弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件控訴を棄却する。
         理    由
 本件控訴の趣意は記録に編綴してある弁護人十川寛之助提出の控訴趣意書記載の
とおりであるからこれを引用する。
 同控訴の趣意第一乃至第三点について
 所論は要するに原判決はその第一事実として被告人が昭和二十六年四月二十二日
頃大阪市a区b町c番地附近道路上において薬事法第四十一条第八号所定の事項の
記載されていない覚せい剤注射液ホスピタンと称するもの約四百四十本を販売の目
的を以て所持して以て貯蔵しと認定判示したが所持と貯蔵は同意語でないから事実
理由にそれ自体くいちがいが存する。そして貯蔵の証拠がないのに所持していたこ
とを以て卒然として貯蔵したと認定したのは法律の解釈に反する独断的な認定であ
る。被告人は単に販売の目的で右物件を所持しただけであるから薬事法第五十六条
によつて処罰できないのに拘わらず原判決がこれを処罰したのは罪とならない行為
を罰した違法がある旨主張するのである。
 <要旨第一>しかし薬事法第四十四条第三号に所謂貯蔵とは所定の医薬品、用具、
化粧品を保管の意思の下に自己の支配内に置くことを汎称するものと解
すべきであるから自己が事実上の所持をなさずに貯蔵する場合もあり得る反<要旨第
二>面自己が保管の意思を以てする事実上の所持は常に右貯蔵の一態様に属するもの
と云うべきである。所論の如く物を一定の場所に一定の期間格納するこ
とは貯蔵の典型的な例であると云えるけれども右に云う貯蔵たるには必ずしも場所
の特定、期間の長短、方法の如何等はこれを問わないものとなすを相当とする。蓋
し以上のように理解することは薬事法が公衆衛生の見地から広く不良若しくは不正
表示医薬品等の一般巷間への流布及びその契機となる虞あるような事態を禁止せん
とする精神に合致するからである。しかして原判決挙示の証拠によれば被告人は販
売の目的で判示第一の注射液を判示場所において保管する意思の下に所持していた
ことが明かであるからその所持は即ち薬事法第四十四条第三号に云う貯蔵に該当す
るものと云わなければならない。原判決摘示第一事実の所持も右趣旨においてこれ
を認定判示したものと認められるのであつて被告人は同法第五十六条による処罰を
免れ得ないのである。従つて原判決には所論のような違法は一もなく論旨はいずれ
も理由がない。
 同第四点について
 所論の要旨は原判決は第一事実の証拠として被告人の検事に対する第一回供述調
書(昭和二十六年四月二十二日附)を引用しているが記録上には右のような文書は
存在しないから虚無の証拠を採用したか少くとも不明な証拠説示をした違法がある
と云うのである。
 しかし原判決をみると所論供述調書は原判示第一事実の認定についての証拠とし
て援用したことが明白であつて記録中には昭和二十六年四月二十二日附の被告人の
検事に対する供述調書が存しこれには右事実に照応する内容の供述記載のあること
が認められる。尤もその調書には回数の表示はないけれども南館検事が取調べてお
り該取調としては第一回のものであることが記録上明かである。だから原判決はこ
の調書を日附の点において特定し、右検事に対する供述調書として事実上第一回で
あるところからそのように摘示して証拠に引用したものであることが自ら理解でき
る。
 従つて原判決が所論のように虚無の証拠を引用し或は不明な証拠説示をしたもの
とは未だなし得ないのであつて論旨は理由がない。
 よつて、刑事訴訟法第三百九十六条に従い主文のとおり判決をする。
 (裁判長判事 吉田正雄 判事 松村寿伝夫 判事 大西和夫)

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