弁護士法人ITJ法律事務所

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主     文 
1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
3 本件につき当裁判所が平成13年5月2日になした強制執行停止決定はこれを
取り消す。
4 この判決は,前項に限り,仮に執行することができる。
事実及び理由
第1 当事者の求めた裁判
 1 原告
 (1)被告から株式会社津カントリー倶楽部に対する津地方裁判所平成12年(ワ)第
94号入会保証金返還請求事件の判決の執行力ある正本に基づき,平成13年
3月28日別紙目録記載の物件に対してなされた強制執行は許さない。
 (2)訴訟費用は被告の負担とする。
2 被告
  主文同旨
第2 事案の概要等
 1 本件は,原告が被告に対し,被告のした強制執行が原告の所有物に対してなされ
たものであるとして,第3者異議の訴えをした事案である。
 2 前提事実
  (1)被告は,株式会社津カントリー倶楽部(以下「㈱倶楽部」という。)に対する請求
の趣旨記載の債務名義に基づいて,平成13年3月28日別紙目録記載の物件
(以下「本件物件」という。)について強制執行をした(争いがない。)。
  (2)㈱倶楽部,原告及び津カントリー株式会社(以下「津㈱」という。)の本店所在地
の移転,商号の変更,役員の変更の経緯は,別表記載のとおりである(乙1の1
ないし8,2の1ないし6,3の1ないし8)。
  (3)A1とA2は夫婦で,その間に長女B1,2女A3,3女A4がいる。B2はB1の夫で,
A5はA2の父である(乙4,5,弁論全趣旨)。
 3 原告の主張
  (1)原告は,平成10年5月12日,㈱倶楽部及び津㈱から,同社が所有するゴルフ
場の土地,建物,什器備品及び車両を賃借し,その頃から,ゴルフ場「津カントリ
ー倶楽部」(以下「本件ゴルフ場」という。)の経営を始めた。
  (2)原告と㈱倶楽部は,平成13年1月12日,賃貸借契約を合意により解除したう
え,次の賃貸借契約を締結した。
   ① 目的物 土地   津市C1町C2番地他の本件ゴルフ場用地
         建物   本件ゴルフ場内施設
         什器備品 本件ゴルフ場内外に取り付けられた美術品,作業用資産,事
務用品の全部(ただし,原告が㈱倶楽部から買い受け
た物を除く。)
         車両   本件ゴルフ場の営業用に保有される車両全部
   ② 期間  平成13年1月12日から平成30年4月30日まで
   ③ 賃料  1か月400万円
  (3)原告は,㈱倶楽部から賃借した資産を用いて,本件ゴルフ場を営業していたもの
であり,差押えにかかる現金は,顧客から原告に対して支払われた本件ゴルフ
場の利用代金などであり,原告の所有である。
  (4)被告の主張に対する反論
   ① 原告は,昭和62年11月18日,チューリッヒゴルフサービス株式会社の商号
で,主にチューリッヒ保険会社の代理人として保険業務を行うことを目的として
設立された株式会社で,㈱倶楽部とは全く別個の独立した法人である。原告
は,設立以後,本件ゴルフ場において,会員のプレー時にゴルファーズ保険
の入会を勧めるなど保険代理店業務を継続して行ってきた。
   ② 原告は,平成9年末頃から,保険代理店業務に加えて本件ゴルフ場の経営を
行うべく検討を始めたもので,平成11年10月頃からの㈱倶楽部の入会保証
金返還請求とは無関係である。㈱倶楽部は,平成8年末頃から,本町産業株
式会社から保証債務の解約の通知書がきたり,肥後橋中央産業株式会社か
ら株式名義変更を求める裁判が提起されたりして40%の株式を勝手に譲渡
されるという不安定な状態になっていたため,原告に対し,本件ゴルフ場を賃
貸することにしたものである。
   ③ 原告が,本店所在地及び商号を,平成10年5月1日にそれぞれ津市C1町C2
