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裁判例


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主文
1 被告が平成15年6月25日付けで原告に対してした,平成11年11月1
日から平成12年10月31日までの課税期間の消費税及び地方消費税の更正処分
のうち消費税額65万5900円,地方消費税額16万3900円を超える部分並
びに過少申告加算税の賦課決定処分を取り消す。
2 被告が平成15年6月25日付けで原告に対してした,平成12年11月1
日から平成13年10月31日までの課税期間の消費税及び地方消費税の更正処分
のうち消費税額58万9600円,地方消費税額14万7400円を超える部分並
びに過少申告加算税の賦課決定処分を取り消す。
3 被告が平成15年6月25日付けで原告に対してした,平成13年11月1
日から平成14年10月31日までの課税期間の消費税及び地方消費税の更正処分
のうち消費税額51万1900円,地方消費税額12万7900円を超える部分並
びに過少申告加算税の賦課決定処分を取り消す。
4 訴訟費用は被告の負担とする。
事実及び理由
第1 請求
主文同旨
第2 事案の概要
本件は,消費税簡易課税制度選択届出書を提出していた原告が,自己の営む歯
科技工業が消費税法施行令57条5項3号に定める第三種事業(製造業)に該当
し,みなし仕入率が100分の70であるとして消費税及び地方消費税(以下「消
費税等」という。)の申告をしたところ,被告から原告の事業は同項4号に定める
第五種事業(サービス業)に該当し,みなし仕入率は100分の50であるとして
消費税等の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定を受けたことから,上記各
処分の取消しを求めた抗告訴訟である。
1 争いのない事実等
(1) 原告
原告は,歯科技工所を営む有限会社であり,平成10年1月7日,被告に
対し,消費税簡易課税制度選択届出書を提出した。
また,原告の課税売上高は,平成11年11月1日から平成12年10月
31日までの課税期間(以下「平成12年10月期課税期間」といい,その他もこ
の例による。)ないし平成14年10月期課税期間(以下「本件各課税期間」とい
う。)の各基準期間のいずれにおいても,2億円以下である(弁論の全趣旨)。
(2) 原告の事業内容
原告は,自ら原材料を仕入れ,歯科医師の指示書に従って,患者の歯の石
こう型に適合する歯科医療用の補てつ物等(以下「歯科補てつ物等」という。)を
製作し,歯科医師に納品している。また,修正,作り直しが必要な場合であって
も,専ら歯科医師の指示に従って修正,作り直しをするのであって,原告が患者に
直接接する機会はない。すなわち,原告は,歯科医師との間で歯科補てつ物等の製
作納入に関する契約を締結しているのであって,患者との間には何ら契約が締結さ
れることはない(以下,原告の事業を「本件事業」という。)。
(3) 確定申告
原告は,本件事業が消費税法施行令57条5項3号ヘ所定の製造業に該当
し,みなし仕入率が100分の70であるとして,本件各課税期間の消費税等につ
いて,いずれも法定申告期限内に,別表の「確定申告(期限内)」欄記載のとお
り,確定申告をした。
(4) 本件各処分
被告は,本件事業は消費税法施行令57条5項4号ハ所定のサービス業に
該当するから,原告の確定申告に係る控除対象仕入税額は過大であるとして,平成
15年6月25日付けで,原告の本件各課税期間の消費税等について,別表の「更
正処分等」欄記載のとおり,各更正処分(以下「本件各更正処分」という。)並び
に過少申告加算税の各賦課決定処分(以下「本件各賦課決定処分」といい,本件各
更正処分と合わせて「本件各処分」と総称する。)をし,同日,原告にこれを通知
した。
(5) 不服申立て
原告は,本件各処分を不服として,平成15年8月6日付けで,被告に対
して異議申立てをしたが,被告は,同年11月5日付けで原告の異議申立てを棄却
する旨の決定をし,そのころ,原告に対してこれを通知した。
原告は,これを不服として,同年12月2日付けで,国税不服審判所長に
対して審査請求をしたが,国税不服審判所長は,平成16年6月29日付けで,審
査請求を棄却する旨の裁決をし,そのころ,原告に対してこれを通知した。
(6) 本訴提起
原告は,平成16年9月27日,本件各更正処分のうち確定申告に係る消
費税等の額を超える部分及び本件各賦課決定処分の取消しを求めて,本訴を提起し
た。
(7) 関係法令等の抜粋
ア 消費税法施行令の抜粋
(中小事業者の仕入れに係る消費税額の控除の特例)
57条 次項及び第3項に定めるもののほか,法第37条第1項に規定す
る政令で定める事業は,次の各号に掲げる事業とし,同項に規定する政令で定める
率は,当該事業の区分に応じ当該各号に定める率とする。
一 第一種事業 100分の90
二 第二種事業 100分の80
三 第三種事業 100分の70
四 第五種事業 100分の50
(略)
5 前各項において,次の各号に掲げる用語の意義は,当該各号に定め
るところによる。
一 第一種事業 卸売業をいう。
二 第二種事業 小売業をいう。
三 第三種事業 次に掲げる事業(前2号に掲げる事業に該当するも
の及び加工賃その他これに類する料金を対価とする役務の提供を行う事業を除
く。)をいう。
イ 農業
ロ 林業
ハ 漁業
ニ 鉱業
ホ 建設業
ヘ 製造業(製造した棚卸資産を小売する事業を含む。)
ト 電気業,ガス業,熱供給業及び水道業
四 第五種事業 次に掲げる事業(前3号に掲げる事業に該当するも
のを除く。)をいう。
イ 不動産業
ロ 運輸通信業
ハ サービス業(飲食店業に該当するものを除く。)
五 第四種事業 前各号に掲げる事業以外の事業をいう。
(略)
6 前項第1号の卸売業とは,他の者から購入した商品をその性質及び
形状を変更しないで他の事業者に対して販売する事業をいうものとし,同項第2号
の小売業とは,他の者から購入した商品をその性質及び形状を変更しないで販売す
る事業で同項第1号に掲げる事業以外のものをいうものとする。
イ 消費税法基本通達(平成7年12月25日付け課消2-25ほか。ただ
し,平成14年9月25日付け課消1-40ほかによる改正前のもの)の抜粋
(第三種事業及び第五種事業の範囲)
13-2-4 令第57条第5項第3号《事業の種類》の規定により第三
種事業に該当することとされている農業,林業,漁業,鉱業,製造業(製造小売業
(自己の製造した商品を直接消費者に販売する事業をいう。…)を含む。),電気
業,ガス業,熱供給業及び水道業(以下「製造業等」という。)並びに同項第4号
の規定により第五種事業に該当することとされている不動産業,運輸通信業及びサ
ービス業(以下「サービス業等」という。)の範囲は,おおむね日本標準産業分類
(総務庁)の大分類に掲げる分類を基礎として判定する。
