弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件各上告を棄却する。
         理    由
 弁護人高見之忠同梶謙吾同乗国万吉の上告趣意は末尾に添附し別紙書面記載の通
りである。
 弁護人高見之忠の上告趣意について。
 按するに刑の執行を猶予すべきか否かは事実審たる原審の自由裁量にまかせられ
ているところである、そして刑の執行を猶予すべきか否かは犯罪の動機、犯罪の態
様、犯人の経歴、性格、犯罪後における被告人の行状等諸般の事情を考合せて決す
るのであつて、一々其理由を判決において説示することは容易の事ではない、され
ば旧刑訴法第三六〇条第一項は有罪の判決を為すには罪となるべき事実及証拠に依
り之を認めたる理由を説明し法令の適用を示すべしと規定し、所謂罪となるべき事
実以外の事柄については一々説明することを要求していないのであるから被告人が
執行猶予の判決を求めたに対し執行猶予を言渡さない理由を示さないからとて所論
の如き違法はない。そして刑の執行を猶予しない理由が人種信条、性別社会的身分
又は門地等により被告人を差別するものでない限り憲法第一四条の規定に反するも
のでないことは当裁判所判例の示すところであり(昭和二三年(れ)第七〇号同年
五月二六日大法廷判決)原判決は憲法第一四条所定の事由により被告人を差別待遇
したと認むべき形跡はなく、諸般の事情に鑑み執行猶予の言渡をしなかつたものと
認め得るから所論の如き違法はない。論旨は理由がない。
 弁護人梶謙吾同乗国万吉の上告趣意第一点について。
 しかし原審公判調書を調べて見るに論旨に摘録した原審公判廷における被告人の
供述記載中被告人は判示自転車一台を盗んだことは相違ないが直接自分が盗んで来
たのではなくAに言い付けて同人にB方まで運ばせたものである旨を述べているこ
とが明らかであるから原審において右被告人の供述を証拠として判示事実を認定し
たことは相当であるといわなければならない。もつとも右Aに言い付けてB方まで
運ばせたことは酒に酔つていたのではつきりした記憶はなく翌朝Cから聞いてみる
と被告人がAに頼んでBの家まで持つて行かせたものだということでしたと述べ被
告人は自転車を盗んでAに運ばせた事実は記憶がない旨を供述しているが原審にお
いては記憶がないという点の供述を措信しないで、被告人の自転車一台を盗んこと
は間違ないという点の供述を以て判示事実を認定する証拠としたことは何等法則に
反するところはなくまた所論の如き理由齟齬あるものではない、論旨は理由がない。
 同第二点について。
 しかし被告人は原審公判において「その時私は酒に酔つていたのではつきりした
記憶はない」とか、「今になつて考えて見ますとどうして斯様なことをしたのか私
にはわからないのです」とか論旨に摘録する如き供述をしたことは結局犯意を否認
しているものと認むべきであつて、法律上犯罪の成立を阻却すべき原由又は刑の加
重減免の原由たる事実上の主張をしたものとは認められないから原判決において特
に此点についての判断をしなかつたとしても所論の如き判断遺脱の違法があるとは
いい得ない。論旨は理由がない。
 よつて旧刑事訴訟法第四四六条、最高裁判所裁判事務処理規則第九条第四項によ
り主文の通り判決する。
 以上は裁判官全員一致の意見である。
 検察官 田中巳代治関与
  昭和二四年一〇月一八日
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    長 谷 川   太 一 郎
            裁判官    井   上       登
            裁判官    島           保
            裁判官    河   村   又   介
            裁判官    穂   積   重   遠

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