に対する低摩擦係数の部材14の固定箇所(固定部)であることが明記さ
れており,同記載内容からみて,引用発明2の「低摩擦係数の部材14の後端部1
4aのプレート21による固定部」が,
「メインカバー12の補強板18に対する
低摩擦係数の部材14の固定位置」であることは明らかである。
仮に,低摩擦係数の部材14の全体が「土除け材の固定位置」に相当すると仮定
したとしても,原告が自認するように,プレート21による固定部(後端部14
a)は,
「土除け材の固定位置」の一部であるから,
「土除け材の固定位置」に相当
する。
さらに,
「低摩擦係数の部材14の前端部14bのプレート16による固定部」
が,
「土除け材の固定位置」に含まれたとしても,
「低摩擦係数の部材14の後端部
14aのプレート21による固定部」が「土除け材の固定位置」であることに変わ
りはない。
なお,本件審決は,引用例2に「前記シールドカバー本体に固定された各土除け
材の固定位置すべてが,隣接する他の土除け材と互いに重なっている」という構成
が開示されているとの認定をしているものではない。
したがって,本件審決による引用発明2の認定に誤りはない。
(2)引用発明1に引用発明2を組み合わせることによって本件発明1に想到す
ることができること
ア引用発明1に引用発明2を組み合わせることについての動機付けがあること
引用発明1はロータリカバー(シールドカバー)に土が付着するのを防止するこ
とを課題とするところ,引用発明2もロータリカバー(シールドカバー)に土が付
着するのを防止することを課題とするから,引用発明1と引用発明2とは課題が共
通する。なお,本件発明1も,引用発明1及び引用発明2と同様,シールドカバー
に土が付着するのを防止することを課題とする。
また,引用発明1と引用発明2とは,課題が共通することから,作用効果も共通
する。
さらに,引用例1の第6図に記載されたロータリ耕耘機は,
「主カバー12」及
び「後部カバー13」を有するから,第1図ないし第3図に記載された引用発明1
とはロータリーカバーの構成が異なるものではなく,また,可とう性を有する部材
20bは土付着防止部材(土除け材)に相当するから,引用例1には,後部カバー
13(エプロン)に土付着防止部材(土除け材)を設けることが示唆されている。
そもそも引用発明1と引用発明2とは,ともにロータリカバー及びその土付着防
止に関する技術分野に属するものであるから,技術分野が共通し,また,引用発明
1に引用発明2を適用して引用発明1のエプロンに土除け材を設けることは技術的
に困難なことでもない。
したがって,引用発明1に引用発明2を組み合わせる動機付けがある。
イ引用発明1に引用発明2を組み合わせることに阻害要因はないこと
引用例2の【0004】の記載及び特許請求の範囲の請求項1にはメインカバー
及びリヤカバーのうち,メインカバーに対してのみ,

(自重で垂れ下がる)弾性部
材」ではなく,
「低摩擦係数の部材」を密接して取り付けると規定されていること,
引用例2の【図6】におけるリヤカバー2に固着された土付着防止部材5が自重で
垂れ下がる旨の記載や,リヤカバー2とロータリとの間に土が詰りやすくなる旨の
記載はないことからすれば,引用発明2は,メインカバー1に固着された土付着防
止部材(弾性部材)が自重で垂れ下がることによる不都合を課題とするものであっ
て,リヤカバーに固着された土付着防止部材(弾性部材)が自重で垂れ下がること
による不都合を課題とするものではない。したがって,リヤカバーに取り付ける弾
性部材について,自重で垂れ下がる土付着防止部材を用いることを何ら排除してい
ない。このため,引用発明2のリヤカバー側の弾性部材23について進行方向前方
側の端部寄りの部分が自重で垂れ下がるような材質のものに変更することは,引用
発明2の目的に反するものではない。
したがって,引用発明1に引用発明2を組み合わせることに阻害要因はない。
(3)本件審決による相違点の容易想到性の判断に誤りがないこと
ア引用例2の【0012】には,弾性部材23はゴム等の弾力に富んだ材質の
ものであることが明記されていることから,弾性部材23の弾性係数や延設長さ等
によってその垂れ下がる量は異なるものの,弾性部材23のうち,前方へ延設され
た端部寄りの部分が自重で垂れ下がることは,当然に生じる事象にすぎない。そし
て,弾性部材23の前端部23aを前方へ延設して低摩擦係数の部材14と重ね合
わせた状態にした場合でも,弾性部材23の前端部23aはブラケット19に密着
した状態となっており,メインカバー側の低摩擦係数の部材14とリヤカバー側の
弾性部材23との接合部には間隙は生じないため,接合部に土がたまりやすくなる
という引用発明2の課題を解決することができる。
また,前記(2)イのとおり,引用発明2の課題は,メインカバー1に固着された
土付着防止部材(弾性部材)4が自重で垂れ下がることによる不都合であって,リ
ヤカバー2に固着された土付着防止部材(弾性部材)5が自重で垂れ下がることに
よる不都合を課題とするものではない。
そうすると,引用発明2のリヤカバー側の弾性部材23について前方側の端部寄
りの部分が自重で垂れ下がるような材質のものに変更することは,メインカバーに
固着された土付着防止部材が自重で垂れ下がることによる不都合を課題とする引用
発明2の目的に反するものではない。リヤカバー(エプロン)に固着された土付着
防止部材(土除け材)である弾性部材23を,進行方向前方側の端部寄りの部分が
自重で垂れ下がるような材質のものとすることは,当業者が適宜になし得る程度の
ことにすぎない。
したがって,本件審決による容易想到性の判断に誤りはない。
イ原告は,リヤカバーに固着された土付着防止部材(弾性部材)を自重で垂れ
下がるように構成すると,リヤカバー2の枢着部分では,メインカバーに取り付け
た低摩擦係数の部材と,リヤカバーに取り付けた弾性部材との接合部に間隙が生じ
るため,ここに土がたまりやすくなるという引用発明2の課題も解決できず,引用
発明2の目的に反する旨主張する。
しかし,原告は,リヤカバー側の弾性部材を自重で垂れ下がるように構成すると,
低摩擦係数の部材と弾性部材との接合部に間隙が生じると単に抽象的に主張するの
みで,接合部に間隙が生じる具体的な理由の説明がない。また,仮に弾性部材を自
重で垂れ下がるように構成する際に低摩擦係数の部材と弾性部材との接合部に間隙
が生じるおそれがあれば,接合部に間隙が生じないように,弾性部材の弾性係数や
延設長さ等を決定することは,当業者が適宜なし得ることにすぎない。
したがって,原告の上記主張は理由がない。
(4)本件発明1には顕著な作用効果はないこと
引用発明1及び引用発明2は,土除け材によりシールドカバーへの土の付着が防
止されるものであって,シールドカバー本体側の土除け材の固定位置においても,
土の付着が防止されるものである。
そして,引用発明1に引用発明2を組み合わせたものでは,シールドカバー本体
の進行方向後方側の位置で固定された土除け材の固定位置が,エプロンの進行方向
後方側の位置で固定された土除け材の前方端部側によって覆われて,土の付着が防
止され,結局,シールドカバー本体に固定された各土除け材の固定位置全てが,隣
接する他の土除け材と互いに重なった構成となる。そうすると,土砂の付着と堆積
を有効に防止できる等の本件発明1の作用効果は,引用発明1及び引用発明2の作
用効果からみて,当業者が予測し得る程度のものにすぎない。
したがって,本件発明1に顕著な作用効果はない。
(5)小括
以上のとおりであるから,原告主張に係る取消事由は理由がない。
第4当裁判所の判断
1本件発明について
(1)本件発明に係る特許請求の範囲は,前記第2の2記載のとおりであるとこ
ろ,本件明細書(甲8の2)の発明の詳細な説明には,おおむね,以下の記載があ
る(下記記載中に引用する図1は,別紙1を参照。


