弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決を取消す。
     被控訴人の請求を棄却する。
     訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。
         事    実
 控訴代理人は主文と同旨の判決を求め、被控訴代理人は控訴棄却の判決を求め
た。
 当事者双方の事実上の陳述は、被控訴代理人において、(一)被控訴人が昭和十
五年四月十二日なした隠居は隠居をなす意思を欠く無効のものである。仮りにそう
でないとしても家督相続人たるAが相続の単純承認をしていないので無効である。
(二)控訴代理人の左記主張はいずれも理由がないと述べ、控訴代理人において、
 (一) 原判決の手続は法律に違背している。すなわち原審における昭和二十四
年八月十日の第四回口頭弁論期日には列席裁判官中B裁判官が前回の口頭弁論期日
に関与したC裁判官と交替変更あり又昭和二十四年九月七日の第五回口頭弁論期日
には列席裁判官中C裁判官がさらに前回の口頭弁論期日に関与したB裁判官と交替
変更があつたにも拘らず、いずれも弁論更新の手続をなさず、且つその後も弁論更
新の手続をしないまま昭和二十四年十一月十四日弁論を終結し、判決官渡期日を昭
和二十四年十一月三十日と指定したが、右言渡期日に弁論の再開をなし、昭和二十
六年三月一日に至り本件の審理及び裁判を合議体でなすことを取消す旨決定し昭和
二十六年三月二十六日の口頭弁論期日にはB裁判官の単独審理となつたが弁論更新
の手続をなさず、さらに次回の昭和二十六年四月十四日の最終弁論期日においては
被控訴代理人のみが弁論を更新したのみで、控訴代理人及び控訴本人は弁論を更新
しなかつたにも拘らず、そのまま同日口頭弁論を終結して昭和二十六年五月十七日
B裁判官によつて判決をなされたものである。したがつて原判決は民事訴訟法第八
十七条の強行規定に違背して弁論を更新せず、基本たる口頭弁論に関与しないB裁
判官によつてなされた違法があるから、民事訴訟法第三百八十七条に則り取消さる
べきものである。(二)隠居無効の訴は隠居の意思表示の無効を確定することをも
つて目的とするものであるから、その無効を確定するについては法律上の利益が存
する場合に限るべきものである。しかるに被控訴人は本件無効確定の法律上の利益
の存在について何等の主張及び立証をなさず、又原審もこの点につき何等の釈明も
審理もなさずして被控訴人の請求を認容したのは違法不当であるから原判決は取消
さるべきものである。(三)仮りに被控訴人がAの単純承認を得ないで勝手に承認
書を作或したものであつたとしても、被控訴人自身が隠居の意思をもつてその意思
に基いて隠居届書を作成して署名捺印の上右承認書を添付し形式上適式なる書面を
提出して届出をなし当該村長がその届出を受理して戸籍に登載し戸主変更の手続を
完了した以上、たとい隠居の要件手続に欠缺があつたとしても隠居者に隠居意思の
欠缺なき限り家督相続人の地位を安固ならしむる建前から隠居は無効となるもので
ないことは民法第九十三条旧民法第七百五十九条の法意に照らして明白であると述
べたほかは原判決の事実摘示と同一であるからこれを引用する。
 証拠として、被控訴代理人は甲第一、二、三号証、第四号証の一乃至五、第五号
証の一、二、第六、七号証、第八号証の一、二、第九号証、第十号証の一乃至六、
第十一号証の一、二を提出し、原審証人D、E、当審証人D、Fの各証言、原審及
び当審における被控訴人Gの各本人尋問の結果を援用し、控訴代理人は原審証人
H、I、当審証人H、I、J、K、Lの各証言、原審における控訴人Mの本人尋問
の結果を援用し甲第四号証の三、四、五は不知、その他の甲号各証は成立を認め
る、甲第二号証を援用すると述べた。
         理    由
 まず、原判決の手続に控訴代理人主張のような法律違背があるかどうかの点を判
断する。原審における昭和二十四年八月十日の口頭弁論期日に列席裁判官の交迭が
あつたけれども、右期日の弁論は延期され、次回期日たる昭和二十四年九月七日の
口頭弁論には交迭前の裁判官が列席して当初の状態に復原されたことは、当該期日
の口頭弁論調書の記載によつて明かであるから、その間当事者に従前の口頭弁論の
結果を陳述させる要はなく、また控訴代理人主張のように口頭弁論の終結、再開あ
り、さらに合議体から単独審理に移された後、昭和二十六年三月二十六日の口頭弁
論期日に裁判官の交迭があつたが、同期日には何等の弁論も行われなかつたこと
は、それぞれ当該口頭弁論調書竝びに決定書の各記載により明瞭であるから、これ
また当事者に従前の口頭弁論の結果を陳述させる要はない。さらに昭和二十六年四
月十四日の最終口頭弁論において裁判官の交迭があつたので、被控訴代理人だけが
従前の口頭弁論の結果を陳述したことは、該口頭弁論調書の記載によつて明か<要
旨>であるが、民事訴訟法第百八十七条第二項にいう口頭弁論の結果の陳述は、改め
て弁論し直すのではなく報告的意義をもつにすぎないものであるから、当事
者双方が揃つてする必要はなく、当事者の一方だけですれば足りると解すべきであ
る。したがつて被控訴代理人だけが従前の口頭弁論の結果の陳述をしたからといつ
て右条項に違背するものとはいわれない。而して右口頭弁論調書には「当事者双方
は他に主張竝立証はないと述べた」旨の記載があるから、右期日の口頭弁論は民事
訴訟法第百八十七条第一項にいう判決の基本たる口頭弁論にほかならず、この弁論
に関与した裁判官によつてなされた原判決には控訴代理人主張のような法律違背は
ない。
 すすんで本案について判断するに、被控訴人が昭和十五年四月十二日、被控訴人
の長男で法定の推定家督相続人たる亡Aが相続の単純承認をなす旨の書面を添付し
て北海道亀田郡七飯村長に隠居の届出をなしたことは当裁判所が真正に成立したも
のと認める甲第一号証(戸籍謄本)は原審における被控訴人Gの本人尋問の結果及
び当審証人Fの証言を綜合してこれを認めることができる。而して被控訴人が右隠
居届出当時すでに満六十年以上であつたことは甲第一号証により明かであり、被控
訴人は隠居をなす意思のあつたことは原審及び当審における被控訴人Gの各本人尋
問の結果竝びに証人H、Iの原審及び当審はおける各証言によつてこれを認めるこ
とができ、さらに家督相続人たるAが完全の能力を有し且つ相続の単純承認をなし
たことは証人H、Iの前記各証言に当審証人K、Lの各証言、原審における控訴人
Mの本人尋問の結果を合してこれを認めることができる。原審及び当審における証
人Dの各証言及び被控訴人Gの各本人尋問の結果中右認定は反する部分は措信でき
ず、他は以上の認定を覆すは足る証拠は見当らない。そうとすれば被控訴人のなし
た隠居は有効であつて、その主張するような瑕疵はないから、被控訴人の請求は認
容するは由ないものといわなければならない。
 よつて民事訴訟法第三百八十六条、第九十六条、第八十九条を適用して主文のと
おり判決する。
 (裁判長裁判宮 原和雄 裁判官 小坂長四郎 裁判官 臼居直道)

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