弁護士法人ITJ法律事務所

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       主   文
一 本件控訴を棄却する。
二 控訴費用は控訴人の負担とする。
       事実及び理由
第一 当事者の求めた裁判
一 控訴の趣旨
1 原判決を取り消す。
2 主位的請求
(一) 控訴人が平成一○年一月三〇日付けでした道路法二四条に基づく道路工事
の承認申請につき、被控訴人が何らの処分をしないことが違法であることを確認す
る。
(二) 控訴人が平成一〇年二月三日付けでした道路法二四条に基づく道路工事の
承認申請につき、被控訴人が何らの処分をしないことが違法であることを確認す
る。
3 予備的請求
(一) 控訴人が平成一〇年一月三〇日付けでした道路法二四条に基づく道路工事
の承認申請につき、被控訴人が同年三月三〇日付けでした承認拒否の処分を取り消
す。
(二) 控訴人が平成一〇年二月三日付けでした道路法二四条に基づく道路工事の
承認申請につき、被控訴人が同年三月三〇日付けでした承認拒否の処分を取り消
す。
4 訴訟費用は、第一、二審とも被控訴人の負担とする。
二 控訴の趣旨に対する答弁
 主文と同旨
第二 事案の概要
次のとおり付加するほか、原判決の「事案の概要」に摘示のとおりであるから、こ
れを引用する。ただし、原判決一〇頁六行目の「工事の目的を焼却炉敷地造成と
し」を「工事を必要とする理由を焼却炉敷地造成のためとし」と改める。
(当審における補充的主張)
1 控訴人の主張(主位的請求関係)
 行政庁の行う承認拒否の意思表示は、それに対する不服申立てについて期間制限
(行政不服審査法一四条、四五条)がある関係から、明確になされなければならな
いし、また、その際、行政不服審査法五七条により不服申立てをすることができる
旨並びに不服申立てをすべき行政庁及び不服申立てをすることができる期間の教示
もなされなければならない。なぜなら、仮に行政庁のあいまいな行為でも行政処分
と認められる場合があると、訴訟しなければ行政処分か否か判明しないことにな
り、申請人は、その地位が常に不安定な状態に置かれ、不服申立期間の徒過により
不足の損害も被ることにもなりかねず、そのため訴訟事件等が多発するおそれもあ
るからである。これを本件についてみると、本件返却理由書には承認拒否の意思が
明確に記載されているとはいえないし、右教示もなされていないのであるから、本
件返戻行為を承認拒否の処分と認めることはできない。
2 被控訴人の反論
 控訴人は、本件
返却理由書を見ても承認拒否の意思が明確になされているとはいえない旨主張する
が、本件返却理由書には申請に対する承認拒否の意思が客観的かつ明白に表現され
ているものである。また、控訴人は、行政不服審査法五七条の規定による教示がな
されていないことも本件返戻行為が承認拒否の処分ではないことの理由としている
が、教示制度と処分性の有無とは直接の関係はないし、同法五八条が教示をしなか
った場合の不服申立てについて規定していることからも明らかなとおり、教示をし
なかったからといって当該処分が無効ないし違法となるものでもない。
第三 争点に対する判断
 当裁判所も、控訴人の本件訴えのうち主位的請求に係る部分はこれを却下すべき
であり、予備的請求はこれを棄却すべきものと判断する。その理由は、次のとおり
訂正、付加するほか、原判決の「第三 争点に対する判断」に説示されたところと
同じであるから、これを引用する。
一 原判決の訂正
1 原判決一七頁二行目の「申請に先立ち」を「申請の前後において」と改める。
2 同一八頁の一〇行目及び末行の「被告」を「岡山県知事」と各改める。
3 同二〇頁六行目から七行目にかけての「右返却につき違法確認訴訟を提起し」
を「右申請等に対する受理拒否処分の取消訴訟を提起し(岡山地方裁判所平成五年
(行ウ)第二二号産業廃棄物処理施設設置許可申請受理拒否処分取消請求事件)」
と改める。
4 同二七頁八行目の「重複しており」から一〇行目の末尾までを「重複してい
た。」と改める。
5 同二八頁につき、二行目の「(A)ないし(B)区域」を「(A)区域等」
と、四行目の「平成一〇年年」を「平成一〇年」と各改める。
6 同二九頁につき、五行目の「保安林の点」を「保安林の地番が申請書添附の国
土調査図面上消去されていた点」と改め、七行目の「原告は」を削除する。
7 同三〇頁三行目の末尾に「前記8(三)の③区域の搬入路設置計画につき道路
占有に関する申請が未提出の件については、前記控訴人側出席者らは、以前道路占
有申請をしているので、土木委員から改めて占有申請は必要でないと言われたとの
説明をした。」を加える。
8 同三二頁一〇行目から三三頁五行目までを次のとおり改める。
「右明示された返却理由は別紙のとおりであり、別紙記載1ないし9の各事由は、
次の諸点を要約して記載されたものである。そして、被控訴人が本件各申請を拒否
したのは、右記
載事由と意見聴取会における控訴人及びその関連会社関係者の行動・態度とを総合
すると、①ないし④区域における申請計画自体の実現の可能性及び当該区域におけ
る各焼却施設設置の必要性が認められず、工事の必要性、設計及び実施計画の合理
性がなく、道路管理上も支障が生じると判断したためである。」
9 原判決三九頁につき、三行目の「拒否する場合」を「拒否する処分をする場
合」と、四行目の「右の許認可等」を「右処分」と、五行目の「右の許認可等の処
分」を「右処分」と各改める。
10 同四一頁八行目の「甲一」を「甲三」と改める。
11 同四四頁につき、七行目から八行目にかけての「(A)ないし(D)区域の
合計八箇所」を「(A)、(B)区域の合計六箇所(その後(C)、(D)区域も
加わり合計八箇所になった)」と、一〇行目の「八箇所」を「六箇所」と各改め
る。
12 同四五頁一行目の「二箇所」を削除する。
二 当審における補充的主張について
 控訴人は、主位的請求に関し、行政庁の行う承認拒否の意思表示は明確になされ
なければならないし、また、その際行政不服審査法五七条の規定による教示もなさ
れなければならないところ、本件返却理由書には承認拒否の意思が明確に記載され
ているとはいえないし、右教示もなされていないのであるから、本件返戻行為を承
認拒否の処分と認めることはできない旨主張する。
 なるほど、行政庁の行う承認拒否の意思表示が明確になされる必要があることは
控訴人の主張するとおりであるが、本件返却理由書に本件各申請に対する承認拒否
の意思が明確に表示されていることは、右一で訂正の上引用した原判決の説示する
とおりである。また、本件返却理由書には右教示がなされていないが、教示がなさ
れていないことと当該行為が承認拒否の処分であるか否かとは直接の関係がないの
であって、原判決の説示する事実を総合すると、教示がなされていないことを考慮
しても、本件返戻行為は本件各申請に対する承認拒否の処分と認めるのが相当であ
る。
 したがって、控訴人の右主張は採用しない。
第四 結論
 よって、原判決は相当であって、本件控訴は理由がないからこれを棄却すること
とし、主文のとおり判決する。
広島高等裁判所岡山支部第二部
裁判長裁判官 前川鉄郎
裁判官 辻川昭
裁判官 森一岳

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