ア技術分野
【0001】本発明はトラクタの後部に昇降可能に装着され,作業ロータを備える
ロータリ作業機において,作業ロータが跳ね上げる土砂の付着を防止する機能を有
するシールドカバーに関するものである。
イ背景技術
【0002】耕耘作業機のような,ロータリ軸の周りに複数の耕耘爪等の爪が突設
された作業ロータを備えるロータリ作業機では,爪が跳ね上げる土砂が作業機本体
に及ぶことを防止するために,作業ロータの上方にシールドカバーが固定される。
シールドカバーはトラクタのPTO軸から動力を受けるギアボックスを中心として
作業機本体の幅方向に張り出し,ロータリ軸に動力を伝達する伝動フレームと,ギ
アボックスを挟んで伝動フレームに連続する支持フレームに支持される。
【0003】シールドカバーの内周面が直接,ロータリ軸に面する場合には,土砂
はシールドカバーの内周面(作業ロータ側の面)に付着することになるが,付着し
た土砂は回転する爪の抵抗になり,作業効率を低下させる問題を招く。そこで,シ
ールドカバーの内周面への土砂の付着と堆積を防止する目的で,シールドカバーの
内周面に土砂付着防止用の板を固定することがある(特許文献1参照)

ウ発明が解決しようとする課題
【0006】特許文献1のようにシールドカバーの内周面に例えばゴム製の付着防
止板を固定した場合,付着防止板に付着した土砂は作業機の走行中の振動によって
ある程度,土砂が付着した時点で,自重で落下することを期待することはできる。
【0007】しかしながら,特許文献1では付着防止板を幅方向,すなわちシール
ドカバーの周方向の両側位置でシールドカバーに固定していることから(段落00
17)
,付着防止板自体がシールドカバーから独立して振動を起こしにくいため,
効果的に土砂を落下させることは難しい。付着防止板は固定位置以外の中間部では
振動することができるものの,両側が固定されている以上,振動の自由度が低いこ
とによる。
【0008】特に土砂は付着防止板の中では振動しない,ボルト等による固定位置
に集中的に付着していく傾向があるため,固定位置では付着防止板自身による土砂
の除去効果を期待することができない。
【0009】本発明は上記背景より,付着防止板自身が付着した土砂の除去機能を
有し,特に付着防止板の固定位置への土砂の付着を排除する機能を有するロータリ
作業機のシールドカバーを提案するものである。
エ課題を解決するための手段
【0016】土除け材の固定位置はそれ自身の振動によっても振動を生じない箇所
であるから,付着した土砂が落下しにくく,土砂が堆積し易い。そこで,前方側の
土除け材の固定位置を後方側の土除け材が覆うことで,または逆に後方側の土除け
材の固定位置を前方側の土除け材が覆うことで,固定位置への土砂の付着自体を生
じにくくすることができる。この結果,振動による落下を期待するまでもなく,土
砂を落下させる必要がない状態を得ることが可能になる。
【0017】土除け材がその周方向一方側の位置で固定されることで,他方の端部
側が自由な状態にあるため,土除け材は固定位置を固定端部として作業ロータの半
径方向に自由に振動することができる。
【0018】土除け材がその周方向の一端で固定され,他端側が自由になることで,
作業機本体の振動に起因して発生する振動時の振幅が最大限,発揮されるため,付
着した土砂の落下を誘発する効果が高まり,土砂の付着と堆積を回避する効果が得
られる。従って土除け材は固定位置を除き,土除け材の全周に亘って土砂の付着防
止効果を発揮する。土除け材に付着した土砂は土除け材自身の振動による他,ロー
タリ軸の回転と共に回転する爪が掻き落とすことによっても土除け材から落下する。
【0021】複数枚の土除け材がシールドカバー本体の周方向に隣接して配列し,
一方の土除け材が他方の土除け材のシールドカバー本体への固定位置において互い
に重なることで,作業ロータの半径方向に見たとき,重なり部分で作業ロータ側に
位置する土除け材がシールドカバー本体側に位置する土除け材の固定位置の部分を
作業ロータ側から覆うことになる。この結果,少なくともシールドカバー本体側に
位置する土除け材の固定位置に土砂が付着することが防止,もしくは抑制される。
【0022】この場合,土砂が付着する領域は固定位置以外の部分に制限されるた
め,土砂は土除け材の固定位置以外の領域に付着することになるが,固定位置以外
の部分はシールドカバー本体に拘束されていないため,土除け材は固定位置を固定
端部として作業機本体の振動に伴い,作業ロータの半径方向に自由に振動すること
ができる。このため,土除け材は前記の通り,それ自身の振動によって付着した土
砂を落下させる効果を発揮するため,固定位置への付着防止効果と併せて土除け材
の全周に亘って土砂の除去(排除)効果が期待される。
【0023】従って前記のように爪が圃場面に対し,作業機本体の進行方向前方か
ら後方へ向かってダウンカット回転する場合には,シールドカバー本体の周方向に
隣接し,互いに重なる2枚の土除け材の内,相対的に作業機本体の進行方向前方側
に位置する土除け材がその重なり部分においてシールドカバー本体に固定されてい
れば,後方側に位置する土除け材が固定部分への土砂の付着を阻止する機能を発揮
する。
オ発明の効果
【0028】弾性を有する土除け材をその周方向一方側の位置でシールドカバー本
体,またはシールドカバー本体とエプロンに固定することで,他方の端部側を自由
な状態にするため,土除け材を,固定位置を固定端部として作業ロータの半径方向
に自由に振動させることができる。
【0029】この結果,作業機本体の振動に起因して発生する振動時の振幅が最大
限,発揮されるため,付着した土砂の落下を誘発する効果が高まり,土砂の付着と
堆積を防止する効果が得られる。特に土除け材の固定位置を覆うように隣接する土
除け材を重ねて固定した場合には,付着した土砂が落下しにくい箇所への付着を防
止することができるため,土砂の付着と堆積を有効に防止することができる。
カ発明を実施するための最良の形態
【0041】図1に示すようにシールドカバー本体2とエプロン3の作業ロータ5
側の面に,複数枚の土除け材4がシールドカバー本体2の周方向に配列し,固定さ
れる。
【0042】土除け材4には主に数mm~10数mm程度の肉厚を持つ硬質のゴム
が使用され,作業機本体10の振動に伴って自ら振動できる程度の弾性を持ち,ま
た図1に示すようにロータリ軸6の断面上は後述のようにシールドカバー本体2へ
の拘束のない周方向の端部寄りが自重で垂れ下がる程度の剛性を有する。土除け材
4がここで言う適度の弾性と剛性を有すれば,土除け材4の材料は限定されず,プ
ラスチック製や金属製の板も使用される。
【0051】シールドカバー本体2への固定位置が土除け材4の周方向後方側であ
ることで,土除け材4の前方側の端部から固定位置までの区間は拘束がないため,
土除け材4の前方側の端部寄りの部分は自重で垂れ下がった状態になる。土除け材
4の前方側端部から固定位置までの区間が自由であることで,この区間は作業機本
体10の振動に伴って自由な振動が生じ,土除け材4は自身の振動によって付着し
ている土砂を落下させる機能を有する。
(2)本件発明の特許請求の範囲及び前記(1)の記載によれば,本件発明に関し,
以下の点が開示されていることが認められる。
本件発明は,トラクタの後部に昇降可能に装着されるロータリ作業機のシールド
カバー,特にロータリ作業機の作業ロータが跳ね上げる土砂の付着を防止する機能
を有するシールドカバーに関する(
【0001】


