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平成12年(ネ)第276号 不正競争行為差止等請求控訴事件(原審・東京地方裁
判所平成9年(ワ)第2551号)(平成13年12月12日口頭弁論終結)
           判         決
       控訴人        ネグロス電工株式会社
     訴訟代理人弁護士   松   尾   和   子
     同          中   山   慈   夫
     同          男   澤   才   樹
       同          中   島   英   樹
       被控訴人       松下電工株式会社
     訴訟代理人弁護士   小   野   昌   延
     同          小   松   陽 一 郎
     同          池   下   利   男
       同          村   田   秀   人
       訴訟復代理人弁護士  福   田   あ や こ
       同          宇   田   浩   康
     補佐人弁理士     川   瀬   幹   夫
        主         文
1 原判決を次のとおり変更する。
     2 被控訴人は、別紙被控訴人製品目録一ないし七記載の電路支持材を
製造し、譲渡し、引き渡し、譲渡又は引渡しのために展示してはならない。
     3 被控訴人は、控訴人に対し、1459万0093円及び内金671
万9396円に対する平成9年3月4日から、内金787万0697円に対する平
成10年8月31日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
     4 控訴人のその余の請求を棄却する。
     5 訴訟費用は、第1、2審を通じこれを10分し、その9を控訴人
の、その余を被控訴人の負担とする。
     6 この判決は、第2、第3項に限り、仮に執行することができる。
     事実及び理由
第1 当事者の求めた裁判
1 控訴人
  (1) 原判決中、後記(2)の差止請求及び後記(3)の金員支払請求を棄却した部分
をいずれも取り消す(原判決の当該部分以外は不服申立ての範囲外)。
  (2) 被控訴人は、別紙被控訴人製品目録一ないし七及び同十ないし十八記載の
電路支持材を製造し、譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸
出し、又は輸入してはならない。
  (3) 被控訴人は、控訴人に対し、3億5318万4000円及びこれに対する
平成9年3月4日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
  (4) 訴訟費用は、第1、2審を通じ被控訴人の負担とする。
  (5) 仮執行宣言
 2 被控訴人
  (1) 本件控訴を棄却する。
  (2) 控訴費用は控訴人の負担とする。
第2 事案の概要
   本件は、控訴人の製造販売する別紙控訴人製品目録一ないし七記載の電路支
持材(以下「第1グループ控訴人製品」という。)及び同十ないし十八記載の電路
支持材(以下「第2グループ控訴人製品」といい、第1グループ控訴人製品と併せ
「控訴人製品」という。)の商品形態が、控訴人の商品を表示するもの(以下「商
品表示」という。)として需要者の間に広く認識されており、被控訴人の製造販売
する別紙被控訴人製品目録一ないし七記載の電路支持材(以下「第1グループ被控
訴人製品」という。)及び同十ないし十八記載の電路支持材(以下「第2グループ
被控訴人製品」といい、第1グループ被控訴人製品と併せ「被控訴人製品」とい
う。)の商品形態が、控訴人製品のものと同一であり、被控訴人が被控訴人製品を
製造販売して、控訴人製品と混同を生じさせた結果、不正競争防止法2条1項1号
所定の不正競争行為が成立しているとして、控訴人が、被控訴人に対し、同法3条
1項、4条及び5条1項に基づき、被控訴人製品の製造販売等の差止め及び損害賠
償を求めるとともに、被控訴人による被控訴人製品の製造販売等の行為が民法70
9条所定の不法行為に当たるとして、損害賠償を請求する事案である。
   原判決は、被控訴人の行為は上記不正競争行為に該当せず、不法行為も構成
しないとして、控訴人の請求をいずれも棄却した。
1 争いのない事実
(1) 控訴人は、電設資材器具の製造販売等を業とする株式会社であり、被控訴
