弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決を破棄する。
     被告人を免訴する。
         理    由
 弁護人杉之原舜一及び被告人の各控訴趣意は末尾添付の各控訴趣意書と題する書
面記載のとおりである。
 本件は被告人に起訴状記載の連合国最高司令長官の指令の趣旨に違反した行為が
あり、右は昭和二十五年政令第三百二十五号占領目的阻害行為処罰令第一条第二条
の占領目的に有害な行為にあたるものとして、昭和二十六年三月一日起訴され、昭
和二十六年十二月二十六日原審において有罪の判決言渡があり、これに対する弁護
人の控訴趣意の要旨は、被告人に対する本件公訴事実に関してその後に刑の廃止が
あつたものであるというにある。
 昭和二十五年政令第三百二十五号占領目的阻害行為処罰令は、昭和二十年勅令第
五百四十二号「ポツダム宣言ノ受諾ニ伴ヒ発スル命令ニ関スル件」に基く政令であ
つて、連合国最高司令官の日本政府に対する指令の趣旨に反する行為、その指令施
行のため連合国占領軍の軍、軍団又は師団の各司令官の発する命令の趣旨に反する
行為及びその指令を履行するために日本政府の発する法令に違反する行為を占領目
的に有害な行為として処罰するをその規定の内容とする。
 しかるに平和条約が発効して連合国の日本占領が終了すれば、連合国最高司令官
により行はれる占領政策の遂行ということはなくなるわけであるが、昭和二十七年
四月十一日法律第八十二号「ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件の廃
止に関する件が公布せられ、「昭和二十年勅令第五百四十二号ポツダム宣言の受諾
に伴い発する命令に関する件は廃止する」「勅令第五百四十二号に基く命令は別に
法律で廃止又は存続に関する措置がなされない場合においては、此法律施行の日か
ら起算して百八十日間に限り法律としての効力を有する」と規定されて、その施行
を平和条約の効力発生の日からと定められた。次いで同年五月七日法律第百三十七
号「ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く法務府関係諸命令の措
置に関する法律」が公布され、「昭和二十五年政令第三百二十五号占領目的阻害行
為処罰令は廃止する」「この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用について
は、なお従前の例による」との規定が設けられ、この法律は公布の日から施行す
る、と定められたので、右立法措置によつて、昭和二十五年政令第三百二十五号占
領目的阻害行為処罰令は「以下単に政令第三百二十五号という」右罰則適用の範囲
内においては、これを廃止しないで、なお存続するものと解せられるから、占領中
における連合国最高司令官の指令に違反した行為は占領目的に有害な行為として、
今日なお政令第三百二十五号の罰則の前に曝されるわけである。
 ところで、政令第三百二十五号を生んだ昭和二十年勅令第五百四十二号「ポツダ
ム宣言ノ受諾ニ伴ヒ発スル命令ニ関スル件」は同年九月二十日旧憲法第八条により
制定された緊急命令で(以下単にポツダム緊急勅令という)その後議会の承諾を得
て法律と同一視され新憲法が施行されても法律と同一の効力を以て行われたもので
あるとはいえ、その制定は日本がポツダム宣言を受諾し、降伏文書の調印により、
連合国管理の下にあつて同文書の定める条項の実施のために、連合国最高司令官の
発する命令に即応し、これを履行するに必要な緊急処置として制定されたもので、
元来連合国の占領による統治下におけるやむを得ない措置であり、占領という特別
事態を被らない場合の新憲法十全の機能のもとに制定された法律ではない。政令第
三百二十五号はこれを基礎法として生れ、その規定の対象となつたものは、連合国
最高司令官の権力に由来する指令であり、そして「日本政府の国家統治の権限は、
降伏条項を実施し占領政策を実行するために適当と認むる措置を執る連合国最高司
令官の制限下におかれ」「最高司令官に従属し」たものであるから、連合国最高司
令官の日本政府に対して発した指令は、日本政府において、その実行を拒絶するこ
とはできないし、憲法の条規に照らしても、これに対し異議を述べることはできな
い性質のものであつて迅速にこれに即応して実施しなければならない指令は、憲法
の条規の拘束を受ける性質のものではないと謂わなければならない。
 されば、昭和二十年九月十日連合国最高司令部から日本政府宛の覚書「言論及ビ
新聞ノ自由」における連合国に対する破壊的批評の論議を禁じた指令、昭和二十五
年六月二十六日及び同年七月十八日A元帥の内閣総理大臣あて書簡におけるB及び
その後継紙の発行停止に関する指令は、いずれも憲法第二十一条において国民に保
障された言論、出版等表現の自由を抑制するものでありながら、この条規に抵触す
るものとして論ずべからざる所以の本のは、一に右指令が前記のような性質を有す
るからであり、それ以外に右制限について直接憲法上の根拠があるものとはいゝ得
ない。
 <要旨>政令第三百二十五号は、その規定の対象に右指令を包含し、前記立法措置
によつて、占領時に行われた行為に対する罰則の適用につきなお存続するも
のとされたのであるが、平和条約が発効して、国が完全な主権を回復した現時にお
いては、右罰則規定は新たにこれを国の最高法規たる憲沃に照らしてその合憲性が
検討されなければならない。よつてこれを憲法の条規に照すと、前記指令の性質上
これを対照とするかぎり、右罰則規定は憲法第二十一条に牴触する違憲性があるも
のと判断される。しからばこの点において右罰則規定はその効力を有しないもので
あり、前記指令を対象とする範囲においては政令第三百二十五号の一部は平和条約
の発効とともにその効力を失い、その部分について刑は廃止されたものといわなけ
ればならない。
 しからば被告人に対する本件公訴事実は、刑事訴訟法第三百三十七条に規定する
犯罪後刑の廃止あつたものに該当し、判決を以て免訴の言渡をなすべきものであ
り、弁護人の論旨は結局理由がある。
 よつて爾余の論旨に対する判断及び被告人の控訴趣旨に対する判断を省略し、刑
事訴訟法第三百九十七条により原判決を破棄し、同法第三百三十七条を適用して主
文の通り判決する。
 (裁判長判事 原田和雄 判事 小坂長四郎 判事 猪股薫)

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