ロータリ軸の周りに複数の爪が突設された作業ロータを備えるロータリ作業機で
は,爪が跳ね上げる土砂が作業機本体に及ぶことを防止するために,作業ロータの
上方にシールドカバーが固定されるが(
【0002】

,シールドカバーの内周面
(作業ロータ側の面)が直接ロータリ軸に面する場合,シールドカバーの内周面に
土砂が付着し,その土砂が回転する爪の抵抗になって作業効率を低下させるので,
シールドカバー内周面への土砂の付着・堆積を防止するため,シールドカバーの内
周面にゴム製の付着防止板が固定される(
【0003】

【0006】


付着防止板に付着した土砂は,ロータリ作業機の走行中の振動によって自重で落
下することが期待できるが(
【0006】

,付着防止板をシールドカバーの周方向
の両側位置で固定した場合,付着防止板は,固定位置以外の中間部では振動するも
のの,両側が固定されている以上,振動の自由度は低く,シールドカバーから独立
して振動しにくいので,効果的に土砂を落下させることは難しいという課題があり

【0007】

,特に,付着防止板の固定位置では,付着防止板が振動しないため,
土砂が集中して付着する傾向がある一方で,付着防止板自身による土砂の除去効果
を期待できないという課題があった(
【0008】


本件発明は,上記課題に鑑み,付着防止板自身が付着した土砂の除去機能を有し,
特に付着防止板の固定位置への土砂の付着を排除する機能を有するロータリ作業機
のシールドカバーを提案するものである(
【0009】


本件発明のシールドカバーは,弾性を有する土除け材がシールドカバー本体の作
業ロータ側の面に2枚以上,エプロンの作業ロータ側の面に1枚以上,それぞれ固
定されており,各土除け材がその進行方向後方側の位置で固定され,その進行方向
前方側の端部からその進行方向後方側の位置までの区間が自由な状態とされて,そ
の進行方向前方側の端部寄りの部分が自重で垂れ下がるものであるから,ロータリ
作業機本体の振動に伴って,各土除け材がその固定位置を固定端部として作業ロー
タの半径方向に自由に振動し,その振動時の振幅が最大限発揮されるため,付着し
た土砂の落下を誘発する効果が高まり,土除け材自身の振動によって付着した土砂
を落下させ,固定位置を除く土除け材の全周にわたって土砂の付着を防止する効果
を発揮する(
【請求項1】

【0017】

【0018】

【0022】

【0028】

【0029】

【0042】

【0051】


また,本件発明のシールドカバーは,シールドカバー本体に固定された土除け材
の固定位置全てが隣接する他の土除け材と互いに重なっているものであるから,土
除け材の固定位置は土除け材自身の振動によっても振動を生じないため付着した土
砂が落下しにくく堆積しやすいにもかかわらず,土除け材の固定位置への土砂の付
着自体を防止又は抑制して,振動による落下を期待するまでもなく,土砂を落下さ
せる必要がない状態を実現する効果を発揮する(
【0016】

【0021】

【00
23】

【0029】


2引用発明1について
(1)引用例1(甲1)には,おおむね,以下の記載がある(下記記載中に引用
する第1図ないし第3図は,別紙2を参照。


ア実用新案登録請求の範囲
横軸回りに回転駆動される耕耘爪10を有するロータリ耕耘部6と,このロータ
リ耕耘部6の上方を覆うロータリカバー11とが備えられたロータリ耕耘機におい
て,/前記ロータリカバー11の下面に,このカバー11に土が付着するのを防止
する土付着防止部材20が設けられ,この土付着防止部材20は,付着した土の重
量によりその土が耕耘爪10よってかき落される位置まで下降可能,且つ,土がか
き落されると上方に復元可能にロ―タリカバー11に取付けられていることを特徴
とするロータリ耕耘機。
イ産業上の利用分野
本考案は,ロータリ耕耘機に関する。
ウ従来の技術
ロータリ耕耘機は,横軸回りに回転駆動される耕耘爪を有するロータリ耕耘部と,
このロ―タリ耕耘部の上方を覆うロータリカバーとが備えられている。
エ考案が解決しようとする課題
ところが上記のものは,耕耘作業中に,土がロータリカバーの下面に付着し易く,
カバーに土が付着すると耕耘効率が低下するという問題が生じたり耕耘後付着した
土を落とすのが面倒であった。
本考案は,上記課題に鑑み,ロータリカバー側に土が付着するのを防止すること
を目的とする。
オ課題を解決するための手段
本考案が上記目的を達成するために講じた技術的手段は次の通りである。
横軸回りに回転駆動される耕耘爪10を有するロータリ耕耘部6と,このロ―タ
リ耕耘部6の上方を覆うロータリカバ-11とが備えられたロ―タリ耕耘機におい
て,前記ロータリカバー11の下面に,このカバー11に土が付着するのを防止す
る土付着防止部材20が設けられ,この土付着防止部材20は,付着した土の重量
によりその土が耕耘爪10によってかき落される位置まで下降可能,且つ,土がか
き落されると上方に復元可能にロータリカバー11に取付けられている点にある。
カ作用
耕耘作業時に,土がロータリカバー11に設けられた土付着防止部材20に付着
すると,土付着防止部材20は付着した土の重量で下降し回転している耕耘爪10
に土がかき落される。
土がかき落された後に,土付着防止部材20は上昇し耕耘爪10の回転軌跡より
も上方のもとの位置に復元する。
キ実施例
本考案の実施例を図面を参照して詳述する。
第1図~第3図は本考案の実施例を示し,同図において1はロータリ耕耘機を示
し,2はロータリ機枠で,このロ一タリ機枠2はトップリンク3及び左右一対のロ
アリンク4を介して図外のトラクタに装着されている。
ロータリ機枠2はギヤケース23と,このケース23両側から左右に突設された
一対のサポートアーム24と,各アーム24外側端から下設されたチェンケース5,
及びサイドプレート7等から成る。
6はロータリ耕耘部で,チェーンケース5とサイドフレーム7とに回転自在に支
持された爪軸8に,多数の耕耘爪10を設けて構成され,耕耘爪10は矢印A方向
に回転駆動される。
11はロータリカバーで,耕耘部6が上方を覆う主カバー12と,この主カバー
12の前方に位置する前補助カバー12aと,主カバー12の後部に枢支連結され
た後部カバー13と,側部カバー14とを有しいる。15は後部カバー13に連結
された均平圧調整機構,16はゲージ支持枠,17はゲージ輪である。
20は主カバー12に土が付着するのを防止する土付着防止部材で,帯板状のゴ
ム材料から成り,主カバー12の下面に設けられている。この土付着防止部材20
はその長手方向が主カバー12の略全幅に亘って配設され,且つ,耕耘爪10の回
転方向Aの後方側の一方が複数のボルト21で主カバー12の下面に当て板22を
介して取付けられている。また,この部材20の他方は自由端とされ,全体として
上下方向に弾性変形自在に円弧状に保持されている。そして,この土付着防止部材
20は主カバー12の前後方向に多数設けられ且つこれらは互いに平行に配置され
ている。また,これら土付着防止部材20は主カバー12の下面全域とボルト21
を覆うように,前記各ボルト21の前後方向の間隔は,土付着防止部材20の前後
方向の長さよりも小さくされている。
以上において,耕耘作業時に耕耘爪10の矢印A方向への回転耕耘により土が土
付着防止部材20に付着した場合,その重量により土付着防止部材20の自由端側
が弾性力に抗して下降し,付着した土は耕耘爪10にかき落される。
なお,上記実施例では,土付着防止部材20は耕耘爪10の回転方向Aの後方側
のー方が取付けられ,他方が自由端とされているので,耕耘爪10と主カバー12
との間を主カバー12前方から後方に流れる土の流れが悪くなったり,主カバー1
2と土付着防止部材20との間に土が溜ったりしない。
土がかき落された後に,土付着防止部材20は弾性力でもとの位置に復元する。
尚,本考案は上記の実施例に限定されるものではなく,上記と反対方向に耕耘爪
10の回転するロータリ耕耘機にも前記土付着防止部材20を設けることができ,
この場合も,土付着防止部材20の取付側と自由端側との耕耘爪回転方向に対する
関係は上記実施例と同様とするのが好ましい。
(2)前記(1)の記載によれば,引用例1には,引用発明1に関し,以下の点が開
示されていることが認められる。
ア引用発明1は,ロータリ耕耘機に関するものである(前記(1)イ)

