弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
         理    由
 弁護人石田寅雄の上告趣意第一点について。
 原判決は、第一審判決には事実の誤認はないと判示しているだけであつて、証人
の想像的推測の証拠力に関し論旨引用の判例と相反する判断を示しているのではな
いから、所論判例違反の主張は理由がない。その余の論旨は事実誤認の主張に帰し、
適法な上告理由とならない。
 同第二点について。
 論旨は憲法違反を云為するけれども、その実質は単なる刑訴法違反の主張に過ぎ
ないから適法な上告理由とならない。(仮りに証人Aの証言が伝聞であつたとして
も、被告人はそれについて何等異議も述べず、証人に尋ねることもないと云つてい
るのであるから、右の供述を証拠とすることについて同意あつたものと認められる)
 同第三点について。
 論旨は単なる刑訴法違反の主張であるから適法な上告理由とならない。のみなら
ず、控訴棄却の判決には刑訴三三五条の準用はないのであるから、原判決には所論
のような違法はない。
 被告人本人の上告趣意は事実誤認の主張に帰し適法な上告理由とならない。また
弁護士菊地哲春については弁護届が提出されていないから、その提出にかゝる上告
趣意に対しては判断を示さない。
 また記録を精査しても刑訴四一一条を適用すべきものとは認められない。
 よつて同四〇八条により主文のとおり判決する。
 この判決は、裁判官全員一致の意見である。
  昭和二九年五月一一日
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    井   上       登
            裁判官    島           保
            裁判官    河   村   又   介
            裁判官    小   林   俊   三
            裁判官    本   村   善 太 郎

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