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平成14年(行ケ)第354号 審決取消請求事件
平成15年9月30日判決言渡,平成15年7月15日口頭弁論終結
     判    決
 原 告      サン・グリーン・リバー株式会社
 訴訟代理人弁護士 清永利亮,弁理士 佐々木功,川村恭子,藤野清規
 被 告      バレンチノ・グローブ・B.V.(ベスローテン・フェンノー
トシャップ)
 訴訟代理人弁護士 服部成太,稲益みつこ,弁理士 杉村興作,末野徳郎,廣田米男
     主    文
 原告の請求を棄却する。
 訴訟費用は原告の負担とする。
     事実及び理由
第1 原告の求めた裁判
 特許庁が平成9年審判第20430号事件について平成14年6月4日にした審
決を取り消す。
第2 事案の概要
 本件は,本件商標の商標権者である原告が,被告の無効審判請求により,本件商
標登録を無効とする審決を受けたため,審決の取消しを求めた事案である。
【本判決における用語例について】
 [1] 人名の片仮名表記については種々の方法があるが,本判決では,証拠内
容等を引用する場合を含め,「VALENTINOGARAVANI」については,被告の表記に従
い「ヴァレンティノ・ガラヴァーニ」と,「GIANNIVALENTINO」については,原告
の表記に従うとともに,証拠における記載状況に照らし,「ジャンニ・バレンチ
ノ」と,それぞれ統一して表記する。
[2] 審決では,「VALENTINOGARAVANI/ヴァレンティノ・ガラヴァー
ニ」,「valentinogaravani」,「VALENTINOGARAVANI」,「ヴァレンティノ・ガ
ラヴァーニ」の各表示,「valentinogaravani」又は「VALENTINOGARAVANI」と
「V」を図案化した図形を組み合わせた表示につき,以上を総称して,「VALENTINO
(ヴァレンティノ)商標」ということとしている。被告は,この用語例に従って主
張しているが,原告はこれに異論を述べている。後記のとおり,本件で
は,「VALENTINO(ヴァレンティノ)」が上記各表示の略称として広く認識されてい
たと認められるか否かという点が争点のひとつとなっているところ,上記の各表示
は,いずれも「VALENTINOGARAVANI(ヴァレンティノ・ガラヴァーニ)」のフルネ
ームで表示され,単なる「ヴァレンティノ」又は「VALENTINO」との表示を含まない
ことが明らかであるのに,「VALENTINO(ヴァレンティノ)商標」という審決の用語
法は,単なる「ヴァレンティノ」又は「VALENTINO」との表示も含むかのような誤解
を与えかねないものであるから,本判決においては,やや長くなるが,より正確か
つ公正に,上記各表示を総称して,「VALENTINOGARAVANI(ヴァレンティノ・ガラ
ヴァーニ)の表示」といい,特に商標として述べる場合には,「VALENTINO
GARAVANI(ヴァレンティノ・ガラヴァーニ)商標」ということとする。審決及び当
事者の主張を引用する場合でもこの用語法に統一する。
 [3] 氏名として表記する場合には,商標の表記と区別する意味において,
「ヴァレンティノ・ガラヴァーニ氏」,「ValentinoGaravani氏」などと,「氏」
を添えて表記することがある。この区別の必要がない場合は,通常どおり,単に氏
名のみを記載する。
 [4] 商標の指定商品の記載は,特に断らない限り,審決に準じ,いわゆる旧
別表の記載による。
 1 特許庁における手続の経緯
 (1) 本件商標
 出願人:ヤング産業株式会社
 商標権者:ヤング産業株式会社(登録時)
    :サン・グリーン・リバー株式会社(原告。平成6年9月26日移転登
録)
 登録商標:「GIANNIVALENTINO」の欧文字を横書きしてなるもの。
 指定商品:第22類「はき物,かさ,つえ,これらの部品および附属品」
 出願日:平成元年3月30日
 登録査定日:平成5年5月25日(甲4-2)
 設定登録日:平成5年12月24日
 登録番号:第2614322号
 (2) 引用商標(審決で引用商標として示されたもの。)
 引用A商標:「VALENTINOGARAVANI」の欧文字を横書きしてなり,昭和49年1
0月1日登録出願され,第22類「はき物(運動用特殊ぐつを除く),かさ,つ
え,これらの部品及び附属品」を指定商品とし,昭和60年6月25日設定登録さ
れたもの(第1786820号)。
 引用B商標:「VALENTINOGARAVANI」の欧文字を横書きしてなり,昭和49年1
0月1日登録出願され,第17類「被服(運動用特殊被服を除く),布製身回品
(他の類に属するものを除く),寝具類(寝台を除く)」を指定商品とし,昭和5
5年4月30日設定登録されたもの(第1415314号)。
 引用C商標:「VALENTINO」の欧文字を横書きしてなり,昭和45年4月16日登
録出願され(優先権主張昭和44年10月16日オランダ王国),第21類「宝
玉,その他本類に属する商品」を指定商品とし,昭和47年7月20日設定登録さ
れたもの(第972813号。その後,一部放棄により,指定商品中の「かばん
類,袋物」についての商標権の一部抹消の登録がされた。)。
 引用D商標:「VALENTINOGARAVANI」の欧文字を横書きしてなり,昭和49年1
0月1日登録出願され,第21類「装身具,ボタン類,かばん類,袋物,宝玉及び
その模造品,造花,化粧用具」を指定商品とし,昭和60年7月29日設定登録さ
れたもの(第1793465号)。
 引用E商標:「VALENTINOGARAVANI」の欧文字を横書きしてなり,昭和49年1
0月1日登録出願され,第27類「たばこ,喫煙用具,マッチ」を指定商品とし,
昭和54年12月27日設定登録されたもの(第1402916号)。
 (3) 本件審判手続
 無効審判請求日:平成9年12月1日(平成9年審判第20430号)
 審決日:平成14年6月4日
 審決の結論:「登録第2614322号の登録を無効とする。」
 審決謄本送達日:平成14年6月14日(原告に対し)
 2 審決の理由の要旨
 別紙「審決の理由の要旨」に記載されたとおりである。
 要するに,(ⅰ)「ヴァレンティノ」(若しくは「バレンチノ」)の表示
は,「ValentinoGaravani(ヴァレンティノ・ガラヴァーニ)」の氏名又はそのデ
ザインに係る商品群に使用されているブランド(「VALENTINOGARAVANI(ヴァレン
ティノ・ガラヴァーニ)商標」)の略称を表すものとして,取引者及び需要者の間
で広く認識されていたものというのが相当である,(ⅱ)本件商標の構成中に,上記
略称として我が国において著名な「ヴァレンティノ」と同一の称呼を生ず
る「VALENTINO」の文字を含むものであることなど,本件商標の構成態様及び取引の
実情からすれば,本件商標を指定商品に使用した場合には,これに接する取引者及
び需要者は,その構成中の「VALENTINO」の文字部分に強く印象付けられ,「ヴァレ
ンティノ」とも呼ばれる「ValentinoGaravani(ヴァレンティノ・ガラヴァー
ニ)」のブランドを連想,想起し,当該商品が「ValentinoGaravani(ヴァレンテ
ィノ・ガラヴァーニ)」のブランドの一種,ないし兄弟ブランドであるとの誤解を
生じるか,あるいは「ValentinoGaravani(ヴァレンティノ・ガラヴァーニ)」,
もしくはその関連会社と組織的,経済的に何らかの関係がある者の業務に係る商品
であるかのように認識する蓋然性が極めて高いというべきであり,出所の混同を生
ずるおそれがあるものといわなければならない,(ⅲ) よって,本件商標は,商標
法4条1項15号に違反して登録されたものであり,その登録は無効とすべきもの
である,というものである。
第3 原告の主張(審決取消事由)の要点
 1 審決は,前記第2の2のとおりの理由で本件商標登録を無効としたが,(ⅰ)
「ヴァレンティノ」(若しくは「バレンチノ」)の表示が,「Valentino
Garavani(ヴァレンティノ・ガラヴァーニ)」の氏名又はそのデザインに係る商品
群に使用されているブランド(「VALENTINOGARAVANI(ヴァレンティノ・ガラヴァ
ーニ)商標」)の略称を表すものとしてとして著名であるとの事実はなく,(ⅱ)上
記商標及び本件商標ともに,一連一体の表示として認識される別異の商標であり,
本件商標をその指定商品に使用しても,上記商標と何らかの関係があるかのごとく
商品の出所について混同を生ずることは決してなく,(ⅲ)本件商標登録を無効とし
た審決の認定判断には誤りがあり,取り消されるべきである。
 その理由は,以下のとおりである。
 2 本件商標の使用状況及び取引の実情は,次のとおりである。
 GianniValentino(ジャンニ・バレンチノ)氏は,イタリア,ミラノ在住のデザ
イナーであり,ローマには,「GIANNIVALENTINO」のショップを有している。
 原告の関連会社であるヤング産業株式会社(以下「ヤング産業」という。)は,
ジャンニ・バレンチノ氏から,「日本国商標法における商品区分全類に属する商品
につき,『GIANNIVALENTINO』の商標を使用すること,並びに商標権を取得するこ
とを1982年(昭和57年)12月21日より20年間の期間において承諾す
る。」旨の昭和57年12月10日付けの「承諾書」を得て,「GIANNI
VALENTINO」ブランドによる商品展開を開始した。その後,順次,本件商標及び商品
区分を異にする16件の「GIANNIVALENTINO」に関する商標の登録を受けた(第1
7類を指定商品とする本件「GIANNIVALENTINO」商標は,昭和62年4月30日に
第1944782号として登録された。)。
 原告は,ヤング産業から本件商標を取得した上,ヤング産業との間で商標管理委
託契約書及び覚書を締結し,主に,ヤング産業がライセンス事業を行っている。
 ジャンニ・バレンチノ氏の下には,平成2年ころから,DanielaVeltroni(ダニ
エラ・ベルトローニ)がアシスタント・デザイナーとなり,彼女から年2回シーズ
ンディレクション(デザインの方向付け)が原告に送付されている。
 ヤング産業は,当初,「GIANNIVALENTINO」商標を自社商品のブランドとして使
用することで出発したが,ライセンス事業へと拡大して,昭和60年からライセン
ス事業は軌道に乗り,平成4年8月時点では,ライセンシーは24社となり,数社
の入れ替えはあるものの,平成10年10月時点では38社となり,平成13年1
0月時点では29社となり,平成14年8月9日のリストでも24社となってお
り,常に20社以上のライセンシーによって,それらの会社の取り扱いに係る商品
について,「GIANNIVALENTINO」商標は継続的に,かつ,全国的に使用されて今日
に至っている。
 各ライセンシーが取り扱う商品のカテゴリーは種々に及び,各カテゴリーに含ま
れる商品アイテムは,1500以上になっている(ライセンス事業開始当初は,約
200アイテム。)。
 そして,株式会社矢野経済研究所の「2001年版/ライセンスブランド全調
査」によれば,「GIANNIVALENTINO」商標は,2000年度ライセンスブランド売
上高ランキングで,116位中,年商250億円で第7位にランクされ,同「20
02年版」の2001年度売上高ランキングでも第4位にランクされている。
 ヤング産業は,長年にわたりライセンス事業に力を注ぎ,継続的な使用によって
商品を普及させてきたものであり,これまでの宣伝・広告だけでも,「繊研新聞」
への広告,東京及び大阪市の地下鉄構内及び地下街に設けられている広告掲載のス
ペースでの広告,ライセンシーの各種商品につき,商品カタログ,量販店における
チラシ,通販カタログ,ギフトカタログなどへの掲載など,膨大なものである。
 上記のとおり,ヤング産業は,「GIANNIVALENTINO」商標についての事業を拡大
して20年,年間の売上も約300億円のブランドマーケットに成長して,被服,
バッグ類,靴類などに限らず,家庭用品,陶器,寝具関係などの商品に使用してお
り,このようなファッショングッズを取り扱う需要者,取引者の間では,「GIANNI
VALENTINO」商標は広く認識されている,いわゆる周知商標となっている。