従来のロータリ耕耘機は,ロータリ耕耘部と,ロ―タリ耕耘部の上方を覆うロー
タリカバーとが備えられていたが,耕耘作業中に,土がロータリカバーの下面に付
着しやすく,カバーに土が付着すると耕耘効率が低下したり,耕耘後付着した土を
落とすのが面倒であるとの問題があった。引用発明1は,耕耘作業中に,ロ―タリ
耕耘機のロータリカバーに土が付着するのを防止することを目的とする(前記(1)
ウ,エ)

引用発明1は,ロータリ耕耘部6と,このロ―タリ耕耘部6の上方を覆うロータ
リカバ-11とが備えられたロ―タリ耕耘機において,ロータリカバー11の下面
に,このカバー11に土が付着するのを防止する土付着防止部材20を設け,土付
着防止部材20に土が付着すると,その土の重量により土付着防止部材20は耕耘
爪10の回転軌跡まで下降し,その土が回転している耕耘爪10によってかき落さ
れた後,土付着防止部材20は上昇して耕耘爪10の回転軌跡より上方の元の位置
に戻る構成を採用することにより,上記の課題を解決するものである(前記(1)オ,
カ)

イ実施例(前記(1)キ)において,ロータリ耕耘機1のロータリ機枠2は,ト
ップリンク3及び左右一対のロアリンク4を介してトラクタに装着されるから,ト
ラクタの後部に装着され,トラクタと共に走行する。
ロータリ機枠2は,チェンケース5及びサイドプレート7を有している。そして,
ロータリ耕耘部6は,チェンケース5とサイドプレート7とに回転自在に支持され
た爪軸8に,多数の耕耘爪を設けて構成され(別紙2の第2図,第3図)
,ロータ
リ機枠2に支持されている。
ロータリ耕耘機1は,ロータリ耕耘部6の上方を覆うロータリカバー11を有し
(前記(1)ア)
,ロータリカバー11は,ロータリ耕耘部6の上方を覆う主カバー1
2と,主カバー12の後部に枢支連結され,ロータリ耕耘部6の後方を覆う後部カ
バー13とを有する(別紙2の第2図)

主カバー12の下面(ロータリ耕耘部6側の面)には,帯板状のゴム材料からな
る土付着防止部材20が設けられている。この土付着防止部材20は,耕耘爪10
の回転方向Aの後方側の一方がボルト21によって主カバー12に取り付けられ,
他方は自由端とされ,全体として上下方向に弾性変形自在に円弧状に保持されてい
る(別紙2の第1図,第2図)
。そのため,土付着防止部材20は,耕耘爪10の
回転方向Aの前方側の端部から後方側のボルト21による固定位置までの区間が自
由な状態であり,前方側の端部が自重で垂れ下がっている。
土付着防止部材20は,主カバー12の前後方向(すなわち,周方向)に複数枚
設けられ,これら複数の土付着防止部材20は,主カバー12の下面全域とボルト
21を覆うように,各ボルト21同士の前後方向の間隔は,土付着部材20の前後
方向の長さよりも小さくされている(別紙2の第1図,第2図)
。そのため,耕耘
爪10の回転方向Aの最も後方側にある土付着防止部材20を除けば,土付着防止
部材20のボルト21は,隣接する(耕耘爪10の回転方向Aの後方側にある)土
付着防止部材20と重なっている。
以上において,耕耘作業時に耕耘爪10の矢印A方向への回転耕耘により土が土
付着防止部材20に付着した場合,その重量により土付着防止部材20の自由端側
が弾性力に抗して下降し,付着した土は耕耘爪10にかき落される。土がかき落さ
れた後に,土付着防止部材20は弾性力で元の位置に復元する。
ここで,耕耘爪10の回転方向Aは,別紙2の第1図及び第2図に矢印Aで示さ
れたものと反対でもよく,この場合も,土付着防止部材20の取付側及び自由端側
の耕耘爪回転方向に対する関係は,上記と同様にすることが好ましいとされている。
したがって,引用例1には,耕耘爪10の回転方向Aが別紙2の第1図及び第2図
に矢印Aで示されたものと反対であるロータリ耕耘機1も記載されているというこ
とができる。その場合,上記で検討した耕耘爪10の回転方向Aの前方及び後方は,
ロータリ耕耘機1の進行方向の前方及び後方と言い換えることができる。
(3)そして,引用例1には前記第2の3(2)のとおりの引用発明1が記載されて
いること及び本件発明1と引用発明1との一致点,相違点が前記第2の3(3)のと
おりであることについては,当事者間に争いがない。
3本件発明1の容易想到性について
(1)引用発明2について
ア引用例2の記載事項
引用例2(甲2)には,おおむね,以下の記載がある(下記記載中に引用する図
1ないし3及び図6は,別紙3を参照。