番地,株式会社津カントリー倶楽部に変更したのは,原告が,ゴルフクラブの
経営を始めるにつき,㈱倶楽部の会員に混乱を与えず,従前と同様にプレー
してもらうように便宜を図るためであった。
   ④ 原告としては,そのような目的から,商号及び本店所在地を,㈱倶楽部と同様
に変更したのであったが,その後,㈱倶楽部に対する訴訟や強制執行が誤っ
て原告に対して行われるなどしたために原告は平成12年12月2日,商号を
現商号である薬王寺ゴルフ開発に,本店所在地を津市D1町D2番地D3に移
転した。しかし,その後も㈱倶楽部と誤って原告に対する訴訟の提起があった
ため,平成13年1月6日に,本店所在地を名古屋市E1区E2町E3丁目E4番地
に移転した。なお,同所は,A1の自宅ではなく,事務所であり,A1の現実の居
所は,名古屋市F1区F2であった。
   ⑤ ㈱倶楽部は,イトマンが約40%の株式を保有し,同社の役員が㈱倶楽部の役
員を兼務する会社であったから,原告とは全く異なる。平成12年6月30日か
らは原告監査役に税理士Gが就任している。
     また,原告は,株主総会,取締役会が開催されている。
   ⑥ 原告の現在の株主は,B1,B2,A2及びA3の4名であって,㈱倶楽部が原告を
支配している事実はない。
   ⑦ ㈱倶楽部は,会員からの預託金返還請求について,各会員との和解による解
決を進めているところであって,決して会員に混乱をもたらすような意図や入
会保証金返還を困難ならしめる目的などは存しない。
     原告は,㈱倶楽部の会員を従前と同様に扱いながら,独自に本件ゴルフ場の経
営をしているにすぎない。
   ⑧ 仮に法人格の濫用の事実が存する場合でも,権利関係の公権的な確定及び
その迅速確実な実現を図るために手続の明確安定を重んずる執行手続にお
いては,その性格上,執行力の範囲はあらかじめ債務者との関係で確定され
ていなければならないものであるから,執行力を原告にまで拡張することは許
されない。
 4 被告の主張
  (1)原告は,形式的には㈱倶楽部と別個の法人格を備えているが,次のとおり,そ
の実態は形骸にすぎず,㈱倶楽部が被告に対して負担する債務の履行を回避
する手段として法人格が利用されているのであり,㈱倶楽部によるこのような法
人格の利用は,会社制度の濫用というべきである。
   ① ㈱倶楽部の本店所在地は,会社設立時から津市C1町C2番地であったが,平
成10年5月1日に名古屋市H1区H2H3丁目H4番H5号に移転され,それに呼
応して,同日,原告の本店所在地は,㈱倶楽部の本店移転先である名古屋
市H1区H2H3丁目H4番H5号から㈱倶楽部の従前の本店所在地であった津
市C1町C2番地に移転されている。
   ② 原告の商号は,本店所在地の変更がなされた平成10年5月1日にチューリッ
ヒゴルファーズサービス株式会社から㈱倶楽部と同一の商号である株式会社
津カントリー倶楽部に変更されている。
   ③ 原告と㈱倶楽部の登記簿上の目的はほぼ同一である。
   ④ 原告と㈱倶楽部の役員は会社設立当初から主要なメンバーが重なっており,
平成10年5月1日時点では,代表取締役(A1)及び取締役4名(A2,B1,I,J)
が重複している。
     ㈱倶楽部代表取締役A1は,平成12年12月2日に至るまで,原告会社の代表
取締役も勤めている。その後,A1は原告の代表取締役をB1に代わっている
が,同女はA1の長女であることから,㈱倶楽部による原告の支配に何らの影
響がない。
     平成10年5月1日時点での原告取締役B2はB1の当時の夫であり,同監査役
A5はA2の父であって,現取締役であるA3はA1の2女である。
   ⑤ ㈱倶楽部は,本件ゴルフ場開場当初から,津㈱保有の資産を賃借して経営し
ていた。ところが,㈱倶楽部は,平成10年5月12日に,原告との間で賃貸借
契約書を作成し,あたかも㈱倶楽部が本件ゴルフ場の経営から退き,経営主