 3 「VALENTINO」の文字を含む商標の使用状況は,次のとおりである。
 「世界の一流品大図鑑’85年版」(甲31-2)及び「世界の特選品’86」
(甲31-3)では,「VALENTINOGARAVANI」の他に,「MARIO
VALENTINO」,「ValentinoRudy」が掲載されており,これらのブランドも,少なく
とも昭和60年,61年当時から,引用商標と同等に取引者,需要者の間に広く知
られている著名商標となっている。
 「VALENTINO」の文字を含む商標を使用したブランド品が提供されているマーケッ
トをみると,「MARIOVALENTINO」,「VALENTINORUDY」のほか,「FORTUNA
VALENTINO」,「VALENTINOORLANDI」,「GIOVANNIVALENTINO」,「RUDOLF
VALENTINO」,「VALENTINOCHRISTY」,「STEFANOVALENTINO」,「SILVIO
VALENTINO」,「VALENTINODOMANI」など多数存在する。
 「VALENTINO」又は「ヴァレンティノ」の文字を含む商標は,デザイナーズ・ブラ
ンドであるので,デザイナーの氏名を表示することになるのであり,それぞれの商
標全体を一連に表示してはじめて自他商品の識別機能を発揮し,これら商標に接す
る取引者,需要者をして明確に識別し商品を選択せしめることになるのである。上
記のように,「VALENTINO」の文字を含む商標は,いずれも全体を一連に表示して使
用されており,一連に表示して使用するからこそ出所の混同を生じることなく,取
引者,需要者は商品選択をすることができるのであり,かつ,我が国の取引の秩序
が維持されているのである。
 さらに,「VALENTINO」の文字を含む商品の取引では(特に,取引業者間では),
迅速を尊ぶ商取引が行われている実情にあって,「ヴァレンティノ」ないし「バレ
ンチノ」の部分を省略して,「ジャンニ」(Gianni),「マリオ」(Mario),「ル
ーディ」(Rudy),「ガラヴァーニ」(Garavani)等と簡略化して取引に使用され
ることが多いので,「VALENTINO」の文字を含むブランドが多数存在していても,彼
此相紛れるおそれが生ずることはない。
 上記のとおり,我が国の商品取引市場において,「VALENTINO」の文字を含む多数
の商標が併存しているにもかかわらず,それらの商品に接する需要者(一般消費者
を含む。),取引者は彼此誤認を生じることなく商品を選択しているのであり,こ
のように取引の秩序が維持されているということは,各商標の「棲み分け」ができ
ていることを示しているのにほかならない。
 「VALENTINO」は,イタリアでは聖バレンタインに由来する姓(苗字)であり,日
本の「田中」,「中村」,「鈴木」などのように,「VALENTINO」だけでは,どこの
ヴァレンティノ氏か分からず,「GIANNIVALENTINO」,「MARIOVALENTINO」のよう
にフルネームで表記しなければ,正確には理解できない(姓を後に記す表記法と,
前に記す表記法とがある。)。イタリアにおいては,「VALENTINO」を姓とするデザ
イナーは多数存在するから,日本において,そのデザイナーに由来する「GIANNI
VALENTINO」商標や「VALENTINORUDY」なる商標などが複数存在していても,何ら不
思議なことではない。日本において,「VALENTINO」の文字を含む商標がファッショ
ン商品を中心として多数存在する現状においては,単に「VALENTINO」と表記した商
品に接しても,需要者は,どのVALENTINO商品であるのかを正確には識別し得な
い。「VALENTINO」の文字を含む他の多くの商標の使用者は,デザイナーズ・ブラン
ドとして,それぞれフルネームで表記して,それぞれ「棲み分け」を図っており,
かつ,それぞれ商品を取り扱う代理店を異にし,商品の販売経路を異にしている場
合もあるところから,ヴァレンティノ・ガラヴァーニ氏のブランドないしはその兄
弟ブランドであるなどと誤解するようなことは決してない。
 なお,特許庁において,「VALENTINO」の文字を含む多くの商標が登録されてい
る。
 4 審決は,「ヴァレンティノ」(若しくは「バレンチノ」)の表示
は,「ValentinoGaravani(ヴァレンティノ・ガラヴァーニ)」の氏名,又はその
デザインに係る商品群に使用されるブランドの略称を表すものとして,本件商標の
登録出願前より,我が国のファッション関連の商品分野の取引者及び需要者の間で
広く認識されていたものというのが相当であると認定しているが,誤りである。
 本件証拠をみると,「ヴァレンティノ・ガラヴァーニ」の自らの商品カタログに
おいては,「ヴァレンティノ」の略称を使用しているものがあるが(甲30-64
~66・68),「ヴァレンティノの炎」という散文的なキャッチコピーの中で表
示しているだけであり,商品の目印である商標として使用しているのではない。
 審判において職権証拠調べの対象となった書証には,「ヴァレンティノ」のみの
表示があるが(甲44,45),雑誌中でその記載がある頁しか証拠とされておら
ず,前後の頁の記載が明らかではなく,ヴァレンティノ・ガラヴァーニ氏の略称と
して使用されているのか否か不明である(なお,甲45の「編集ノート」では,
「ヴァレンティノ・ガラヴァーニ」と記載されている。)。
 その他,書証中で「ヴァレンティノ」との略称が用いられている書証であって
も,同じ頁に「VALENTINOGARAVANI(ヴァレンティノ・ガラヴァーニ)」などのフ
ルネームの表示とともに記載され,あるいは辞典において「ヴァレンティノ・ガラ
ヴァーニ」の項目の中の記述として,「ヴァレンティノ」との表記が使用されてお
り,単に記事の中で簡略に表現するために使用されているにすぎないものなどであ
る。なお,「岩波=ケンブリッジ世界人名辞典」(甲43)の記載によっても,上
記略称を示すものとして取引者又は需要者の間に広く認識されていたことを示すと
はいえない。
 いずれにしても,本件商標の出願前の証拠としてはわずかな事例であり,単に,
「ヴァレンティノ」「Valentino」のみの表示があったものが,「Valentino
Garavani」を表示するものとして使用され,かつ,著名であることを示唆するよう
な資料は全く見当たらない。
 その上,ファッションブランド市場には「VALENTINO(ヴァレンティノ)」の表示
を含む多数のブランド品があり,それぞれ一連に表示して使用しているという取引
の実情の中で,「ヴァレンティノ」,「VALENTINO」の略称のみでは,どのブランド
を指称するのかが不明となり,商品の取引者,需要者の間に混乱を生じることにな
りかねない。
 およそ,略称が「著名」になっているというためには,その略称が長期間にわた
って継続して使用されている状態でなければならないが,そのような事実を示す証
拠も見当たらない。むしろ,本訴において被告も認めるように,プレイロード株式
会社(以下「プレイロード」)が「VALENTINO」商標の登録を受けていた関係で(被
服類等の第17類を指定商品とし,昭和45年1月19日に第852071号とし
て登録された。),昭和49年頃から上記商標の移転登録を取得する平成8年まで
の間,我が国においては,被服類等の被告商品には「VALENTINOGARAVANI」の商標
が付されて輸入販売されていたのであり,商品に「VALENTINO」単独での商標の使用
はされていなかった。このように使用されていなかった「VALENTINO」商標につい
て,「VALENTINO」が「VALENTINOGARAVANI」の略称を表示するものとして著名であ
ったとはいえない。
 以上のとおり,被告は,昭和49年頃から平成8年頃まで,我が国
で「VALENTINO」の文字を単独では商標として使用していなかった
上,「Valentino」の文字を含むデザイナーが多数存在し,それらのデザイナーの商
品群を表示する商標と商品が我が国のファッションブランド市場に多数提供されて
いるという取引の実情の中で,審決で示された程度の使用例をもって,「ヴァレン
ティノ」や「バレンチノ」が「ValentinoGaravani」の略称を示すものとして,取
引者,需要者の間に広く知られていたということは全く考えられない。
 5 審決は,前記第2の2「審決の理由の要旨」(ⅱ)のとおり説示して,出所の
混同を生ずるおそれがあると認定判断した。また,審決は,被請求人(原告)が主
張した「棲み分け」についても否定した。
 しかし,以上の認定判断は,誤っている。
 (1) 本件商標の使用状況及び取引の実情並びに「VALENTINO」の文字を含む商標
の使用状況は,前記のとおりであり,「ヴァレンティノ」の表示は,引用商標を直
ちに認識せしめるような著名なものではないこと,本件商標の登録出願前であって
も登録査定までの間であっても,そのような事実のないことは,前記のとおりであ
る。
 (2) 以上によれば,我が国において「ヴァレンティノ」が引用商標の略称として
も著名であるとは認識されていないこと,本件商標を含む「GIANNIVALENTINO」商
標は,ファッションブランド市場において,売上高において上位にランクされるま
でになり,かつ,業界における取引者,需要者の間に広く知られている商標となっ
ていること,我が国の商品市場には,「VALENTINO」の文字を含む商標を使用した商
品が多数存在し,「VALENTINO」の文字の使用によって,取引者,需要者の間に混乱
を生ずることなく,我が国の取引の秩序を維持しているという取引の実情が現にあ
ること(「棲み分け」をしている。),これに加え,本件商標を含む「GIANNI
VALENTINO」商標は,常に全体を一連のものとして使用し,「ジャンニ・バレンチ
ノ」の称呼が生ずるものであり,略称が必要なときは「ジャンニ」と称呼されるこ
とが認められる。これらにかんがみれば,本件商標を含む「GIANNIVALENTINO」商
標と被告の引用商標は,本件商標の指定商品,その他各種商品に使用しても,取引
の実際において彼此相紛れるおそれは全くない(「ヴァレンティノ」の称呼が生ず
る表示と相紛れるおそれもない。)。
第4 被告の主張の要点
 1 審決の認定判断は,正当であって,審決に原告主張の違法はない。
 2 原告は,矢野経済研究所作成のライセンスブランド調査(甲13-1等)を
引用して,本件商標の周知性を主張する。しかし,上記調査は,調査方法,調査資
料等が全く明記,公表されておらず,信頼性は極めて疑わしい。「いずれも弊社推
定」と記載されるなど確たる客観的資料に基づいて作成されたものではない。上記
では,2000年度の「ジャンニ・バレンチノ」ブランドが年商250億円として
第7位にランクされているが,内訳は不明である。帝国データバンクの企業情報
(乙1)などに照らせば,上記年商250億円とは考えられない。また,上記資料
には,ルイ・ヴィトンに代表されるような著名ブランドの掲載がなく,掲載ブラン
ドの採用につき疑問があり,客観性を疑わせる。なお,「VALENTINOGARAVANI」ブ
ランドにつき,矢野経済研究所から公式の調査申入れがあったことも一切ない。こ
のような資料をもとに,「GIANNIVALENTINO」商標の周知性を判断することはでき
ない。
 本件の問題は,本件商標登録出願時から査定時において,本件商標「GIANNI
VALENTINO」が,周知商標となり,被告の周知著名な「VALENTINOGARAVANI(ヴァレ
ンティノ・ガラヴァーニ)商標」,又はValentinoGaravani(ヴァレンティノ・ガ
ラヴァーニ)氏の略称若しくは同人のデザインに係る商品群に使用されるブランド
の略称を表すものとして我が国のファッション関連の商品分野の取引者,需要者の
間に広く認識されていた「VALENTINO」,「Valentino」,「valentino」,「ヴァレ
ンティノ」,「バレンチノ」の商標と出所の混同を生ずるおそれがあったか否かの
問題である。
 しかし,本件商標「GIANNIVALENTINO」が周知商標であることを立証するための
原告提出の証拠(甲11~28〔枝番号付きのものも含む。〕)は,いずれも本件
商標の査定後の事実を示すものである。これらの証拠によって,本件商標がその登