(ア)産業上の利用分野
【0001】本発明は,耕耘作業時に飛散した土が,ロータリのカバーに付着しな
いようにするための土付着防止装置に関するものである。
(イ)従来の技術
【0002】図6は従来の土付着防止装置を示し,ロータリのメインカバー1の裏
面及びリヤカバー2の裏面に座3,3…を固設し,カバーから一定の間隔を有して,
土付着防止部材4及び5をボルト6,6…により固着してある。土付着防止部材4
及び5の材質は一般にゴム等の弾性部材が使用され,この弾性を利用して土の付着
を防止している。
(ウ)発明が解決しようとする課題
【0003】従来は,メインカバー1及びリヤカバー2の裏面に夫々座3,3…を
設けていたので,部品点数が多く構造が複雑となっていた。そして,ボルト6,6
…の頭部が突出しているため,そこから土の付着が始まり易く,而も突出したボル
ト6,6…が邪魔になって清掃がやりにくいという問題があった。
【0004】また,メインカバー1に固着した土付着防止部材4は自重で垂れ下が
り易く,然るときは飛散した土の流れが悪くなり,メインカバー1とロータリ(図
示せず)との間に土が詰り易くなる。更に,リヤカバー2の枢着部分では,双方の
土付着防止部材4と5との接合部に間隙が生じ,ここに土が溜り易くなっている。
そこで,耕耘作業時に飛散した土がロータリのカバーに付着しないようにするとと
もに,土付着防止装置の構成を簡素化するために解決すべき技術的課題が生じてく
るのであり,本発明はこの課題を解決することを目的とする。
(エ)課題を解決するための手段
【0005】本発明は,上記目的を達成するために提案されたものであり,ロータ
リのメインカバーの裏面に低摩擦係数の部材を密接して取り付けるとともに,ロー
タリのリヤカバーの裏面に一定の間隔を有して弾性部材を取り付け,前記低摩擦係
数の部材と弾性部材の接合部を重ね合わせた土付着防止装置を提供するものである。
(オ)作用
【0006】ロータリのメインカバーに取り付けた部材は低摩擦係数であるため,
弾性を利用しないで土の付着を防止できる。また,メインカバーに密接しているの
で,メインカバーとロータリとの間隙部に余裕が生じ,ロータリの伝動系の構成部
品を小型化できる。更に,メインカバーに取り付けた低摩擦係数の部材と,リヤカ
バーに取り付けた弾性部材との接合部を重ね合わせてあるため,飛散した土が接合
部に溜ることがなくなる。
(カ)実施例
【0007】以下,本発明の一実施例を図1乃至図5に従って詳述する。図1はロ
ータリカバーを示したものであり,ロータリ11の上方にメインカバー12が設け
られ,その後端部にリヤカバー13の上端を枢着する。前記メインカバー12の裏
面(ロータリ11がある側)には,低摩擦係数の部材14を密接して取り付ける。
上記部材14は表面摩擦抵抗の少ない樹脂,例えば超高分子量ポリエチレン等の平
板を使用する。
【0008】図2はメインカバー12の前端部を示し,メインカバー12の左右幅
と略同寸法のステー15を固設し,該ステー15に段付きのプレート16をボルト
17,17…により着脱自在に設ける。図3はメインカバー12の後端部を示し,
補強板18を介してブラケット19が固設され,このブラケット19に設けた軸2
0にリヤカバー13の上端を枢着してある。更に,補強板18とブラケット19の
接合部近傍に,メインカバー12の幅と略同寸法の段付きのプレート21を固着す
る。
【0009】而して,前記低摩擦係数の部材14を取り付けるに当っては,先ず上
記部材14の後端部14aを,図3に示した後部のプレート21の間隙部へ挿入す
る。次に,上記部材14をメインカバー12の形状に沿って湾曲させ,メインカバ
ー12の裏面に密接する。そして,上記部材14の前端部14bを図2に示した前
部のプレート16で挟持し,ボルト17,17…を緊締してプレート16をステー
15へ固着する。
【0010】従って,前記低摩擦係数の部材14はその後端部14aと前端部14
bを,夫々プレート21及び16により挟持され,メインカバー12の裏面にすき
まなく密接して取り付けられる。また,ゴム等の弾性部材のように自重での垂れ下
がりがなく,メインカバー12への固定個所が少なくなる。而も,上記部材14を
取り付けた状態であっても,メインカバー12の下部には何ら突起部が存在しない。
之等のことから,メインカバー12と前記ロータリ11との間隙部に余裕が生じ,
ロータリ11の伝動系の構成部品を簡素化且つ小型化することができる。
【0012】一方,図1及び図3に示すように,リヤカバー13の裏面(ロータリ
11がある側)に一定の間隔を有して弾性部材23を取り付ける。上記弾性部材2
3は,ゴム等の弾力に富んだ材質を使用し,前記低摩擦係数の部材14より厚い平
板を使用する。リヤカバー13の裏面の所々には中空円筒状の座24,24…を固
設してあり,夫々の座24,24…の中心位置に螺子部25,25…を設ける。
【0013】而して,前記弾性部材23を座24,24…へ当接すれば,リヤカバ
ー13と弾性部材23との間に一定の間隔Dが生じる。そして,弾性部材23が座
24,24…へ当接する部位に,予め取付孔26,26…を開穿しておき,夫々の
取付孔26,26…へ鍔部27aを備えた固定具27,27…を嵌入し,該固定具
27,27…へボルト28,28…を挿入して螺子部25,25…へ締結する。
【0014】従って,上記弾性部材23は,取付孔26の周囲を座24と固定具の
鍔部27aとで挟持され,リヤカバー13に対して一定の間隔を有して取り付けら
れる。そして,飛散した土が上記弾性部材23へ衝突したときは,上記弾性部材2
3がリヤカバー13との間隙を利用して反撥する作用により,飛散した土が弾性部
材へ付着することを防止する。そして,ボルト28の頭部が固定具27の凹部内に
収納されているため,上記弾性部材23を取り付けた状態であっても,リヤカバー
13には何ら突起部が存在せず,極めて土が付着しにくい。更に,前記固定具27
の底部27bがリヤカバー13の裏面に直接締着されるため,座24のつぶれ防止
用芯金等が不要である。
【0015】また,メインカバー12へ取り付けた低摩擦係数の部材14の後端部
14aと,リヤカバー13に取り付けた弾性部材23の前端部23aは夫々メイン
カバー12の補強板18及びブラケット19に密着しており,リヤカバー13が上
方へ回動したときであっても飛散した土が入り込むことがない。尚,図3に示した
弾性部材の前端部23aを更に前方へ延設し,前記低摩擦係数の部材14と重ね合
わせた状態にしてもよい。然るときは,図1に於いてロータリ11は反時計方向へ
回転するため,飛散した土の侵入がより一層防止できる。
イ引用発明2の内容
前記アの記載によれば,引用例2には,引用発明2に関し,以下の点が開示され
ていることが認められる。
(ア)引用発明2は,耕耘作業時に飛散した土が,ロータリのカバーに付着しな
いようにするための土付着防止装置に関するものである(
【0001】


