弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人水崎幸蔵の上告理由について。
 原判決およびその是認した第一審判決は、被上告人B1が、同B2の連帯保証の
下に、上告人から一一五万円貸与の約諾を得、現実には九〇万円を受取り、差額二
五万円を期限内の利息として天引された旨を認定しており、また原判決は、挙示の
証拠により認定した原判示諸事実および弁論の全趣旨から、本件消費貸借が無利息
であつたとは考えられず、このことは、ひいて、前示の現実の受領額が九〇万円で
あつた旨の被上告人らの一、二審における供述の真実性を裏付けるものと認められ
るとしているのである。右の事実認定は、挙示の証拠関係に照らし、是認できる。
所論は、ひつきよう原審の裁量に属する証拠の取捨、判断、事実の認定を非難する
に帰するものであり、原判決には所論の違法は認められない。
 上告代理人水崎嘉人の上告理由について。
 原判決およびその是認した第一審判決は、被上告人B1が上告人から一一五万円
貸与の約諾を得たが、現実には九〇万円を受取り、差額二五万円は期限内の利息と
して天引されたこと、および期限にこれを弁済できず、昭和三〇年一一月一〇日に
一二〇万円を上告人に支払つたことを認定している。右事実関係のもとにおいては、
右昭和三〇年一一月一〇日当時の元本額は、利息制限法二条の規定の適用により九
〇万九三二〇円五五銭となること、従つて、同日において上告人が被上告人に対し
て有する債権額は、上記元本額と、その元本額に対する昭和三〇年一〇月二一日よ
り同年一一月一〇日までの二一日間の日歩八銭の割合により計算した遅延損害金一
万五二七六円五九銭との合算額九二万四五九七円一四銭であることは第一審判決判
示のとおりである(利息は既に天引されているのであるから、更にこれを計算に加
える必要はない)。しかして、被上告人B1が支払つた一二〇万円は約定元本一一
五万円およびこれに対する日歩八銭の割合による期限後の損害金として支払われた
ものであり、右一二〇万円のうち前示実際の債権額九二万四五九七円一四銭をこえ
る額二七万五四〇二円八六銭は、(1)約定元本一一五万円と前示利息制限法二条
の規定の適用により算出した正規の元本との差額および(2)被上告人が支払つた
損害金中上記正規の元本を基本として算出した損害金債務の額をこえる額との合計
額にほかならないことは、第一審判決の料示を通覧すれば、これを看取するに難く
ない。しかして、(1)の金額は、利息制限法二条の規定の適用上、すでに、約定
元本の支払に充当されているのであり、被上告人らに返還義務なきものであるから、
被上告人B1が、(1)の金額を含めて約定元本金額を支払つたならば、これが返
還を請求しうることは当然といわなければならない(同被上告人が利息制限法二条
の規定の趣旨を知りながら、あえて、約定元本金額を支払つたとの点は、原審にお
いて主張判断のない事項である)。また、(2)の金額も、被上告人B1において
義務なくして支払つたものであること明らかな以上、その返還請求は正当である。
されば、上告人は、被上告人B1が支払つた一二〇万円から、前示実際の債権額九
二万四五九七円一四銭を差引いた残額二七万五四〇二円八六銭、すなわち、右(1)、
(2)の合計額を法律上の原因なくして利得し、同被上告人に同額の損失を与えた
ことになるから、上告人は同被上告人に右不当利得金を返還する義務がある旨の原
審の判断は正当である。
 所論は、前示二七万五四〇二円八六銭は利息ならびに期限後の損害金として支払
つたものであり、利息制限法一条二項、四条二項の規定により、その返還を請求し
えないという。しかし、右金員の中に利息が含まれていないことは、本件貸借にお
いて期限までの利息は天引された旨の第一審判決の判示からたやすく窺知しうると
ころであるから、右二七万余円の一部が利息として支払われたことを前提とする所
論は採用できない。また、被上告人B1が支払つた損害金も、実際の損害金債務の
額も、ともに、日歩八銭という利息制限法四条一項の制限の範囲内に属する割合に
よつている本件において、実際の債務額をこえて支払つた損害金の返還を請求する
について、同条二項の規定は、もとより、なんらの妨げとなるものではなく、右と
異なる見地に立つて原判決を非難する所論は採用できない。また所論は、被上告人
B1が約定元本一一五万円の弁済として支払つた金員は、天引利息二五万円相当額
を含むものであるところ、利息制限法一条一項の規定によれば、右天引利息相当額
の返還は請求できないとして、原判決を攻撃するが、右は原判決の判示を正解しな
いでこれを論難するにすぎないから、採用できない。
 よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと
おり判決する。
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    入   江   俊   郎
            裁判官    下 飯 坂   潤   夫
            裁判官    高   木   常   七
            裁判官    斎   藤   朔   郎

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