録出願時から査定時において周知商標となったものと認めることはできない。
 また,原告の主張する「棲み分け」についても,前記のとおり本件商標登録出願
時から査定時に,本件商標が周知商標であった事実はなく,周知著名な上
記「VALENTINOGARAVANI(ヴァレンティノ・ガラヴァーニ)」商標等と「棲み分
け」がされていたことはないといわなければならない。
 3 「VALENTINO」,「Valentino」の文字を含む結合商標が他に登録され,使用
されていても,それらが,取引者,需要者によりイタリアの服飾デザイナーである
ValentinoGaravani(ヴァレンティノ・ガラヴァーニ)氏のデザインに係る商品に
使用される「VALENTINO」と明確に区別され,ValentinoGaravani氏とは関係のない
ものとして取引されているという事実はない。
 すなわち,ValentinoGaravani氏のデザインに係る商品に使用される「VALENTINO
GARAVANI(ヴァレンティノ・ガラヴァーニ)商標」又は「VALENTINO」
(「Valentino」,「valentino」,「ヴァレンティノ」,「バレンチノ」)の商標
が「ヴァレンティノ」と呼ばれて,周知著名である事実に照らせば,取引者,需要
者が,「VALENTINO」の語を含む結合商標について,ValentinoGaravani氏のデザイ
ンに係る商品を示すものであって,その結合商標が付された商品を,周知著名
な「VALENTINO」(「Valentino」,「valentino」,「ヴァレンティノ」,「バレン
チノ」)ブランドないしはその兄弟ブランドであるなどと誤解している可能性も十
分にあるというべきである。
 のみならず,ValentinoGaravani氏のデザインに係る商品に使用され
る「VALENTINOGARAVANI(ヴァレンティノ・ガラヴァーニ)商標」又
は「VALENTINO」(「Valentino」,「valentino」,「ヴァレンティノ」,「バレン
チノ」)の商標が「ヴァレンティノ」と呼ばれて,周知著名である事実に照らせ
ば,「VALENTINO」の文字を含む商標であって,これと区別して認識されているもの
が,仮にあったとしても,そのことは,本件商標によってValentinoGaravani氏の
デザインに係る商品の出所の混同のおそれの事実を何ら左右するものではないとい
うべきである。
 なぜならば,仮に,他の結合商標が,周知著名な「VALENTINOGARAVANI(ヴァレ
ンティノ・ガラヴァーニ)商標」又は「VALENTINO」
(「Valentino」,「valentino」,「ヴァレンティノ」,「バレンチノ」)ブラン
ドと区別され,出所を異にするものとして理解されているとするならば,そのこと
は,「VALENTINO」の文字を含む商標が,「VALENTINO」とそれ以外の他の特定の文
字とが結合したものとしてよく知られ,かつ,ValentinoGaravani氏とは関係のな
いものとしてよく知られるに至っている等の特段の事情があることを意味するので
あって,そのような場合にこそ,ValentinoGaravani氏のデザインに係る商品に使
用される「VALENTINOGARAVANI(ヴァレンティノ・ガラヴァーニ)商標」又
は「VALENTINO」(「Valentino」,「valentino」,「ヴァレンティノ」,「バレン
チノ」)の商標と区別され,原告のいう「棲み分け」がされるといい得るのであ
る。
 ところが,本件商標登録出願時から査定時に,本件商標が,「VALENTINO」とそれ
以外の他の特定の文字「GIANNI」とが結合したものとして取引者,需要者において
よく知られ,かつ,ValentinoGaravani氏とは関係のないものとしてよく知られる
に至っている等の特段の事情は,全く認められないのである。
 したがって,前記「VALENTINO」の文字を商標中の構成に取り入れている多数の商
標が登録され,使用されていることによって,本件商標についてValentino
Garavani氏のデザインに係る商品との出所の混同のおそれが減少するものというこ
とはできない。
 原告は,イタリアにおいては「VALENTINO」を姓とするデザイナーは多数存在し,
日本において,「VALENTINO」の文字を含む商標がファッション商品を中心として多
数存在する現状においては,フルネームで表記して,それぞれ「棲み分け」をはか
っている旨主張する。
 しかしながら,イタリアにおいて「VALENTINO」を姓とするデザイナーは多数存在
したとしても,我が国における被告の「VALENTINOGARAVANI(ヴァレンティノ・ガ
ラヴァーニ)商標」の周知著名性を何ら妨げる事由となるものではない。我が国に
おいては,「VALENTINOGARAVANI(ヴァレンティノ・ガラヴァーニ)商標」が周知
著名であり,「VALENTINO」,「Valentino」,「valentino」,「ヴァレンティ
ノ」,「バレンチノ」と表示されている場合には,ファッション関連の商品分野の
取引者,需要者は,ValentinoGaravani氏のデザインに係る商品を表示するものと
識別し得るものである。そして,「VALENTINO」の文字を含む商標がファッション関
連の商品に使用される場合には,ValentinoGaravani氏のデザインに係る商品を示
すものであり,その商標が付された商品を,周知著名な「VALENTINOGARAVANI(ヴ
ァレンティノ・ガラヴァーニ)商標」又は「VALENTINO」
(「Valentino」,「valentino」,「ヴァレンティノ」,「バレンチノ」)ブラン
ドないしはその兄弟ブランドであるなどと誤解するおそれがあるものというべきで
ある。
 4 原告は,「ヴァレンティノ」,「バレンチノ」が「ValentinoGaravani」の
略称を示すものとして,取引者,需要者の間に広く知られていたということはない
旨主張する。しかし,原告の主張は失当である。
 通常,著名なデザイナー・ブランドの場合には,特に外国人の著名なデザイナー
にあっては,そのデザイナーの氏名の略称により(「シャネル(CHANEL)」,「ク
レージュ(Courreges)」,「アルマーニ(ARMANI)」,「フェラガ
モ(Ferragamo)」,「ディオール(Dior)」等),そのデザイナーのデザインに係
る商品を指すことがファッション関連商品を取り扱う我が国業界においてよくみら
れる取引の実情である。著名なデザイナーであるValentinoGaravani氏も,上記著
名なデザイナーと同様に,「Valentino(ヴァレンティノ)」と略称され,同氏のデ
ザインに係る商品を指すものとして我が国の取引者,需要者において周知著名であ
ることは,証拠に照らして明らかである。
 実際にも,諸外国,とりわけ,イタリア,フランス等のヨーロッパ主要国及び米
国における服飾等のファッション関連商品分野においては,「VALENTINO」といえ
ば,周知著名なデザイナーValentinoGaravani氏の略称又は同氏のデザインに係る
商品に使用されるブランドの略称として知られているところである。
 我が国においては,三井物産株式会社がイタリアのVALENTINO社との交渉に成功,
独占輸入契約を締結し,イタリアの著名デザイナーValentinoGaravani氏のデザイ
ンに係る商品に「VALENTINOGARAVANI(ヴァレンティノ・ガラヴァーニ)商標」を
付した商品を昭和45年(1970年)から輸入した。その後,昭和49年(19
74年)7月17日に,その商品の国内販売のため,三井物産他2社の共同出資に
より,東京都千代田区紀尾井町(設立当初,現在は平河町)に株式会社ヴァレンテ
ィノ・ブティック・ジャパン(以下「ヴァレンティノ・ブティック・ジャパン」)
を設立した。同社は,直営販売店をホテルニューオータニ内に置くほか,直営店を
全国一流百貨店等に出店して,遅くとも1977年(昭和52年)頃には,これら
の一流百貨店等において,ValentinoGaravani氏のデザインに係る商品につい
て「VALENTINO」,「Valentino」,「ヴァレンティノ」を用いて販売していたもの
である。かかる状況は現在においても引き続き継続しているところである。
 なお,プレイロードは,「VALENTINO」との商標につき,第17類を指定商品とし
て,昭和43年に出願し,昭和45年1月19日に第852071号として設定登
録を受けていた。このため,三井物産は,被服類等の第17類につ
き,「VALENTINO」商標の登録を得ることができなかった。そこで,三井物産は,日
本向けのみにつき,「VALENTINOGARAVANI」の商標を付することとした。この結
果,日本以外の外国では,すべて「VALENTINO」商標として周知著名な製品が,日本
でのみ「VALENTINOGARAVANI」商標が付されることとなった。しかし,この間に
も,イタリアのオリジナル広告用カタログ,パンフレット類は,「VALENTINO」のま
まで通用していた。プレイロードとの間では訴訟等の争いはなかった。その
後,「VALENTINO」商標(第852071号)は,平成6年12月19日,プレイロ
ードから帝人商事株式会社に移転登録され,平成8年9月9日には,ヴァレンティ
ノ側への移転登録がされた。被告は,これ以後,「VALENTINO」商標を被服等につい
て使用している。
 このような事実にかんがみると,遅くとも1977年(昭和52年)頃から現在
に至るまで,我が国における服飾等のファッション関連商品分野において
は,「VALENTINO」,「Valentino」,「ヴァレンティノ」といえば,周知著名なデ
ザイナーValentinoGaravani氏の略称又は同氏のデザインに係る商品に使用される
ブランドの略称として知られているというべきである。
 したがって,上記審決の認定判断には,何らの誤りもない。
 なお,原告は,証拠のほとんどが「VALENTINOGARAVANI」と「VALENTINO」が併記
されたものであるなどと主張するが,重要なのは,「VALENTINOGARAVANI」の略称
が「GARAVANI」ではなく,「VALENTINO」である点である。その他の「VALENTINO」
を含む商標においては,「VALENTINO」と省略表記される例はなく,このこと
は,「VALENTINOGARAVANI」のみが「VALENTINO」として著名であることを明白に示
している。両者が併記されている事実は,審決の認定を妨げるものではない。
 5 原告は,出所の混同を生ずるおそれがあるものとした審決の認定判断が誤り
であるなどと主張するが,失当である。
 本件商標は,「GIANNIVALENTINO」の欧文字を横書きしてなるものであって,欧
文字で15文字であり,比較的長い商標である。また,デザイナーズ・ブランド
は,そのデザイナーの氏名の略称により,そのデザイナーのデザインに係る商品を
指すことがファッション関連商品を取り扱う我が国業界においてよくみられる取引
の実情である。本件商標についても同様の事由により,取引の実際においては,そ
の一部だけによって簡略に表記ないし称呼され得るものである。
 被告の商標は,周知著名な「VALENTINOGARAVANI(ヴァレンティノ・ガラヴァー
ニ)商標」又は「VALENTINO」(「Valentino」,「valentino」,「ヴァレンティ
ノ」,「バレンチノ」)ブランドであり,ValentinoGaravani氏のデザインに係る
婦人・紳士物の衣料品,毛皮,革製バッグ,革小物,ベルト,ネクタイ,靴,ライ
ター,傘,ハンカチ等,ファッション関連商品について周知著名な商標である。
 仮に,被告の商標がイタリア人の氏姓を連想させるもので,造語による商標に比
して,独創性が高くないとしても,本件商標の指定商品は,はき物,かさ,つえ等
であり,被告の商標が現に使用されている商品と同一であるか,これと関連性の程
度が極めて強いものである。このことから両者の商品の取引者及び需要者が共通す
ることも明らかである。しかも,両者の商品が日常的に消費される性質の商品であ
ることや,その需要者が特別な専門的知識経験を有しない一般大衆であり,これを
購入するに際して払われる注意力はさほど高いものではない。そうすると,本件商
