弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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主         文
 1 本件控訴を棄却する。
 2 控訴費用は控訴人の負担とする。
事 実 及 び 理 由
第1 当事者の求めた裁判
 1 控訴人
  (1) 原判決を取り消す。
  (2) 被控訴人は,名古屋市及び岡崎市を除く愛知県内に在勤する愛知県職員に対し
て調整手当を支給してはならない。
  (3) 訴訟費用は,第1,2審とも被控訴人の負担とする。
 2 被控訴人
   主文と同旨
第2 事案の概要
 1 本件は,愛知県の住民である控訴人が,愛知県職員に対して給料の月額に100分の
10を乗じた額の調整手当を一律に支給することは,地方公務員24条3項又は地方自治法
204条2項に反して違法であると主張して,地方自治法242条の2第1項1号に基づき,被
控訴人に対し,同手当を名古屋市及び岡崎市を除く愛知県内に在勤する愛知県職員に支
給することの差止めを求めた住民訴訟である。
 2 前提事実,本件の争点及び争点に関する当事者の主張は,以下に当審主張を付加
するほか,原判決の「第2 事案の概要」欄の1ないし3に記載のとおりであるから,これを引
用する。
 3 控訴人の当審主張
  (1) 原判決は,平成15年4月分の民間給与額(ラスパイレス比較法)を44万7478円と
認定している。
 しかし,乙38号証によれば,名古屋市,岡崎市を除く県内の民間給与月額は38万6
421円(13地域の平均給与の合計額502万3487円÷13(地域))であり,名古屋市はこれ
よりも低い。国も,愛知県,名古屋市と共同で県内の民間企業に対して民調を行い,ラスパ
イレス比較法によって県内民間給与月額を38万0815円と算出し,愛知県内に勤務する国
家公務員に給与を支給している。
 したがって,原判決には誤りがある。
  (2) 原判決は,民間の給与水準については県内全域でほとんど格差がないと認定して
いる。
 しかし,乙37号証によれば,尾張中部は39万0745円,西尾・幡豆は23万3995円
でその差は15万6750円あり,また,乙38号証によれば,知多地区は46万3741円,海部・
津島地区は24万8589円でその差は21万5152円あることが認められるから,県内の民間
給与のほとんど差がないというのは誤認である。
 また,愛知県内の各地方公共団体に勤務する職員の平均給与は愛知県が51万500
0円,名古屋市が45万9000円,豊根村が32万7000円であるし,県内市町村では年額70
0万円台が15市2町,600万円台が16市21町3村,500万円台が18町5村となっているこ
とからも,格差が顕著であることは明らかである。
  (3) 原判決は,県職員の給与額の基礎には,行政職より高い給与水準が保証されてい
る教職員や警察官が含まれていると認定している。
 しかし,甲13号証によれば,警察官は行政職よりも給与月額,給与年額がともに低
い。
 したがって,原判決には誤りがある。
  (4) 原判決は,愛知県はそれほど広くなく公共交通機関整備状況から,異動に転居を
伴うとは限らないことから,在勤の地域によって手当の額に差を設けることは,必ずしも生活
実態に沿うとはいえないとした。
 しかし,岐阜県では岐阜市内に勤務する職員のみに調整手当を支給しており,隣接
する市町に勤務する職員には支給していない。同じように調整手当を支給している21都道
府県のうち,15都県は勤務地を基準に支給地域と非支給地域又は支給割合を変えてい
る。
 したがって,原判決には誤りがある。
  (5) 原判決は,調整手当について一律支給の合理性の理由として,一律支給を求める
職員団体の強い要望があることをあげている。
 しかし,これは本件条例9条の2及び給与法11条の3第1項前段,地方自治法204条
の2に反する。
  (6) 原判決は,名古屋市を除く県内各市町村が人事委員会を設置し,独自に民間給与
等の実態調査を行っているとは認められず,その給与がその地域の民間給与を十分に反
映したものであるとは必ずしもいえないと認定している。
 しかし,名古屋市を除く愛知県内の市は独自に公平委員会を設置しており,町村は