従来のロータリカバーは,メインカバー1及びリヤカバー2の裏面に座3を固設
し,メインカバー1及びリヤカバー2から一定の間隔を空けてゴム等の弾性部材か
らなる土付着防止部材4及び土付着防止部材5をボルト6で固着していたことから,
①部品点数が多く構造が複雑になる,②ボルト6の頭部が突出しているため,そこ
から土の付着が始まりやすく,清掃がやりにくい,③メインカバー1に固着した土
付着防止部材4が自重で垂れ下がりやすく,メインカバー1とロータリとの間に土
が詰まりやすくなる,④リヤカバー2の枢着部分では土付着防止部材4と土付着防
止部材5との接合部に間隙が生じ,ここに土がたまりやすくなっているという問題
があった(
【0002】~【0004】


引用発明2は,耕耘作業時に飛散した土がロータリカバーに付着しないようにす
るとともに,土付着防止装置の構成を簡素化することを目的として(
【0004】


ロータリのメインカバー12の裏面に低摩擦係数の部材14を密接して取り付ける
とともに,ロータリのリヤカバー13の裏面に一定の間隔を有して弾性部材23を
取り付け,低摩擦係数の部材14と弾性部材23の接合部を重ね合わせた土付着防
止装置を提供することにより(
【0005】

,メインカバー12に取り付けた低摩
擦係数の部材14がメインカバー12への土の付着を防止し(
【0006】

,リヤ
カバー13に取り付けられた弾性部材23がリヤカバー13への土の付着を防止す
るとともに(
【0014】

,低摩擦係数の部材14と弾性部材23との接合部が互
いに重ね合わせてあるため,飛散した土が接合部に溜まらないという作用効果を奏
する(
【0006】


(イ)実施例において,ロータリカバーは,メインカバー12とリヤカバー13
とからなり,メインカバー12は,ロータリ11の上方に設けられ,リヤカバー1
3は,その上端が,メインカバー12の後端部に補強板18を介して固設されたブ
ラケット19に設けた軸20に枢着され,メインカバー12の裏面(ロータリ11
がある側)には,低摩擦係数の部材14が密接して取り付けられ,リヤカバー13
の裏面(ロータリ11がある側)には,リヤカバー13から一定の間隔を有して弾
性部材23が取り付けられる(
【0007】

【0008】

【0012】

【図1】

【図3】


低摩擦係数の部材14の後端部14aは,メインカバー12の後端部に設けられ
た補強板18に固着された段付きのプレート21の間隙部へ挿入され,低摩擦係数
の部材14の前端部14bは,メインカバー12の前端部に固設されたステー15
と,ボルト17によってステー15に着脱自在に設けられた段付きプレート16と
で挟持され,その結果,低摩擦係数の部材14は,その後端部14a及び前端部1
4bをそれぞれプレート21及びプレート16で挟持されてメインカバー12の裏
面にすきまなく密接して取り付けられる(
【0008】~【0010】

【図2】

【図3】

。したがって,低摩擦係数の部材14のメインカバー12への固定位置は,
その前端部14a及び後端部14bであることが理解できる。
弾性部材23は,リヤカバー13の裏面に設けられた複数の中空円筒状の座24
に,固定具27及びボルト28によって取り付けられる(
【0012】~【001
4】

【図3】


低摩擦係数の部材14の後端部14aは,メインカバー12の補強板18に密着
し,弾性部材23の前端部23aは,ブラケット19に密着するとともに,前方に
延設されて低摩擦係数の部材14と重ね合わされる状態にすることができ,リヤカ
バー13が上方へ回動したときも飛散した土が入り込むことがない(
【0015】

【図3】


そして,
【図3】によれば,弾性部材23の延設された前端部23aは,低摩擦
係数の部材14の後端部14aと重ね合わされていること,すなわち,低摩擦係数
の部材14のメインカバー12への固定位置において低摩擦係数の部材14と重ね
合わされていることを理解することができる。また,弾性部材23は,それが取り
付けられる複数の座24のうち,最も前方側にあるものよりさらに前方側では自由
な状態であることを理解することができる。
ウ引用発明2の認定
(ア)前記イによれば,引用例2には,本件審決が認定したとおり,
「リヤカバ
ー13のロータリー11側の面に,弾性を有する弾性部材23が,その進行方向後
方側の位置で固定されるとともに,固定部を除いて前方側が自由な状態であり,そ
の弾性部材23が,メインカバー12の補強板18に対する低摩擦係数の部材14
の固定位置において,その低摩擦係数の部材14と互いに重なっているロータリカ
バー。
」との引用発明2が記載されているということができる。
(イ)原告は,引用発明2では,低摩擦係数の部材14のうち,
「プレート21
による固定部」のみならず,メインカバー12の裏面に隙間なく密着して取り付け
られている前端部14bから後端部14aまでの全体が,本件発明1の「シールド
カバー本体に固定された各土除け材の固定位置」に相当するものであるから,低摩
擦係数の部材14のうち「低摩擦係数の部材14の後端部14aのプレート21に
よる固定部」以外の部分は,弾性部材23と互いに重なっておらず,そのため,引
用例2には,
「前記シールドカバー本体に固定された各土除け材の固定位置すべて
が,隣接する他の土除け材と互いに重なっている」という本件発明1の構成は開示
されていないなどと主張する。
しかし,引用例2に記載されたロータリカバーの低摩擦係数の部材14は,後端
部14aを段付きのプレート21の間隙部へ挿入した後,メインカバー12の形状
に沿って湾曲させてメインカバー12の裏面に密接し,前端部14bをプレート1
6で挟持することによって(
【0009】