標の商標法4条1項15号該当性を判断する上で,被告の商標の独創性の程度を重
視すべきではない。
 したがって,被告の商標の周知著名性の程度の高さや,本件商標と被告の商標と
における商品の同一性,関連性及び取引者,需要者の共通性に照らすと,本件商標
がその指定商品に使用されたときには,簡易迅速性を重んずる取引の実際において
は,本件商標の構成中の「VALENTINO」の文字部分がこれに接する取引者,需要者に
特別な文字として,その注意を引くであろうことは容易に予測し得るところであ
る。
 以上のとおり,本件商標は,被告の商標と同一の部分をその構成の一部に含む商
標であって,その外観,称呼及び観念上,この同一の部分「VALENTINO」がその余の
部分から分離して認識され得るものであることに加え,被告の「VALENTINO
GARAVANI(ヴァレンティノ・ガラヴァーニ)商標」又は「VALENTINO」,「ヴァレン
ティノ」等のブランドの周知著名性の程度が高く,しかも,本件商標の指定商品と
被告の商標の使用されている商品が重複し,関連性を有し,両者の取引者及び需要
者も共通している。これらの事情を総合的に判断すれば,本件商標は,これに接し
た取引者及び需要者に対し,ValentinoGaravani氏若しくはその経営する会社又は
これらと緊密な関係にある営業主の業務に係る商品であることを連想させて,その
商品の出所につき誤認混同を生じさせるものであり(広義の混同のおそれ),本件
商標の登録を認めた場合には,被告の周知著名な「VALENTINOGARAVANI(ヴァレン
ティノ・ガラヴァーニ)商標」の持つ顧客吸引力へのただ乗り(いわゆるフリーラ
イド)やその希釈化(いわゆるダイリューション)を招来する結果を生じかねな
い。
 したがって,本件商標について商標法4条1項15号に該当すると認定判断し,
本件商標の登録を無効にすべきものとした審決は,正当なものであって,何らの誤
りもないものである。
 原告は,「VALENTINO」の文字を含む商標が原告の商標のほかにも多数存在するこ
とを指摘する。しかし,これらのほとんどの商標の出願,登録は,「VALENTINO
GARAVANI(ヴァレンティノ・ガラヴァーニ)商標」に係る商品が「VALENTINO」の略
称をもって周知著名性を獲得した昭和52年前後又は平成に入ってからのものであ
る。この事実は,逆に,「VALENTINO」の有名性,著名性及びそのブランドの顧客吸
引力を示している。「VALENTINOGARAVANI」以外の「VALENTINO」を含む商標群は,
すべて「VALENTINOGARAVANI」ブランドへのフリーライドの商標であり,本
件「GIANNIVALENTINO」商標も同様である。
第5 当裁判所の判断
 1 本件商標の内容について
 本件商標は,「GIANNIVALENTINO」の欧文字を横書きしてなるものであり,指定
商品を第22類「はき物,かさ,つえ,これらの部品および附属品」とし,平成元
年3月30日登録出願,平成5年5月25日登録査定を経て,同年12月24日設
定登録を受けたものである。なお,弁論の全趣旨によれば,「GIANNI
VALENTINO(ジャンニ・バレンチノ)」とは,イタリア生まれのデザイナーの氏名そ
のものである。
 2 ValentinoGaravani(ヴァレンティノ・ガラヴァーニ)氏について
 証拠(甲38,41,42,乙18,19〔枝番号付きのものも含む。〕)及び
弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。
 ValentinoGaravani(ヴァレンティノ・ガラヴァーニ)氏は,1932年イタリ
アに生まれた。ミラノとパリでファッションを勉強した上,パリのギ・ラローシュ
の下で働くなどした後,1959年にイタリアに戻り,ローマにデザイン工房を設
けた。1967年にフィレンツェで白一色の「白のコレクション」を発表して,
「ニューズ・ウィーク」,「タイム」,「ライフ」などの雑誌等,マスコミに大き
く取り上げられるなど,一躍その名を高め,同年には,ニーマン・マーカス賞(フ
ァッション界のオスカー賞に相当するといわれる。)を受賞した。その後,エリザ
ベス・テイラー,オードリー・ヘップバーン,ジャクリーヌ・ケネディ,モナコ公
国グレース妃などの著名人を顧客に持ち,世界の高級ブランドとしての名声を高め
ていった。
 3 「VALENTINOGARAVANI(ヴァレンティノ・ガラヴァーニ)」の表示の周知著
名性について
 (1) 証拠(甲30-14~50,31-2・3,72-1~4,乙17)及び弁
論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。
 三井物産は,ヴァレンティノ・ガラヴァーニ氏のデザインに係る商品について,
独占輸入契約を締結し,昭和45年(1970年)から輸入を始めた。昭和49年
(1974年)7月17日には,国内販売のため,三井物産他2社の共同出資によ
り,ヴァレンティノ・ブティック・ジャパンが設立された。同社は,直営販売店を
ホテルニューオータニ内に置くほか,直営店を全国有名百貨店等に出店して,遅く
とも昭和52年(1977年)頃には,これらの有名百貨店等において,ヴァレン
ティノ・ガラヴァーニ氏のデザインに係る商品を全国的に販売していた。
 被告の有する我が国における登録商標としては,前記第2,1(2)の引用商標とし
て記載したものなどがある。このうち,引用C商標は,「VALENTINO」との商標であ
る(第21類「宝玉,その他本類に属する商品」で,「かばん類,袋物」を除くも
のが指定商品)。もっとも,本件商標の指定商品と同じ第22類について被告が有
する登録商標は,前記引用A商標である「VALENTINOGARAVANI」との商標であっ
て,第22類についての「VALENTINO」との商標は,マリオ・バレンチーノS.P.A.が
設定登録を受けている(第22類の「はき物(運動用特殊靴を除く),かさ,つ
え,これ等の部品及び附属品」が指定商品)。なお,同社は,上記「かばん」等に
ついても「VALENTINO」との商標の登録を受けている。また,被服を含む第17類を
指定商品とする「VALENTINO」との商標については,プレイロードが昭和43年に出
願し,昭和45年1月19日に第852071号として設定登録を受けたことで,
ヴァレンティノ・ガラヴァーニ側,すなわち三井物産は,被服類等につ
き,「VALENTINO」商標の登録を得ることができなかった。そこで,三井物産は,や
むを得ず,プレイロードと協議の結果,被服類を含めすべての商品について,
日本向けのみに「VALENTINOGARAVANI」のマークを付することとなった。その
後,「VALENTINO」商標(第852071号)は,平成6年12月19日,プレイロ
ードから帝人商事株式会社に移転登録され,平成8年9月9日には,被告側への移
転登録がされた。
 ヴァレンティノ・ガラヴァーニ氏のデザインに係るハンドバッグ,ベルト,婦人
服,紳士服,パーティーバッグ,フォーマルウェア,スポーツウェア,ネクタイ,
婦人靴等は,多くの雑誌等において,繰り返し紹介されており,その表示とし
て,「VALENTINOGARAVANI/ヴァレンティノ・ガラヴァーニ」,「valentino
garavani」,「VALENTINOGARAVANI」,「ヴァレンティノ・ガラヴァーニ」,又
は「valentinogaravani」若しくは「VALENTINOGARAVANI」と「V」を図案化した
図形とを組み合わせたものが多用されている。
 (2) 上記認定事実によれば,本件商標の出願ないし登録査定日までの時期におい
て,「VALENTINOGARAVANI(ヴァレンティノ・ガラヴァーニ)の表示」が周知で著
名になっていたということができる(原告もこの点は積極的に争わない。)。
 4 「VALENTINO(ヴァレンティノ)」の表示の周知著名性について
 (1) 前記のとおり,プレイロードがいち早く被服を含む第17類を指定商品とす
る「VALENTINO」との商標の登録を受けていたという特殊事情があった。そこで,商
品本体に付する表示としては,ヴァレンティノ・ガラヴァーニ氏のデザインに係る
すべての商品について,日本向けのものにのみ,「VALENTINOGARAVANI」のマーク
を付する措置を講じていたが,被告への移転登録のされた平成8年9月9日の後
は,「VALENTINO」との商標を付することができるようになったものであって,以上
は,我が国のみの特殊事情であった(乙17,弁論の全趣旨)。
 (2) 一方,ローマ,フィレンツェ,ミラノなどにあるVALENTINOGARAVANIの店名
は,「Valentino」との名称であり,イタリアで印刷された宣伝広告用の書籍やパン
フレット等では,「VALENTINO」のみの表示が広く使われており,また,外国で
は,ValentinoGaravani氏について「VALENTINO」とのみ表記した書籍が出版される
などしている(甲42,乙13,17,18-1~8,20,弁論の全趣旨)。
 平成8年9月9日以前におけるヴァレンティノ・ブティック・ジャパン作成の日
本語の商品カタログなどでも,表紙にこそ「VALENTINOGARAVANI」との表示もある
が,むしろ本文では,「VALENTINO」又は「ヴァレンティノ」のみの表示でほぼ統一
されている(甲30-63~68,乙5,6)。また,被告は,前記のとおり,昭
和47年7月20日の設定登録以降,第21類「宝玉,その他本類に属する商品」
を指定商品とする(後に指定商品中の「かばん類,袋物」について商標権の一部抹
消)「VALENTINO」との登録商標も有している。
 (3) 本件商標の指定商品の取引者,需要者が接するものと認められる一般に発売
されている書籍,雑誌等をみると,次のような記載がある。
 辞典類において,ヴァレンティノ・ガラヴァーニ氏を指して,「ヴァレンティ
ノ」,「VALENTINO」との表示があるものがある(「服飾辞典」昭和54年3月5日第1
刷発行,文化出版局(甲41),「英和商品名辞典」平成2年第1刷発行,研究社
(甲42))。特に,「岩波=ケンブリッジ 世界人名辞典」(平成9年11月21日発
行,岩波書店,甲43,乙22)は,「通称ヴァレンティノ」と明記している。
 雑誌において,「ヴァレンティノ」,「VALENTINO」との表示がされたものとし
て,次のものがある。すなわち,「ヴァレンティノは,1952年,ジャン・デシ
ーのアトリエ主任をした後…今シーズンのヴァレンティノのデザイン傾向はクラシ
ック…」との記載のほか,「ヴァレンティノ」とのタイトルに続き「最も人気があ
るヴァレンティノのネクタイは…」との記載(「世界の一流品大図鑑」昭和51年6月
5日発行,講談社,甲38),「ローマだけでもヴァレンティノの店は四店ある…ヴ
ァレンティノは偉大なファッションクリエイターとして…」との記載(「EUROPE一
流ブランドの本」昭和52年12月1日発行,講談社,甲39),「永遠にエレガンスを
追求するヴァレンティノにとって…ヴァレンティノの高度なファッション感覚に色
づけされたハンドバッグは…」との記載(「世界の一流品大図鑑’81年版」講談
社,甲30-14・15),「女性らしさを愛し,魅惑的で優美な衣裳作りを心が
けているというヴァレンティノ」との記載(「世界の一流品大図鑑’85年版」昭
和60年5月25日発行,講談社,甲31-2),「ヴァレンティノのネクタイを締めて
いると女性の眼差しまで変わってくるとか」との記載(「男の一流品大図鑑’85
年版」昭和59年12月1日発行,講談社,甲40),「ナチュラルでしかも新鮮な風合
いは,美を創造するヴァレンティノの情熱が感じられます」との記載(「世界の特
選品’86」,昭和60年11月1日発行,世界文化社,甲31-3),「ヴァレンティ
ノの服は,このスカート丈とニット素材…」との記載(「ヴァンサンカン25ans
1987.10」昭和62年10月号,甲30-36・37),「ヴァレンチノ,ソニア・リキ
エルから,若々しいbisブランドがデビュー。…この秋デビューしたヴァレンチ
ノの『オリバー・ドンナ』」との記載(「non-no’89No23」平成元年12月5日
発行,集英社,甲44),タイトルとして「リズの花嫁衣装はバレンチノ」との記