なお,日本標準産業分類の大分類の区分では製造業等又はサービス業
等に該当することとなる事業であっても,他の者から購入した商品をその性質及び
形状を変更しないで販売する事業は,第一種事業又は第二種事業に該当するのであ
るから留意する。
また,製造業等に該当する事業であっても,加工賃その他これに類す
る料金を対価とする役務の提供を行う事業は,第四種事業に該当するのであるから
留意する。
(注) 例えば,建売住宅を販売する建売業のうち,自ら建築施工しな
いものは,日本標準産業分類では不動産業に該当するが,他の者が建築した住宅を
購入してそのまま販売するものであるから,第一種事業又は第二種事業に該当し,
また,自ら建築した住宅を販売するものは,第三種事業の建設業に該当することと
なる。
(以下「本件通達」という。)
ウ 消費税法基本通達(平成7年12月25日付け課消2-25ほか。ただ
し,平成14年9月25日付け課消1-40ほかによる改正後のもの)の抜粋
(第三種事業及び第五種事業の範囲)
13-2-4 令第57条第5項第3号《事業の種類》の規定により第三
種事業に該当することとされている農業,林業,漁業,鉱業,製造業(製造小売業
(自己の製造した商品を直接消費者に販売する事業をいう。…)を含む。),電気
業,ガス業,熱供給業及び水道業(以下「製造業等」という。)並びに同項第4号
の規定により第五種事業に該当することとされている不動産業,運輸通信業及びサ
ービス業(以下「サービス業等」という。)の範囲は,おおむね日本標準産業分類
(総務省)の大分類に掲げる分類を基礎として判定する。
この場合において,サービス業等とは,日本標準産業分類の大分類に
掲げる不動産業,情報通信業,運輸業,飲食店・宿泊業(飲食店に該当するものを
除く。),医療・福祉,教育,学習支援業,複合サービス事業及びサービス業(他
に分類されないもの)をいうものとする。
なお,日本標準産業分類の大分類の区分では製造業等又はサービス業
等に該当することとなる事業であっても,他の者から購入した商品をその性質及び
形状を変更しないで販売する事業は,第一種事業又は第二種事業に該当するのであ
るから留意する。
また,製造業等に該当する事業であっても,加工賃その他これに類す
る料金を対価とする役務の提供を行う事業は,第四種事業に該当するのであるから
留意する。
(注) 例えば,建売住宅を販売する建売業のうち,自ら建築施工しな
いものは,日本標準産業分類では不動産業に該当するが,他の者が建築した住宅を
購入してそのまま販売するものであるから,第一種事業又は第二種事業に該当し,
また,自ら建築した住宅を販売するものは,第三種事業の建設業に該当することと
なる。
(8) 日本標準産業分類による歯科技工所の分類
平成5年10月改訂(第10回改訂)に係る日本標準産業分類は,同年1
0月4日に告示され,平成6年4月1日以降平成14年9月30日以前の統計の表
示に適用されていたところ,同分類では,歯科技工所は,大分類L-サービス業,
中分類88-医療業,小分類886-歯科技工所,細分類8861歯科技工所に分
類されていた(乙5)。
平成14年3月改訂(第11回改訂)に係る日本標準産業分類は,同年3
月7日に告示され,同年10月1日以降の統計の表示に適用されているところ,同
分類では,歯科技工所は,大分類N-医療,福祉,中分類73-医療業,小分類7
36-医療に附帯するサービス業,細分類7361歯科技工所に分類されている。
2 争点
原告の本件各課税期間におけるみなし仕入率は,100分の50(被告の主
張)か,100分の70(原告の主張)か。
具体的には,本件事業が消費税法施行令57条5項4号ハ所定のサービス業
に該当するか(被告の主張),それとも同項3号ヘ所定の製造業に該当するか(原
告の主張)。
3 争点に関する当事者の主張
(被告の主張)
(1) 本件通達の合理性
ア 簡易課税制度の趣旨と課税実務
簡易課税制度は,平成15年法律第8号による改正前の消費税法(昭和
63年法律第108号。以下同じ。)30条以下の実額による課税仕入れの煩雑な
算定を避けて,基準期間における課税売上高が2億円以下である中小事業者の負担
を軽減するために,具体的な事業者の個別性による差異を捨象し,当該事業の一般
的な課税仕入れの態様に応じて類型化した事業区分を用いてそれぞれみなし仕入率
を定め,簡易に当該課税期間における仕入れに係る消費税額を算定することを可能
にしたものである。
このように,みなし仕入率を適用するためには,各種事業の範囲を明確
にする必要があるところ,消費税法及び消費税法施行令は,これを必ずしも明らか
にしていないため,課税実務上,本件通達に従って,原則として日本標準産業分類
に従って事業の範囲を確定するものとして取り扱っている。
イ 立法担当者の意思
消費税法は,昭和63年12月30日に公布され,翌年4月1日から施
行されているところ,簡易課税制度における事業区分について,当初は,卸売業
(みなし仕入率90パーセント)とその他の事業(80パーセント)の2区分とさ
れていたが,昭和63年12月19日の第113回国会参議院税制問題等に関する
調査特別委員会において,「日本標準産業分類において製造業に分類されている中
には,卸売業と同様に10パーセント程度の付加価値しか得ることができない事業
があり,このような事業について,……事業区分を政令でどのように定めるのか」
という旨の質疑に対し,大蔵省主税局長は,「現在の法人税におきましても,貸倒
引当金の運用でございますとか,もろもろの特別措置の場合は,卸とその他に分け
ている場合がございます
。そうしたものをも先例としつつ分類をすることになろうと思います。」と答弁し
ており,実際に,法人税基本通達11-2-10に,法人税法における貸倒引当金
について「おおむね日本標準産業分類(略)の分類を基準として判定する。」とす
る先例等があり,消費税法における事業の判定についても,日本標準産業分類に基
づくことが前提とされていた。
その後,業種によっては実際の仕入率とみなし仕入率との間にかい離が
あり,速やかにこれを是正し,制度の公平性を高めるべきである旨の税制調査会実
施状況フォーローアップ小委員会報告(平成2年10月30日に税制調査会総会へ
提出)等を受けて,平成3年法律第73号による消費税法の改正により,事業区分
が2区分から4区分に細分化されたが,この改正について解説した国税庁発行の文
献にも,おおむね日本標準産業分類によることを示す記載があり,課税実務は,原
則として日本標準産業分類に従って事業の範囲を確定していた。
その後,簡易課税制度のみなし仕入率に関しては,適時見直しを行い実
態に即したものとしておくことが必要である旨の税制調査会(平成5年11月及び
平成6年6月)の答申を受け,かつ,最新の仕入率の実態調査結果に基づき,平成
8年政令第86号による消費税法施行令の改正により,みなし仕入率について,従
前みなし仕入率が60パーセントとされていたその他の事業のうち不動産業,運輸