「後端部14aと前端部14bを,夫々
プレート21及び16により挟持され,メインカバー12の裏面にすきまなく密接
して取り付けられ」

【0010】

,その結果,
「メインカバー12への固定個所が
少なくなる」

【0010】
)ものであるから,低摩擦係数の部材14のメインカバ
ー12への固定位置は,後端部14a及び前端部14bであることが明らかである。
また,低摩擦係数の部材14の後端部14a及び前端部14b以外の部分は,メ
インカバー12の裏面に密接して自由に振動できない状態にあるが,それは,低摩
擦係数の部材14がその固定部分である後端部14a及び前端部14bにおいて固
定されることによるものであるから,低摩擦係数の部材14の後端部14a及び前
端部14b以外の部分が固定部分であるということはできない。
したがって,低摩擦係数の部材14の固定位置が前端部14bから後端部14a
までの全体であるということはできない。
そして,前記イ(イ)のとおり,引用例2の【図3】によれば,弾性部材23の延
設された前端部23aが,低摩擦係数の部材14の後端部14aと重ね合わされて
いること,すなわち,弾性部材23の延設された前端部23aが,低摩擦係数の部
材14のメインカバー12への固定位置において,低摩擦係数の部材14と重ね合
わされていることを理解することができる。本件審決は,この点に着目して「弾性
部材23が,…低摩擦係数の部材14の固定位置において,その低摩擦係数の部材
14と互いに重なっている」と認定したものにすぎず,弾性部材23が,低摩擦係
数の部材14の固定位置の全てにおいて,低摩擦係数の部材14と互いに重なって
いると認定したものではない。したがって,たとえ,弾性部材23が,低摩擦係数
の部材14の固定位置である前端部14bにおいて,低摩擦係数の部材14と互い
に重なっていないとしても,本件審決が引用発明2の「弾性部材23が,…低摩擦
係数の部材14の固定位置において,その低摩擦係数の部材14と互いに重なって
いる」と認定したことに誤りはない。
したがって,原告の上記主張は,採用することができない。
エ本件審決は,引用発明2の弾性部材23はゴム等であることから,弾性部材
23の前端部23aが前方に延設されたものにおいては,その延設された(前方)
端部寄りの部分は,自重で垂れ下がるものと解されると判断した。
(ア)しかし,引用例2には,弾性部材23の前端部23aを前方に延設して低
摩擦係数の部材14と重ね合わせた状態にしてもよい旨の記載はあるが(
【001
5】

,そのようにした場合に弾性部材23の前方側の端部寄りの部分が自重で垂れ
下がる旨の記載はない。そして,弾性部材23の材質がゴム等の弾力に富んだもの
であるとしても(
【0012】

,その前方側の端部寄りの部分が自重で垂れ下がる
か否かは,少なくとも弾性部材23の固定部(座24)から自由端(前端部23
a)までの長さ並びにその部分の厚さ,質量(密度)及び弾性係数に依存すること
が明らかである。引用例2にはこれらについて何の記載もないから,弾性部材23
の材質がゴム等の弾力に富んだものであるからといって,前方に延設した前端部2
3aが自重で垂れ下がるものと断定することはできない。
(イ)被告は,引用例2の【0012】には,弾性部材23はゴム等の弾力に富
んだ材質のものであることが明記されていることから,弾性部材23の弾性係数や
延設長さ等によってその垂れ下がる量は異なるものの,弾性部材23のうち,前方
へ延設された端部寄りの部分が自重で垂れ下がることは,当然に生じる事象にすぎ
ない旨主張する。
確かに,引用発明2の弾性部材23は,その進行方向後方側の位置で固定される
とともに,固定部を除いて前方側が自由な状態とされた,いわゆる片持ち梁であり,
しかも,現実に存在する物体である以上,剛体(力が加わっても変形しない理想物
体)ではないから,自らに作用する重力(自重)で全く変形しないなどということ
は,物理的にはあり得ない。したがって,現実に存在する片持ち梁としての弾性部
材23に生じる変形という意味での自重による垂れ下がりは,被告が主張するとお
り,当然に生じる事象ではある。
ところで,本件発明1の「土除け材」も,
「その進行方向後方側の位置で固定さ
れ,その進行方向前方側の端部から前記後方側の位置までの区間が自由な状態であ
り」
,現実に存在する片持ち梁であるから,単なる物理現象としては,必ず自重で
垂れ下がることになる。しかし,本件発明1は,前記1(2)のとおり,
「土除け材」
が「その進行方向後方側の位置で固定され,その進行方向前方側の端部から前記後
方側の位置までの区間が自由な状態であり,前記端部寄りの部分が自重で垂れ下が
る,弾性を有する」ことによって,ロータリ作業機本体の振動に伴って,各土除け
材がその固定位置を固定端部として作業ロータの半径方向に自由に振動し,その振
動時の振幅が最大限発揮されるため,付着した土砂の落下を誘発する効果が高まり,
土除け材自身の振動によって付着した土砂を落下させ,固定位置を除く土除け材の
全周にわたって土砂の付着を防止する効果を発揮するものである。そうすると,本
件発明1の「その進行方向後方側の位置で固定され,その進行方向前方側の端部か
ら前記後方側の位置までの区間が自由な状態であり,前記端部寄りの部分が自重で
垂れ下がる,弾性を有する土除け部材」における「自重で垂れ下がる」とは,片持
ち梁である「土除け部材」の進行方向前方側の端部寄りの部分が単なる物理現象と
して「自重で垂れ下がる」こと(すなわち,
「土除け部材」が剛体ではないという
当然のこと)を意味するのではなく,
「土除け部材」が,ロータリ作業機本体の振
動に伴って,その振動時の振幅が最大限発揮する程度の弾性を有することによる,
技術的意義のある現象としての「自重で垂れ下がる」ことを意味すると解すべきで
ある。
そして,被告も自認するとおり,弾性部材23の前方側の端部寄りの部分の自重
による垂れ下がり量は,弾性部材23の弾性係数,長さ等に依存するから,弾性部
材23の材質がゴム等の弾力に富んだものであるとしても,その前方側の端部寄り
の部分が上記の技術的意義のある現象として「自重で垂れ下がる」とは限らない。
このことは,引用例2の【0015】に,弾性部材23の前端部23aがブラケッ
ト19に密着している旨の記載があることから明らかである。引用発明2において
は,弾性部材23の前端部23aは,ブラケット19に密着しているのであるから,
その前方側の端部寄りの部分がブラケット19の表面から離れるほど振動すること
は想定されていない。そうすると,弾性部材23の弾性係数,長さ等は,その前方
側の端部寄りの部分が上記の技術的意義のある現象として「自重で垂れ下がる」こ
とを可能とするような値に設定されていると認めることはできない。
前端部23aを更に前方に延設し,低摩擦係数の部材14と重ね合わせた状態に
した場合であっても,同様の理が妥当するのであって,前端部23aを前方に延設
した弾性部材23の前方側の端部寄りの部分が上記の技術的意義のある現象として
「自重で垂れ下がる」ことが当然に生じる事象であるということはできない。
(ウ)以上のとおり,本件審決が,引用発明2について,弾性部材23の前端部
23aが前方に延設されたものにおいては,その延設された(前方)端部寄りの部
分は,自重で垂れ下がると判断したことは,誤りである。
(2)相違点の容易想到性について
アしたがって,仮に,引用発明1に引用発明2を適用したとしても,後部カバ
ー13に弾性部材を設け,その弾性部材をその進行方向後方側の位置で固定すると
ともに,固定部を除いて前方側を自由な状態とし,主カバー12に対する土付着防
止部材20の固定位置において,その土付着防止部材20と互いに重なるようにす
る結果,引用発明1の主カバー12に固定された各土付着防止部材20は,その固
定位置全てが隣接する他の土付着防止部材20と互いに重なるようにはなるものの,
引用発明1の後部カバー13に引用発明2の弾性部材23として設けられた土付着
防止部材20は,その進行方向前方側の端部寄りの部分が自重で垂れ下がるもので
はないから,本件発明1には至らない。
イ本件審決は,仮に引用発明2の弾性部材23の前端部23aが前方に延設さ
れた(前方)端部寄りの部分が自重で垂れ下がるものでないとしても,エプロンに
固定された土除け材を,その端部寄りの部分が自重で垂れ下がるような材質のもの
とすることは,当業者が適宜になし得る程度のことにすぎないと判断した。
(ア)しかし,引用発明2の弾性部材23の前端部23aが前方に延設された
(前方)端部寄りの部分を自重で垂れ下がるものとすることを想到した上で,これ
を引用発明1に適用することによって,引用発明1の後部カバー13に引用発明2
の弾性部材23として設けられた土付着防止部材20の進行方向前方側の端部寄り
の部分を自重で垂れ下がるものとするというのは,引用発明1を基準にして,更に
引用発明2から容易に想到し得た技術を適用することが容易か否かを問題にするこ
とになる。このように,引用発明1に基づいて,2つの段階を経て相違点に係る本
件発明1の構成に想到することは,格別な努力が必要であり,当業者にとって容易
であるということはできない。
(イ)また,引用例2には,弾性部材23の前端部23aはブラケット19に密
着しており,リヤカバー13が上方へ回動したときであっても飛散した土が入り込
むことがなく,前端部23aを更に前方へ延設して低摩擦係数の部材14と重ね合
わせた状態にしたときは,飛散した土の侵入がより一層防止できる旨の記載がある