載に加え,記事本文での「8度目の結婚をする米女優エリザベス・テイラーのウエ
ディングドレスを,イタリアの有名デザイナー,バレンチノが作ることになった。
…リズが…バレンチノのところへ電話をかけてきて,…頼んだ」などの記載(「報
知新聞」平成3年7月29日,甲30-70),表紙での大きな文字による「ヴァ
レンティノ」との表示に加え,その脇に「今月の特集/ファッション界最大のスタ
ー"ヴァレンティノ"の魅惑」との記載(「marieclaire1996.2」平成8年
2月1日発行,中央公論社,甲45。なお,末尾の「編集ノート」で「モード界の巨
匠,ヴァレンティノ・ガラヴァーニの華麗なる世界にスポットを当てました。」と
記載)である。
 また,本件全証拠によっても,「VALENTINOGARAVANI」以外のブランドで,単
に「VALENTINO(ヴァレンティノ)」との表示で通用しているものが存在することは
認められない。
 なお,百貨店の三越,高島屋,伊勢丹の売り場案内図で「ヴァレンティノ」との
表示がみられるが(乙7~9),これは,店舗名自体が「VALENTINO(ヴァレンティ
ノ)」との名称とされているからであろうと思われる。しかし,これら案内図は,
前記プレイロードとの関係が解決した平成8年9月9日以後のものであり,それ以
前から「VALENTINO(ヴァレンティノ)」と表示されていたことの証明にはならな
い。
 (4) 以上認定のとおり,平成8年9月9日以前には,我が国においては,上
記(1)のような特殊事情により,ヴァレンティノ・ガラヴァーニ氏のデザインに係る
商品には,すべて「VALENTINOGARAVANI」のマークが付されていたこと,しかし,
それは日本向けの商品のみであり,イタリアなどのファッション界におい
て,「VALENTINO」は,ValentinoGaravani氏を指すものと理解されており,被告の
パンフレットはもとより,店舗名や書籍等でも「VALENTINO」のみの表示が多用され
ていること,平成8年9月9日以前はもとより,本件商標の出願日及び登録査定日
の以前から,我が国でも多くの書籍,雑誌等において,同氏のこと
を「VALENTINO」,「ヴァレンティノ」と表記して紹介されていることが認められる
のであり(なお,本件商標の出願日又は登録査定日の後に出版されたものも,出願
日又は登録査定日当時の事情を推認する証拠になり得る。),これらに照らせば,
本件商標の出願日及び登録査定日の当時,本件商標の指定商品の取引者,需要者の
間で,「VALENTINO」,「ヴァレンティノ」の表示は,ValentinoGaravani(ヴァレ
ンティノ・ガラヴァーニ)氏又はそのデザインに係る商品群に使用されるブランド
(「VALENTINOGARAVANI(ヴァレンティノ・ガラヴァーニ)商標」)の略称を表す
ものとして認識されていたものというべきである。この点に関する審決の認定判断
は是認し得るものである。
 なお,上記認定は,商標の指定商品の区別なく認められるのであって,本件商標
の指定商品と同じ第22類について被告が有する登録商標が「VALENTINO
GARAVANI」で,マリオ・バレンチーノS.P.A.が第22類について「VALENTINO」との
登録商標を有することは,上記の認定を左右するものではない。
 (5) 原告は,「VALENTINO」,「ヴァレンティノ」の表示がValentino
Garavani(ヴァレンティノ・ガラヴァーニ)氏又はそのデザインに係る商品群に使
用されるブランドの略称を表すものとして認識されていたとする審決の認定判断が
誤りであるとし,その根拠となった証拠につき,「バレンチノ」,「VALENTINO」と
の表示があるものは,「VALENTINOGARAVANI(ヴァレンティノ・ガラヴァーニ)」
との記載とともにされているなど,単に記事の中で簡略に表現するために使用され
ているにすぎないなどと主張する。
 しかし,前掲「marieclaire1996.2」(甲45)は,雑誌の表紙におい
て,大きい文字で「ヴァレンティノ」とのみの表示となっているのであり(末尾の
編集ノート欄には,「ヴァレンティノ・ガラヴァーニ」との記載がある。),雑誌
の編集者・発行者としては,読者を引きつけるべき表紙のタイトルが意味不明なの
は致命的であるから,「ヴァレンティノ」との表示のみで,読者には「ヴァレンテ
ィノ・ガラヴァーニ」のことであると理解されるとの認識の下に編集・出版したこ
とが明らかである。また,前記「世界の一流品大図鑑’81年版」(甲30-1
4・15)は,ハンドバッグを紹介するにつき,「ヴァレンティノ・ガラヴァー
ニ」との表題が記載された上で,説明文中では,上記のとおり「ヴァレンティノ」
との表示で記載されているものである。これは,フルネームの繰り返しを避けたに
すぎないとも考えられなくもないが,「VALENTINO」の文字を含む商標が唯一でない
状況の中で,略すとしても「ガラヴァーニ」とはせず,「ヴァレンティノ」とした
ということは,記事の筆者が「ヴァレンティノ」という表示により「ヴァレンティ
ノ・ガラヴァーニ」を表現し得るものと考えたからにほかならないといえる。その
余のものも,ほぼ同様のことがいえる。なお,前記「世界の一流品大図鑑」(甲3
8)では,ネクタイ,ブラウス,セーターなどの商品を他のブランドとともに紹介
する中で単に「ヴァレンティノ」として紹介しており,該当ページには「ヴァレン
ティノ・ガラヴァーニ」の記載はない(もっとも,別の頁にデザイナー紹介の部分
があり,そこでは,フルネームの記載もある。)。原告の主張は採用の限りではな
い。
 (6) 原告は,我が国において,平成8年9月9日以前には,被告商品に
は,「VALENTINOGARAVANI」の表示が付され,「VALENTINO」の文字を単独では商標
として使用していなかった状況を指摘して,「VALENTINO」,「ヴァレンティノ」の
表示がValentinoGaravani氏又はそのデザインに係る商品群に使用されるブランド
の略称を表すものとして認識されていたとする審決の認定判断が誤りであると主張
する。
 確かに,前認定のとおり,平成8年9月9日以前には,被告商品に
は,「VALENTINOGARAVANI」の表示が付されていた状況が存在するが,それにもか
かわらず,前記(1)ないし(4)に判示した諸事情が存在することによって,本件商標
の出願日及び登録査定日の当時,本件商標の指定商品の取引者,需要者の間
で,「VALENTINO」,「ヴァレンティノ」の表示は,ValentinoGaravani(ヴァレン
ティノ・ガラヴァーニ)氏又はそのデザインに係る商品群に使用されるブランドの
略称を表すものとして認識されていたものと認められるのであるから,原告の主張
は,採用の限りではない。
 (7) 原告は,さらに,「VALENTINO」は,イタリアでは多い姓(苗字)であ
り,「VALENTINO」だけでは,どこのヴァレンティノ氏か分からず,フルネームで表
記しなければ,正確には理解できないこと,さらに,そのような「Valentino」の文
字を含むデザイナーが多数存在し,それらのデザイナーの商品群を表示する商標と
商品が我が国のファッションブランド市場に多数提供されている実情があることか
ら,「VALENTINO(ヴァレンティノ)」の略称のみではどのブランドを指称するのか
不明であるとし,「ヴァレンティノ」や「バレンチノ」が「ValentinoGaravani」
の略称を示すものとして,取引者,需要者の間に広く知られていたということは全
く考えられないと主張する。
 しかし,以下のとおり,この主張も採用の限りではない。
 (a) まず,「VALENTINO」の文字を含む商標のうち,「MARIOVALENTINO(マリ
オ・バレンチノ)」についてみるに,証拠(甲31-2・3,34-9,40,4
6,47,63-1~19,71-1・2,72-1~4)及び弁論の全趣旨によ
れば,以下の事実が認められる。
 MarioValentino(マリオ・バレンチノ)氏は,1927年イタリア生まれで,靴
職人でデザイナーであった父の影響を受け,1952年にMARIOVALENTINO社を設立
し,1954年のローマ・アルタモーダ・コレクションにおけるサンゴ製のサンダ
ルにより大成功を収め,名を世界的なものとした。ニューヨーク生活を経て,19
66年ナポリに戻り,イタリア各地でブティックを展開し,1960年代初頭に靴
から鞄の分野に商品を広げ,さらに,革製品による服飾の分野へも進出し,総合皮
革メーカーとして活躍してきた(1991年没)。本件証拠においては,「メイ
ド・イン イタリア大図鑑」(昭和59年6月1日発行),「男の一流品大図鑑’85
年版」(昭和59年12月1日発行),「世界の一流品大図鑑’85年版」(昭和60年
5月25日発行),「世界の特選品’86」(昭和60年11月1日発行),「ヨーロッパ
の一流品」(昭和60年12月1日発行)などにおいて,「VALENTINOGARAVANI(ヴァレ
ンティノ・ガラヴァーニ)」の商品とともに,「MARIOVALENTINO(マリオ・バレン
チノ)」の商標を付した靴,バッグ,財布などの商品について,紹介記事が掲載さ
れている。昭和46年には,我が国で「MARIOVALENTINO」の商標が登録出願され,
以後,出願が続々とされている。マリオ・バレンチーノS.P.A.は,我が国におい
て,第22類を指定商品とする「VALENTINO」との商標,かばん,バッグ,財布,ベ
ルト,手袋等を指定商品とする「VALENTINO」との商標などについて,登録を受けて
いる。株式会社アスティコは,昭和62年10月に「マリオ・バレンチノ」とライ
センス契約をしてライセンス事業を開始した。
 次に,「VALENTINO」との文字を含むその余の商標についてみるに,証拠(甲31
-2,34-5・9,35,36,64-1~16,65-1~24)及び弁論の
全趣旨によれば,昭和57年から「ValentinoRudy」(バレンチノ・ルーディ)と
の商標の登録出願がされ,その商標を付した商品(服飾,小物等)が昭和58年こ
ろから我が国で流通していること,平成3年には,株式会社アスティコ
が「GIOVANNIVALENTINO(ジョバンニ・バレンチノ)」とライセンス契約をしたこ
と,昭和53年から「RUDOLPHVALENTINO」(ルドルフ・ヴァレンティノ)との商標
が登録出願されていることが認められる。
 以上によれば,昭和40年代から「MARIOVALENTINO(マリオ・バレンチノ)」の
商標が,昭和50年代に入って,「RUDOLPHVALENTINO(ルドルフ・ヴァレンティ
ノ)」,「ValentinoRudy(バレンチノ・ルーディ)」などの商標が知られるよう
になり,本件商標の登録査定日までには,「GIOVANNIVALENTINO(ジョバンニ バ
レンチノ)」の商標もみられるようになったといえる。その他,必ずしも上記のよ
うな時期は明確ではないが,多くの「VALENTINO」の文字を含む商標が存在すること
がうかがえる。
 (b) 本件証拠中には,百貨店で婦人服等を扱った者らが作成した報告書(甲6
7,68)があり,単に「VALENTINO」,「ヴァレンティノ」といった場合,どのブ
ランドか特定できず,フルネームか,「VALENTINO」部分以外の名称で区別していた
旨の記載がある。総合商社の勤務歴のある者の報告(甲66-1)も同旨をいうも
のと解される。また,百貨店での取引担当歴のある者の著書では,「ヴァレンティ
ノというと大多数の人はマリオ・ヴァレンティノを思うのではないか」と指摘する
(乙21)。そして,TBSの情報番組である「はなまるマーケット」平成11年
6月25日放送分(甲66-2)によれば,視聴者から,「ヴァレンティノという
人が何人もいて誰が本家かちっともわからない」との趣旨の疑問が寄せられたこと
が放送されている。
 (c) 検討するに,上記各報告書(甲67,68)がいつの時点の状況を述べるの
か必ずしも明らかでないが,いずれにしても,多くの「VALENTINO」を含む商標が存
在する状況下で取引をする専門家としては,万が一にも取引に齟齬があってはなら
ないので,上記のような慎重な扱いをしていたことはむしろ当然である。しかし,
そのことと本件商標の登録出願日及び登録査定日の当時において,需要者,取引者