愛知県の人事委員会に委託している。また,名古屋市以外の各市町村は,国の人事院の
勧告を基にして地方公務員法,地方自治法を基に議会で議決の上で,職員の給与を決め
ているのであって,独自に民間給与の実態調査は行っていないが,その地域の民間給与を
十分反映させている。
 したがって,原判決には誤りがある。
 4 控訴人の当審主張に対する被控訴人の応答
  (1) 当審主張(1)について
    控訴人が主張する13地域の単純平均額では,愛知県職員の学歴別・職務段階別・
年齢別の人員構成を基に比較するラスパイレス比較による加重平均は正確に反映されない
ため,愛知県職員の給与と比較することは不適当である。
 また,国家公務員給与等実態調査における平成15年4月の国の行政職俸給表(一)
適用職員の平均給与月額は38万0815円であるが,これは全国の国家公務員の行政職俸
給表(一)適用職員の平均給与月額であり,愛知県内のラスパイレス比較をした民間給与月
額でも愛知県内に勤務する国家公務員の平均給与月額でもない。
  (2) 当審主張(2)について
    乙37及び38号証は,平成15年に愛知県人事委員会が行った職種別民間給与実
態調査の結果に基づき,地域別の民間事業所の給与状況について試算したものである。
地域別にみると事業所数等の偏りや抽出数が限られるなどの要素はあるものの,国が調整
手当を支給する地域としている名古屋市及び岡崎市の民間事業所従業員との比較におい
ては,一定の傾向が把握できるものであり,名古屋市,岡崎市以外にも民間賃金が高い地
域と認められる地域が相当数存在し,このような試算においてさえ,愛知県内各地域ではあ
まり格差がないという結果となっている。
 また,控訴人が主張する公共団体職員の給与は,県内各地方公共団体の広報等に
より公表した当該団体職員の給与費を基に算出した平均給与月額(単純平均)であるが,
給与水準を比較するのであれば,職種別,学歴別,職務段階別等を考慮したラスパイレス
比較で比較すべきである。
  (3) 当審主張(3)について
    甲13号証の給与月額は,公民給与を比較する場合の比較項目以外の額(例えば時
間外勤務手当,特殊勤務手当,管理職手当)が含まれていないものである。
 期末手当・勤務手当以外のすべての「諸手当」を含んだ給与月額としては,総務省が
公表している平成15年4月1日現在の職種別平均給与月額(全地方公共団体)によれば,
警察職は平均年齢が低いにもかかわらず一般行政職よりも高い。
 甲13号証に示された給与月額では,警察官の方が事務・技術職員よりわずか5100
円低いが,事務・技術職員の平均年齢は43.7歳,警察官の平均年齢は41.4歳であり,
その2.3歳の年齢差の影響を考慮する必要がある。仮に,事務・技術職員の平均年齢と警
察官の平均年齢が同じであれば,公民給与を比較する場合の比較項目以外の額(例えば
時間外勤務手当,特殊勤務手当,管理職手当)が含まれていない給与月額でも警察官の
方が高くなるものと考えられる。
  (4) 当審主張(4)について
    調整手当を支給する際にいわゆる在勤地主義がとられた理由は,支給の便宜も考慮
されているものであるが,生活面からみれば居住地に従って支給すべきとの意見もあり得る
ところであり,全国を異動し,その際転居を伴い生活面も変わる国家公務員の調整手当に
関する規定と,県という限られたエリアの中で,転居を伴う異動を例外とする愛知県職員の
調整手当に関する規定とでは,その内容の違いも認められるべきである。
 大都市を抱える都府県の多くは,生活圏や経済圏との関係や人事管理上の必要な
どから,国とは異なる調整手当の支給地域あるいは支給率の規定を設け,県内勤務者に係
る給与格差を国よりも縮小している。
 各県は,その県の事情により調整手当に関する規定を設けているところであるが,岐
阜県は県内に国の支給地域が全くない県であることから,調整手当に関しての事情は愛知
県や大都市を抱える都府県とは全く異なるので,比較して論ずるのは不適当である。
  (5) 当審主張(5)について
    職員団体の強い要望は,地方公務員法24条3項のその他の事情に該当する。な
お,本件条例9条の2は,本件条例附則7項に特例が定められているし,給与法11条の3
