弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決を破棄する。
     本件を大阪高等裁判所に差戻す。
         理    由
 弁護人辻本幸臣の上告趣意は刑訴四〇五条の上告理由にあたらない。
 しかし、職権を以つて調査するに、本件起訴状には公訴事実として「被告人両名
は飲酒酩酊の上昭和二十五年三月十七日午後十時三十分頃大阪府南河内郡a字bの
街路を歩行中通行中のA(当二十二年)を認むるや被告人Bは矢庭に同女の肩に手
を掛け猥褻の振舞をせんとしたので同女が同所c番地C方に馳込て逸れるのを両名
共之を追跡し、同家二畳の間に於て同女を仰向けに押倒した上夫々馬乗りとなり被
告人Dは強いて同女の陰部に自己の手を挿入する等の暴行を加へ被告人両名共夫々
猥褻の行為をしたものである」と記載され、罪名及び適条としてそれぞれ「強制猥
褻刑法一七六条」と掲記されている。即ち、本件は強制猥褻の訴因を以つて起訴さ
れたものである。ところで、第一審判決は右犯罪の証明がないとして被告人両名に
対して無罪を言渡し、これに対して検察官から事実誤認を理由として控訴を申立て
たところ、原判決は「案ずるに本件公訴事実について左記のとおり被告人等の犯罪
行為が認められるに拘らず原審が犯罪の証明ないものとして無罪の言渡をしたのは
事実を誤認したものというべく論旨は理由あるに帰し、原判決は破棄を免れない」
として、自判して被告人等を公然猥褻罪に問擬した。即ち、原判決は「被告人両名
は飲酒酩酊の上」起訴状記載の日時、街路を通行中「たまたま通りかかつた予てか
ら馴染の仲である同市内の喫茶店E方の女給A(当二二年)に遭うや相前後して同
町d番地飲食店C方に立入つた際被告人Bは右C及び同店の客F外二名の面前にお
いて同家二畳の間の上り端に腰かけている右Aにその前方から抱き付き同女が仰向
けに畳の上に倒れるや更に同女の上に乗りかゝつてゆき被告人Dも亦被告人Bの背
後に接着して同女の上に乗りかゝつてゆき以て被告人両名それぞれ公然猥褻の行為
をしたものである」との事実を認定し、刑法一七四条を適用して被告人等を各罰金
三千円に処した。しかし、本件起訴状記載の公訴事実は前記のとおりであつて、原
判決の認定したような「飲食店C方」において「右C及び同店の客F外二名の面前
において」という本件行為の公然性を認めるに足る事実は何ら記載されていないば
かりでなく、起訴状記載の罪名及び罰条に徴しても、原判決の認定したような公然
猥褻の点は本件においては訴因として起訴されなかつたものと解するのが相当であ
る。なお、記録を精査しても、本件において訴因または罰条につき、追加変更の手
続が適法になされたと認むべき資料はない。して見れば、原判決は結局、審判の請
求を受けない事件について判決をした違法があるものといわなければならないので
あつて(昭和二五年(あ)第一〇四号、同年六月八日第一小法延判決「集四巻六号
九七二頁」参照)、若し審判の請求を受けた強制猥褻被告事件について犯罪の証明
がなかつたのであるならば、判決で無罪の言渡をしなければならなかつた筈である
(刑訴三三六条)。従つて、右の違法は明らかに判決に影響を及ぼすべきものであ
り且つ原判決を破棄しなければ著しく正義に反するものと認められるから、刑訴四
一一条一号、四一三条本文に則り主文のとおり判決する。
 右は裁判官全員一致の意見によるものである。
 この公判期日には、検察官井本台吉が出席した。
  昭和二九年八月二〇日
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    霜   山   精   一
            裁判官    栗   山       茂
            裁判官    小   谷   勝   重
            裁判官    藤   田   八   郎
            裁判官    谷   村   唯 一 郎

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