弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告会社代表者Dの上告理由第一点について。
 原判決は、決して、被上告人(被控訴人)がその父Eの死亡によりその賃借権を
承継したと判示しているわけではなく、従来右Eが賃借人であつたのを、被上告人
が父に代つて賃借することとした旨を判示しているのであるから、論旨は原判決を
正解しない議論であつて、採用するをえない。
 同第二点(1)について。
 原判決認定の趣旨は、被上告人の亡父Eが昭和二一年中本件土地を期間を一〇年
ないし一五年としてFより賃借していたところ昭和二七年七月頃被上告人が右Eに
代つて右Fより本件土地を期間を昭和二一年一月二五日から一五年として賃借する
こととしたというのであつて、右認定事実は所論被上告人の主張事実と同一性がな
いともいえないから、原判決に所論の違法はなく、所論は採用するに足らない。
 同第二点(2)について。
 なる程、原審確定の事実によれば、被上告人が訴外Fより本件土地を賃借した後、
本件土地は同訴外人から訴外Gに売り渡され、次いで右Gから上告会社に売り渡さ
れて、それぞれその旨の登記がなされているところ、被上告人の右賃借権につき登
記がなくまた、上告会社の右登記のときまでに、その地上建物につき登記がなされ
ていなかつたというのであるから、被上告人は右貸借権をもつて上告会社に対抗し
えないもののようであるが、しかしながら、他方、原審は、挙示の証拠により、訴
外Gは訴外Fの実子であつて、F個人の経営する製缶工業に従事していたものであ
るが上告会社は右訴外人ら及びその血族ないし姻族関係に在る者の同族会社であつ
て、その営業所及び工場設備は訴外Fの個人企業のそれをその儘移行したものであ
り、営業の実態は会社組織に変更された後においても変つていないこと、訴外Gも、
上告会社も、被上告人の右賃借権の存在を知悉しながら、被上告人を立ち退かせる
ことを企図して本件土地を買い受けたものであること、被上告人が、本件建物の保
存登記をする前提として昭和三三年二月一二日建物の申告書を敷地所有者である訴
外Fの証明印のないまま鹿児島地方法務局阿久根出張所に提出したため、同出張所
が右訴外人に証明欄の押印を求めたところ、同訴外人(同人は、訴外Gその他同族
会社である上告会社の社員等の一団の中心的存在である)は右申告書に記載されて
いる建物が同訴外人の承諾のもとに建築されれたものであるにも拘らず、右の押印
をすれば被上告人を立ち退かせることができなくなると考え、「印鑑を司法書士の
ところに預けてあるから申告書を一時貸してくれ」といつて右出張所より申告書を
持ち帰つたまま遂にこれを返還せず、被上告人の本件建物の保存登記を妨げるよう
な行為をしている(なお、本件土地は、同年三月二〇日同訴外人より訴外Gに売り
渡されて同年四月一八日その登記がなされ、更に同年五月九日訴外Gより上告会社
に売り渡されて同月一〇日その登記がなされている)こと等の事実を適法に認定し
ているのであつて、右事実にその他原審認定の一切の事実関係を合せ考えれば、原
審が、上告会社が冒頭記載のような理由により被上告人の前記賃借権の対抗力を否
定し本件建物の收去を求めることは権利の濫用として許されないとした判断も正当
として是認しえられる。所論は、原審の認定に反する事実ないし原審の認定しない
事実を前提とするか、または、独自の見解により原判決を攻撃するものであつて、
採用するをえない。
 よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと
おり判決する。
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    池   田       克
            裁判官    河   村   大   助
            裁判官    奥   野   健   一
            裁判官    山   田   作 之 助
            裁判官    草   鹿   浅 之 助

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