体が原告に代わったかのような外観となった。しかし,㈱倶楽部がこの時期に
経営から退かなければならない理由はなく,本件ゴルフ場の運営状態は,平
成10年5月12日の前後で変わっていない。
     また,原告が現商号に変更した平成12年12月2日は,被告が㈱倶楽部に対す
る訴訟において仮執行宣言付判決を得た平成12年11月8日の直後である。
   ⑥ ㈱倶楽部の入会保証金の据置期間満了は平成10年10月であり,平成10年
5月は,㈱倶楽部の入会保証金の据置期間満了が間近に迫った時期であっ
た。
第3 当裁判所の判断
 1 証拠(甲1ないし13)及び弁論の全趣旨によれば,次の事実を認めることができ
る。
  (1)津㈱は,本件ゴルフ場の開発会社として本件ゴルフ場用地の取得,本件ゴルフ
場の開発を行った。
  (2)㈱倶楽部は,津㈱から本件ゴルフ場の営業権とゴルフ場を一括賃借し,会員募
集とゴルフ場の運営を行うということで,平成元年4月28日,A1が60%,イトマ
ンが40%を出資して設立された。
  (3)津㈱と㈱倶楽部は,平成元年5月にゴルフ場賃貸借の予約契約を締結し,㈱倶
楽部が会員募集を開始した。
  (4)津㈱代表取締役Kは,㈱倶楽部代表取締役A1に対し,平成2年9月28日,本件
ゴルフ場(本件ゴルフ場用地及び建物のほか車両10台,機械5台,画15点,陶
器3点,その他美術品4点を含む。)を要旨次の約定で貸し渡し(甲1),㈱倶楽
部は,その頃,保証金150億円を支払い,本件ゴルフ場の運営を始めた。
   ① 賃貸借期間 本件ゴルフ場を引き渡した日から20年間
   ② 賃料    月額3331万7000円
   ③ ㈱倶楽部は,津㈱に対し,本件ゴルフ場の賃貸借の保証金150億円を預託す
る。
   ④ 津㈱と㈱倶楽部は,互いに相手方が開始日以降,本契約に違反する行為のあ
ったときは相手方に通知し,通知後3か月以内に本契約の趣旨により違反し
た行為を改めないときは,本契約を解除することができる。
   ⑤ 前条により本契約を解除したときは,津㈱が違反の場合,㈱倶楽部から津㈱に
預託した保証金の40%に相当する金員を,津㈱から㈱倶楽部に返還する保
証金に加算して支払うものとし,かつ,賃貸財産については㈱倶楽部に先買
権を認め,㈱倶楽部が違反の場合は,㈱倶楽部が津㈱に預託した保証金の
40%を㈱倶楽部は放棄するものとし,津㈱は残額を法定利息により10か年
均等分割して㈱倶楽部に支払うものとする。
   ⑥ 本契約が終了した場合には,㈱倶楽部は津㈱に対し速やかに本件ゴルフ場を
返還し,津㈱は㈱倶楽部に保証金を返還する。
  (5)㈱倶楽部及び原告双方の代表取締役であったA1は,平成10年5月12日,要
旨次の内容の賃貸借契約書(甲2)を作成した。
   ① ㈱倶楽部は,原告に対し,その所有にかかる本件ゴルフ場用地として利用され
ている土地全部(ただし,㈱倶楽部の所有名義にかかる土地),現状ゴルフ場
内施設として利用されている全部の建物,現状ゴルフ場施設内外に備え付け
られた美術品,作業用資産,事務用品の全部,現状ゴルフ場の営業用に保
有されている車両全部を貸し渡す。
   ② ㈱倶楽部は,原告が本件ゴルフ場を「津カントリー倶楽部」と称することを許諾
する。
   ③ 賃貸借の期間は,平成10年5月1日から平成30年4月30日までの20年間と
する。
   ④ 賃料は,月額500万円とする。
  (6)津㈱及び原告双方の代表取締役であったA1は,平成10年5月12日,要旨次
の内容の賃貸借契約書(甲5)を作成した。
   ① 津㈱は,原告に対し,その所有にかかる本件ゴルフ場用地として利用されてい
る土地全部(ただし,津㈱の所有名義にかかる土地),現状ゴルフ場内施設と
して利用されている全部の建物,現状ゴルフ場施設内外に備え付けられた美
術品,作業用資産,事務用品の全部,現状ゴルフ場の営業用に保有されてい
る車両全部を貸し渡す。
