弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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主文
本件各上告を棄却する。
理由
被告人Aの弁護人中井淳の上告趣意のうち,死刑に関して憲法前文,13条,3
1条,36条,98条2項違反をいう点は,その執行方法を含む死刑制度が憲法の
上記各規定等に違反しないことは当裁判所の判例(最高裁昭和22年(れ)第11
9号同23年3月12日大法廷判決・刑集2巻3号191頁,最高裁昭和26年
(れ)第2518号同30年4月6日大法廷判決・刑集9巻4号663頁,最高裁
昭和32年(あ)第2247号同36年7月19日大法廷判決・刑集15巻7号1
106頁)及びその趣旨に照らして明らかであるから,理由がなく,その余は,憲
法違反,判例違反をいう点を含め,実質は事実誤認,量刑不当の主張であって,刑
訴法405条の上告理由に当たらない。
被告人Bの弁護人小松初男,同今村憲の上告趣意は,判例違反をいう点を含め,
実質は単なる法令違反,事実誤認,量刑不当の主張であり,同被告人本人の上告趣
意は,事実誤認の主張であって,いずれも刑訴法405条の上告理由に当たらな
い。
なお,各所論に鑑み記録を調査しても,いずれも刑訴法411条を適用すべきも
のとは認められない。
付言すると,本件は,被告人A及びその妻Cが,金融業を営むDについてかねて
から抱いていた憤まんの情を晴らすとともに,同女方にあると目した多額の現金を
奪うために同女を殺害することを企て,平成16年9月16日,Cが,Dを自宅か
ら誘い出し,自車に乗せて殺害の機会をうかがうなどしていたところ,(1)これ
より先Cからその計画を打ち明けられていた長男の被告人Bが,Cらを出し抜き,
D方に一人でいる同女の二男E(当時15歳)を殺害して同女の現金を手に入れよ
うと企て,同日深夜,弟である旧姓FことGと共謀の上,Gが,Eに対し,背後か
らその頸部をタオルで強く絞め付けるなどして失神させ,両名でD所有の指輪等在
中の金庫1個(時価合計約398万円相当)を強取した後,意識を取り戻したEに
対し,二人掛かりでその頸部をロープで強く絞め付け,その身体にコンクリートブ
ロック3個を結び付けて川に投げ込んで,同人を殺害し(強盗殺人),(2)同月
18日早朝,被告人両名が,C及びGと共謀の上,①D(当時58歳)を殺害し
てその現金を奪うため,睡眠薬入りの弁当を食べさせて意識がもうろうとしていた
同女の背後からGがその頸部をワイヤー錠で強く絞め続けて殺害し,同女の手提げ
バッグの中から現金約26万円を強取し(強盗殺人),②さらに,DがCと行動
を共にしていることを知っていたDの長男H(当時18歳)及びたまたま同人と一
緒にいたその友人I(当時17歳)を,口封じのために殺害することを企て,G
が,H及びIに対し,その頭部及び胸部に向けて至近距離から自動装填式けん銃で
銃弾を3発ずつ発射し,更にIに対してはアイスピックで1回胸を突き刺して,両
名を殺害し,その際,自動装填式けん銃1丁を適合実包6発と共に携帯して所持し
(殺人,銃砲刀剣類所持等取締法違反),③その後,D,H及びIの各死体を載
せた車両を川に水没させて3名の死体を遺棄し(死体遺棄),(3)被告人Aが,
同月22日,警察署の取調室において,自殺をするためにけん銃1丁を適合実包8
発と共に携帯して所持し(銃砲刀剣類所持等取締法違反),(4)被告人Bが,勾
留中である同年11月13日,看守者の隙をついて逃走した(逃走)という事案で
ある。
量刑上重視すべき,被告人Bが関与した(1)の強盗殺人及び被告人両名が関与し
た(2)の強盗殺人,殺人等の情状についてみると,いずれも現金奪取や犯跡隠蔽な
どのために敢行されたものであり,動機に酌量の余地はない。殺害の態様も,二人
掛かりでロープで頸を絞め付けた上,身体にコンクリートブロックを結び付けて川
に投げ込んだり,ワイヤー錠で頸を強く絞め続けたり,頭部や胸部に向けてけん銃
を発射したりしたもので,いずれも強固な殺意に基づく冷酷,非情で残忍なもので
ある。被告人Aは3名の殺害に関与し,被告人Bは4名の殺害に関与したもので,
犯行結果も誠に重大である。遺族らの被害感情は極めて厳しく,地域社会に与えた
影響も大きい。被告人Aは,自らは直接殺害行為を担当していないものの,Dの殺
害計画に当初から関与し,Cに指示して被告人B及びGを引き込んだ上,Gに殺害
の実行を指示するなどし,Hらの殺害についても,実行役であるGにけん銃を渡
し,殺害方法について指示を出すなど,暴力団J組及びJ一家の中心として(2)の
犯行を主導している。被告人Bは,Gを引き込んで主導的に(1)の犯行を敢行し,
(2)の犯行に際しても,D殺害に関し,睡眠薬で眠らせることをCに提案し,睡眠
薬入りの弁当を準備したり,Dの頸部を絞めている最中のGにタバコを手渡したり
し,H及びIの殺害に関し,Hらを欺いて人気のない場所へと連れ出した上,殺害
の実行役を弟であるGに押し付けつつ,自らはGに対して殺害の合図を送ったり,
被告人Aの指示をGに伝達したりするなど,積極的に関与している。
以上の事情に照らすと,被告人Aが被害者らに対して謝罪の言葉を述べるなどし
ていることや,被告人Bが捜査段階では(1)(2)の犯行についておおむね認め,逃走
罪については一貫して罪を認めて反省の態度を示していることなど,被告人両名の
ために酌むべき事情を十分考慮しても,被告人両名の刑責はいずれも極めて重大で
あり,被告人両名を死刑に処した第1審判決を維持した原判断は,当裁判所もこれ
を是認せざるを得ない。
よって,刑訴法414条,396条,181条1項ただし書により,裁判官全員
一致の意見で,主文のとおり判決する。
検察官城祐一郎公判出席
(裁判長裁判官白木勇裁判官宮川光治裁判官櫻井龍子裁判官
金築誠志裁判官横田尤孝)

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