弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人らの負担とする。
         理    由
 上告代理人赤塚宋一の上告理由第二点について。
 論旨は、行政機関職員定員法(以下単に定員法という。)附則五項、八項、九項
が憲法二八条に違反して無効であると主張し、そのことを前提として、定員法全体
の違憲をいい、また原判決に理由不備の違法がある、という。
 しかし、定員法附則八項および九項が憲法二八条に違反するものでないことは、
昭和二五年(オ)第三〇九号、同二九年九月一五日大法廷判決(民集八巻九号一六
〇六頁)の示すところであり、また、同法附則五項が憲法二八条に違反しないこと
も、右判決の趣旨に徴して明らかである。
 それ故、論旨は、すべて前提を欠くに帰し、理由がない。
 同第三点について。
 論旨は、上告人A1に整理基準等該当の事実があるとした原審の判断に経験則違
背、理由不備、理由齟齬の違法がある、という。
 しかし、原判決(およびその引用にかかる第一審判決)の所論判断は、その挙示
の証拠に照らして首肯し得られないわけではなく、そこに所論の達法があるものと
はなし難い。
 それ故、論旨は、理由がない。
 同第四点について。
 論旨は、原判決が上告人らの行為を整理基準等に該当すると認めたことは、組合
幹部の責任に関する法令の解釈適用を誤つたものである、という。
 しかし、原判決(およびその引用にかかる第一審判決)は、上告人らが単に組合
の機関として組合決議を執行したことが整理基準等に該当するとしたのではなくし
て、上告人らが違法な組合活動を自ら企画、煽動しまたは達法な組合決議を積極的
に支援したことが整理基準等に該当するとしたものであること、判文上明らかであ
る。
 されば、論旨は、原判示に副わない事実に基づいてその違法をいうに過ぎないも
のであつて、採用できない。
 同第五点について。
 論旨は、原判決が本件各免職処分は国家公務員法九八条三項の不利益取扱いにあ
たらないとしたことが不利益取扱いに関する立証責任分配の原則の適用を誤り、判
断遺脱の違法をおかしたものである、という。
 しかし、原判決(およびその引用にかかる第一審判決)は、所論のごとく、単に、
上告人らに整理基準等該当の事実があるから本件各免職処分は国家公務員法九八条
三項の不利益取扱いにあたらないとしたものでもなければ、本件各免職処分が右の
不利益取扱いにあたるかどうかが証拠上不明であるという理由で、上告人らの本訴
請求を排斥したものでもなく、かえつて、上告人らの行為がすべて正当な組合活動
の範囲を逸脱したものであり、また、本件各免職処分が上告人らが全逓地区組合の
幹部であることを理由としてなされたという事実を認めるに足りる証拠がないから、
結局、本件各免職処分は国家公務員法九八条三項の不利益取扱いにあたらないと判
断したものであること、その判文に徴して明らかである。
 それ故、原判決には所論の違法はなく、論旨は、原判決を正解しないか、原判示
に副わない事実に立脚して、右の違法をいうものであつて、採用できない。
 なお、上告理由第一点は、上告人A2に関するものであるが、同上告人と被上告
人名古屋郵政局長間の免職処分取消請求事件は、さきに本件より分離されて大法廷
に係属しているので、右の点についての判断はしないこととする。
 よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員の一致で、
主文のとおり判決する。
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    田   中   二   郎
            裁判官    石   坂   修   一
            裁判官    五 鬼 上   堅   磐
            裁判官    横   田   正   俊
            裁判官    柏   原   語   六

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