   ② 津㈱は,原告が本件ゴルフ場を「津カントリー倶楽部」と称することを許諾する。
   ② 賃貸借の期間は,平成10年5月1日から平成30年4月30日までの20年間と
する。
   ③ 賃料は,月額1500万円とする。
   ④ 原告は,津㈱に対し,本件ゴルフ場の賃貸借の保証金1億5000万円を預託
する。
   ⑤ 津㈱と原告は,互いに相手方が開始日以降,本契約に違反する行為のあった
ときは相手方に通知し,通知後3か月以内に本契約の趣旨により違反した行
為を改めないときは,本契約を解除することができる。
   ⑥ 前条により本契約を解除したときは,津㈱が違反の場合,原告から津㈱に預託
した保証金の40%に相当する金員を,津㈱から原告に返還する保証金に加
算して支払うものとし,かつ,賃貸財産については原告に先買権を認め,原告
が違反の場合は,原告が津㈱に預託した保証金の40%を原告は放棄するも
のとし,津㈱は残額を法定利息により10か年均等分割して原告に支払うもの
とする。
   ⑦ 本契約が終了した場合には,原告は津㈱に対し速やかに本件ゴルフ場を返還
し,津㈱は原告に保証金を返還する。
  (7) ㈱倶楽部代表取締役A1と原告代表取締役B1は,平成13年1月12日,要旨
次の内容の賃貸借契約書(甲3)を作成した。
   ① ㈱倶楽部は,原告に対し,その所有にかかる本件ゴルフ場用地として利用され
ている土地全部(ただし,津㈱の所有名義の土地に限る。),現状ゴルフ場内
施設として利用されている全部の建物,現状ゴルフ場施設内外に備え付けら
れた美術品,作業用資産,事務用品の全部(ただし,原告が㈱倶楽部から買
い受けた物を除く。),現状ゴルフ場の営業用に保有されている車両全部を貸
し渡す。
   ② ㈱倶楽部は,原告が本件ゴルフ場を「津カントリー倶楽部」と称することを許諾
する。
   ③ 賃貸借の期間は,平成13年1月12日から平成30年4月30日までとする。
   ④ 賃料は,月額400万円とする。
   ⑤ ㈱倶楽部と原告は,平成10年5月12日付け賃貸借契約を合意により解除す
る。
  (8)津㈱清算人A4と㈱倶楽部代表取締役A1は,平成13年1月10日,要旨次の内
容の覚書(甲6)を作成した。
   ① 津㈱は,本件ゴルフ場資産(土地,建物及び営業用設備一式)を当分の間㈱倶
楽部に無償貸与する。
   ② ㈱倶楽部は,株式会社住友銀行に対する津㈱の債務を15億円の限度で引き
受けたことに対する金銭的対価を津㈱の清算手続において主張しない。
   ③ 津㈱は,㈱倶楽部が無償貸与された資産を第3者に転貸することに異議を述
べない。
  (9)本件ゴルフ場に従事する従業員及び備品などの設備が,平成10年5月及び平
成13年1月の前後で変更されることは格別なかった。
  (10)津地方裁判所執行官が平成13年3月28日に強制執行に着手した際,本件ゴ
ルフ場の支配人Lは,平成2年9月付けの津㈱と㈱倶楽部間の賃貸借契約書の
写しを提出し,「㈱倶楽部は本件ゴルフ場の資産運用会社にすぎず,あくまでも
経営主体は津㈱であるので,本日受領のプレー代は津㈱に属するもので㈱倶
楽部の占有でない。」旨申し向けた(甲1)。
  (11)㈱倶楽部の入会保証金の据置期間満了は平成10年10月であり,平成10年5
月当時においては,㈱倶楽部の入会保証金の据置期間満了が間近に迫り,会
員による入会保証金の返還請求が十分に予想される状況にあった。
  (12)イトマンが所有していた㈱倶楽部の40%の株式は,平成5年3月頃,本町中央
産業株式会社に,平成9年2月頃に肥後橋中央産業株式会社に,平成12年10
月頃にA1に,それぞれ譲渡されている。
  (13)原告は,昭和62年11月18日,チューリッヒゴルファーズサービス株式会社の
商号で,主にチューリッヒ保険会社の代理人として保険業務を行うことを目的とし
て設立された株式会社で,設立当時,総株数200株の内,A1が193株を所有