通信業及びサービス業のみなし仕入率を50パーセントとすることとされるに至っ
ているが,その際の実態調査は,日本標準産業分類を事業区分の基準として実施さ
れたことが容易に推認される。
ウ 日本標準産業分類によることの合理性
以上のとおり,みなし仕入率については,納税事務の簡素化を前提とし
ながらも,公平な課税の実現のために,できる限り実態に即した適用がされるよう
改正が重ねられてきており,また,平成8年政令第86号の制定に先立ち行われた
実態調査が日本標準産業分類を事業区分の基準として実施されたことが容易に推認
されるのであるから,この分類に従うのが合理的である。
そのほか,消費税法施行令は,日本標準産業分類を前提としつつも,製
造小売業を第三種事業の製造業に含め,加工賃その他これに類する料金を対価とす
る役務の提供を行う事業を第三種事業から除外するなど,実際の仕入率とのかい離
が認められる事業については,修正を加え,かつ,第3号及び第4号に掲げる事業
は日本標準産業分類の大分類に列挙されている産業と一致している。
さらに,日本標準産業分類における分類は,社会通念に基づく客観的な
ものであり,一般性・普遍性を有しているところ,日本標準産業分類以外に,より
合理的な他の基準は見当たらない。
したがって,本件通達及びこれに基づく実務において,事務の判定に当
たり,原則として日本標準産業分類によることとしているのは,十分な合理性があ
る。
なお,仮に,日本標準産業分類のような基準がなかったとすれば,中小
事業者も課税庁も簡易課税制度に関する混乱が避けられず,ひいては法的安定性・
予測可能性を損なうであろうことは,多言を要しない。
エ 本件通達の「おおむね」の意義
本件通達は,「おおむね日本標準産業分類(総務庁)の大分類に掲げる
分類を基礎として判定する」こととしているが,日本標準産業分類は,事務所にお
いて行われる経済活動を分類するものであることから,例えば,事業所を有しない
事業であるプロスポーツ選手等の役務の提供や,事業所を有する事業の一環として
行われる事業,例えば製造業における加工くずの販売や事業で使用していた固定資
産の売却などは,日本標準産業分類では区分されていない。そのため,事業所統計
としての日本標準産業分類に掲げられていない事業もあることから,「おおむね日
本標準産業分類(総務庁)の大分類に掲げる分類を基礎として判定する」こととし
ているのである。
よって,例えば,日本標準産業分類上「サービス業」に該当する事業に
ついて,当該事業の仕入の実態が製造業に近い実態にある事業である場合に当該実
態を考慮して事業区分の判定を行うことがあることを前提として「おおむね」との
規定を設けているものではない。
(2) 本件へのあてはめ
ア 本件事業の本質
本件事業の内容は,歯科医師の指示書に従って,歯科補てつ物等を作成
し,歯科医師に納品することである。
歯科技工士法によれば,歯科技工は,免許を取得した歯科技工士でなけ
れば業として行うことができず(同法17条),歯科技工が行われる場所が歯科技
工所である場合には,設計,作成の方法,使用材料等が記載された歯科医師の指示
書によらなければならないとされている(同法18条)。これは,歯科技工を行う
には高度な専門知識,技能,技術が必要とされるためだけではなく,歯科技工士が
歯科医師の補助者として,歯科医療行為の一環としてこれを行うことによるもので
あると解される。
そうであれば,本件事業は,不特定多数の者への販売を目的として歯科
補てつ物を制作する「製造業」とするよりも,特定の者に対する歯科医療の用に供
する歯科医師の治療用具としての歯科補てつ物の作成,修理,加工による「歯科医
療行為に付随するサービス提供事業」である点にその本質があるものと解される。
イ 日本標準産業分類による歯科技工所の分類
現行(平成14年3月改訂)の日本標準産業分類によれば,歯科技工所
は,大分類「N医療,福祉」,中分類「73-医療業」,小分類番号736,細分
類番号7361の「歯科技工所 歯科医師又は歯科技工士が業として特定人に対す
る歯科医療の用に供する補てつ物,充てん物又は矯正装置の作成,修理又は加工を
行う事業所をいう。」に分類され,中分類「73-医療業」の総説では,「この中
分類には,医師又は歯科医師等が患者に対して医業又は医業類似行為を行う事業所
及びこれに直接関連するサービスを提供する事業所が分類される。」と解説されて
いる。
なお,平成14年3月改訂前の日本標準産業分類によれば,歯科技工所
は,大分類「Lサービス業」,中分類「88医療業」に分類されていたものである
が,平成14年3月の改訂により「Lサービス業は,全産業の事業所数,従事者数
の約4分の1を占め,各種経済活動が混在していることから,産業の実態をより明
確にするため,医療,福祉に関する分野は,介護福祉に係る新産業の出現,多様化
等に伴い,産業規模が拡大していることから,Lサービス業から分離して,大分類
を新設」したものであり,歯科技工所を含む医療業がサービス業であることに変わ
りはない。
ウ 原告の主張に対する反論
(ア) 税法に定める用語の解釈について
原告は,消費税法施行令57条5項にいう「製造業」を,言葉の通常
の用法に従って「原料に加工して品物を作り出す生産業」と解釈すべきであると主
張する。
なるほど,租税法は,納税義務者,課税物件,帰属,課税標準,税率
等の課税要件を定めるに当たって,私的取引行為を前提としているから,課税要件
を定める規定において,私的取引法,すなわち民法,商法等で用いられている概念
を直接,間接に使用せざるを得ない。そして,租税法が各種の私法上の取引を課税
要件に関する規定に取り込むに当たり,私法上におけるのと同じ意義に解するのが
法的安定性から好ましいといえる。
しかしながら,このような観点に立っても,消費税法施行令57条5
項3号4号において各事業が列挙されている第三種事業及び第五種事業について
は,法文上どのような業種がこれに属するか不明であるから,取引社会通念に基づ
く客観的なものであり,一般性・普遍性を有する日本標準産業分類によるものと解
釈することが,納税者における予見可能性を保障し,合理的である。
また,飲食店業においても,材料を仕入れ,それを調理するという点
においては,原告の主張する「製造業」を意味するというべきであるが,飲食店業
は簡易課税制度上製造業とは規定されていない。そのほか,「サービス業」の定義
を日本標準産業分類によっている国語辞典もある。
このように,実際には,用語自体が多義的なものであるため,一つの
用語が解釈する個人ごとに多種多様に解されることとなって,一義的に定まらず,
法的安定性・予測可能性を損ない,ひいては,「憲法を頂点に置く同一法体系の下
においては,同一用語は格別の理由がない限り,同一の意味に解する」のが相当で
あるとする判例(最高裁判所昭和35年10月7日第二小法廷判決・民集14巻1
2号2420頁)の精神にももとる結果を招来することになりかねない。