人は、各種機械器具、建築材料、電路支持材等の配管機材、情報機器の製造販売等
を業とする株式会社である。
(2) 控訴人は、控訴人製品に「パイラック」の商標を付して製造販売し、被控
訴人は、被控訴人製品を製造販売している。
  (3) 控訴人製品の形態は、第1グループ控訴人製品は別紙控訴人製品目録一な
いし七、第2グループ控訴人製品は同十ないし十八記載のとおりであり、被控訴人
製品の形態は、第1グループ被控訴人製品は別紙被控訴人製品目録一ないし七、第
2グループ被控訴人製品は同十ないし十八記載のとおりである。
 2 争点
(1) 控訴人製品の形態の商品表示としての周知性の有無
(2) 控訴人製品と被控訴人製品の形態の同一性
(3) 控訴人製品と被控訴人製品が混同を生ずるおそれの有無
(4) 被控訴人の被控訴人製品の形態に係る先使用権の有無
  (5) 被控訴人製品の製造販売等を差し止める必要性の有無
  (6) 被控訴人による被控訴人製品の製造販売等の行為の不法行為該当性
(7) 被控訴人製品の製造販売等により控訴人が被った損害の額
3 争点についての当事者の主張
(1) 争点(1)(控訴人製品の形態の商品表示としての周知性の有無)について
(控訴人の主張)
ア 控訴人製品は、別紙控訴人製品目録記載のとおり、独自の形態を有する
が、その形態は、以下の理由により、遅くとも昭和58年には、控訴人の商品表示
として周知になった。
(ア) 製造販売
      控訴人は、Aが昭和22年6月に創業した個人企業を発展させた会社
であり、同人が、昭和33年5月、「パイラック」の商標を付した一般形鋼用管支
持金具を完成し、昭和34年8月、我が国において初めて電路支持材の製造販売を
開始し(以下、パイラックの商標を付した電路支持材を「パイラック製品」とい
う。)、パイラック製品の一種である控訴人製品も、発売以来、控訴人の主力製品
として、全国で広く販売、利用されてきた。昭和38年以降における各控訴人製品
の販売開始時期は、別紙(一)販売開始時期一覧表記載のとおりであり、昭和46年
から平成10年8月までの間における控訴人製品の販売数は、別紙(二)控訴人製品
販売数量一覧表記載のとおりであって、平成4年から平成10年8月までの間にお
ける控訴人製品の売上額は、別紙(三)控訴人製品売上額一覧表記載のとおりであ
る。
控訴人製品の販売先は、全国の電設資材業界の卸売業者約250社で
あり、控訴人製品は、これらの卸売業者等を通じ、全国の需要者に販売されてき
た。全日本電設資材卸業協同組合連合会の組合員である多数の主要な卸売業者が、
控訴人製品を扱い、その周知性を認めている。
パイラック製品の電路支持材市場におけるシェアは、販売開始から現
在まで、ほぼ95%である。
(イ) 広告宣伝
      控訴人は、昭和38年以来、電路支持材の総合カタログを作成し、そ
の冒頭には、常に、パイラック製品を掲載していたが、上記カタログは、電気設備
業界及び空調衛生業界の工事業者、電設資材の卸売業者、設計事務所、官公庁、総
合建設業の電気設備担当者等に広く配布され、その数は、過去10年間だけでも、
総数194万7400部に達している。
また、控訴人は、パイラック製品の販売30周年には、記念キャンペ
ーンを実施し、10万部のちらしを作成して、全国の電気工事業者、電設資材の卸
売業者に配布し、1万1629名から景品の応募があった。
(ウ) 試験問題等
      控訴人製品目録一及び四記載の製品の形態は、特に早くから知られて
おり、電気工事関係の雑誌にしばしば取り上げられ、第二種電気工事士試験などの
試験問題に使用されている。また、上記控訴人製品は、電気工事に関する資材の解
説、マニュアルのほか、教科書においても、早いものでは昭和36年から取り上げ
られている。
(エ) 表彰等
      控訴人製品は、その形態、機能が優れているため、昭和40年に社団
法人日本電設工業会の技術奨励賞、昭和49年に渋沢賞を受賞し、また、昭和40
年代には社団法人日本電設工業会の推奨資材及び東京都建築局の指定資材となって
いた。
(オ) 模造品の新聞報道等
      控訴人のパイラック製品が空前のヒット商品になったため、昭和51
年ころ、その模造品が製造販売され、模造品の製造販売業者が逮捕されたとの新聞
報道があった。
イ 第1グループ控訴人製品の形態
    (ア) 形態的特徴
      第1グループ控訴人製品の形態的特徴は、概要、以下のとおりであ
る。
     ① 一枚の鋼板で構成されている。
