弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     原判決を破棄する。
     被上告人の請求を棄却する。
     訴訟の総費用は被上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人金井和夫の上告理由、上告補助参加代理人吉川嘉和の上告理由第一、
二点及び同八十島幹二の上告理由第一について。
 公職選挙法六七条後段の法意に徴すれば、投票の記載から選挙人の意思が判断で
きるときは、できるかぎりその投票を有効とするように解すべきであり、また、右
選挙人の意思の判断に当たつては、候補者制度を採る選挙においては、選挙人は通
常候補者に投票する意思をもつて投票に記載したものとの推定のもとに、投票の記
載が候補者の氏名と一致しない投票であつても、その記載が候補者の氏名の誤記と
認められるかぎり、当該候補者に対する投票と認めることが許されるものというべ
きである(最高裁昭和三〇年(オ)第九八五号同三一年二月三日第二小法廷判決・
民集一〇巻二号一九頁参照)。これを本件についてみるに、所論指摘の係争票(以
下「本件係争票」という。)を「藤本よし夫」と記載されたものと読むべきである
とした原審の判断は正当として是認することができる。そして、原審の適法に確定
するところによれば、本件選挙においては、藤本俊夫と藤本利雄なる氏は同字同訓、
名は異字同訓の二人の候補者がおり、右両者はたがいに混同を避けるため、選挙運
動において、前者は「藤本とし夫」と記載するよう、後者は「ふじもと利お」と記
載するよう、それぞれその氏名の表示方法を選挙人に鋭意宣伝し、その効果は投票
結果にも相当にあらわれており、他方、候補者中には「藤本よし夫」なる氏名の者
はいなかつたというのであり、本件係争票の「藤本よし夫」なる記載は、藤本俊夫
が選挙運動を通じ自己の氏名として宣伝していた「藤本とし夫」の記載と第三字を
除いてまつたく一致し、相違する右第三字も同じく平仮名であることにかんがみれ
ば、原審認定の右状況のもとにおいては、本件係争票は、選挙人が藤本俊夫に投票
する意思をもつてその名の平仮名書きの一字を誤記したものと認めるのが相当であ
りこれを候補者の何びとを記載したかを確認しがたいものとして無効とすべきでは
ない。原判決は、本件係争票の筆跡が流麗であること、他に本件係争票のような記
載の投票が存在しないこと等を理由に、本件係争票は単純な誤記と解することはで
きないというが、筆跡が流麗であり、あるいは、一票だけであつても、誤記投票の
存在することは従来の選挙において幾多の先例が示すところであり、原判決の理由
とするところは、本件係争票から誤記の可能性を否定し去るに十分なものというこ
とができない。なお、本件係争票を候補者でないa町の著名な実在の人物藤本義旺
に対する投票と解することはできないとした原審の判断は、正当として是認するこ
とができる。論旨は、理由があるものといわなければならない。
 そして、以上の判断によれば、上告補助参加人藤本俊夫の得票数は本件係争票の
一票を加算して二三九・三五一票となり、被上告人の得票数二三九票を上回ること
になるから、上告人委員会が本件裁決において被上告人の当選を無効としたのは正
当である。原判決がこれを取り消したのは法令の解釈適用を誤つた違法があり、破
棄を免れず、右裁決の取消しを求める被上告人の本訴請求は理由がないことが明白
であるから、その他の上告理由について判断するまでもなく、その請求を棄却すべ
きものとし、行政事件訴訟法七条、民訴法四〇八条一号、九六条、八九条に従い、
裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    吉   田       豊
            裁判官    岡   原   昌   男
            裁判官    小   川   信   雄
            裁判官    大   塚   喜 一 郎

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