結局,「製造業」を言葉の通常の意味によって解釈するべきとした上
で本件事業が製造業に当たるとする原告の主張は,本件事業を製造業に当たるとし
たいために恣意的に解釈していることにほかならない。
(イ) 義肢製作業との比較について
原告は,歯科技工所は,資格が必要であり,医師ないし歯科医師の指
示に従う必要があるなどの点で,義肢製作業と類似しているところ,日本標準産業
分類によって,義肢製作業が製造業すなわち第三種事業とされ,歯科技工所がサー
ビス業すなわち第五種事業とされるのは,課税の公平を害すると主張する。
しかしながら,平成11年12月22日法律第160号による改正後
の義肢装具士法(昭和62年法律第61号)によれば,義肢装具士が医師の具体的
な指示を受けて行う業務は,手術直後の義肢及び装具の装着部位の採型並びに義肢
及び装具の身体へ適合させることであって(38条),義肢の製作については義肢
装具士の資格を必要とせず,かつ,何ら医師の具体的な指示を受ける必要もない。
また,義肢製作業者は,義肢を,医師だけでなく,義肢を必要とする
者へ直接販売することができ,現に,本義肢については,医師への販売よりも義肢
を必要不可欠となった者への販売が多いと考えられる。
したがって,義肢の製作業を歯科技工所の行う医療行為に付随するサ
ービス提供と同様に解することができないから,原告の主張は前提において失当で
ある。
(ウ) 本件事業の仕入率について
原告は,本件事業における仕入れに係る経費の割合は,一般のサービ
ス業よりも高く,その実態は,製造業そのものである旨主張する。
しかしながら,本件事業の仕入れ及び経費等の割合は,約27パーセ
ントにすぎないのであり,これはみなし仕入率50パーセントとされるサービス業
には近いといえても,70パーセントである製造業に近いなどということができな
い。
(エ) 歯科技工所の日本標準産業分類における分類について
原告は,そもそも日本標準産業分類が,歯科技工所をサービス業に分
類したのは,それがサービス業たる歯科医療に付随する事業であり,それ自体,単
独で成立する事業ではないため,あくまでも「統計上」は,サービス業に分類する
のが妥当との判断に基づくものと推測される旨主張する。
しかし,日本標準産業分類が歯科技工所を「サービス業」である医
療,福祉に分類したのは,事業所において行われる経済活動すなわち産業を,主と
して①生産される財貨又は提供されるサービスの種類,②財貨生産又はサービス提
供の方法,③原材料の種類及び性質,サービスの対象及び取り扱われるものの種類
等に基づき分類した結果であり,この点における原告の主張も失当である。
エ 結論
日本標準産業分類においても,本件事業の実態は,「歯科医療行為に付
随するサービス提供事業」であると解釈しているものと認められるところ,簡易課
税制度における事業判定について日本標準産業分類によることには,十分な合理性
があるから,日本標準産業分類を消費税法施行令57条に規定する各種事業に適合
させると,本件事業は第五種事業に区分されるサービス業に分類される。
(原告の主張)
(1) 税法における用語の解釈手法
税法の分野では,憲法上極めて重要な原理としての「租税法律主義」の要
請が働いているところ,租税法律主義は,歴史的・沿革的には,行政権による恣意
的課税から国民を保護することを目的としたが,現代の取引社会においては,国民
の経済生活に法的安定性と予測可能性とを与えるという機能を有している。
このような租税法律主義の要請からすれば,税法において用いられる用語
がいかなる意味を有するかを判断するに当たっては,まずもって,法文自体から用
語の意味が明確に解釈できるかどうか(すなわち,当該用語の意味が法文上明確に
定義されているか,他の法律等からの借用概念といえるか)を検討すべきである。
そして,明確な定義がなく,他の法律等からの借用概念といえない場合には,言葉
の通常の用法に従って解釈できるか検討されるべきである。なぜなら,言葉の通常
の用法に反する解釈は,納税者が税法の適用の有無を判断して,正確な税務申告を
することを困難にさせ,さらには,納税者に誤った税務申告をさせることになり,
その結果,過少申告加算税を課せられることになるからである。
このような検討を経てもなお,法文自体から用語の意味を明確に解釈でき
ない場合にはじめて,立法の目的,経緯,法を適用した結果の公平性,相当性等の
実質的な事情を検討した上で,用語の意味を解釈すべきである。
(2) 製造業,サービス業の文理解釈
消費税法施行令57条5項3号所定の「製造業」及び同項4号所定の「サ
ービス業」は,同施行令上明確な定義がなく,また,他の法律等からの借用概念と
もいえない。そして,上記「製造業」及び「サービス業」を日本標準産業分類にお
けるそれと同義に解する旨を定めた明文の条項は何ら税法中に存在しないし,ま
た,そのような解釈を前提としていると推測すべき根拠となる条項も税法中には全
く存在しない。なお,本件通達は,製造業等及びサービス業等の範囲を,おおむね
日本標準産業分類の大分類に掲げる分類を基礎として判定する旨を定めているが,
そもそも通達は,上級行政庁が下級行政庁に対してなす命令又は指令であり,行政
組織の内部では拘束力を持つが,国民及び裁判所に対しては拘束力を持たず,税法
の法源ではない。
そうすると,同項所定の「製造業」及び「サービス業」は,まず言葉の通
常の用法にしたがって解釈すべきであるところ,「製造業」とは「有体物を製造,
販売する事業」あるいは「原料に加工して製品を作り出す生産業」であり,「サー
ビス業」とは「無体の役務を提供する事業」であると明確に解釈することができ
る。
(3) 日本標準産業分類によることの合理性について
被告は,簡易課税制度の制定と改訂の歴史的経緯についてるる説明した
上,消費税法施行令は,日本標準産業分類を前提としながら,これに修正を加えた
ものと主張し,事業の判定に当たり,原則として日本標準産業分類によることには
十分な合理性があると主張する。
しかし,下記のとおり,立法の目的,経緯,法を適用した結果の公平性,
相当性等を実質的に検討してみても,消費税法施行令57条5項に定める「サービ
ス業」を,日本標準産業分類の「サービス業」と同義に解すべき理由はない。
ア 目的の相違
そもそも,日本標準産業分類は,統計の正確性と客観性を保持し,統計
の相互比較性と利用の向上を図ることを目的として統計調査の基準の一つとして設
定されたものであり,消費税の簡易課税制度における事業分類に用いられることを
前提に定められたものではなく,消費税法施行令上の事業区分とは目的を異にす
る。
現に,日本標準産業分類が,歯科技工所をサービス業に分類したのは,
それがサービス業たる歯科医療に付随する事業であり,それ自体,単独で成立する
事業ではないことに基づき,あくまでも「統計上」は,サービス業に分類するのが
妥当との判断に基づくものであって,決して歯科技工所の事業自体がサービス業と
しての性質を有しているとの判断に基づくものではないと推測される。