の間で「VALENTINO(ヴァレンティノ)」が「ValentinoGaravani」の略称として認
識されていたか否かとは必ずしも直結しない。少なくとも,一般需要者においては
前認定のとおり広く認識されていたと認められるし,上記報告をした専門の取引者
においても,その認識がありながら,取引上は上記慎重な措置をとったとしても何
ら不自然ではない。また,上記書籍(乙21)においては,上記記載をした理由と
して,「巷に氾濫しているVマークの製品のほとんどは,マリオのライセンス商品
だから」と記載されている。要するに,流通する商品数の視点からいうものであ
り,「VALENTINO(ヴァレンティノ)」との表示の周知著名性とは直結するものでは
ない。そして,上記TBSの番組は,本件出願日又は登録査定日当時の状況を扱う
ものでないことは明らかである。その点をおくとしても,上記放送部分に続いて,
司会者らも,「家族でやっていると思うよね」と視聴者に同感の意を示した上,調
査した結果報告として,数あるブランドの中で有名なのは,「ヴァレンティノ・ガ
ラヴァーニ」と「マリオ・バレンチノ」であり,前者はトップデザイナーズ・ブラ
ンド,後者は靴で有名な皮革製品の高級ブランドであって,この2つのブランドの
成功で「VALENTINO(ヴァレンティノ)」を含むブランドがたくさん発生し,その数
は100くらいあるが,マリオ・バレンチノの子らがバレンチノに自己の名を付加
したブランドを使っているほかは,相互に親戚関係はないとの趣旨のコメントをし
ている。以上によれば,同番組の趣旨は,「ヴァレンティノ・ガラヴァーニ」と
「マリオ・バレンチノ」によって形成された「ヴァレンティノ」のブランドイメー
ジに他の多くのものが便乗し,平成11年当時,混同という事態が生じているとい
うものであると理解される。
 以上によれば,上記証拠(甲66-1・2,67,68,乙21)は,前記(1)な
いし(4)の認定を妨げるものではない。
 いずれにしても,「VALENTINO」がイタリア人に多い氏姓であるからといって(そ
のことは必ずしも我が国では周知ではない。),また,「VALENTINO」の文字を含む
商標が多数存在するとの実情があるからといって,我が国における「VALENTINO(ヴ
ァレンティノ)」との表示の使用等のされ方によっては,取引者,需要者の間で特
定のブランドの略称としての認識が成立し得ないわけでもない。そして,実際,本
件各証拠によれば,前記(1)ないし(4)のとおり,「ValentinoGaravani」につい
て「VALENTINO(ヴァレンティノ)」との表示が使用されてきた実情が存在し,他の
ブランドではこのような事実が認められないことも相まって,我が国におい
て,「VALENTINO」,「ヴァレンティノ」がValentinoGaravani(ヴァレンティノ・
ガラヴァーニ)氏又はそのデザインに係る商品群に使用されるブランド
(「VALENTINOGARAVANI(ヴァレンティノ・ガラヴァーニ)商標」)の略称を表す
ものとして取引者及び需要者の間で広く認識されていたことを認め得るのである。
よって,原告の上記主張は,採用することができない。
 (d) なお,「MARIOVALENTINO(マリオ・バレンチノ)」ブランドの著名性との
関係で付言しておく。
 本件では,この点に関する十分な証拠は提出されていないが,前掲証拠からは,
次のことが推測される。
 マリオ・バレンチノ氏は,ヴァレンティノ・ガラヴァーニ氏より年上で,かつ,
我が国にその商品が流通した時期もやや早かった。両者のスタートは,靴とオート
クチュールというように異なっていたが,次第に双方の商品の範囲が広がって競合
するようになった。商標登録の分野では,前記のとおり,両者で「VALENTINO」との
商標を取得し合っている。しかし,ヴァレンティノ・ガラヴァーニ氏側は,当初か
ら意識的に「VALENTINO(ヴァレンティノ)」との商標を軸としてブランド展開をす
る方針を堅持していたものと推測される。一方,マリオ・バレンチノ氏側は,少な
くとも,本件証拠にみられる限り,フルネームによる表示を使用してお
り,「VALENTINO(ヴァレンティノ)」との表示でMARIOVALENTINO(マリオ・バレ
ンチノ)を表した証拠は存在しない。このようなことから,欧米で
は,「VALENTINO」といえば「ValentinoGaravani」を指すものとの認識が確立され
ていき,我が国でも,商標登録について前記特殊事情があったにもかかわらず,前
認定のとおり,同様の認識が成立していったものと推測される。
 したがって,MARIOVALENTINO(マリオ・バレンチノ)の表示も我が国において,
周知著名といえ,「VALENTINO(ヴァレンティノ)」との名称に対するブランドイメ
ージの向上に寄与したことは否定し得ないとしても,上記事情にも照らせば,本件
商標の出願日及び登録査定日の当時,本件商標の指定商品の取引者,需要者の間
で,「VALENTINO」,「ヴァレンティノ」の表示は,ValentinoGaravani(ヴァレン
ティノ・ガラヴァーニ)氏又はそのデザインに係る商品群に使用されるブランド
(「VALENTINOGARAVANI(ヴァレンティノ・ガラヴァーニ)商標」)の略称を表す
ものとして認識されていたとの認定を妨げるものではない。
 5 本件商標が他人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれについて
 (1) 商標法4条1項15号にいう「他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ず
るおそれがある商標」には,当該商標をその指定商品又は役務に使用したときに,
当該商品等が他人の商品又は役務に係るものであると誤信されるおそれがある商標
のみならず,当該商品等が右他人との間にいわゆる親子会社や系列会社等の緊密な
営業上の関係又は同一の表示による商品化事業を営むグループに属する関係にある
営業主の業務に係る商品等であると誤信されるおそれ(広義の混同を生ずるおそ
れ)がある商標を含むものと解するのが相当である。そして,「混同を生ずるおそ
れ」の有無は,当該商標と他人の表示との類似性の程度,他人の表示の周知著名性
及び独創性の程度や,当該商標の指定商品等と他人の業務に係る商品等との間の性
質,用途又は目的における関連性の程度並びに商品等の取引者及び需要者の共通性
その他取引の実情などに照らし,当該商標の指定商品等の取引者及び需要者におい
て普通に払われる注意力を基準として,総合的に判断されるべきである(最高裁第
3小法廷平成12年7月11日判決・民集54巻6号1848頁)。
 (2) そこで,本件商標について,本件商標の登録出願日及び登録査定日の各当時
における,他人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれの有無について検討する。
 既に説示したとおり,本件では,(a)本件商標の登録出願日及び登録査定日の各当
時,VALENTINOGARAVANI(ヴァレンティノ・ガラヴァーニ)商標は既に周知著名で
あり,かつ,「VALENTINO」,「ヴァレンティノ」の表示は,Valentino
Garavani(ヴァレンティノ・ガラヴァーニ)氏又はそのデザインに係る商品群に使
用されるブランド(「VALENTINOGARAVANI(ヴァレンティノ・ガラヴァーニ)商
標」)の略称を表すものとして,取引者及び需要者の間で広く認識されていたこ
と,(b)本件商標は,「GIANNIVALENTINO」の欧文字を横書きにしてなるもので,外
観及び称呼においては,「GIANNI(ジャンニ)」と「VALENTINO(バレンチノ)」と
が二分して認識され得るものであり,「VALENTINO(バレンチノ)」の部分は,上
記(a)の「VALENTINO(ヴァレンティノ)」と同一であること(なお,原告は,本件
商標の片仮名表記では「バレンチノ」としていると主張するが,同じ「VALENTINO」
であることに変わりはなく,また,「ヴァレンティノ」と表記したものと比べて
も,日本語の称呼として特に異なるところはない。),(c)本件商標の指定商品は,
「はき物,かさ,つえ,これらの部品および附属品」であるところ,本件商標の指
定商品の需要者と,ValentinoGaravani(ヴァレンティノ・ガラヴァーニ)の各商
品(前記のとおり,靴,ハンドバッグ,ベルト,婦人服,紳士服,パーティーバッ
グ,フォーマルウェア,スポーツウェア,ネクタイ等と広く及んでいる。)の需要
者とは,大半において共通することが認められる。
 以上の事情に照らせば,本件商標の登録出願日及び登録査定日のいずれの時点に
立って判断しても,本件商標をその指定商品について使用するときは,その取引者
及び需要者において,上記商品が「ValentinoGaravani(ヴァレンティノ・ガラヴ
ァーニ)」と前記のような緊密な関係にある営業主の業務に係る商品と広義の混同
を生ずるおそれが認められるものというべきである。
 なお,「VALENTINOGARAVANI」又は「VALENTINO」という商標自体が人名であり,
独創性がそれほど高くないとしても,この認定判断を左右するものではない。
 (3) 原告は,需要者が単に「VALENTINO」と表記した商品に接しても,どの
VALENTINO商品であるのかを正確には識別し得ないとの前記主張を前提
に,「VALENTINO」の文字を含む他の多くの商標の使用者は,デザイナーズ・ブラン
ドとして,それぞれフルネームで表記して「棲み分け」をしており,本件商標であ
る「GIANNIVALENTINO」商標も同様に,常に全体を一連のものとして使用してお
り,「ジャンニ・バレンチノ」の称呼が生じ,略称が必要なときは「ジャンニ」と
称呼されるので,ValentinoGaravaniの商品との混同を生ずるおそれはないと主張
する。
 原告は,また,ヤング産業が「GIANNIVALENTINO」商標についての事業を拡大し
て20年,年間の売上も約300億円のブランドマーケットに成長して,被服,バ
ッグ類,靴類などに限らず,家庭用品,陶器,寝具関係などの商品に使用してお
り,このようなファッショングッズを取り扱う需要者,取引者の間では,本件商標
である「GIANNIVALENTINO」商標は広く認識されている,いわゆる周知商標となっ
ていると主張する。
 (a) そこで,検討するに,原告主張のとおり,「VALENTINO」の文字を含む商標
の使用者がフルネームで表記することによって,「VALENTINOGARAVANI」又
は「VALENTINO」という商標とは類似しない商標としたり,相互に商標として区別し
得るものとしたとしても,前記(2)のような事情がある以上,通常は,商標法4条1
項15号が対象とする前記のような広義の混同を生ずるおそれまでもが解消される
とはいい難い。しかし,主張の趣旨にかんがみ,以下,さらに検討をしておく。
 (b) 本件商標の使用状況等の取引の実情についてみるに,証拠(甲4~7,9~
29,48~62,70,73〔枝番号付きのものも含む。〕)及び弁論の全趣旨
によれば,次の事実が認められる。
 GianniValentino(ジャンニ・バレンチノ)氏は,イタリアのミラノで手作りの
おしゃれ関係の商品の店を営んでいたカルロ・バレンチノ(CarloValentino)の子
として生まれ(後記吉江孝の報告書(甲70)によれば1955年頃の生まれとい
うことになる。),ミラノに活動拠点をおくデザイナーとなった。カルロ一家と交
際のあった吉江孝(元通産省,後に丸紅株式会社に勤務)からの紹介により,ヤン
グ産業は,ジャンニ・バレンチノから,1982年(昭和57年)12月10日付
けの「承諾書」により,「日本国商標法における商品区分全類に属する商品につ
き,GIANNIVALENTINOの商標を使用すること,並びに商標権を取得することを19
82年12月21日より20年間の期間において承諾する。」との承諾を得た。ヤ
ング産業は,「GIANNIVALENTINO」ブランドによる商品展開を開始し,順次,本件
商標及び商品区分を異にする16件の「GIANNIVALENTINO」に関する商標の登録を
受けた。原告は,ヤング産業から本件商標を取得した上,ヤング産業との間で商標
