弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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 主        文
1 本件控訴を棄却する。
2 控訴費用は控訴人の負担とする。
            事実及び理由
第1 当事者の求めた裁判
 1 控訴人
(1) 原判決を取り消す。
(2) 被控訴人が平成15年9月24日付けをもって控訴人に対しなした産業廃
棄物処理業の許可取消処分を取り消す。
(3) 訴訟費用は,第1,2審とも被控訴人の負担とする。
 2 被控訴人
主文同旨
第2 事案の概要
事案の概要は,次のとおり付加,訂正するほかは,原判決の当該欄記載のと
おりであるから,これを引用する。
1 原判決の付加訂正
(1) 原判決6頁15行目の「考慮べきところ」を「考慮すべきところ」と訂正
する。
(2) 原判決7頁21行目冒頭から8頁2行目末尾までを次のとおり改める。
「ア 違反行為をしたものに対して許可取消処分,事業停止処分をできるとい
う廃棄物処理法14条の3の規定は,営業の自由(憲法22条1項,29条)の制
約である。この制約目的は,生活環境の保全及び公衆衛生の向上を図るという,主
として国民の生命及び健康に対する危険を防止もしくは除去ないし緩和するための
消極目的である。そうすると,廃棄物に関する規制は,上記目的達成のための必要
最小限度のものでなければならない。
  「専ら再生利用の目的」は,廃棄物の処理であっても上記制約目的に反
しない代表的な例である専ら再生利用目的で収集運搬,処分がなされる場合を廃棄
物処理法の規制対象から外すことによって,営業の自由に対する必要最小限度の制
約という憲法の要請を具現化したものといえる。そして,それぞれ環境・資源の保
全を図ることを目的とする環境基本法,循環型社会形成推進基本法,資源有効利用
促進法等の存在に鑑みれば,回収,再生,利用のルートが社会において普及してい
なくとも,その他の事情から再生利用目的であることが認められるのであれば「専
ら再生利用の目的」が存すると認定すべきである。なぜなら,このように解してこ
そリサイクル社会を目指す法の理念に適合するし,また生活環境の保全や公衆衛生
の向上という廃棄物処
理法の目的とも全く矛盾抵触しないからである。
  したがって,「専ら再生利用の目的となる廃棄物」とは,回収,再生,
利用のルートが技術的及び経済的に有益な取引過程として形成され,または形成さ
れつつあり,環境・資源保全に資することが認められる廃棄物をいうと解すべきで
ある。」
(3) 原判決11頁2行目の「社会において形成普及している。」を「実験時に
おいて形成されており,事業化によってそれが一層普及することが見込まれた。」
と改める。
2 当審における当事者の主張(憲法22条1項,29条違反)
(1) 控訴人の主張
  廃棄物処理法は,主として国民の健康に対する危険の除去・防止・緩和を
目的とした消極目的規制立法であり,本件処分の違憲性の判断は,上記目的達成の
ために許可取消処分が必要最小限度のものであるかどうかという観点からなされる
ことになる。
  廃棄物処理法14条の3は,違反行為が存した場合に,その違反の程度・
内容に応じて許可取消処分,業務停止処分又は処分なしの3つの選択肢の中から適
切なものを選択すべきことを定めている。
  控訴人の本件各行為は,いずれも廃棄物処理法が危惧するような生活環境
の汚染や公衆衛生の悪化を来すものではなく,むしろ環境保全・資源保全に資する
ものである。したがって,仮に本件各行為が違反行為に該当するとしても,本件各
行為の内容に照らせば,生活環境の保全及び公衆衛生の向上を図る目的達成のため
には許可取得を促すとか本件各行為を停止するよう行政指導することで必要にして
十分である。仮に何らかの行政処分をする必要が認められたとしても,許可取消処
分よりも制限的でない他の手段が存する以上,本件許可取消処分は必要最小限度を
超えた制約であることは明らかである。
  したがって,本件許可取消処分は憲法22条,29条に違反するものであ
り,裁量権の逸脱・濫用として取り消されるべきである。
(2) 被控訴人の主張
  廃棄物処理法が,廃棄物の処理を業として行うことを原則として禁止し,
例外的に許可を条件としている立法趣旨に照らし,さらに不法投棄等が絶えない厳
しい現状を前提とした場合,違反行為に対しては厳格な法律の適用ないし運用が強
く求められているというべきであり,本件各行為は,処分取消を選択する以外には
およそ裁量の余地が考えられないほど悪質かつ重大なものである。
第3 当裁判所の判断
1 当裁判所も控訴人の請求を棄却すべきものと判断する。その理由は,次のと
おり付加訂正削除するほかは,原判決の「第3 争点に対する当裁判所の判断」欄
説示のとおりであるから,これを引用する。
(1) 原判決の付加訂正削除
ア 原判決18頁7行目冒頭から10行目末尾までを削除し,次行目の(キ)
を(カ)と改める。同頁12行目末尾の次に行を改めて以下のとおり付加する。
「(キ) 控訴人は,本件契約3により引き取った本件弾薬用木箱のうち,3
38個を品名及びロットを消して木箱として販売し,又,箱を解体し製板後販売し
たが,残りの4001個については,被控訴人から廃棄処分するよう指導を受けた
ため,これに従った。なお,本件契約3には,ファイバー容器の引取りも含まれて
いるが,これについてどのような処理がされたかの証拠はない。」
イ 原判決19頁25行目冒頭から20頁4行目末尾までを削除する。
