弁護士法人ITJ法律事務所

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主文
本件上告を棄却する。
当審における未決勾留日数中210日を第1審判決の懲
役刑に算入する。
理由
弁護人奥村徹の上告趣意のうち,福岡高等裁判所那覇支部平成16年(う)第4
9号同17年3月1日判決を引用しての判例違反及び東京高等裁判所平成17年
(う)第2131号同年12月26日判決を引用しての判例違反をいう点は,いず
れも原判決ないし引用の判例が所論のような趣旨を示したものではないから前提を
欠き,東京高等裁判所平成15年(う)第361号同年6月4日判決及び大阪高等
裁判所平成20年(う)第121号同年4月17日判決を引用しての判例違反をい
う点は,罪数判断に関して被告人にとり不利益な主張をするもので不適法であり,
その余は,憲法違反をいう点を含め,実質は単なる法令違反の主張であって,刑訴
法405条の上告理由に当たらない。
なお,所論にかんがみ,本件第1審判示第3の罪に関する第1審の訴因変更手続
の当否につき職権により判断する。
1原判決の認定によれば,上記訴因変更に関する事実経過は以下のとおりであ
る。
(1)本件第1審判示第3の罪に関する当初の公訴事実の概要は,「被告人は,
前後11回にわたり,3名の者に対し,児童ポルノでありわいせつ図画であるDV
D−R合計11枚及びわいせつ図画であるDVD−R合計25枚を不特定又は多数
の者に販売して提供した。」というものであった。
(2)次に,検察官は,(1)の提供行為を維持したままで,さらに5回の提供行為
を追加し,「被告人は,前後16回にわたり,4名の者に対し,児童ポルノであり
わいせつ図画であるDVD−R合計21枚及びわいせつ図画であるDVD−R合計
67枚を不特定又は多数の者に販売して提供した。」とする訴因変更を請求し,第
1審裁判所はこれを許可した。
(3)さらに,検察官は,(2)の提供行為を維持したままで,所持行為を追加し,
「被告人は,(ア)前後16回にわたり,4名の者に対し,児童ポルノでありわい
せつ図画であるDVD−R合計21枚及びわいせつ図画であるDVD−R合計67
枚を不特定又は多数の者に販売して提供し,(イ)自宅において,児童ポルノであ
りわいせつ図画であるDVD−R合計20枚及びわいせつ図画であるDVD−R合
計136枚を不特定若しくは多数の者に提供又は販売する目的で所持した。」とす
る訴因変更を請求し,第1審裁判所は,これを許可した上,最終的にそのとおりの
事実を認定した。
2児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律2
条3項にいう児童ポルノを,不特定又は多数の者に提供するとともに,不特定又は
多数の者に提供する目的で所持した場合には,児童の権利を擁護しようとする同法
の立法趣旨に照らし,同法7条4項の児童ポルノ提供罪と同条5項の同提供目的所
持罪とは併合罪の関係にあると解される。しかし,児童ポルノであり,かつ,刑法
175条のわいせつ物である物を,他のわいせつ物である物も含め,不特定又は多
数の者に販売して提供するとともに,不特定又は多数の者に販売して提供する目的
で所持したという本件のような場合においては,わいせつ物販売と同販売目的所持
が包括して一罪を構成すると認められるところ,その一部であるわいせつ物販売と
児童ポルノ提供,同じくわいせつ物販売目的所持と児童ポルノ提供目的所持は,そ
れぞれ社会的,自然的事象としては同一の行為であって観念的競合の関係に立つか
ら,結局以上の全体が一罪となるものと解することが相当である。所論は,児童ポ
ルノ提供罪と同提供目的所持罪とが本来併合罪の関係にある以上,そのように解す
るのは相当でない旨いうが,採用できない。
3したがって,これと同旨の見解の下に第1審の訴因変更手続に違法はないと
した原判断は,相当である。
よって,刑訴法414条,386条1項3号,刑法21条により,裁判官全員一
致の意見で,主文のとおり決定する。
(裁判長裁判官中川了滋裁判官今井功裁判官古田佑紀裁判官
竹内行夫)

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