弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決を次の通り変更する。
     控訴人は被控訴人に対し、金三十九万三千五百三円五十銭の内金四万三
千五百三円五十銭については右金員及び之に対する昭和二十六年十一月十六日以降
完済迄年五分の割合による金員を支払え。
     内金三十五万円については控訴人より被控訴人宛振出に係る原判決記載
の(一)乃至(七)の約束手形の内孰れか一通と引換える毎に金五万円及び之に対
する昭和二十六年十一月十六日以降完済迄年五分の割合による金員を支払え。
     被控訴人其の余の請求は之を棄却する。
     訴訟費用は第一、二審を通じて之を五分し其の一を被控訴人の負担とし
其の四を控訴人の負担とする。
         事    実
 控訴代理人は「原判決を取消す。被控訴人の請求を棄却する。訴訟費用は第一、
二審共被控訴人の負担とする。」との判決を求め、被控訴人は「控訴人の控訴を棄
却する。控訴費用は控訴人の負担とする。」との判決を求めた。
 当事者双方の事実上の陳述、証拠の提出・採用・認否は原判決事実摘示の通りだ
からここに之を引用する。
         理    由
 当裁判所は、原判決の説示するところと同一の理由により、被控訴人は控訴人に
対し売掛残代金及び立替金等合計金三十九万三千五百三円五十銭及び之に対する支
払期の後である昭和二十六年十一月十六日以降右完済迄民法所定の年五分の割合に
よる遅延損害金債権を有するものと認めるから、ここに原判決中当該理由部分を引
用する。
 よつて控訴人主張の「控訴人が右売掛残代金債務につき被控訴人に振出した約束
手形と引換でなければ被控訴人の本訴請求に応ずる義務はない」との抗弁について
審究する。
 控訴人主張の約束手形(金額はいづれも金五万円)七通が被控訴人の本訴請求に
係る売掛残代金債務の内金三十五万円につき控訴人より被控訴人に振出され、被控
訴人が右手形七通を現に所持することは当事者間に争のないところであり、他に反
証のない本件では右約束手形はいづれも既存債務の支払の為めに振出されたものと
認むるの外はない。ところで、前記三十五万円を超ゆる既存債務部分即ち売掛残代
金及び立替金債務の内金四万三千五百三円五十銭については之につき約束手形の振
出されたことの認むべき何等の証拠もないから右金<要旨>員部分に限つては控訴人
の右抗弁は理由ないものである。しかしながら前記認定のように、既存債務の支払
為めに約束手形の振出された時には、債務者たる控訴人としては、縦令右
手形債務の履行を求められたものではなく既存の前記売掛残代金債務の履行を求め
られた場合でも、右手形と引換でなければ之が支払を拒むことが出来るものと解す
るを相当とする。蓋し若し然らずとすれば債務者たる控訴人は既存債務の支払の為
めに振出した手形によつて他日右手形の所持人である債権者たる被控訴人又は被控
訴人から悪意又は重大なる過失なくして右手形を取得した第三者から手形金の支払
を請求せられ之が支払を強いらるる危険を甘受せねばならぬからである。従つて被
控訴人の本訴請求に係る売掛残代金及び立替金債務中金三十五万円及び之に対する
支払期の後である昭和二十六年十一月十六日以降完済迄年五分の割合による遅延損
害金部分については(控訴人は約束手形と引換でなければ本訴請求の売掛残代金及
び立替金の支払を拒む旨主張するのみで自ら右金員につき弁済の提供をなしたこと
は主張立証しないのであるから、之については弁済期後遅滞の責に任じ、右金員に
対する遅延損害金の支払をなすべき義務あることは勿論である)控訴人の抗弁は理
由である。
 されば控訴人は被控訴人に対し売掛代金及び立替金合計三十九万三千五百三円五
十銭の内、金四万三千五百三円五十銭については右金員及び之に対する弁済期の後
である昭和二十六年十一月十六日以降完済迄民法所定の年五分の割合による遅延損
害金を支払うと共に内金三十五万円については控訴人より被控訴人に宛て振出され
た原判決記載の(一)乃至(七)の約束手形の内孰れか一通と引換える毎に金五万
円及び之に対する弁済期の後である昭和二十六年十一月十六日以降完済迄民法所定
の年五分の割合による遅延損害金を支払う義務のあることは明らかであるから、被
控訴人の本訴請求は右の限度に於ては正当として認容すべきであるが、唯、右金三
十五万円について約束手形と引換えることなく単純に之が支払を求めることは不当
であるから、その点に関しては請求を棄却すべきものである。
 よつて、被控訴人の本訴請求を全部認容した原判決は右認定の限度に於て之を変
更すべきものとし、訴訟費用の負担につき民事訴訟法第八十九条第九十二条第九十
六条を適用して主文の通り判決する。
 (裁判長裁判官 森静雄 裁判官 竹下利之右衛門 裁判官 高次三吉)

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