     ② 左側面から見て、中央部が大きい曲率半径をもって湾曲を有し、両
縁部がより小さい曲率半径をもつ湾曲を有する形状(以下「C字形」という。)を
形成する。
     ③ C字形の文字幅は、製品の大きさにより異なり、約10ないし14mm程
度である。
     ④ C字形の上辺が下辺より4.5ないし10mm程度短い。
     ⑤ C字形の下辺の前部から縁部にかけ、歯状の小切り込みが複数個あ
る。
     ⑥ 正面から見て、締め付けねじを除外した基本形状は、左右及び上下
が対称であり、上面、背面及び底面の両側に、連続する7ないし12mm程度の顕著な
ビードがある。
     ⑦ C字形の上部に締め付けねじがあり、背面及び底面部の左右ビード
を除いた幅一杯に大きく丸い取付孔が存在する。
    (イ) 他社製品の形態
      雑誌「エレクトリカルコンストラクションアンドメンテナンス」1
951年4月号(乙第7号証)202頁掲載の製品は、C字形を形成すること、上
辺が下辺より短いこと、上下左右が対称であること、上面、背面及び底面の両側に
連続するビードがあること、底面及び背面の孔を有することにおいて、第1グルー
プ控訴人製品と共通する。
      しかしながら、上記製品は、第1グループ控訴人製品のC字形に相当
する部分がU字形により近いこと、上辺が下辺より顕著に短いこと、上辺及び下辺
の前面が斜めに、かつ、直線的に切り落とされていること、下辺に歯状の小切り込
みがないこと、底面及び背面の孔が小さいねじ孔であることにおいては、第1グル
ープ控訴人製品の形態と異なっている。上記雑誌1960年6月号(乙第9号証)
202頁掲載の製品も、その形態は同様である。
      南電機株式会社のカタログ(乙第12号証の1、2)に掲載された製
品は、控訴人製品の模倣品であり、市場における流通量がごく少数である。沼田金
属工業株式会社の電路支持材カタログ(乙第13号証)の製品は、背面及び底面の
取付孔が小さい上、すぐ市場から姿を消した。株式会社昭和コーポレーションの配
管支持金具のカタログ(乙第14号証)に掲載された製品は、空調衛生関係で使用
され、控訴人製品とは分野が異なる。また、上記乙号証に記載されたいずれの製品
も、控訴人製品が周知性を獲得した後に販売されたものである。
   ウ 第2グループ控訴人製品の形態
    (ア) 形態的特徴
      第2グループ控訴人製品の形態的特徴は、概要、以下のとおりであ
る。
     ① 正面から見て左右同形の縦長の頭部と、楕円形状にふくらみをもつ
胴部があり、その下には、左右に張り出した2本の脚部があり、頭部の丈は脚部の
丈よりやや高い。
     ② 頭部には、ねじとナットが取り付けられている。
     ③ 外側面から見て、頭部と胴部の両縁には連続して2ないし3mm程度
のリブがある。
     ④ 外側面から見て、脚部は胴部より小さい曲率半径をもって湾曲を有
し、脚片の幅は胴部より数mm程度狭いが(別紙控訴人製品目録十四のものは9mm程
度狭い。)、脚部の先端部は半円形である(別紙控訴人製品目録十四及び十五のも
のは同半円形の先が更に平らに切られている。)。
    (イ) 他社製品の形態
      南電機株式会社のカタログ(乙第12号証の1、2)に掲載された製
品は、控訴人製品の模倣品であり、市場における流通量がごく少数である。
      1928年(昭和3年)7月発行のドイツ特許公報第462115号
(乙第21号証、以下「ドイツ公報」という。)の製品は、第2グループ控訴人製
品のものと明らかに外観が異なる。すなわち、控訴人製品は、正面から見て、頭部
は両掌を上部で合わせた縦長の形状をしているのに対し、ドイツ公報の製品は、手
首を突き合わせただけで、掌は離したままの形状をしている。また、第2グループ
控訴人製品は、正面から見て、左右の足首の踵を付け、下部の先端部は半円形に広
げているのに対し、ドイツ公報の製品では、脚部の先端部と平行した根本が張り出
して段部を形成している。
      他の乙号証に記載されたいずれの製品も、その形状は、第2グループ
控訴人製品と異なっている。
   エ 技術的機能に由来する形態
    (ア) 商品形態の一部を抽出し、又は抽象的な上位概念でとらえて、形態
的特徴のすべてが技術的機能に由来するということは、誤りである。すなわち、第
1グループ控訴人製品の形状に即して述べるならば、以下のとおりである。
     ① C字形は、上面と下面の間に構造材を挟み込むための形態であり、