かかる統計上の目的による分類をそのまま消費税の簡易課税制度におけ
る事業分類に適用することは明らかに合理性が欠如している。
イ 日本標準産業分類の流動性等
日本標準産業分類は,平成14年3月に,第11回の改訂を行い,それ
まで大分類「Lサービス業」に分類されていた「医療,福祉」を,大分類「N医
療,福祉」として独立した大分類とし,それに伴い,従来大分類「Lサービス業」
に分類されていた歯科技工所も大分類「N医療,福祉業」に分類されることとなっ
た。すなわち,日本標準産業分類は,それ自体流動的なものであり,絶対的な基準
ではない。
ウ 日本標準産業分類によることが納税者の予見可能性を害すること
そもそも,日本標準産業分類は,法律ではなく,単なる行政上の分類基
準にすぎないため,国民に公布されるものでもなく,普通の市民が日常接する機会
もないから,日本標準産業分類というものの存在自体が,市民の間では,余り知ら
れていないのであるし,まして,同分類の具体的な内容について知るものは少な
い。
したがって,原告のごとく,歯科技工士を営む者は,歯科技工所が日本
標準産業分類において,サービス業に分類されていることなど全く知らなかったの
であるが,日本標準産業分類は法令ではないから国民としてそれを広く知っておく
べき理由はないから,歯科技工所がサービス業に分類されることを知らなかったこ
とについて,何ら責められる理由はない。
被告は,日本標準産業分類によることが,納税者に対する予見可能性の
観点から合理的と主張するが,上記のような事情にかんがみるなら,普通の納税者
は,自己の営む業種が,日本標準産業分類においていかなる業種に分類されている
かということを通常知らないのであるから,そのような分類基準によることは,む
しろ予見可能性を害する結果となる。
仮に,簡易課税制度における事業の分類は,日本標準産業分類によるの
が合理的というのであるなら,消費税法施行令などでその旨の明文の規定が定めら
れてしかるべきである。
(4) 本件における当てはめ
ア 本件事業内容は製造業に該当すること
原告は,独立した事業者であり,複数の歯科医師との間で取引を行って
いるところ,主として原材料の仕入れは自ら行い,専ら歯科医師の指示書に従って
歯科補てつ物を製作して納品しているのであり,仮に修正,作り直しが必要な場合
でも,それは専ら医師の指示に従って行うのであって,原告が患者に直接接する機
会はない(なお,作り直しの場合には,売上げにはならない。)。
また,代金は,歯科医師から受領するのであって,これは,保険の対象
となるものも,そうでないものも同じである。
このように,本件事業は,専ら有体物である歯科補てつ物の製作と納品
であるところ,新たな製品を作り出し販売することに本質があるのであって,無体
の役務を提供するという要素は全くないから,本件事業はサービス業ではなく,製
造業である。
イ 本件事業の仕入率について
消費税施行令は,実際の仕入率とのかい離が認められている事業につい
ては修正を加えることからも明らかなとおり,あくまでも実態に即した課税を目指
しているところ,原告のように,主として原材料の仕入は自ら行い,専ら物の製造
に従事している事業者は,仕入れに係る経費の割合は,一般のサービス業よりも高
く,その実態は,製造業そのものである(甲7ないし9参照)。
したがって,本件事業を,サービス業に分類するのは,実態に即した課
税を実現するという法目的に違背する。
この点について,被告は,本件事業の仕入率は約27パーセントである
から,製造業よりもむしろサービス業の仕入率に近いと主張する。仮にそうである
としても,特定の事業者の具体的な実額の仕入率と,簡易課税制度において定めら
れたみなし仕入率とを比較して,その事業者がどの事業分類に該当するとみるべき
かを論ずるのは論理的に誤りである。
そもそも,簡易課税制度におけるみなし仕入率は一般的に高いのであっ
て,実額で申告するよりも,みなし仕入率による方が税額が低くなるのは一般的な
傾向であるところ,これは制度に内在する問題であって,みなし仕入率に比較して
実際の課税仕入率が低いのは,ひとり原告に限った問題ではない。
もし,被告の主張するような論法がまかり通るならば,例えば極めて安
価な原材料を仕入れて高額な付加価値を有する製品を製造する製造業者などは,簡
易課税制度において製造業に分類されるべきではないということになるが,そのよ
うな論法が法的安定性を根底から覆す暴論であることは明らかである。
ウ 歯科技工の専門性について
被告は,歯科技工は高度な専門知識,技能,経験,国家資格を必要とす
ることをも理由としてあげているが,これらは,本件事業がサービス業に該当する
ことと論理的に結びつかない。
エ 課税の公平-義肢製作業との比較
歯科技工と義肢(義手・義足)の製作は,医師ないし歯科医師の指示に
従って製作をする必要があること,高度な専門知識,技能及び技術が必要とされる
こと,医療行為の一環として行われることにおいて共通している。
しかし,現在の租税実務では,義肢の製作業は,「製造業」に該当し,
第三種事業に分類されるにもかかわらず,歯科技工は,「サービス業」に該当し,
第五種事業に分類されている。
これは誠に不公平というべきであって,日本標準産業分類によった結果
として,課税の公平が害されている。
なお,被告は,義肢の製作業自体は,義肢装具士の資格の有無に左右さ
れず,医師の指示も必要ではないと主張する。しかし,そもそも,義肢とは,患者
の上肢又は下肢の欠損を補てんするものであるから,一人一人の患者の具体的な欠
損の態様に合わせて,いわばオーダーメイドで作られるものであり,義肢の製作に
当たっては,患者から採型することはもとより,できた義肢を患者に適合させる作
業を要する。そして,患者から採型し,できた義肢を患者の身体に適合させるに
は,義肢装具士の資格と専門的知識,技術を要するのであって,義肢製作業は,義
肢装具士の仕事と切り離して成り立つものではないから,被告の主張は失当であ
る。
第3 当裁判所の判断
1 税法中の用語の解釈
憲法84条は,「あらたに租税を課し,又は現行の租税を変更するには,法
律又は法律の定める条件によることを必要とする。」と規定し,他の近代憲法と同
様,国民は法律の根拠に基づくことなく租税を賦課されることはないとの租税法律
主義の原則を宣明しているが,その重要な機能は,国民に対して経済活動における
法的安定性と予測可能性を与えることにあることはいうまでもない。
その観点からすれば,租税賦課の根拠となるべき法令すなわち租税法中の用
語は,当該法令ないし他の国法によって定義が与えられている場合は,これによる
べきことは当然であるが,そうでない場合には,原則として,日本語の通常の用語
例による意味内容が与えられるべきである(このように,用語の解釈に当たって,
日本語の通常の用語例に従うべきことは,法令一般に妥当することであるが,国民
に義務を賦課する租税法の分野においては,国民に不測の不利益を与えぬよう,特
