弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決を破棄する。
     被告人を免訴する。
         理    由
 被告人の弁護人牟田真の上告趣意について、
 原判決は、被告人が銃砲火薬類取締法施行規則二二条所定の者でもなく、又行政
官庁の許可も受けずに、昭和二一年八月一〇日頃から翌二二年一一月八日までの間、
ダイナマイト弾、ダイナマイト、雷管、導火線等を自宅附近へ隠匿所持した事実を
認定し、これに対し、明治四四年勅令一六号銃砲火薬類取締法施行規則二二条四五
条を適用処断したことは所論のとおりである。しかるに、同規則四五条は、昭和二
二年法律七二号「日本国憲法施行の際現に効力を有する命令の規定の効力等に関す
る法律」一条によつて、昭和二三年一月一日以降は国法としての効力を失つたもの
であることは、昭和二五年(れ)第七二三号同二七年一二月二四日言渡の当裁判所
大法廷判決の判示するとおりであるから、原判決当時(昭和二三年四月二〇日)に
おいては右規則四五条は失効し犯罪後の法令により刑の廃止があつたときに当るの
で、原審は旧刑訴四〇七条、三六三条二号により被告人に対し、免訴の言渡をすべ
きにかかわらず有罪の言渡をした違法がある。論旨はそれ故に理由がある。
 よつて旧刑訴四四七条により原判決を破棄し、同四四八条により更に判決するの
であるが、原判決が確定した事実に対する銃砲火薬類取締法施行規則四五条の規定
は前記のとおり失効したので本件は犯罪後の法令により刑の廃止があつたときに当
るから、旧刑訴四五五条三六三条二号に従つて被告人を免訴すべきである。
 よつて主文のとおり判決する。
 この判決は裁判官斎藤悠輔の反対意見(前掲判例参照)を除きその余の裁判官全
員一致の意見によるものである。
 検察官 岡本梅次郎関与
  昭和二七年一二月二四日
     最高裁判所大法廷
         裁判長裁判官    田   中   耕 太 郎
            裁判官    霜   山   精   一
            裁判官    井   上       登
            裁判官    栗   山       茂
            裁判官    真   野       毅
            裁判官    小   谷   勝   重
            裁判官    島           保
            裁判官    斎   藤   悠   輔
            裁判官    藤   田   八   郎
            裁判官    岩   松   三   郎
            裁判官    河   村   又   介
            裁判官    谷   村   唯 一 郎
            裁判官    小   林   俊   三
            裁判官    本   村   善 太 郎
 裁判官沢田竹治郎は退官につき署名押印することができない。
         裁判長裁判官    田   中   耕 太 郎

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