また、1枚の金属板を曲げるとC字形となる。しかしながら、C字形の側面から見
た、中央部の大きな曲率及び両縁部の小さな曲率により形成される丸やかな湾曲の
形態、C字形の文字幅は、単なるC字形の形態としてとらえるべきではない。
     ② 歯状の小切り込みが複数個あるのは、構造材等を強く挟持固定する
ためであるが、歯状の小切り込みが存在しない他社製品もある。
     ③ ビードは、金具全体の強度を補強するものであるが、その幅によっ
て、形成される形態が相違するから、単にビードが存在するととらえるべきではな
い。
     ④ 背面及び底面の丸い取付孔は、クリップ金具を方向自由に取り付け
るためのものであるが、丸い孔の大きさ及び形状を無視すべきではない。
    (イ) 第2グループ控訴人製品の形状についても、同様に、形態的特徴の
すべてが技術的機能に由来するということは、誤りである。
    (ウ) 製品には使用目的ないし機能があるから、製品の形態は、この使用
目的ないし機能による制約を多かれ少なかれ受けざるを得ない。したがって、製品
の使用目的ないし機能を念頭に置いて、その視点から製品の形態を判断するなら
ば、そのすべてが機能に由来すると判断されてしまうが、このような理解は失当で
ある。製品の形態が、その使用目的ないし機能に由来する制約を受けるとしても、
形態全体は、なお、取引者、需用者の好み等を考慮して製造者が選択し得る一定の
幅がある。
      電路支持材において、開口部、上辺と下辺、ビード、取付孔等の寸法
などは、製造者が自由に選択し決定し得る性質のものである。現に、電路支持材
で、控訴人製品の模倣品として一時市場に出たもの以外は、控訴人製品と同一の形
態的特徴を有するものはなかった。
(被控訴人の主張)
ア 商品形態の特異性
    (ア) 商品形態が出所表示機能を取得するためには、その形態に、同じ存
在目的を達成する同種の製品のものとは異なる相対的特異性がなければならない。
控訴人製品については、古くから、同業他社により同種形態のものが複数販売され
ているから、控訴人製品の形態は相対的特異性を有しない。
 また、仮に、製品の発売当初、その形態に特異性があったとしても、
その後、同一又は類似の形態のものが複数の業者により複数の同種製品に使用さ
れ、そのような状態が長期間経過した場合には、希釈化(ダイリューション)によ
り、当該商品の形態を特定の出所表示として認識することができなくなり、周知の
商品表示といえなくなることがあるところ、控訴人製品については、既に、同一又
は類似する形態が複数の業者によって複数の同種製品について使用されているか
ら、仮に、その発売当初、形態の特異性があったとしても、商品表示としての周知
性は既に失われている。
    (イ) 第1グループ控訴人製品について
      控訴人は、沼田金属工業株式会社の電路支持材カタログ(乙第13号
証)に掲載された製品について、背面及び底面の取付孔の半径が小さい上、すぐ市
場から姿を消したこと、株式会社昭和コーポレーションの配管支持金具のカタログ
(乙第14号証)に掲載された製品が空調衛生関係でのみ用いられること、南電機
株式会社のカタログ(乙第12号証の1、2)に掲載された製品の市場における流
通量がごく少数であったことを主張するが、いずれも根拠を欠く。
    (ウ) 第2グループ控訴人製品について
ドイツ公報(乙第21号証)の製品は、①正面から見て左右同形に、
小さい縦長の頭部と、環状にふくらみを持つ胴部があり、その下には、左右に張り
出した2本の脚片がある、②頭部にはねじとナットが取り付けられている、③外側
面から見て、脚片は胴部より小さい曲率半径を持った湾曲を有し、脚片の幅は胴部
より狭いという、第2グループ控訴人製品の形態的特徴をすべて備えている。
   イ 技術的機能に由来する形態
    (ア) 形態的特徴が技術的機能に由来する場合には、不正競争防止法上の
商品表示としての保護を与えない方向の裁判例が確立している。技術的機能を実現
するための機能的制約に基づく形態をとっているにすぎない場合には、この種の形
態を特定の者に独占させることは、製品や技術の独占につながり、同法の趣旨に反
することとなるからである。また、ある製品がいくつかの基本的構成要素から成る
とき、各構成要素の組合せには一定の限度があるから、各構成要素の具体的な形態
を離れて、その組合せ自体が商品表示として保護を受けることはできないと解する
のが相当である
(イ) 第1グループ控訴人製品について
   第1グループ控訴人製品の形態的特徴は、以下のとおり、いずれも、