ウ 原判決20頁18行目の「,原告が」から20行目の「払っていたこ
と」までを削除する。
エ 原判決22頁9行目冒頭から23頁4行目末尾までを次のとおり改め
る。
「(1) 廃棄物処理法は,一般廃棄物処理業を許可制とし,専ら再生利用の目
的となる一般廃棄物のみの処理を業として行う者その他環境省令で定める者につい
ては許可を要しないと定め(同法7条1項,4項),環境省令で定める一般廃棄物
の再生利用については,環境大臣の認定を受けた者は許可を受けないで一般廃棄物
の処理を業として行うことができると定める(同法9条の8第1項,3項)。そし
て,その他環境省令で定める者には,再生利用されることが確実であると市町村長
が認めた一般廃棄物のみの処理を業として行う者であって市町村長の指定を受けた
もの等が定められている(同法施行規則2条,2条の3)。この趣旨は,生活環境
の保全及び公衆衛生の向上を図る同法の目的に鑑み,廃棄物処理業について一般的
に許可制として行政に
よる事前規制の対象とした上,廃棄物が再生利用される場合には上記目的に反する
弊害が生ずることはないから,廃棄物が再生利用される確実性に応じて,環境大臣
ないし市町村長の認定・指定により,あるいはこれらも要さずに,例外的に許可制
の対象外とするものと考えられる。したがって,「専ら再生利用の目的となる一般
廃棄物」とは,環境大臣ないし市町村長の認定等を待つまでもなく,その物の性質
及び技術水準等に照らし再生利用されるのが通常であるものをいうと解するのが相
当である。
   控訴人は,廃棄物処理法は,消極目的によって営業の自由(憲法22
条1項,29条)を制約するものであるから,その規制は,目的達成のための必要
最小限度のものでなければならないと主張する。しかし,前判示に照らせば,同法
は,廃棄物の性質等に照らし再生利用されるのが通常であるものについては不法投
棄等の弊害の発生する可能性がないものとして,このような一般廃棄物のみの処理
を業として行う者については許可を不要とし,そうとまではいえないものは弊害の
発生する可能性が残されるとして,環境大臣ないし市町村長の認定・指定等一定の
要件を要するとし,あるいは廃棄物処理業の許可を要するとしたものであり,その
弊害発生の危険性に応じて目的達成のための必要最小限度の規制を定めたものとい
うべきである。
   控訴人は,「専ら再生利用の目的となる廃棄物」とは,回収,再生,
利用のルートが技術的及び経済的に有益な取引過程として形成され,または形成さ
れつつある廃棄物をいうと解すべきであると主張するが,上記判示に照らせば,
「専ら再生利用の目的となる廃棄物」といえるためには,その廃棄物の回収,再
生,利用のルートが技術的及び経済的に有益な取引過程として社会において形成さ
れているだけではなく,普及しており,再生利用されることが通常一般になってい
ることが必要である。
(2) 控訴人は,本件弾薬用木箱について,控訴人において陸上自衛隊から
回収し,再生木材やチップ材等に加工再生して販売しているというルートができて
いると主張するが,これらは控訴人が独自に形成した再生利用の過程にすぎず,こ
れが社会において普及して通常一般になっているとの証拠はない。さらに,陸上自
衛隊による本件弾薬用木箱の処理委託のための入札も,必ずしも再生利用を前提と
はしていなかったなどの事情も併せ考慮すると,本件弾薬用木箱がその性質及び技
術水準等に照らし再生利用されるのが通常であるということはできず,「専ら再生
利用の目的となる一般廃棄物」に該当するとは認められない。」
オ 原判決23頁25行目及び同24頁4,5行目の「客観的性質上,通常
一般に再生利用される」を「性質及び技術水準等に照らし再生利用されるのが通常
である」と改める。
(2) 当審における主張に対する判断
  控訴人は,本件許可取消処分は憲法22条,29条に違反すると主張する
が,要は,同処分は被控訴人による裁量権の逸脱・濫用であるというのであって,
本件許可取消処分が裁量権の逸脱・濫用とはいえないことは,原判決第3の7に判
示のとおりである。
  控訴人は,控訴人の本件各行為は,いずれも生活環境の汚染や公衆衛生の
悪化を来すものではなく,また,仮に本件各行為が違反行為に該当するとしても,
許可取得を促すとか本件各行為を停止するよう行政指導することで必要にして十分
であると主張する。しかし,原判決判示のように,無許可で廃棄物処理業を行った
という本件各行為は,それ自体,廃棄物処理法の許可制度に反する基本的かつ重大
な違反行為であって,これに対する行政処分としては許可取消しが相当であるとさ
れており,これは不法投棄等現実の弊害の発生の有無にかかわらないものと認めら
れる(甲3)。そして,控訴人による本件弾薬木箱の処分はまさに営業としてされ
ていたこと,本件発泡スチロールの処分も実験とはいえ,トラック2台分を集めて
行ったというのであ
り,相当大規模にされたものであることを考慮すると,本件処分に先立って行政指
導を行わずに,直ちに本件許可取消処分を行ったことも相当というべきであり,事
業停止等のより軽い処分によらなかったことが裁量権の逸脱・濫用ということはで
きない。
2 よって,原判決は相当であり,本件控訴は理由がないからこれを棄却するこ
ととし,主文のとおり判決する。
  仙台高等裁判所第1民事部
      裁判長裁判官   小   野   貞   夫
         裁判官   大   垣   貴   靖
         裁判官   神   野   律   子

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