管理委託契約書及び覚書を締結した。
 ヤング産業は,当初,「GIANNIVALENTINO」商標を自社商品のブランドとして使
用することで出発したが,ライセンス事業へと拡大し,昭和60年ころからライセ
ンシーとなった業者が「GIANNIVALENTINO」の商標を付した商品を販売するように
なり,平成4年8月時点では,ライセンシーは24社となり,数社の入れ替えはあ
るものの,平成10年10月時点で38社,平成13年10月時点で29社,平成
14年8月9日時点で24社となっている。「GIANNIVALENTINO」商標の付された
商品は,スーツ,シャツ,ネクタイ,ベルト,帽子,手袋,ハンカチ,靴下,バッ
グ,財布,アクセサリーなど多くのカテゴリーに及び,男性用,女性用にもわたっ
ており,全国的に展開されている。本件商標は,「GIANNIVALENTINO(ジャンニ・
バレンチノ)」とフルネームで使用されている。
 株式会社矢野経済研究所の「ライセンスブランド全調査」によれば,「ジャン
ニ・バレンチノ」ブランドの平成12年度の売上高は250億円とされている(同
調査による上代ベースの総売上げとしては,平成9年度が416.6億円,平成1
3年度が500億円とされている。)。
 ヤング産業は,発行部数約20万部の日刊ビジネス流通専門紙である「繊研新聞」
において,平成6年2月から平成14年4月まで年4~5回程度の頻度で「GIANNI
VALENTINO」ブランドに関する広告を掲載した。さらに,平成7年10月から平成8
年11月まで,東京の営団地下鉄1駅,都営地下鉄2駅,大阪市営地下鉄2駅の各
構内又は地下街に設けられている広告掲載のスペースでの広告を実施した。なお,
大阪梅田駅には,画面の変化する電動式の掲示板とし,さらにショーウインドゥと
するなどした。
 このほか,ライセンシーの各種商品について,商品カタログ,チラシ,通信販売
カタログ,ギフトカタログに掲載され,「GIANNIVALENTINO」商標が掲載された。
本件証拠として提出されたものでは,平成2年用以降のカタログに革製ジャケト及
びコート,タオルのギフトセット,自動車シートカバー,シャツ,バッグなどが掲
載されている。また,写真週刊誌である「フラッシュ」(平成5年11月2日号,
光文社),「フライデー」(平成5年11月5日号,11月25日号,12月24
日号,講談社)に通信販売の二光株式会社により革製ハーフコート,ブルゾンの広
告が掲載されている。
 なお,「GIANNIVALENTINO」のショップがローマにある。また,平成2年ころか
ら,DanielaVeltroni(ダニエラ・ベルトローニ)がジャンニ・バレンチノ氏のア
シスタント・デザイナーとなり,Danielaから年2回シーズンディレクション(デザ
インの方向付け)が送付されることにより,我が国への「GIANNIVALENTINO」ブラ
ンドのデザインの指示がされている。
 (c) 以上によれば,本件商標を付した商品は,昭和60年ころから流通している
ことが認められ,登録査定日当時には,ライセンシーが24社程度存在し,ライセ
ンシーにより,その商品に関するカタログ,チラシ,広告への掲載がされていたこ
となどは推認することができる。しかし,本件商標を付した商品の売上げについて
は,平成12年度の売上高が250億円(上代ベースの総売上げとしては,平成9
年度が416.6億円,同13年度が500億円)との矢野経済研究所の調査結果
があるが,本件登録出願日当時はもとより,登録査定日当時の売上高についても,
これを認めることのできる証拠はなく,原告の主張すらない。上記調査結果から推
認するには,年数の隔たりが大きすぎ,考慮すべき経済情勢なども複雑であって,
適切な売上高の推認をすることは極めて困難である。そして,前認定のとおり,登
録出願日以前における本件商標を付した広告宣伝に関する証拠は存在しないし,登
録査定日以前の証拠としては,カタログへの掲載を示す証拠があるのみであって,
本件商標を周知させるのに有力とみられる新聞や公共の場における広告やディスプ
レイによる広告がされたのは,いずれも登録査定日後である平成6年2月以降にす
ぎない。なお,写真週刊誌に広告が掲載されたのも,前認定のとおり,設定登録の
手続がされた直前ではあるが,登録査定日のほぼ半年後である。
 そうであってみれば,「VALENTINOGARAVANI(ヴァレンティノ・ガラヴァーニ)
商標」を使用した商品との混同によるブランドイメージへのフリーライドを狙った
ものと推測される多数の「VALENTINO」を含む商標の中にあって,本件商標
が「GIANNIVALENTINO」という実在のデザイナーの氏名を商標とし,同人及びその
アシスタントによるデザインの下に積極的な営業活動をし,かなりの実績と知名度
も得ていることがうかがえるものの,本件商標である「GIANNIVALENTINO」商標
は,その使用状況等の取引の実情をみても,登録出願日当時はもとより,登録査定
日当時においても,前記の広義の混同を生ずるおそれを否定するほどの事情を具え
るには至っていないものといわざるを得ない。
 そして,原告は,「GIANNIVALENTINO」商標は,常に全体を一連のものとして使
用し,略称が必要なときは「ジャンニ」と称呼されるので,混同を生ずるおそれは
ないと主張するが,上記認定の事情に照らせば,原告のこの主張をもってしても,
前記(2)の認定を覆すことはできないというべきである。
 (4) 以上を要するに,本件商標登録が商標法4条1項15号に違反してされたも
のであるとした審決の判断は是認し得るものであり,本件商標の登録は許されない
といわざるを得ない。
 6 結論
 以上のとおり,原告主張の審決取消事由は理由がないというほかなく,原告の請
求は棄却されるべきである。
  東京高等裁判所第18民事部
      裁判長裁判官   塚  原  朋  一
         裁判官   塩  月  秀  平
         裁判官   田  中  昌  利
【別紙】 審決の理由の要旨
平成9年審判第20430号事件,平成14年6月4日付け審決
(下記は,上記審決の理由のうち,「第5 当審の判断」の部分について,文書の
書式を変更したが,用字用語の点を含め,その内容をそのまま掲載したものであ
る。)
理 由
第5 当審の判断
1 被請求人は、本件審判の請求については、利害関係を有しない者によってなさ
れた不適当なものであるから、その請求は却下されるべきである旨主張するので、
この点について検討するに、ある商標の登録の存在によって直接不利益を被る関係
にある者は、それだけで利害関係人として当該商標の登録を無効にする審判を請求
することにつき、利害関係を有する者に該当すると解するのが相当である。
 本件においては、請求人は、本件商標の登録が存在することにより、自己の取り
扱いに係る商品と本件商標を使用した商品との間に、出所の誤認混同を生じさせる
おそれがある、ないし請求人の人格権が害されると主張しているのであるから、本
件商標の登録を無効にし、排除せんとすることは、商標権の本質に照らして当然の
権利というべきものである。
 したがって、請求人は、本件商標の存在によって、直接不利益を受ける者である
から、本件審判の請求をするにつき、利害関係を有するというべきである。
2 請求人提出の甲第13号証の1及び2(世界の一流品大図鑑’81年版)、甲第
14号証の1及び2(世界の一流品大図鑑’83年版)、甲第15号証の1ないし4
(世界の一流品大図鑑’85年版)、甲第16号証の1及び2(男の一流品大図鑑’8
5年版)、甲第17号証の1ないし8(世界の一流品大図鑑’88年版)、甲第18号
証の1及び2(男の一流品大図鑑’88年版)、甲第20号証の1及び2(25ans
 1987年10月号)、甲第21号証の1及び2(25ans 1989年5月
号)、甲第27号証の1ないし5(1988 SPRING & SUMMER C
OLLECTION)、甲第28号証の1及び2(1988 AUTUMN & W
INTER COLLECTION)、甲第29号証の1及び2(’89 SPRI
NG & SUMMER COLLECTION)、甲第33号証(昭和57年12
月24日付け日本経済新聞)、甲第34号証(1991年(平成3年)7月29日付け
報知新聞)並びにイタリアのデザイナーである「Valentino Garava
ni(ヴァレンティノ ガラヴァーニ)」に関する職権による証拠調べを行ったとこ
ろの「世界の一流品大図鑑ライフカタログVOL.1」(昭和51年6月5日株式会
社講談社発行)、「EUROPE一流ブランドの本(講談社MOOK第2巻)」(昭
和52年12月1日株式会社講談社発行)、「男の一流品大図鑑’85年版」(昭和
59年12月1日株式会社講談社発行)によれば、「Valentino Gara
vani(ヴァレンティノ ガラヴァーニ)」のデザインに係るハンドバッグ、ベル
ト、婦人服、紳士服、パーティーバッグ、フォーマルウェア、スポーツウェア、ネ
クタイ、婦人靴等は、我が国において、「VALENTINO GARAVANI
/ヴァレンティノ ガラヴァーニ」、「valentinogaravani」、
「VALENTINO GARAVANI」、「ヴァレンティノ ガラヴァーニ」
などの表示をもって、または「valentino garavani」若しくは
「VALENTINO GARAVANI」と「V」を図案化した図形を組み合わ
せた表示をもって紹介されている。(「VALENTINO GARAVANI/ヴ
ァレンティノ ガラヴァーニ」、「valentino garavani」、
「VALENTINO GARAVANI」、「ヴァレンティノ ガラヴァーニ」
の各表示、「valentino garavani」または「VALENTIN
OGARAVANI」と「V」を図案化した図形を組み合わせた表示について、以
下「VALENTINO(ヴァレンティノ)商標」という。)
3 イタリアのデザイナーである「Valentino Garavani(ヴァレ
ンティノ ガラヴァーニ)」に関して行った職権による証拠調べによれば、以下の事
実が認められる。
(1)「服飾辞典」(昭和63年9月10日第10刷文化出版社発行)には、「イタ
リア北部の都市に生まれる。17才でリセオ(中学)を中退、パリに行く。スチリ
ストになるため、パリのサンジカ(パリ高級衣装店組合の学校)で技術を身につけ
る。1951年、ジャン・デッセ(オート・クチュール)のもとで5年間アシスタ
ントとして仕事をする。その後2年間、ギ・ラローシュのアシスタントをし、19
58年独立、ヴァレンティーノ・クチュールの名でローマに店を開いた。このこ
ろ、イタリアのモードは世界的に有名になりつつあった。彼の最初の仕事は、フィ
レンツェのピッティ宮殿でのコレクションである。このコレクションは、〈白だけ
の服〉という珍しい演出であったが、その美しさはジャーナリストの間で評判にな
り、「ニューズ・ウィーク」「ライフ」「タイム」「ウィメンズ・ウェア・デイリ
ー」各誌紙で取材、モードのオスカー賞を獲得した。1967年、ヴァレンティー
ノの名は世界に知れわたった。1972年には紳士物も始め、その他アクセサリ
ー、バッグ、宝石類、香水、化粧品、家具、布地、インテリアと、その仕事の幅は
たいへん広いが、すべてヴァレンティーノ独特のセンスを保っているのはみごとで
ある。ヴァレンティ-ノの洋服に対する考えは、まず個性が第一で、彼のコレクシ
ョンからは、デテールでなくそのエスプリをくみ取ってもらうことに重きをおく。
ローマの高級住宅地、アッピア・アンティカに母親とたくさんの犬と暮らしてい
る。仕事でパリとローマを行き来するが、世界中を旅行するなど忙しい日々であ
る。物をつくる人は誰でも波があって、いつも傑作が続くとはかぎらないが、ヴァ
レンティーノは現在、ローマのオート・クチュール界で最も好調なデザイナーとい
える。以前から東洋風なエキゾティシズムが好きで、時によってトルコ風、アラブ
風の特色がみられるが、最近はキモノのセクシーさを1950年代のハリウッドの
雰囲気に表現、あやしく美しいヴァレンティーノの世界をつくり出している。」と
の記載がある。
(2)「英和商品名辞典」(1991年初版第3刷株式会社研究社発行)には、「イ
タリア RomaのデザイナーValentino Garavani(1932?)