していた。A1は,平成9年5月から平成10年1月までの間にその所有する株式
全部を長女のB1,同女の夫であるB2,2女のA3,3女のA4に譲渡した。
    原告は,設立以後,本件ゴルフ場において,会員のプレー時にゴルファーズ保険
の入会を勧めるなど保険代理店業務を継続して行っているが,平成10年5月
に,事業の目的に,ゴルフ場並びにその付属施設の経営などを追加する旨の定
款変更を行っている。
  (14)本件物件は,本件ゴルフ場の利用代金などである。
 2 前記前提事実及び上記1認定の事実によれば,①原告と㈱倶楽部は平成10年5
月1日から平成12年12月2日まで同一の商号であったこと,②原告は平成10年
5月1日商号変更と同時に㈱倶楽部との間で本店所在地を交代的に変更している
こと,③原告と㈱倶楽部の主要な役員はA1の家族や親族で占められていること,
④本件ゴルフ場に従事する従業員及び備品などの設備が,平成10年5月及び平
成13年1月の前後で変更されることは格別なく,本件ゴルフ場の支配人も強制執
行に際し本件ゴルフ場の経営主体が原告ではなく津㈱であると回答していること,
⑤平成10年5月12日付けの津㈱と㈱倶楽部間の賃貸借契約書(甲5),同日付
けの㈱倶楽部と原告との間の賃貸借契約書(甲2)は,いずれもA1が双方の代表
取締役として作成されていること,⑥平成10年5月12日付けの津㈱と㈱倶楽部間
の賃貸借契約書(甲5),同日付けの㈱倶楽部と原告との間の賃貸借契約書(甲
2)の内容からすると,㈱倶楽部は津㈱に対し150億円の保証金を差し入れ,月額
1500万の賃料で本件ゴルフ場を賃借する一方,原告は㈱倶楽部に何ら保証金を
差し入れず,月額500万円の賃料で本件ゴルフ場を賃借することになり,㈱倶楽
部と原告との間に締結されたという平成10年5月12日付け賃貸借契約は極めて
不合理であること,⑦同様に,㈱倶楽部と原告との間に締結されたという平成13
年1月12日付け賃貸借契約も極めて不合理であること,⑧㈱倶楽部の入会保証
金の据置期間満了は平成10年10月であり,平成10年5月当時においては,㈱
倶楽部の入会保証金の据置期間満了が間近に迫り,会員による入会保証金の返
還請求が十分に予想される状況にあったことが認められる。
   これらの事実からすれば,㈱倶楽部が本件ゴルフ場の利用代金などに対する執行
を免れるために,原告が名目的に本件ゴルフ場の経営主体となったにすぎないと
認めるのが相当である。
   そうとすれば,本件ゴルフ場の利用代金などである本件物件は実質的に㈱倶楽部
に帰属するということができる。
   この点,原告は,「原告は,平成9年末頃から,保険代理店業務に加えて本件ゴル
フ場の経営を行うべく検討を始めたもので,平成11年10月頃からの㈱倶楽部の
入会保証金返還請求とは無関係である。㈱倶楽部は,平成8年末頃から,本町産
業株式会社から保証債務の解約の通知書がきたり,肥後橋中央産業株式会社か
ら株式名義変更を求める裁判が提起されたりして40%の株式を勝手に譲渡される
という不安定な状態になっていたため,原告に対し,本件ゴルフ場を賃貸すること
にしたものである。」と主張し,その旨証人A1は供述するが,その主張自体不合理
であるうえ,上記認定事実に照らし,容易に採用できない。
   以上によれば,原告の請求は理由がないからこれを棄却すべきである。
   よって,主文のとおり判決する。
津地方裁判所民事部
裁判官内  田  計  一
目録
   現金23万0845円
   内訳 1万円札   22枚
       5000円札1枚
       1000円札5枚
       500円硬貨  1枚
       100円硬貨  2枚
       50円硬貨2枚
      10円硬貨   4枚
       1円硬貨   5枚

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