弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
       本件上告を棄却する。
         理    由
 弁護人野崎晃,同赤坂俊哉の上告趣意は,憲法違反をいう点を含め,実質は事実
誤認,単なる法令違反の主張であって,刑訴法405条の上告理由に当たらない。
 なお,所論にかんがみ,被告人が本件合併の決定という重要事実を知ったことが
平成9年法律第117号による改正前の証券取引法166条1項4号にいう「当該
契約の履行に関し知つたとき」に当たるか否かについて,職権をもって判断する。
 1 原判決及びその是認する第1審判決の認定によると,本件の事実関係は,以
下のとおりである。
 (1) 磁気カード等の製造,販売等を目的として設立されたA株式会社(以下「
A」という。)は,平成7年6月下旬ころ,電子計算機による情報システムの開発
,運用等を営む株式会社で,発行する株券を日本証券業協会に登録しているC株式
会社(以下「C」という。)に対し,韓国のB株式会社が開発した非接触型ICカ
ードにつきAが保有する日本での独占的販売権の買収を持ち掛けた。Aの代表取締
役専務である被告人を含むAとCの幹部らが交渉したところ,同年8月下旬ころ,
両会社が共同してICカードの事業化を図る旨大筋で合意に達し,同年9月14日
ころ,両会社間において,AはCに対し日本での独占的販売権を許諾すること,許
諾に対する対価は協議の上別途契約を締結することなどを内容とする「基本合意書」
に調印して,本件基本合意が締結された。
 (2) Cの代表取締役社長Dは,Aが保有する独占的販売権を法律的にどのよう
な方法で取得するかに関し,当初,営業の譲受け,Aの買収,Aとの合併等につい
て検討していたが,次第にAとの合併以外にはないと考えるようになり,同年11
月9日ころ,Aとの合併を決定した。一方,被告人は,本件基本合意を締結した後
,Cの担当者との間で,同会社に独占的販売権を取得させる方法等につき交渉を重
ね,その過程で,遅くとも同月20日ころまでにDが両会社を合併する旨決定した
事実を知った。
 2 以上の事実関係によれば,Aの代表取締役専務であった被告人は,本件基本
合意を締結したことによって,合併の決定等のCへの投資判断に影響を及ぼす情報
を知り得る立場に立ったものであり,本件基本合意で予定されていたというべき独
占的販売権を取得させる方法に関するC側との交渉を行う過程で,Cの代表取締役
社長が両会社を合併する旨決定したという重要事実を知ったと認められるから,被
告人において上記重要事実に関する情報を得たことが平成9年法律第117号によ
る改正前の証券取引法166条1項4号にいう「当該契約の履行に関し知つたとき」
に当たるのは明らかである。所論は,同法166条1項4号にいう「当該契約」は
重要事実を前提として締結される契約に限定されるべきである旨主張するが,その
ように解すべき根拠はない。したがって,被告人に対し同法200条6号,166
条1項4号,2項1号へ違反の罪の成立を認めた第1審判決を是認した原判決の判
断は,正当である。
 よって,刑訴法414条,386条1項3号により,裁判官全員一致の意見で,
主文のとおり決定する。
(裁判長裁判官 濱田邦夫 裁判官 金谷利廣 裁判官 上田豊三 裁判官 藤田
宙靖)

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