に厳格な解釈態度が求められるというべきである。)。
2 本件事業の具体的内容
(1) 歯科技工士法からみた歯科技工士の職務内容
ア 歯科技工士法の制定経緯
歯科技工士法(昭和30年法律第168号。なお,平成6年法律第1号
による改正前の題名は「歯科技工法」であるが,便宜上上記改正の前後を問わず,
歯科技工士法と表記する。)の制定前は,現在の歯科技工士に相当する職業は一般
に歯科技工師ないし歯科技工士(以下,現在の歯科技工士と区別をする観点から,
引用部分を除き「歯科技工師」と表記する。)と称されていたが,歯科技工師のみ
を対象とする法的規制がされていなかった。また,歯科技工師が歯科医療の用に供
する義歯や金冠を製作すること自体は,専ら技工の段階にとどまる限り,歯科医師
が自ら行わないで,他人に行わせても歯科医師法違反とはならないと解されていた
が,これを超えて,歯科技工師が印象採得,試適又は嵌入の各行為をした場合に
は,歯科医師法違反とし
て処罰される事例も少なくなかった。ちなみに,最高裁判所昭和28年6月26日
第二小法廷判決・刑集7巻6号1389頁は,歯科医師法17条違反が問題となっ
た事案において,「義歯又は金冠を製作すること自体は純然たる技工の範囲に属
し,歯科技工師がこれをなすことができるものであるけれども,印象採得,すなわ
ち義歯又は金冠製作のため直接患者の口中より「かた」をとる行為,試適,すなわ
ち義歯又は金冠の製作に際し直接患者の口中にあてて適否を試みる行為及び嵌入,
すなわち完成した義歯又は金冠を人体に装着するに当つて修正する行為は,いずれ
も直接患者について歯牙,歯根その他口くうの状態を診察してこれを施すことの適
否を判断し,患部に即応する施術をすることを要するものであり,その施術の巧拙
如何は患者の健康に及
ぼすおそれがあるから,当然歯科医業の範囲に属するものと解すべき」と判示して
いる(なお,(旧)歯科医師法11条違反が問題となった事案において,同旨の判
断をした判例として大審院昭和13年3月3日第二刑事部判決・刑集17巻148
頁参照)。
このような状況を背景として,内閣は,第22回国会に,「わが国の歯
科医療の現況を見ますと,国民の大多数が歯科疾患に冒されていると言っても過言
ではない状態でありまして,そのうち,義歯,充填,矯正に属する治療技術を必要
とする患者はおびただしい数に上っているのであります。わが国の診療に従事して
いる歯科医師の数は,人口約三千百名に一人の割合でありまして,この程度では国
民の歯科医療の需要を満たすに不十分であり,また今後の歯科医師の需給の見通し
も,将来の人口増加を考慮する場合,必ずしも十分でないのであります。しかるに
近年歯科医療に対する国民の需要がますます高まってきつつあります関係上,歯科
医療中の歯科技工につき,歯科医師のほか,いわゆる歯科技工士に委託する場合が
次第に多くなり,これ
ら歯科技工士と称する人々の役割が漸次高まって参りまするとともに,その数が相
当多きに上って参ったのであります。しかるに,これら歯科技工士につきまして
は,現在何ら法的規制が加えられておらず,またこれらの者の中で,正規の職業教
育を経た者はきわめて少数で,大部分は,徒弟見習として習熟した者であります。
従って,その技術内容も千差万別であり,国民の歯科医療を確保する上に,はなは
だ欠ける点が多かったのであります。このような状態にかんがみ,歯科技工士の資
格を定めて,その資質の向上をはかるとともに,歯科技工の業務が適正に運用され
るように規律し,歯科医師の業務を適正に補足させることによって,歯科医療の普
及と向上に寄与しようとする」ことを提案理由として,歯科技工士法の案を提出し
た。
参議院社会労働委員会は,昭和30年7月14日,①歯科技工士の指定
養成所を厚生大臣に一元化する,②病院又は診療所内で歯科医師の直接指示による
場合は,指示書を必要としないこととする,③歯科技工士の広告を制限する規定を
設けるとの3点を修正した上で,修正案を可決し,同月15日,参議院本会議は,
上記修正案を可決した。衆議院社会労働委員会は,同月29日,上記修正案を可決
し,衆議院本会議も,同日,上記修正案を可決し,歯科技工士法が成立した。
イ 歯科技工士法における規制内容
歯科技工士法は,歯科技工士の資格を定めるとともに,歯科技工の業務
が適正に運用されるように規律し,もって歯科医療の普及及び向上に寄与すること
を目的とし(1条),特定人に対する歯科医療の用に供する補てつ物,充てん物又
は矯正装置を作成し,修理し又は加工することを歯科技工と定義し(2条1項),
歯科医師又は歯科技工士でなければ,業として歯科技工を行ってはならず(17条
1項),歯科技工士は,歯科医師の指示書によらなければ,業として歯科技工を行
ってはならず(18条本文),歯科技工士は,その業務を行うに当たっては,印象
採得,咬合採得,試適,装着その他歯科医師が行うのでなければ衛生上危害が生ず
るおそれのある行為をしてはならない(20条)と定めている。
そして,歯科技工士となるためには,文部科学大臣の指定した歯科技工
士学校や厚生労働大臣の指定した歯科技工士養成所等を卒業し(14条),歯科技
工士として必要な知識(歯科理工学,歯の解剖学,顎口腔機能学,有床義肢技工
学,歯冠修復技工学,矯正歯科技工学,小児歯科技工学及び関係法規の学説試験)
及び技能(歯科技工実技の実地試験)について厚生労働大臣ないし都道府県知事の
試験を受け(11条,12条,歯科技工士法施行規則8条),当該試験に合格した
者が,厚生労働大臣に対して免許を申請し,厚生労働大臣から免許を受ける必要が
ある(3条)。
また,都道府県知事等が歯科技工士及び歯科技工所に対して必要な監督
を行うのに資するため,業務に従事する歯科技工士は2年ごとに氏名,住所等を届
け出なければならず(6条3項),歯科技工所を開設した者は,開設後10日以内
に,開設の場所,管理者の氏名等を都道府県知事等に届けなければならないとされ
(21条1項),そのほか,都道府県知事等は,歯科技工所の構造設備が不完全で
あって,当該歯科技工所で作成し,修理し,又は加工される補てつ物,充てん物又
は矯正装置が衛生上有害なものとなるおそれがあると認めるときは,その開設者に
対し,改善命令を発することができ(24条),開設者が同命令に従わないとき
は,都道府県知事等は,歯科技工所の使用の禁止を命ずることができる(25
条)。
(2) 本件事業の実態
証拠(甲11)及び公知の事実並びに弁論の全趣旨によれば,本件事業の
実態は以下のとおりであると認められる。
ア 原告は,自ら,粒状ないし板状の金銀パラジウム合金,ニッケルクロム
合金,銀合金などの金属や,レジン(プラスチックの一種),セラミック,シリコ
ン等の原材料を仕入れているが,歯科医師が材質の維持にこだわる場合(高価な金
合金などの場合が多い。)には,当該歯科医師から原材料として高価な金属の提供
を受けることもある。
イ 原告は,歯科医師から,歯科医療用の補てつ物の製作を依頼されたとき