第1項前段は,地方公務員である愛知県職員の給与には適用されない。そして,愛知県職
員の調整手当は,地方自治法204条3項,地方公務員法24条6項に基づく本件条例により
支給しており,地方自治法204条の2に違反しない。
  (6) 当審主張(6)について
    市の公平委員会は給与勧告を行っていないし,町村が愛知県人事委員会に給与制
度について委託している事実もない。その余の主張は根拠が不明である。
第3 当裁判所の判断
 1 当裁判所も,控訴人の請求は理由がないから棄却すべきものと判断するが,その理由
は,以下のとおり原判決を付加訂正し,当審主張に対する判断を付加するほか,原判決の
「第3 当裁判所の判断」欄に記載のとおりであるから,これを引用する。
 2 原判決の付加訂正
  (1) 原判決24頁24行目末尾を改行の上,以下のとおり付加する。
   「 なお,行政職給料表(一)の適用のある職員の学歴別構成は大学卒51.3パーセン
ト,短大卒9.9パーセント,高校卒36.9パーセント,中学卒1.9パーセントとなっている
(乙13)。」
  (2) 原判決24頁26行目冒頭から同25頁4行目末尾までを,以下のとおり改める。
   「 国家公務員全体の総数は,平成14年4月現在で約46万人であり,学歴別構成は
大学卒40.8パーセント,短大卒16.3パーセント,高校卒41.4パーセント,中学卒1.5パ
ーセントとなっている。そして,そのうち,一般行政事務を担当する行政職俸給表(一)の適
用のある職員は約21万人であるところ,その学歴構成は大学卒が34.4パーセント,短大
卒が9.7パーセント,高校卒が55.1パーセント,中学卒が0.8パーセントとなっている(乙
10の2)。なお,人事院給与局発行の「国家公務員給与のしおり 平成16年版」(甲15)に
よれば,基準日は不明であるが,行政職俸給表(一)の適用のある職員の学歴別構成は大
学卒42.3パーセント,短大卒が12.6パーセント,高校卒が44.8パーセント,中学卒が
0.2パーセントとなっている。」
  (3) 原判決25頁17行目の「行政職」から同頁18行目末尾までを,以下のとおり改める。
    「行政職給料表の適用を受ける職員は1万0424人である。そして,その学歴別構成
は大学卒が44.0パーセント,短大卒が14.4パーセント,高校卒が41.4パーセント,中学
卒が0.3パーセントであり,その平均給与月額は42万4638円である(乙15)。」
  (4) 原判決28頁19行目の「名古屋市」から同頁21行目末尾までを,以下のとおり改め
る。
    「岡崎・額田,西尾・幡豆,新城・南北設楽,宝飯の各地区においては31万円から35
万円の間にあり,その他の地区(尾張中部,尾張西部,尾張北部,尾張東部,知多,豊田・
加茂,衣浦東部,豊橋・渥美)は名古屋市の平均給与月額43万3283円と同程度の金額で
ある(なお,尾張中部,尾張北部,知多,豊田・加茂,衣浦東部の各地区は名古屋市よりも
高い。)(乙38)。」
  (5) 原判決30頁4行目の「民間の」から同頁6行目の「存在すること」までを,以下のとお
り改める。
    「民間の給与水準については,名古屋市以外の13地区のうち,海部津島地区は名
古屋市内よりも極端に低いものの,7地区は名古屋市内と同程度かやや低い程度であり,5
地区は名古屋市内よりも高いこと」
  (6) 原判決32頁11行目の「顕著に高く,」の次に,以下のとおり付加する。
    「国家公務員の行政職俸給表(一)に相応する愛知県職員の行政職給料表(一)の適
用のある職員を比較しても,大学卒の者の占める割合が相当程度高く,」
 3 控訴人の当審主張に対する判断
  (1) 当審主張(1)について
    控訴人は,乙38号証によれば,名古屋市,岡崎市を除く県内の民間給与月額は38
万6421円(13地域の平均給与の合計額502万3487円÷13(地域))であり,名古屋市は
これよりも低いことが認められるから,平成15年4月分の民間給与額(ラスパイレス比較法)
を44万7478円と認定した原判決には誤りがある旨主張する。
 しかし,控訴人の主張する金額は,乙38号証に記載された金額の単純平均であると
認められ,かかる金額をもって名古屋市,岡崎市を除く地域におけるラスパイレス比較法に