のデザインした婦人・紳士物の衣料品・毛皮・革製バッグ・革小物・ベルト・ネク
タイ・アクセサリー婦人靴・香水・ライター・インテリア用品など。Roma,F
irenze,Milanoなどにあるその店の名称はValentino(vは
小文字で書くこともある)。・・・1967年にFirenzeで白一色のコレク
ションを発表してマスコミに大きく取り上げられ、一躍その名を高めた。」との記
載がある。
(3)「岩波=ケンブリッジ世界人名辞典」(1997年11月21日岩波書店発
行)には、「ガラヴァーニ,ヴァレンティノ Garavani,Valentin
o」の項において「通称ヴァレンティノ Valentino(伊 1933-)
服飾デザイナー.ローマ生まれ.ミラニとパリでファッションを勉強し、その後、
パリのジャン・デッセ(1904-70)とギー・ラロシュのもとで働く.195
9年に自分の店をローマに開くが、世界的に認められるようになったのは1962
年のフィレンツェでのショーKARADEARU.」との記載がある。
4 請求人提出の甲第13号証の2、甲第15号証の2及び3、甲第16号証の
2、被請求人提出の乙第1号証の1(世界の一流品大図鑑’85年版;27頁、15
1頁)、乙第1号証の2(世界の特選品’86;136頁、175頁、191頁)並び
にイタリアのデザイナーである「Valentino Garavani(ヴァレン
ティノ ガラヴァーニ)」に関して行った職権による証拠調べを行ったところの「n
on‐no ’89No,23号」(平成元年12月5日株式会社集英社発行)、
「marie claire 1996.2」(1996年2月1日中央公論社発
行)によれば、「Valentino Garavani(ヴァレンティノ ガラヴ
ァーニ)」の氏名、またはそのデザインに係る商品について、単に「ヴァレンティ
ノ」の表示のみで紹介されている。
5 前記2ないし4で認定した事実によれば、「VALENTINO(ヴァレンティ
ノ)商標」は、「Valentino Garavani(ヴァレンティノ ガラヴ
ァーニ)」のデザインに係る商品群を表示するブランドとして、本件商標の登録出願
日前より、我が国のファッション関連商品の分野において広く認識されていたもの
と認め得るところであり、その著名性は、本件商標の登録査定時においても継続し
ていたということができる。
 そして、「ヴァレンティノ」(若しくは「バレンチノ」)の表示は、「Valen
tino Garavani(ヴァレンティノ ガラヴァーニ)」の氏名、またはそ
のデザインに係る商品群に使用されるブランド(「VALENTINO(ヴァレンテ
ィノ)商標」)の略称を表すものとして、本件商標の登録出願前より、我が国のファ
ッション関連の商品分野の取引者及び需要者の間で広く認識されていたものという
のが相当である。
6 出所の混同について
(1)本件商標及びその指定商品について
ア 本件商標は、前記のとおり「GIANNI VALENTINO」の文字より
なるものであるところ、その構成中に、前記5.で認定した「Valentino
 Garavani(ヴァレンティノ ガラヴァーニ)」のデザインに係るハンドバ
ッグ、ベルト、婦人服、紳士服、パーティーバッグ、フォーマルウェア、スポーツ
ウェア、ネクタイ、婦人靴等について使用され、本件商標の登録出願前より、我が
国においても取引者及び需要者の間に広く認識されている「VALENTINO(ヴ
ァレンティノ)商標」の略称として、我が国において著名な「ヴァレンティノ」と同
一の称呼を生ずる「VALENTINO」の文字を含むものである。
イ 本件商標の指定商品は、前記のとおり、「はき物、かさ、つえ、これらの部品
および附属品」とするものであるところ、該商品は、ファションに関連する商品で
あって、統一ブランドの下に被服等と合わせてトータル的にファションをまとめよ
うとする昨今においては、著名なデザイナーがデザインし、そのデザイナーの名前
をブランドとした商品が市場に多数出回っている実情にある。
(2)上記(1)ア及びイで認定した、本件商標の構成態様及び取引の実情よりす
れば、本件商標をその指定商品について使用した場合は、これに接する取引者及び
需要者は、その構成中の「VALENTINO」の文字部分に強く印象付けられ、
「ヴァレンティノ」とも呼ばれる「Valentino Garavani(ヴァレ
ンティノ ガラヴァーニ)」のブランドを連想、想起し、該商品が「Valenti
no Garavani(ヴァレンティノ ガラヴァーニ)」のブランドの一種、な
いし兄弟ブランドであるとの誤解を生ずるか、あるいは「Valentino G
aravani(ヴァレンティノ ガラヴァーニ)」、もしくはその関連会社と組織
的、経済的に何らかの関係がある者の業務に係る商品であるかのように認識する蓋
然性が極めて高いというべきである。
 したがって、本件商標は、これをその指定商品について使用するときは、「Va
lentino Garavani(ヴァレンティノ ガラヴァーニ)」の「VAL
ENTINO(ヴァレンティノ)商標」を使用した商品との間に、出所の混同を生ず
るおそれがあるものといわなければならない。
7 商標法第4条第1項第15号に関する被請求人の主張について
(1)答弁について
 被請求人は、「VALENTINO」が「VALENTINO(ヴァレンティノ)
商標」の略称として、著名ではない旨主張し、第17類、第20類、第21類、第
23類等の登録例、審査・審判例を挙げている。
 しかしながら、前記2.及び5.で認定したように、「Valentino G
aravani(ヴァレンティノ ガラヴァーニ)」は、1967年に、白だけの服
のファッションショーを開いて、ファッション界にセンセーションを巻き起こし、
その名声を確立した。我が国においても、昭和50年代はじめには、同デザイナー
が手がけた被服等が新聞雑誌等を通じて紹介され、商品のデザインがエレガントで
あることなどの理由により、その名前は、ファッション関連の業界にとどまらず、
一般の消費者の間にも広く知られるようになったということができる。そして、我
が国においては、「Valentino Garavani(ヴァレンティノ ガラ
ヴァーニ)」、ないし同デザイナーのデザインに係る商品群について使用される「V
ALENTINO(ヴァレンティノ)商標」が、単に「ヴァレンティノ」と表示され
ている事実があることからすると、「ヴァレンティノ」若しくは「VALENTI
NO」との表記から、一般の消費者は、「Valentino Garavani
(ヴァレンティノ ガラヴァーニ)」の「VALENTINO(ヴァレンティノ)商
標」を連想、想起するというのが相当である。
 そして、「Valentino Garavani(ヴァレンティノ ガラヴァー
ニ)」以外の、「VALENTINO」の文字を含むデザイナーに係る商品のブラン
ドが、単に「ヴァレンティノ」若しくは「VALENTINO」と略称されている
事実は存在しない。
 また、本件商標の指定商品を含めた他の商品の区分において、「VALENTI
NO」の文字を含む商標が登録されている事実が存在するとしても、本件商標をそ
の指定商品に使用した場合に、その登録出願時から査定時において、「Valen
tino Garavani(ヴァレンティノ ガラヴァーニ)」の「VALENT
INO(ヴァレンティノ)商標」を使用した商品との間に、出所の混同を生ずるおそ
れがあったか否かの問題であるから、被請求人が挙げる登録商標等の存在に、前記
認定が左右されるものではない。
(2)職権でした証拠調べに対する意見について
ア 被請求人は、各証拠とも、記事中の「ヴァレンティノ ガラヴァーニ」の記載
との関係で、単に簡略的に用いられているにすぎず、これをもって「ヴァレンティ
ノ」が著名な略称とすることはできない旨主張する。
 しかしながら、上記のとおり、「Valentino Garavani(ヴァレ
ンティノ ガラヴァーニ)」、ないし同デザイナーのデザインに係る商品群について
使用される「VALENTINO(ヴァレンティノ)商標」が、ファッション関連商
品の分野の取引者及び需要者の間に極めて著名であること、これらが単に「ヴァレ
ンティノ」と略称されている事実が存在すること、及び「Valentino G
aravani(ヴァレンティノ ガラヴァーニ)」以外の、「VALENTIN
O」の文字を含むデザイナーに係る商品のブランドが、単に「ヴァレンティノ」若
しくは「VALENTINO」と略称されている事実は存在しないことからする
と、「ヴァレンティノ」の表示から、取引者及び需要者は、直ちに「Valent
ino Garavani(ヴァレンティノ ガラヴァーニ)」、ないし同デザイナ
ーのデザインに係る商品群について使用される「VALENTINO(ヴァレンティ
ノ)商標」を想起することは明らかであり、このように、「ヴァレンティノ」の表示
は、「VALENTINO(ヴァレンティノ)商標」の略称として広く知られている
といえる。
イ 被請求人は、「Valentino Garavani(ヴァレンティノ ガラ
ヴァーニ)」以外の、「VALENTINO」の文字を含むデザイナーは、その使用
する商標を他のデザイナーに係る商品と誤認混同が生ずるような商標の使用を避け
るため、一連に表示して棲み分けを図っている。
 このような取引の実情からみても、「VALENTINO」の文字を含む商標は
一体のものとしてみるべきであり、過去の登録異議の決定においても一体の商標で
あるとの判断をしている旨主張する。
 しかしながら、「Valentino Garavani(ヴァレンティノ ガラ
ヴァーニ)」以外の、「VALENTINO」の文字を含むデザイナーがその商品に
「VALENTINO」の文字を含めた商標を一連で使用しているのは、単に「ヴ
ァレンティノ」若しくは「VALENTINO」と略称され、著名であるという事
実がなく、「VALENTINO」の文字のみを使用すれば、「Valentin
o Garavani(ヴァレンティノ ガラヴァーニ)」のデザインに係る商品と
誤認される場合があるからとみるべきである。
 また、一般の消費者が、「VALENTINO(ヴァレンティノ)商標」以外の
「VALENTINO」の文字を含むブランドについて、「Valentino 
Garavani(ヴァレンティノ ガラヴァーニ)」の取り扱いに係る商品群に使
用される「VALENTINO(ヴァレンティノ)商標」と誤認混同を生じていない
とする証拠もないことから、被請求人主張の「棲み分け」ができていると断定する
こともできない。
(3)したがって、被請求人の主張は採用できない。
8 むすび
 してみれば、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたも
のといわざるを得ないから、同法第46条第1項の規定により、その登録は無効と
すべきものである。
 よって、結論のとおり審決する。
     平成14年6月4日

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