は,送付された材質等の指示書に従い,送付を受けた患者の歯の石こう型を基にし
た鋳型に,加熱して溶融した原材料である金属を流し込み,凝固した後に取り出し
てバリを除去したり,研磨させたりして完成させる。
原告は,そのほか,歯の修復物の作成にセラミックが必要となる場合に
は,電気炉を用いて高温で焼き上げるほか,歯肉部分の作成が必要な場合にはレジ
ンを重合するなどの作業を行うこともある。
原告は,完成した補てつ物等を歯科医師に納入し,歯科医師は納入され
た補てつ物を患者の歯にはめ込んだり,かぶせたりして装着するが,修正ないし作
り直しが必要な場合には,再度,歯科医師からの指示書に従って行う。したがっ
て,原告が患者に直接接する機会はなく,もちろん患者との間に何らかの契約が締
結されることはない。
なお,原告は,特定の歯科医師との間で専属契約を締結しているのでは
なく,複数の歯科医師との間で契約を締結している。
3 本件事業の事業区分について
消費税法施行令57条1項ないし4項で用いられている第一種事業ないし第
五種事業については,同条5項1号ないし5号でその区分に属する事業が列挙され
ているところ,同条6項で第一種事業たる卸売業及び第二種事業たる小売業につい
てのみ定義規定が置かれているものの,第三種事業及び第五種事業に属する各事業
自体の内容を明らかにした定義規定は存在しない。また,本件において問題となっ
ている第三種事業の一つである製造業については,「製造した棚卸資産を小売する
事業を含む。」との,第五種事業の一つであるサービス業については,「飲食店業
に該当するものを除く。」とのかっこ書きが付記されているものの,それらの意味
内容が法令によって明らかにされていることはない。
そうすると,日本語の通常の用語例によれば,消費税法施行令57条5項3
号ヘにいう製造業は,「有機又は無機の物質に物理的,化学的変化を加えて新製品
を製造し,これを卸売又は小売する事業」と,他方,同項4号ハにいうサービス業
とは,「無形の役務を提供する事業(不動産業,運輸通信業及び飲食店業に該当す
るものを除く。)」と解するのが相当である(なお,物品税法3条2項にいう「製
造」を「一般概念に従い,材料又は原料に物理的,化学的な変化を与え,若しくは
操作を加えて新たな課税物品を造り出す行為をいう」という解釈を是認した最高裁
判所昭和57年6月24日第一小法廷判決・シュトイエル248号1頁。その原審
広島高等裁判所昭和56年7月15日判決・訟務月報27巻12号2345頁参
照)。
これによれば,製造業とサービス業とは,まず,その給付の対象が有形物
(物質的)か無形の役務(非物質的)かによって区別されると考えられる。
4 被告の主張について
(1) 被告の主張の骨子
被告は,①本件通達は,第三種事業に該当することとされている製造業等
と第五種事業に該当することとされているサービス業等の範囲は,おおむね日本標
準産業分類の大分類に掲げる分類を基礎として判定すると定めているところ,日本
標準産業分類に従って判定することは消費税法ないし消費税法施行令の制定者の意
思に沿っていること,②日本標準産業分類は,社会通念に基づく客観的なものであ
り,一般性・普遍性を有しているところ,日本標準産業分類以外に,より合理的な
他の基準は見当たらないこと,③歯科技工士法による規制は,歯科技工を行うには
高度な専門知識,技能,技術が必要とされるためだけではなく,歯科技工士が歯科
医師の補助者として,歯科医療行為の一環としてこれを行うことによるものであっ
て,歯科技工業は特定
の者に対する歯科医療の用に供する歯科医師の治療用具としての歯科補てつ物の作
成,修理,加工による「歯科医療行為に付随するサービス提供事業」である点にそ
の本質があり,「製造業」である点には本質がないことを根拠として,本件事業は
消費税法施行令57条5項3号にいう製造業ではなく,同項4号にいうサービス業
に該当すると主張する。
この被告の主張は,つまるところ,歯科技工は歯科医師の補助者として歯
科医療行為の一環として行われるものであること等に照らし,日本標準産業分類に
おいて歯科技工所がサービス業(第10回改訂以前),医療業(第11回改訂後)
に分類されていることが合理的であることを前提としている。そこで,以下,日本
標準産業分類における歯科技工所の分類の合理性を検討する。
(2) 日本標準産業分類の性質等
日本標準産業分類は,統計調査の結果を産業別に表示する場合の統計基準
として,事務所において社会的な分業として行われる財貨及びサービスの生産又は
提供に係るすべての経済活動を分類するものであり,統計の正確性と客観性を保持
し,統計の相互比較性と利用の向上を図ることを目的として,昭和24年10月に
設定された。設定当時は,日本標準産業分類は,何ら法令上の根拠を有していなか
ったが,統計調査に用いる産業分類並びに疾病,傷害及び死因分類を定める政令
(昭和26年政令第127号)により,指定統計調査及び国,日本銀行等が行う届
出統計調査の結果を産業別に表示する場合においては,日本標準産業分類を原則と
してそのまま用いることが義務付けられた。
そして,日本標準産業分類は,第2章「日本標準産業分類一般原則」にお
いて,日本標準産業分類にいう産業を「事務所において社会的な分業として行われ
る財貨及びサービスの生産又は提供に係るすべての経済活動をいう。」と定義し,
その分類は,事務所において行われる経済活動すなわち産業を,主として,①生産
される財貨又は提供されるサービスの種類(用途,機能など),②財貨生産又はサ
ービス提供の方法(設備,技術など),③原材料の種類及び性質,サービスの対象
及び取り扱われるもの(商品など)の種類に着目して区分した上で体系的に配列し
ている(以上乙5,6)。
このように,日本標準産業分類は,税法における産業の分類に用いられる
ために制定されたものではなく,単なる統計上の分類にとどまるものであるが,他
方,一定の基準に基づく体系的な産業分類であることは否定できず,また,日本標
準産業分類以上に普遍的,合理的な産業分類基準は見受けられない。
もっとも,日本標準産業分類は,我が国の産業構造の変化等のため各種統
計調査での使用上多くの問題が生じたことなどを理由として,これまでに11回の
改訂が行われており,直近の第11回改訂では,大分類項目「情報通信業」,「医
療,福祉」,「教育,学習支援業」,「飲食店,宿泊業」,「複合サービス事業」
の新設など比較的大規模な改訂が行われ,特に,飲食店は,第10回改訂までは
「I-卸売・小売業,飲食店」として,料理という物品の販売に重点が置かれて分
類されていたものの,サービス的要素のウェイトが高まってきたことを受けて,大
分類「飲食店,宿泊業」が新設され,同大分類に分類されるに至っている(乙
6)。
(3) 日本標準産業分類における歯科技工業の分類の合理性
ア 第11回改訂前の日本標準産業分類は歯科技工業を「大分類Lサービス
業」(主として個人又は事業所に対してサービスを提供する他の大分類に分類され