よる民間給与額とすることはできないから,控訴人の主張はその前提において誤りがあり,
理由がないというべきである。
 また,控訴人は,国はラスパイレス比較法によって県内民間給与月額を38万0815円
と算出し,愛知県内に勤務する国家公務員に給与を支給しているから,原判決の上記認定
には誤りがある旨主張する。
 上記(引用にかかる原判決,付加訂正後のもの)のとおり,平成15年4月の国の行政
職俸給表(一)適用職員の平均給与月額は38万0815円であるが,これは全国の国家公務
員の行政職俸給表(一)適用職員の平均給与月額であって,愛知県内のラスパイレス比較を
した民間給与月額ではない。
 したがって,控訴人の主張は理由がない。
  (2) 当審主張(2)について
    控訴人は,乙37号証によれば,尾張中部は39万0745円,西尾・幡豆は23万3995
円でその差は15万6750円あり,また,乙38号証によれば,知多地区は46万3741円,海
部・津島地区は24万8589円でその差は21万5152円あることが認められるから,県内の
民間給与には格差がある旨主張する。
 乙37号証中には,控訴人主張の金額が記載されているが,尾張中部については部
長,係長の平均給与を含んだ金額であるのに対し,西尾・幡豆については部長,係長の平
均給与を含まない金額であって,ラスパイレス比較による民間給与額ではないから,上記金
額をそのまま比較するのは適当であるとはいえない。
 そして,乙38号証には,控訴人主張の金額が記載されているが,上記(引用にかか
る原判決,付加訂正後のもの)のとおり,名古屋市以外の13地区のうち,海部・津島地区の
みが極端に低いものの,その他の12地区は名古屋市内よりも同程度ないしやや低いか名
古屋市内よりも高い水準にあり,他に異動の際に転居を伴うとは限らないということや,調整
手当を廃止した場合には給与本体の引き上げを余儀なくされる等という上記(引用にかかる
原判決,付加訂正後のもの)の事情を考慮すると,上記格差があることをもって本件附則が
地方公共団体の裁量権を乱用・逸脱するものであるということはできない。
 また,控訴人は,愛知県内の各地方公共団体に勤務する職員の平均給与は愛知県
が51万5000円,名古屋市が45万9000円,豊根村が32万7000円であるし,県内市町村
では年額700万円台が15市2町,600万円台が16市21町3村,500万円台が18町5村と
なっていることからも,格差が顕著であることは明らかである旨主張する。
 しかし,上記(引用にかかる原判決,付加訂正後のもの)のとおり,名古屋市を除く県
内各市町村が人事委員会を設置し独自に民間給与等の実態調査を行っているとは認めら
れず,その給与がその地域の民間給与を十分に反映したものとは必ずしもいえない。また,
愛知県職員の給与が名古屋市職員と比較して高いことについては,上記(引用にかかる原
判決,付加訂正後のもの)のとおり,比較的給与水準の高い教育関係者や警察職員を含ん
でいること等を考慮すると,上記結論を左右するものとはいえない。
 したがって,控訴人の主張は理由がない。
  (3) 当審主張(3)について
    控訴人は,甲13号証によれば,警察官は行政職よりも給与月額,給与年額がともに
低いことが認められるから,県職員の給与額の基礎には,行政職より高い給与水準が保証
されている教職員や警察官が含まれていると認定した原判決には誤りがある旨主張する。
 甲13号証には,行政職給料表(一)の適用を受ける職員の給与月額は45万2400円
であり,公安職給料表の適用を受ける警察官の給与月額は44万7300円である旨の記載
がある。
 しかし,乙13号証によれば,上記金額は,給料の他に,扶養手当,調整手当,住居
手当,通勤手当等の各種手当を含んだ金額であることが認められる。そして,給料のみを
比較すれば,同証拠によれば,行政職給料表(一)の適用を受ける職員の給与月額は37万
5744円,公安職給料表の適用を受ける警察官の給与月額は37万1048円とほとんど格差
がなく,行政職給料表(一)の適用を受ける職員の平均年齢が43.0歳,公安職給料表の適
用を受ける警察官の平均年齢が41.9歳であることを考慮すると,警察官の給与水準は,
行政職よりも高いものであると認められる。
 したがって,控訴人の上記主張は理由がない。
