弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件抗告を却下する。
     抗告費用は抗告人の負担とする。
         理    由
 (一) 記録によつて見ると、原裁判所は、さきに抗告人Aの申請に基き、B・
C外一名を被申請人として、一、被申請人等は係争山林内に立入つて同地上立木に
対する申請人(即ち本訴抗告人)の伐採行為を妨害してはならない。二、申請人の
依頼した執行吏は、右につき適当な処分方法を講ずることが出来る。
 との趣旨の仮処分決定(同裁判所昭和二十八年(ヨ)第一四号)を発したとこ
ろ、右B・C等が右仮処分決定に対し異議の申立を為すと共に、該仮処分中同人等
に関する部分の執行停止を求めたので、原裁判所は、その執行を停止する旨の決定
を為した。これが即ち本件抗告の対象たる決定(同裁判所同年(モ)第二二号)で
あつて、この決定は、民事訴訟法第七百四十八条第七百五十六条に基き同法第五百
十二条第五百条を準用して発せられた決定に外ならない。
 <要旨>ところが、右の様に民事訴訟法第五百十二条第五百条によつて発せられた
執行停止決定に対しては、原則として不服の申立を許さない(第五百条末
項)。唯、その停止決定が不適法な決定であるとき(例えば、停止決定を発し得な
い場合に、誤つて停止決定が発せられた様なとき)に限つて、不服申立を許すもの
と解すべきである。
 (二) ところで、仮処分について、之に対する異議申立や控訴があつたときで
も、その執行停止を命ずることは出来ないのが原則である。然し、その具体的に為
された仮処分の内容が、申請人の主張する権利の保全の範囲にとどまらずして、そ
の権利の終局的満足を得せしめ、若くは、その執行により被申請人に対し回復する
ことの出来ない損害を生ぜしめる恐れのあるようなものであるときには、例外とし
て民事訴訟法第五百十二条第五百条の準用による執行停止が許されるものと言うべ
きである。(最高裁判所昭和二三年(マ)第三号同年三月三日決定、昭和二五年
(ク)第四三号同年九月二五日決定参照)
 原裁判所昭和二八年(ヨ)第一四号仮処分申請事件の記録によれば申請人(即ち
本件抗告人)が仮処分申請の理由とするところは要するに「係争の山林、原野及び
その地上の立木は申請人の所有であるのに、被申請人等が申請人の立木の伐採搬出
を妨害するので、その妨害行為を禁ずる仮処分を求める」と言うのであつて、原裁
判所はこの申請を容れて前記の様な仮処分決定(昭和二八年(ヨ)第一四号)を為
したのである。之によつて見れば、この仮処分は、申請人をしてその主張する権利
の終局的満足を得せしめるものであることが明かであるのみならず、この仮処分を
執行して申請人をして立木を伐採させたならば、事物の性質上、或いは被申請人に
回復し難い損害を加える恐れがあることも又明かである。だから、かような仮処分
は、申請人の権利(被保全権利)の存在並びに若し仮処分をしなければ申請人が特
別甚大な損害を被むるが如き事情についての余程確実な疏明が為されない限り、軽
々に之を為すべきではないと共に、若しかような仮処分が為されたならば、被申請
人は前示法条により仮処分の執行停止の申請を為し得べく、裁判所もその申請を相
当と認めるときは、之が執行停止を命じ得るのである。
 されば、原裁判所が、被申請人等の申請に基いて為した本件仮処分執行停止決定
は、何等違法の決定ではないのである。
 (三) 原判決が適法の決定である限り、之に対しては、も早不服申立が許され
ないこと前記(一)に示した通りであるから、本件抗告は不適法と言うの外ない。
 よつて、抗告費用は抗告人をして負担せしむべきものとし、主文の通り決定す
る。
 (裁判長判事 森静雄 判事 竹下利之右衛門 判事 高次三吉)

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