弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     本件各上告を棄却する。
         理    由
 被告人A弁護人池内省三上告趣意第一点について。
 しかし、原審は、所論指摘の被告人に対する検事の聴取書中の供述記載及び被害
者Bの原審公廷における供述だけでなく、これと、原審相被告人C、同Dに対する
検事の各第二回聴取書中の同人等の各供述記載とを綜合して、所論判示の「被告人
A、原審相被告人C同D等の強盗の犯意及び共謀」の事実を認定しているのである。
そして共犯者たる共同被告人の自供でも他の被告人本人の自白の補強証拠となり得
ることは当裁判所の判例とするところである(昭和二三年(れ)第七七号同二四年
五月一八日大法廷判決参照)。されば、原判決には所論のように被告人に不利益な
唯一の証拠である自白によつて被告人の本件強盗の犯意及共謀の事実を認定したと
いう違法はないわけである。そして原判決挙示の証拠によつて所論の判示事実の認
定はこれを肯認するに足りるから、原判決には所論のような理由不備又は判断遺脱
の違法はない。論旨は理由がない。
 同第二点について。
 原審において弁護人から被告人の為に情状を述べて酌量減軽と刑の執行猶予を求
めたことは所論のとおりである。しかし酌量減軽も刑の執行猶予も、ともに、これ
をするか否かは事実審たる原裁判所の裁量に属するところであるから、弁護人のか
ゝる申立は旧刑訴三六〇条二項にいわゆる「法律上刑の減免の原由たる事実上の主
張」に当らないものである。されば、原審が弁護人の右申立に対して何等判示する
ところがなかつたからといつて、原判決には所論のように判断遺脱の違法あるもの
ではない。論旨は理由がない。
 被告人C弁護人池田久上告趣意第一点について。
 しかし、原判決挙示の証拠に照して原判決が被告人等の判示暴行の事実が強盗の
意思にいでたものとして被告人等を強盗未遂に問擬したことを肯認するに足りその
間実験則に反する止違法はなく、従つて所論のような理由不備又は審理不尽の違法
もない。所論は結局原判決の採用していない証拠を援用し認定していない事実を想
定して原判決の証拠の取捨判断乃至事実の認定を非難するに帰着し上告適法の理由
とならぬ。
 同第二点について。
 しかし、原判決挙示の証拠によれば、被告人等三名は、共に定職なく、生活に窮
し、空腹に堪え兼ね、食事の饗応を受けようとして夜間九時頃判示B方に赴いたが、
夜間の事ではあり通常の手段では同家に立入ることができないと思い、警察官を装
い家人を起して同家に立入らうと相謀り、被告人Cにおいて犯人追跡中の警察官で
あると偽り、同人を誤信せしめ、次で同日午後一一時頃被告人三名は再び同家に赴
き被告人等を真実警察官であると誤信していた同人方の屋内に立入つた判示事実を
肯認することができる。されば被告人等は故なく同家に侵入したものであること明
白であつて原判決には所論の違法は存しない。
 同第三点について。
 しかし所論は要するに牽連一罪を併合罪なりと主張するものであるから、被告人
の利益のためにする上告適法の理由として是認し難い。しかのみならず、原判決の
確定した事実によれば、被告人等三名は、共に定職なく、生活に窮し、空腹に堪え
兼ね、当初食事の饗応を受けようとしてB方に故なく侵入したが、その儘引揚げる
よりは寧ろ同人に暴行脅迫を加えて金品を強取しようと共謀し、判示強盗未遂の所
為に及んだものであるから、本件強盗未遂の行為は住居侵入の行為を引続き利用し
て行われたこと明白であつて、相互の間に手段結果の関係あるものといわねばなら
ぬ。されば所論はいずれの点よりするも採ることができない。
 同第四点について。
 論旨に指摘する公判手続の分離併合が、原裁判所の合議によつて決定されたこと
の記載が、公判調書中に存在しないことは記録上明らかなところである。しかし、
元来裁判所の合議の事実は旧刑訴六〇条二項に具体的に列挙されている公判調書の
必要的記載事項でない。従つて公判調書に所論合議の点につき何等の記載もないと
いう一事からは、必ずしも合議がなされなかつたことを推断することはできないの
である。そして公判手続の分離併合というが如き裁判所のなすべき裁判は通常裁判
所の合議を経て裁判長により告知せられるものであるから、特に所論の手続が裁判
長の独断にいでたことを窺わしむべき事跡の認められない本件においては裁判長の
所論宣告は、裁判所の合議の結果を宣告したものと解するのが相当である。論旨は
それ故に理由がない。
 よつて旧刑訴第四四六条に従い主文のとおり判決する。
 この判決は裁判官全員の一致した意見である。
 検察官 長部謹吾関与
  昭和二四年一一月一七日
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    沢   田   竹 治 郎
            裁判官    真   野       毅
            裁判官    齋   藤   悠   輔
            裁判官    岩   松   三   郎

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