  (4) 当審主張(4)について
    控訴人は,岐阜県では岐阜市内に勤務する職員のみに調整手当を支給している,
調整手当を支給している21都道府県のうち,15都県は都県内に支給地域と非支給地域又
は支給割合を変えているとして,愛知県はそれほど広くなく公共交通機関整備状況から,
異動に転居を伴うとは限らないことから,在勤の地域によって手当の額に差を設けることは,
必ずしも生活実態に沿うとはいえないとした原判決には誤りがある旨主張する。
 しかし,上記(引用にかかる原判決,付加訂正後のもの)のとおり,異動の際に転居を
伴うとは限らないことから,在勤の地域によって手当の額に差を設けることは必ずしも生活
実態に沿うとはいえないことや,調整手当を廃止した場合,給与本体の引き上げを余儀なく
され,県の負担はかえって重くなりかねない等の事情を考慮すると,本件附則が,地方公共
団体の裁量権を乱用・逸脱するものであるとまではいえない。調整手当について控訴人主
張のような運用をしている自治体があることを考慮しても,上記結論は左右されない。
 したがって,控訴人の主張は理由がない。
  (5) 当審主張(5)について
    控訴人は,一律支給を求める職員団体の強い要望を一律支給の合理性の理由とし
た原判決の判断は,本件条例9条の2及び給与法11条の3第1項前段,地方自治法204
条の2に反する旨主張する。
 しかし,上記(引用にかかる原判決,付加訂正後のもの)のとおり,給与とは,給料の
外,地方自治法204条2項所定の諸手当を含むものを意味するから,給与等の勤務条件の
根本基準を定める地方公務員法24条は,調整手当をも適用対象としていると解されるとこ
ろ,同条3項は,職員の給料が,生計費,国家公務員の給与,他の地方公共団体の職員の
給与,民間事業の従事者の給与,その他の事情を考慮して定められるべきことを規定して
いるから,職員団体の要望もその他の事情として考慮することができるというべきである。
 また,本件条例9条の2及び給与法11条の3の規定を考慮しても,上記(引用にかか
る原判決,付加訂正後のもの)のとおり,本件附則が,地方公共団体の裁量権を乱用・逸脱
するものとまではいない。
 したがって,被告が本件附則に基づいて本件支給を行うことが,地方自治法204条
の2に違反するとはいえない。
 よって,控訴人の主張は理由がない。
  (6) 当審主張(6)について
    控訴人は,①名古屋市を除く愛知県内の市は独自に公平委員会を設置し,町村は
愛知県の人事委員会に委託している,②名古屋市以外の各市町村は,国の人事院の勧告
を基にして地方公務員法,地方自治法を基に議会で議決の上で,職員の給与を決めてい
るのであって,独自に民間給与の実態調査は行っていないが,その地域の民間給与を十
分反映させている,として,名古屋市を除く県内各市町村が人事委員会を設置し,独自に
民間給与等の実態調査を行っているとは認められず,その給与がその地域の民間給与を
十分に反映したものであるとは必ずしもいえないと認定した原判決には誤りがある旨主張す
る。
 しかし,①については,職員の給与に関し,愛知県内の市(ただし,名古屋市を除
く。)の公平委員会が勧告をしていることや,愛知県内の町村が愛知県人事委員会に調査
ないし勧告を委託していることを認めるに足りる証拠はない。
 また,②については,その趣旨は必ずしも明確ではないが,仮に,名古屋市以外の
各市町村が人事院の勧告を基に議会の議決に基づいて職員の給与を決めているとして
も,上記(引用にかかる原判決,付加訂正後のもの)のとおり,その給与がその地域の民間
給与を十分に反映したものであるとはいえないから,上記結論を左右するものではない。
 したがって,控訴人の主張は理由がない。
第4 結論
   よって,原判決は相当であって,控訴人の本件控訴は理由がないから棄却することと
し,主文のとおり判決する。
    名古屋高等裁判所民事第3部
        裁判長裁判官   青   山   邦   夫
            裁判官   田   邊   浩   典
            裁判官   手   嶋   あ さ み

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