弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決を破棄する。
     被告人を罰金五、〇〇〇円に処する。
     右罰金を納めないときは金二五〇円を一日に換算した期間被告人を労役
場に留置する。
     原審証人Aに支給した訴訟費用は被告人の負担とする。
         理    由
 弁護人中村俊夫の控訴趣意第一点及び同野村清美の控訴趣意第二点について。
 原判決は被告人が神戸市a区bc丁目d番地所在建物の一部をB有限会社から賃
借し独立して自己個人の計算において本件ゴム加工工場を経営していた事業主であ
つたのみならず、みずから右工場の経営を担当しその施設の保持に当つていた者で
あると認定した趣旨であることはその判文及び挙示の証拠によつて明らかであつ
て、所論を斟酌しながら記録を精査しても右認定に誤りがあるとも認められない。
所論のCは現場監督といわれていたけれどもその担当していた業務け運動靴のゲー
ジの決定、ゴムの配合、底のたて切り及び運搬その他雑役にすぎず工場設備等につ
いては責任を持つていなかつたことが明らかであつて、右工場の労働に関する事項
殊に本件通路設置について被告人のために行為をしていたとは認められず、また右
工場の賃貸人であるB有限会社が右工場の事業主であつてその監督管理の実権を有
していたとは認めることができない。従つて本件につき被告人を以て労働基準法第
一〇条労働安全衛生規則第九五条にいわゆる使用者であるとした原判決には所論の
ような法令解釈上の誤りがあるとすることはできない。
 弁護人野村清美の控訴趣意第一点について。
 原判示にいわゆる「避難口」とは労働安全衛生規則第九五条第一項に規定する
「容易に安全な場所に避難することができる適当な通路」の趣旨であることはその
判文及び挙示の証拠によつて明らかであり、右通路の概念には避難用の出入口をも
含むことは同条第二項の規定上疑いのないところである。また原判決中「(懲役刑
選択)」とあるのは右法条違反に対する罰則規定である労働基準法第一一九条第一
号所定の懲役及び罰金のうち前者を選択する趣旨であることも判文上おのずから明
らかであるから、原判決の事実認定と法令適用との間には所論のようなくいちがい
があるということはできない。
 同第三点について。
 原判決は被告人が本件工場の経営をはじめたのは昭和二六年八月二七日頃である
としながら、その犯罪の期間を昭和二七年四月二九日から同年五月八日までとして
いることは所論のとおりである。原審が右の措置に出た所以は昭和二七年政令第一
一七号大赦令第一条第一〇号によつて同年四月二八日の基準日前に犯した分は赦<要
旨第一>免されたとしてこれを除外するの配慮に出たものと察せられる。しかしなが
ら、労働安全衛生規則第九五条によつて課せられた二個以上の通路を設
けるべき義務は工場の経営をはじめるときに発生し、その違背に対する労働基準法
第一一九条第一号の罪はいわゆる継続犯であると解すべきであるから、右義務違背
が基準日前から<要旨第二>引続いているとすれば、同大赦令第二条の趣旨により、
基準日前の犯行もまた赦免に浴しないものといわねばならない。ところ
で、原審がその継続犯の一部を右のように除外したことは、他の一部である昭和二
七年四月二九日以降の犯罪の成立に影響するところなく、この除外を非難すること
は被告人に不利益な主張に帰するから、適法な控訴理由とならない。
 同第四点及び弁護人中村後夫の控訴趣意第二点乃至第四点について。
 量刑に関する各所論に鑑み記録を精査すると、原審が被告人に対し懲役四月の実
刑に処したのは酷に失すると認められるので、刑事訴訟法第三九七条第三八一条第
四〇〇条に則り原判決を破棄し改めて原審認定の事実にその挙示した各法条のほか
罰金等臨時措置法第二条を適用して主文のように判決する。
 (裁判長判事 荻野益三郎 判事 梶田幸治 判事 井関照夫)

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