弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決を破棄する。
     本件を高松高等裁判所に差し戻す。
         理    由
 弁護人佐藤直敏の上告趣意は、事実誤認、単なる法令違反及び量刑不当の主張で
あつて、刑訴法四〇五条の上告理由にあたらない。
 しかしながら、所論にかんがみ職権により調査すると、原判決には、以下に述べ
るとおり、被告人の責任能力に関する事実誤認の疑いがある。
 すなわち、記録によれば、次のような問題点がある。
 (一) 被告人は、海上自衛隊に勤務中の昭和四二年六月ころ医師から精神分裂
病と診断され、同年七月下旬国立H病院精神科に入院し、同四三年一月下旬に軽快・
退院したのちも、工員として働きながら同年一〇月下旬(本件犯行の約二か月前)
まで通院治療を受けていた。
 (二) 原判決は、被告人がA(公社職員)に結婚を断わられた不満と自衛隊に
好意を持たない同女及びその兄・B(会社員・被告人の高校同級生)に対する反感
からC家の人びとを憎悪し本件犯行を計画、実行した旨認定している。しかし、被
告人とAとの間には具体的な交際があつたわけではないし、Bらとの自衛隊をめぐ
る議論も前年の新年会における座興類似のものであつて、普通ならば謀殺の動機に
発展するほどの深刻な問題を含むものではなく、犯行態様においても、人質同然に
C方へ連行したハイヤー運転手、就寝中のいたいけな幼児三名、急を聞いて同家に
駆けつけた近隣者二名及び戸外に助けを求め戻つてきたAの姉・D(教員)に対し、
順次、所携の鉄棒で頭部を強打して五名を殺害し二名に重傷を負わせている反面、
被告人のいる前でハイヤー運転手の手当をしたり駐在所への連絡に外出しようとし
たAの父・Eに対しては何ら手出しをしておらず、前記の動機のみでは説明のでき
ないような奇異な行動を示している。
 (三)第一審の鑑定人F作成の鑑定書及び原審の鑑定人G作成の鑑定書(同人に
対する原審の証人尋問調書を含む。以下「G鑑定」という。)には、いずれも、本
件犯行が被告人の精神分裂病に基づく妄想などの病的体験に支配された行動ではな
く、被告人は是非善悪の判断が可能な精神状態にあつた旨の意見が記載されている。
しかし、両鑑定は、本件犯行時に被告人が精神分裂病(破瓜型)の欠陥状態(人格
水準低下、感情鈍麻)にあつたこと、破瓜型の精神分裂病は予後が悪く、軽快を示
しても一過性のもので、次第に人格の荒廃状態に陥つていく例が多いこと及び各鑑
定当時でも被告人に精神分裂病の症状が認められることを指摘しており、さらに、
G鑑定は、本件犯行を決意するに至る動機には精神分裂病に基づく妄想が関与して
いたこと及び公判段階における被告人の奇異な言動は詐病ではなく精神分裂病の症
状の現われであることを肯定している。
 右のような、被告人の病歴、犯行態様にみられる奇異な行動及び犯行以後の病状
などを総合考察すると、被告人は本件犯行時に精神分裂病の影響により、行為の是
非善悪を弁識する能力又はその弁識に従つて行動する能力が著しく減退していたと
の疑いを抱かざるをえない。
 ところが、原判決は、本件犯行が被告人の精神分裂病の寛解期になされたことの
ほか、犯行の動機の存在、右犯行が病的体験と直接のつながりをもたず周到な準備
のもとに計画的に行われたこと及び犯行後の証拠隠滅工作を含む一連の行動を重視
し、G鑑定を裏付けとして、被告人の精神状態の著しい欠陥、障害はなかつたもの
と認定している。
 そうすると、原判決は、被告人の限定責任能力を認めなかつた点において判決に
影響を及ぼすべき重大な事実誤認の疑いがあり、これを破棄しなければ著しく正義
に反するものと認められる。
 よつて、刑訴法四一一条三号により原判決を破棄し、さらに審理を尽くさせるた
め、同法四一三条本文により、本件を原審である高松高等裁判所に差し戻すことと
し、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。
 検察官田中義雄 公判出席
  昭和五三年三月二四日
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    本   林       譲
            裁判官    大   塚   喜 一 郎
            裁判官    吉   田       豊
            裁判官    栗   本   一   夫

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