電路支持材としての技術的機能に由来するものであるから、商品表示としての周知
性を獲得したということはできない。
①第1グループ控訴人製品は、鉄骨、アングル材等の構造物に電線管
等を固定するための電路支持材であって、上板、下板及びこれらの一端片に介在す
る側板とから成り、側面略コ字形に形成されている。
     ② 第1グループ控訴人製品は、上板、下板、側板の両縁から内側に向
けて金属板を屈曲して製造されるため、側板と上板、下板の境界部は、丸みをもっ
て構成されている。
     ③ 上板、下板、側板の両縁に折曲片及びビードが設けられ、金具本体
の強度を補っている。
     ④ 電線管を挟持固定するためのクリップ金具が選択自在に取り付けら
れるように、下板、側板の両方に取付孔が穿設されている。
     ⑤ 上板には、締め付けねじが螺設され、下板には鋸歯状部が形成され
ており、上板と下板の間に鉄骨等の片を挟み、締め付けネジを締め付けてねじ先端
のくぼみ先と下板の鋸歯状部により鉄骨等の構造材の片を強固に挟持固定するよう
になっている。
      控訴人は、第1グループ控訴人製品の形態的特徴がすべて技術的機能
に由来するということはできないと主張するが、以下のとおり、失当である。
     ① 両縁部が中央部よりも小さい曲率になるようにC字形の形態を呈す
ることは、1枚の金属板を屈曲して形成することから必然的に生じ、技術的機能に
由来する形態であって、控訴人の主張するC字形かU字形かという点は、微細な差
異にすぎない。
     ② 下辺の方が長いという特徴については、同様の商品の例に枚挙にい
とまがなく、また、複数の歯状を持たない製品が存在するからといって、歯状の存
在が構造材のずれ防止に役立つものである以上、機能的形態というべきである。
     ③ ビードは、第1次的には補強の役割を果たしているのであって、こ
れが付け加わることによって外観が多少変化するのは、副次的作用である。
     ④ 第1グループ控訴人製品の孔の形状や大きさは、特段、特徴的なも
のではない。確かに、ビードを付けず、又は取付孔を小さくしても製品として成り
立ち得るかもしれないが、ビードの有無、取付孔やねじの形状等が機能面と密接に
結びついている以上、各部分の形態が技術的機能に由来することは明らかである。
(ウ) 第2グループ控訴人製品について
第2グループ控訴人製品は、鉄骨等の構造物に固定された取付金具に
取り付けられ、電線管等を固定するための配管用クリップ金具である。
この配管用クリップ金具は、二つの金属主片から成る。金属主片は、
電線管を挟むための湾曲部を持ち、その上端には、鉄骨等の構造物用の取付金具の
クリップ取付孔に挿入係止するための外向きの屈曲部が形成され、下端には、他方
の金属主片と係合するための締め付けボルト挿着孔が穿設されている。
この配管用クリップ金具は、一対の金属主片の上端の外向き屈曲部を
取付金具のクリップ取付孔に挿入係止し、相対向する湾曲部に電線管を緩く挟んだ
状態で、下端の締め付けボルト装着孔にボルトを装着し、ナットを螺合して緊締す
ることにより、取付金具に取り付け固定される。
この場合、締め付けボルト挿通孔に挿着されたボルトをナットで締め
付けるに従って、湾曲部が電線管を強固に挟持し、かつ、電線管の反発力により、
てこの原理で外向きの屈曲部が外方へ作用し、取付金具のクリップ取付孔への取付
固着も強固に行われる。
      確かに、第1グループ控訴人製品については、全体的な形状等につい
て、需要者の目にも明らかな差異を設けることは可能であったかもしれないが、第
2グループ控訴人製品の形態は、第1グループ控訴人製品と比べて単純そのもので
あり、その形態的特徴は、いずれも技術的機能に由来するものである。競業他社が
同種製品を製造するに当たり、同じ目的を達するために他の形態を選択すること
は、極めて困難であったということができる。
ウ 第1グループ控訴人製品の形態に係る控訴人の意匠登録は、昭和54年
9月に無効となっているから(乙第16号証の22)、このような形態による商品
表示としての周知性獲得の主張は、信義則上許されない。
(2) 争点(2)(控訴人製品と被控訴人製品の形態の同一性)について
(控訴人の主張)
被控訴人製品の形態は、その細部まで控訴人製品と同一形態である。
(被控訴人の主張)
争う。
(3) 争点(3)(控訴人製品と被控訴人製品が混同を生ずるおそれの有無)につ
いて
(控訴人の主張)