ない事業所)中の「医療業」(医師又は歯科医師等が患者に対して医業又は医業類
似行為を行う事業所及びこれに直接関連する事業所)に分類し,第11回改訂後の
日本標準産業分類は歯科技工業を「大分類N-医療,福祉」(医療,保健衛生,社
会保険,社会福祉及び介護に関するサービスを提供する事業所)中の「医療業」
(医師又は歯科医師等が患者に対して医業又は医業類似行為を行う事業所及びこれ
に直接関連する事業所)に分類している。
日本標準産業分類では,サービスを特に定義していないことから,サー
ビスを日本語の通常の用語例に従って使用していると解されるところ,前記認定に
係る歯科技工所の業務内容は歯科補てつ物等の製造・納入であるから,歯科技工所
が無体の役務を提供しているとはみることができない(なお,前記認定のとおり,
昭和30年当時は,歯科診療所において,本来は歯科医師が行うべき印象採得等の
行為を歯科技工師が行って処罰される事例が見受けられたように,歯科医師の業務
と歯科技工師の業務の境界は必ずしも明確ではなかったところ,昭和30年法律第
168号の歯科技工士法の制定によって,特定人に対する歯科補てつ物等を作成す
ることを歯科技工と定義し,歯科技工士は,歯科医師の指示書によらなければ,業
として歯科技工を行っ
てはならず,印象採得等の歯科医師が行うのでなければ衛生上危害が生ずるおそれ
のある行為をしてはならないと定めて,歯科技工士の業務を限定し,その業務から
歯科医師の行う業務を除いているが,このような歯科技工士の業務の変化について
総務庁ないし総務省がどのように検討したかは不明である。)。
イ 被告は,この点,歯科技工士が歯科医師の補助者として歯科医療行為の
一環として歯科技工を行っているのであるから,本件事業の本質は「歯科医療行為
に付随するサービス提供事業」であると主張している。
上記歯科技工士法の制定経緯及び規制内容に照らすと,歯科技工士は,
歯科医師の具体的な指示を受け,特定人に対する歯科補てつ物等を作成,修正又は
加工するのであるから,歯科医師の補助者たる側面を有することは否定できない。
しかしながら,補助の態様には様々なものが考えられ,補助者であるか
どうかの判断基準は必ずしも明確でないことを措いても,例えば,サービス業に分
類される飲食店に料理等を納入する事業がサービス業であるとはいえないように,
補助者の事業が補助を受ける事業と同様の性質を有するとは限らないのであるか
ら,患者に対する無体の役務の提供事業たる歯科医療のうち歯科技工士にゆだねて
も問題ないとして分離された歯科技工部分がなおも患者に対する無体の役務の提供
事業としての性質をなお有しているかどうかは,歯科技工士が歯科医師の補助者で
あることとは別個の問題であるというべきである。
したがって,歯科技工士が歯科医師の補助者であるとしても,そのこと
を理由として,歯科技工業が無体の役務の提供事業であるとみることはできない。
ウ また,被告は,歯科技工士となるには,歯科技工士学校ないし歯科技工
士養成所を卒業した上で,厚生労働大臣ないし都道府県知事の試験に合格しなけれ
ばならないから,歯科技工に必要な専門的知識を有することが求められていること
を指摘する。しかし,公衆衛生上の必要性から歯科技工に携わる者に専門的な知識
を有することが必要とされているからといって,歯科技工がサービス業としての性
質を有することには何ら結びつかない。
エ 以上の検討によれば,少なくとも,製造業及びサービス業の語義を厳格
に解釈すべき消費税法の適用を念頭に置く局面においては,日本標準産業分類が,
歯科技工所をサービス業ないしサービス業としての性格を有する医療業と分類する
ことは合理性を有するとはいえず,歯科技工所との関係では,日本標準産業分類に
従って第三種事業と第五種事業を区分する本件通達の合理性を認めることはできな
い。そうすると,日本標準産業分類に従って第三種事業と第五種事業を区分するこ
とが消費税法ないし消費税法施行令の制定者の意思に沿っており,歯科技工所が第
五種事業であるとする被告の主張は採用できない。
なお,証拠(乙13)によっても,国会における審議において,消費税
導入の際には,当時の事業区分(卸売業とその他の事業)の区別を日本標準産業分
類によって行う旨の明確な言及はなく,その後事業区分が細分化された際にも,事
業区分の方法については何ら議論されていないのであるから,日本標準産業分類に
従って第三種事業と第五種事業とを区分するということが明確な制定者意思である
と認めることはできない。
5 本件事業について
前記認定事実のとおり,歯科技工士は,印象採得,咬合採得,試適,装着
等,患者と直接接することが禁止され,まして,歯科技工士が患者と対面すること
も考えられない歯科技工所で営まれる本件事業は,原材料を基に患者の歯に適合す
るように成形した補てつ物を納入し,これの対価として一定の金員を受け取るとい
う内容であり,有形物を給付の内容とすることが明らかであるから,本件事業が製
造業に当たると解するのが相当である。また,患者に対して無体の役務を提供して
いるとみることは困難であるから,サービス業には当たらない。
なお,被告は,原告の本件事業における仕入れ及び経費等の割合が約27パ
ーセントであることを指摘しているが,簡易課税制度は当該事業の実際の仕入率の
多寡を問題とすることなく,政令で定める事業区分に従い定められたみなし仕入率
による仕入税額控除を行うものであるから,本件事業の仕入れ及び経費等の割合が
消費税法施行令57条1項4号の第五種事業の割合(100分の50)を下回って
いたとしても,そのことを根拠として事業区分を判定することは許されない。
以上を総合すれば,本件事業を消費税法施行令57条にいうサービス業であ
ると認めることはできない。
6 結論
そうすると,被告のした本件各処分は,本件事業が第五種事業であることを
前提として,みなし仕入率を100分の50とした点において違法であるというほ
かない。そして,本件事業が第三種事業であり,みなし仕入率を100分の70と
した場合の消費税額及び地方消費税額は,関係法令を適用すれば,別表の「確定申
告」欄の「⑤差引税額」欄及び「⑦譲渡割額」欄記載のとおりであると認められ
る。
したがって,その余の点を論ずるまでもなく,原告の主張には理由があるか
ら,原告の請求をいずれも認容することとし,行政事件訴訟法7条,民事訴訟法6
1条を適用して,主文のとおり判決する。
    名古屋地方裁判所民事第9部
          裁判長裁判官   加藤幸雄
             裁判官   舟橋恭子
             裁判官   尾河吉久

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激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
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