【0015】

。このように,前端部23aが飛散した土の侵入を防止するという
作用効果を奏するのは,前端部23aがブラケット19に密着しているからであり,
前端部23aを更に前方に延設して低摩擦係数の部材14と重ね合わせた状態にす
るのは,その作用効果を強めるためである。
ここで,仮に,弾性部材23の前方側の端部寄りの部分が自重で垂れ下がったと
すると,弾性部材23の固定部(座24)から自由端(前端部23a)までのどの
部分がどの程度垂れ下がるにしても,前端部23aは,下方,すなわち,ブラケッ
ト19との密着を保つことが困難になる方向に移動することになる。さらに,リヤ
カバー13が上方へ回動すると,前端部23aとブラケット19との密着はさらに
困難になる。その結果,前端部23aがブラケット19と密着することによって奏
する飛散した土の侵入防止という上記の作用効果が減殺されることは,明らかであ
る。
すなわち,引用例2の【0004】

【0006】の記載に照らすと,リヤカバー
に固着された土付着防止部材(弾性部材)を自重で垂れ下がるように構成すると,
リヤカバーの枢着部分では,メインカバーに取り付けた低摩擦係数の部材と,リヤ
カバーに取り付けた弾性部材との接合部に間隙が生じるため,ここに土がたまりや
すくなるという引用発明2の課題を解決できない。したがって,引用発明2の弾性
部材23について端部寄りの部分が自重で垂れ下がるような材質のものに変更する
ことは,引用発明2の目的に反する。特に,引用発明2で,リヤカバー13を下降
させた状態において,既に前方側の端部寄りの部分が自重で垂れ下がるような弾性
部材23を用いた場合,リヤカバー13を上方へ回動させると,弾性部材23の垂
れ下がり位置はリヤカバー下降時よりさらに下方になるため,リヤカバーの枢着部
分では,メインカバーに取り付けた低摩擦係数の部材と,リヤカバーに取り付けた
弾性部材との接合部にさらに間隙が生じ,ここに土がたまりやすくなってしまい,
飛散した土の侵入防止という引用発明2の上記作用効果を奏することができない。
そのため,上記作用効果を奏するためには,リヤカバー13を下降させた状態にお
いて,既に前方側の端部寄りの部分が自重で垂れ下がるような弾性部材23を用い
ることはできない。
そうすると,引用発明2において,弾性部材23の前方側の端部寄りの部分を自
重で垂れ下がるようにすることには,そもそも阻害要因があると認められる。弾性
部材23の前端部23aを更に前方に延設して低摩擦係数の部材14と重ね合わせ
た状態にした場合も,同様の理が妥当することから,前端部23aを前方に延設し
た弾性部材23の前方側の端部寄りの部分が自重で垂れ下がるようにすることは,
当業者が適宜になし得る程度のものということはできない。
したがって,本件審決の上記判断は,誤りというべきである。
(ウ)被告は,引用発明2のリヤカバー側の弾性部材23について前方側の端部
寄りの部分が自重で垂れ下がるような材質のものに変更することは,メインカバー
に固着された土付着防止部材が自重で垂れ下がることによる不都合を課題とする引
用発明2の目的に反するものではないから,弾性部材23を,進行方向前方側の端
部寄りの部分が自重で垂れ下がるような材質のものとすることは,当業者が適宜に
なし得る程度のことにすぎない旨主張するが,同主張に理由がないことは,前記
(イ)において説示したとおりである。
(エ)被告は,①原告は,リヤカバー側の弾性部材を自重で垂れ下がるように構
成すると,メインカバーに取り付けられた低摩擦係数の部材と,リヤカバーに取り
付けられた弾性部材との接合部に間隙が生じると単に抽象的に主張するのみで,接
合部に間隙が生じる具体的な理由の説明がない,②仮に弾性部材を自重で垂れ下が
るように構成する際に低摩擦係数の部材と弾性部材との接合部に間隙が生じるおそ
れがあれば,接合部に間隙が生じないように弾性部材の弾性係数や延設長さ等を決
定することは,当業者が適宜なし得ることにすぎない旨主張する。
しかし,前記(イ)のとおり,弾性部材23の前端部23aは,ブラケット19に
密着することによって,リヤカバー13が上方へ回動したときでも飛散した土が入
り込むことがないという作用効果を奏するものであるから,前端部23aがブラケ
ット19に密着するのを妨げるような変更を加えることには阻害要因がある。そし
て,弾性部材23の前方側の端部寄りの部分が自重で垂れ下がるようにすることは,
前端部23aをブラケット19との密着を困難にする方向に移動させることを意味
するから,当業者が適宜になし得るものということはできない。
(3)以上によれば,本件発明1は,引用発明1及び引用発明2に基づいて,当
業者が容易に発明することができたものということはできない。
4本件発明2の容易想到性について
本件発明2は,本件発明1に,
「前記土除け材の内,前記作業ロータの回転方向
上流側に位置する土除け材が,前記シールドカバー本体に固定された下流側に位置
する土除け材を前記作業ロータ側から覆う状態で重なっていること」との要件を付
加するほかは,本件発明1の発明特定事項を全て含むものであり,本件発明2と引
用発明1との相違点と,本件発明1と引用発明1との相違点は共通し,かつ,前記
3において本件発明1について説示した事項は,全て本件発明2についても妥当す
る。
そうすると,本件発明2は,引用発明1及び引用発明2に基づいて,当業者が容
易に発明することができたものということはできない。
5結論
以上によれば,原告主張の取消事由は理由があるから,本件審決は取消しを免れ
ない。
よって,原告の請求を認容することとし,主文のとおり判決する。
知的財産高等裁判所第4部
裁判長裁判官髙部眞規子
裁判官田中芳樹
裁判官柵木澄子
別紙1
【図1】
別紙2
第1図
第2図
第3図
別紙3
【図1】
【図2】
【図3】
【図6】

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