弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

決定
被疑者甲
上記の者に対する窃盗被疑事件について,平成23年8月19日高知簡易裁判所
裁判官がした勾留の裁判に対し,同月22日弁護人稲田知江子から準抗告の申立て
があったので,当裁判所は,次のとおり決定する。
主文
原裁判を取り消す。
本件勾留請求を却下する。
理由
第1本件準抗告の趣旨及び理由
(略)
第2当裁判所の判断
1本件被疑事実の要旨は,被疑者が店員として勤務するリサイクルショップに
おいてギター1本を窃取したというものである。
2一件記録によれば,被疑者が本件被疑事実を犯したことを疑うに足りる相当
な理由が認められる。
また,被疑者が被害店舗からギターを買い取ったもので,盗んではいないな
どと本件被疑事実を否認していること,かかる被疑者の供述は関係者の供述と
整合しないことなどからすれば,被疑者には関係者に働きかけるなどして,罪
証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるものと認められる。そして,上
記の事情に加え,被疑者が執行猶予期間中であることやその生活状況などに照
らせば,弁護人が指摘する諸事情を考慮しても,被疑者が逃亡すると疑うに足
りる相当な理由が認められる。
3しかしながら,本件については以下の事情が認められる。
被疑者は,本件逮捕に先立ち,本件被疑事実に係る犯行後数週間内に同じ店
舗からインパクトドライバを窃取したという本件被疑事実に密接に関連する被
疑事実(以下「別件被疑事実」という。)で,平成23年7月28日に逮捕さ
れ,同月30日に勾留されて,同年8月8日に10日間の勾留延長決定がなさ
れ,勾留期間満期である同月18日まで勾留された上で,処分保留で釈放され
たという経緯をたどっている。ところが,別件被疑事実については,遅くとも
勾留延長決定の翌日である同月9日時点において,延長決定の主たる理由であ
ったと思われる被疑者が所持していたインパクトドライバと被害品の同一性を
立証する証拠ないしはそれに準じる重要な客観証拠の収集ができる見込みがな
いことが判明していた(なお,検察官は,同月8日の勾留延長請求の時点でこ
の証拠の収集を延長請求の理由の一つとしてあげているが,この証拠が被疑者
の犯人性を立証する上で重要であることは当然分かっていたのであるから,警
察に確認してこれらの捜査の進捗状況を把握した上で勾留延長請求を行うべき
であったと考えられる。)。他方で,その時点で,被疑者は,別件被疑事実に
ついては実質的に供述をしない状態であったと認められるから,捜査機関とし
ては,同時点において,さらに被疑者を勾留する理由はなくなったというべき
である。ところが,捜査機関は,被疑者の身柄拘束を続け,主として被疑者の
取調べを重ね,最終的に被疑者を処分保留で釈放するに至っている。
一方で,遅くとも同月9日の時点において,被疑者の本件被疑事実に対する
嫌疑は明らかになっていたと認められるから,捜査機関が本件被疑事実を立件
しようとするのであれば,この時点で本件被疑事実について被疑者を逮捕し,
捜査を進めることが可能であったものである。
このように捜査機関において,別件被疑事実について,被疑者の身柄拘束が
20日以上と必要以上の長期間に及んでおり,本来,本件被疑事実の捜査に充
てる期間が十分にあったにもかかわらず,その捜査が尽くせていないのである
から,それに伴う不利益を被疑者のみに負わせるのは相当でない。そうすると,
被疑者には前記2記載の罪証隠滅や逃亡のおそれがあることを踏まえても,本
件被疑事実について勾留をする必要性があるとは認められない。
4よって,本件準抗告の申立ては理由があるから,刑事訴訟法432条,42
6条2項により,主文のとおり決定する。
平成23年8月23日
高知地方裁判所刑事部
裁判長裁判官平出喜一
裁判官大橋弘治
裁判官平山俊輔

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