弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件各上告を棄却する。
         理    由
 被告人A本人の上告趣意は、被告人両名の司法警察員及び検察官に対する各供述
は係官の強制、脅迫及び誘導による不任意の供述であることを前提とする事実誤認
の主張、被告人B本人の上告趣意は、被告人Bの司法警察員及び検察官に対する各
供述は係官の強制、脅迫及び誘導による不任意の供述であることを前提とする事実
誤認の主張並びに量刑不当の主張、被告人Bの弁護人岡田俊男、同江島晴夫の上告
趣意第一点は同被告人の司法警察員及び検察官に対する各供述が係官の強制、脅迫
及び誘導による不任意の供述であることを前提とする事実誤認の主張、第二点は再
審の請求をすることができる場合(刑訴四三五条一号、二号、六号)にあたる事由
があることの主張、第三点は判例違反をいうけれども引用の判例は本件に適切を缺
き、所論は結局訴訟法(採証法則)違反の主張に帰し、第四点は量刑不当の主張で
あつていずれも刑訴四〇五条の上告理由に当らない。(所論被告人両名の捜査官に
対する各供述が所論のような理由で任意性を缺くものであるとは認められない、ま
た本件においては刑訴四三五条一号、二号、六号にあたる事由も存しない。)被告
人Aの弁護人牧野寿太郎の上告趣意第一点は判例違反を主張するけれども引用の明
治四三年六月一七日判例は昭和三二年九月一三日第二小法廷判決(刑集一一巻九号
二二六三頁)により既に変更され、すなわち刑法二三六条二項の罪は同条一項の罪
と同じく処罰すべきものと規定され、一項の罪とは不法利得と財物強取とを異にす
る外、その構成要素に何らの差異がなく、一項の罪におけると同じく相手方の反抗
を抑圧すべき暴行、脅迫の手段を用いて財産上不法利得するをもつて足り、必ずし
も相手方の意思による処分行為を強制することを要するものではない、従つて、犯
人が債務の支払を免れる目的をもつて債権者に対しその反抗を抑圧すべき暴行、脅
迫を加え、債権者をして支払の請求をしない旨を表示せしめて支払を免れた場合で
あると、右の手段により債権者をして事実上支払の請求をすることができない状態
に陥らしめて支払を免れた場合であるとを問わず、ひとしく右二三六条二項の不法
利得罪を構成するものと解すべきであるとされるに至つたのであり、原審の確定し
た事実関係によれば被告人Aは判示第一の犯行の二日位前に被害者C、Dの両名か
ら現金約三〇万円の保管を託されてこれを受取り、以来その管理一切の責任を負い、
その後各地において諸経費を同人らの了解のもとに右金員中より支出し、犯行直前
には残金約二七万五千円を所持していたところ、同被告人は自己の保管にかかる右
金員を領得するため相被告人Bと共同し判示日時判示あかつき丸の船尾から毛布に
巻きつけた右C、Dの両名を次々に暗夜の海中に投入れて溺死させ、もつて委託者
たる右両名を殺害し、同人らから事実上右金員の返還請求を受けることのない結果
を生ぜしめて返還を免れたというのであるから、原審が右被告人らの所為は財産上
不法の利益を得たものであるとなし、刑法二四〇条後段、二三六条二項に該当する
ことが明白であると判示したのはまことに正当であり、論旨は理由がない。第二点
は、単なる法令違反の主張であつて刑訴四〇五条の上告理由に当らない。(たとへ
原判示金員が麻薬購入資金として被害者C及びD両名から被告人Aに保管を託され、
右金員の授受は不法原因に基ずく給付であるがため右Cらがその返還を請求するこ
とができないとしても、前示の如くいやしくも被告人らが該金員を領得するため右
Cらを殺害し、同人らから事実上その返還請求を受けることのない結果を生ぜしめ
て返還を免れた以上は、刑法二四〇条後段、二三六条二項の不法利得罪を構成する
ものと解すべきである。昭和二五年七月四日第三小法廷判決、刑集四巻七号一一六
八頁及び同年一二月五日第三小法廷判決、刑集四巻一二号二四七五頁各参照。)
 また記録を調べても刑訴四一一条を適用すべきものとは認められない。
 よつて同四一一条、三九六条、なお被告人Aにつき同一八一条一項但書により裁
判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。
 検察官 上田次郎出席
  昭和三五年八月三〇日
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    高   橋       潔
            裁判官    島           保
            裁判官    河   村   又   介
            裁判官    垂   水   克   己
            裁判官    石   坂   修   一

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