弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人等の負担とする。
         理    由
 上告代理人弁護士浜野徹太郎の上告理由は別紙のとおりである。
 上告理由第一について。
 論旨は本件訴訟記録中の原判決には裁判官の署名捺印がなく民訴一九一条に違反
するというのである。しかし訴訟記録に編綴してある二審判決は判決正本であつて
原本ではなく裁判官の署名捺印のないのは当然である。そして、二審判決の原本は
その庁に保存し訴訟記録には判決正本を添付すべきことは昭和二五年一月二六日当
裁判所第一小法廷判決(判例集四巻一号一一頁)の判示するとおりである。原本が
記録に編綴されていないからといつて、所論のように原審が民訴一八九条に違反し
て判決原本に基かないで判決を言い渡したということはできない。論旨は理由がな
い。
 同第二について。
 論旨は、原審結審後弁論再開を決定し、その決定書に結審の際の構成員であつた
裁判官の署名がなく、更迭後の裁判官の署名があるのは直接口頭弁論主義に反し違
法であるというのである。しかし、再開決定に所論のように更迭前の裁判官が関与
しなければならないとする根拠はなく、そして再開後の弁論期日には更迭後の裁判
官も民訴一八七条二項による当事者の従前の口頭弁論の結果の陳述を聞いた後原審
は本件原判決を言い渡したのであるから、原判決に所論のような違法はない。論旨
は理由がない。
 同第三について。
 論旨は要するに自作農創設特別措置法(以下自創法と略称する)の廃止によつて
は上告人等の本訴はその利益を失わない旨を主張するに帰する。
 しかし上告人等は、本訴を提起して、上告人等を相手方とする農地売渡計画を取
り消した兵庫県農地委員会の訴願裁決の取消を求めるのであるが、本訴の原審係属
中の昭二七年一〇月二一日農地法施行法が施行され、その一条によつて自創法は廃
止され、そして右施行法三条によれば、売渡通知書の交付があつた農地についての
み従前の例によることにしているのであつて、売渡通知書の末だ交付されていない
本件農地については、あらためて農地法によつて売渡を行うことになり、自創法に
よつて定められた本件農地売渡計画はその効力を失つたものと解するのが相当であ
る。かりに判決をもつて上告人等の請求を容認し訴願裁決を取り消しても、形の上
では売渡計画は復活するようなものの、その計画は農地法によつて行われる売渡手
続には何の効力もないのであつて、上告人等の本訴の利益は、前記農地法施行法の
施行によつて失われたものといわなければならない。
 論旨は、上告人等はD村農地委員会の上告人等に対する本件売渡計画の決議によ
つて売渡を受ける権利を取得したというのであるが、自創法による売渡計画は売渡
手続の一段階として定められるに過ぎず、権利関係を形成する効力を持つものでは
ない。上告人等が本件計画によつて何らかの権利を取得したという主張は採用でき
ない。論旨はまた、売渡計画に対する都道府県農地委員会の承認は行政処分でない
旨の当裁判所の判例を援用するけれども、右先例と本件とは全く関係がない。論旨
はさらに、行政処分適否の判断は処分当時の法令によるべき旨の当裁判所の判例を
援用するけれども、これら先例の事件は、訴の利益のある事件であつて、その判決
は本件の先例となるものではない。
 以上説明のように本件上告は理由がないからこれを棄却することとし、民訴四〇
一条、九五条、八九条に従い裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    小   谷   勝   重
            裁判官    藤   田   八   郎
            裁判官    河   村   大   助
            裁判官    奥   野   健   一

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