弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件控訴を棄却する。
         理    由
 本件控訴の趣意は末尾添附の弁護人川村角治名義の控訴趣意書と題する書面に記
載の通りである。これに対して次の様に判断する。
 <要旨>たばこ専売法第六六条に所謂「所持」は専売公社の売渡さないたばこであ
ることを知り乍ら之を事実上支配し得る状態にあることを言い、必ずしも之
を把持又は監守することを要しない。その存在を認識して之を管理し得る状態にあ
るをもつて足りるのであつて、自己の為にする意思を必要としないなどの点におい
て民法上の占有とは必ずしも同義に解すべきものではない。而して原判決挙示の証
拠(原審公判調書中の証人A及び被告人の各供述記載、臨検捜索顛末書の記載並び
に原審検証調書の記載)によると原判示事実、特に被告人は、原判決詳記の通り原
判示専売公社の売渡さない外国たばこが被告人がその支配人である原判示店舗に景
品引換用として保管されていたことを認識していたこと従つて前記説示の意義にお
いて之を所持していたことを認めることができ、更に右証拠に被告人に対する日本
専売公社専売監視作成の質問顛末書及び検察官作成の供述調書(いづれも原審第二
回公判期日に検察官がその証拠調を求め被告人弁護人が之を証拠とすることに同意
し原裁判所において適法に取調済)を綜合すれば、原判示事実の存在は一層明白で
あつて所論に基き記録を精査するも原判決には所論の様な事実誤認乃至は法令適用
の誤りは存しない。所論は独自の見解に立つて原判決を非議するもので本件には当
らない。論旨は理由がない。
 よつて刑訴法第三九六条に従い主文の通り判決する。
 (裁判長判事 久礼田益喜 判事 武田軍治 判事 江里口清雄)

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