弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人らの負担とする。
         理    由
 上告代理人坂和章平の上告理由のうち第一の二ないし四、第二及び第三について
 所論の点に関する原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし、正当とし
て是認することができ、その過程に所論の違法はない。論旨は、原審の専権に属す
る証拠の取捨判断、事実の認定を非難するか、又は独自の見解に基づき若しくは原
判決を正解しないでこれを論難するものであって、採用することができない。
 同第一の一について
 一 境界確定の訴えは、公簿上特定の地番により表示される甲乙両地が相隣接す
る場合において、その境界が不明なため争いがあるときに、裁判によってその境界
を定めることを求める訴えであって、相隣接する甲乙両地の各所有者が、境界を確
定するについて最も密接な利害を有する者として、その訴えの当事者適格を有する。
そして、甲地のうち境界の全部に接続する部分を乙地の所有者が時効取得した場合
においても、甲乙両地の各所有者は、境界に争いがある隣接土地の所有者同士とい
う関係にあることに変わりはなく、境界確定の訴えの当事者適格を失わないのであ
る(最高裁平成六年(オ)第一七二八号同七年三月七日第三小法廷判決・民集四九
巻三号九一九頁参照)。
 以上のことは、甲地の所有者が、甲地のうち境界の全部に接続する部分を乙地の
所有者丙に譲渡し、甲地の残余の部分を丁に譲渡したが、甲地の分筆登記がされず、
甲地の全部について丁に対する所有権移転登記が経由された場合も同様であって、
甲乙両地の境界を確定することによって初めて丙及び丁が譲り受けた各土地の範囲
が特定されるのであるから、丙及び丁は、各所有する土地が相隣接し、甲乙両地の
境界を確定するについて最も密接な利害を有する者として、甲乙両地の境界確定の
訴えの当事者適格を有するものということができる。
 二 これを本件について見ると、原審の適法に確定した事実及び本件訴訟の経過
によれば、(1)兵庫県小野市a町字bc番dの土地と同番eの土地は相隣接する、
(2)被上告人は、昭和四〇年六月四日、同番dの土地のうち原判決別紙合成図の
P、「ハ」、「あ」、Q、Pの各点を順次直線で結んだ範囲の土地(以下「被上告
人取得土地」という。)を前所有者のDから買い受け、同番dの土地全体について
所有権移転登記を受けた、(3)同番eの土地の所有者のEも、右同日、同番dの
土地の残余の部分(右合成図のQ、「あ」、「1」、「2」、Qの各点を順次直線
で結んだ範囲の約四坪の土地。以下「E取得土地」という。)をDから買い受けた、
(4)E取得土地は同番eの土地との境界(以下「本件境界」という。)の全部に
接続するが、被上告人取得土地は本件境界に接続しない、(5)Eが平成七年四月
七日に死亡したため、上告人らは、相続によってE取得土地及び同番eの土地を取
得してこれらを共有している、(6)上告人らと被上告人との間に本件境界につい
て争いがあり、これを確定することによって初めて被上告人取得土地及びE取得土
地の範囲の特定が可能になるというのである。右事実関係の下においては、被上告
人所有の土地と上告人ら共有の土地とは相隣接する関係にあって、被上告人は被上
告人取得土地の範囲の特定のために本件境界を確定する必要があるから被上告人は、
本件境界について境界確定の訴えの当事者適格を有するものというべきである。
 したがって、本件において境界確定の訴えの当事者適格を肯定した原審の判断は、
正当として是認することができる。原判決に所論の違法はなく、所論引用の判例は、
事案を異にし本件に適切でない。論旨は採用することができない。
 よって、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    河   合   伸   一
            裁判官    福   田       博
            裁判官    北   川   弘   治
            裁判官    亀   山   継   夫

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