ア 不正競争防止法2条1項1号所定の混同を生ずるおそれとは、二つの商
品表示間に、経済的又は組織的に何らかの関連があると誤認させることをも含むと
広く解されているところ、被控訴人製品の形態は、周知の商品表示である控訴人製
品の形態と実質的に同一であるから、被控訴人が被控訴人製品を製造販売するなら
ば、控訴人と被控訴人との間に、被控訴人が控訴人から正当な許諾を受けているな
ど特別な法律関係があるかのように誤認され、商品出所について混同が生ずること
は必至である。
イ 被控訴人製品の一部は、控訴人を商標権者とするパイラックの商標が付
され、大手ホームセンターにおいて販売されている。このことは、一般需要者以上
に知識を有するはずの販売店であっても、控訴人製品と被控訴人製品を誤認混同し
ていることを示している。
電設資材卸売業者及び電気工事業者においても、控訴人製品と被控訴人
製品との誤認混同が現に生じている。
ウ 被控訴人製品には「National」のブランド名が刻印されているが、電気
工事関係者が控訴人製品及び被控訴人製品を使用するに当たり、商品に付された刻
印を一つ一つ確認することは、現実的にあり得ない。また、被控訴人製品は、ホー
ムセンターなど小売店を通じて需要者にばら売りされる場合があるが、この場合、
社名及び品番が貼付された価格ラベルに覆われ、その結果、控訴人製品と区別する
ことが不可能な状態で販売されている。また、製品の購入が箱単位で行われ、その
箱に社名及び品番が明記されている場合もあるが、被控訴人製品が梱包されるのは
取引の最終段階であるから、その時点で上記のような箱に梱包されても、商品出所
の混同を防止し得るものではない。
(被控訴人の主張)
ア 不正競争防止法2条1項1号所定の混同を生ずるおそれとは、両者間に
親会社、子会社の関係や系列関係などの緊密な営業上の関係又は同一の表示の商品
化事業を営むグループに属する関係が存すると誤信させる行為を包含すると解され
るが、控訴人の主張のように、単に許諾を受けていると誤信させる場合までは含ま
れない。
そして、本件では、控訴人と被控訴人との営業規模の違いから、上記の
ような混同が生ずることはあり得ない。
イ 被控訴人製品は、すべて、被控訴人の代理店を通じて販売され、その
後、代理店から電気工事業者に販売されるのが通常である。代理店から購入する電
気工事業者は、通常、代理店の店頭で製品を購入するのではなく、自分の知ってい
る品番や社名を特定した上で代理店に電話等で注文を出し、それを受けた代理店が
倉庫等に保管している商品を箱ごと配送又は店頭渡しをする。代理店が被控訴人製
品を控訴人製品と誤認混同するはずはなく、電気工事業者などの有資格者が上記の
ような入手方法をとるときには、パンフレット等を参照しながら品番を特定するか
ら、誤認混同を生ずるおそれはない。
なお、被控訴人製品及び控訴人製品は、有資格者でなければ使用しない
ものであり、一般消費者が購入することはない。
ウ 控訴人製品及び被控訴人製品は、1件の工事において多量に使用される
性質のものであるから、一般に箱単位で取引されるところ、両製品の梱包される箱
は、形状、模様、色彩が全く異なっている上、社名及び品番が目立つ態様で記載さ
れており、外観上明らかに異なっているから、商品の出所に関する混同のおそれ
は、抽象的にも存在しない。
また、控訴人製品には「NGRS」又は「NEGUROSU」と、被控訴人製品に
は「National」と、それぞれ商標が刻印されているところ、被控訴人の商標は被控
訴人の著名ブランドである。このような自他商品の混同防止手段が付されている控
訴人製品と被控訴人製品とが混同を生ずることはあり得ない。また、現在、被控訴
人製品は、表面色に銀色を採用し、控訴人製品の金色とは異なる。
エ 控訴人は、いわゆるホームセンターの一部において、被控訴人製品に控
訴人製品の品番が付され販売されているという事実を指摘し、これをもって誤認混
同のおそれがあるというが、ホームセンターのような小売店を通じてばら売りされ
るのは、被控訴人製品の全販売額における0.01ないし0.09%程度で、非常に少な
い。被控訴人製品がホームセンターで販売されていたことはあるが、極めてわずか
な数量である上、被控訴人が直接販売したものではなく、また、被控訴人製品のみ
が陳列されていたのであって、控訴人製品と混然と並べられていたわけではない。
 被控訴人製品中には、「パイラック止め金」との表示が付されていたも
のもあるが、「パイラック」は既に一般名称化しており、上記表示も一般名称とし
ての表示にすぎない。
  (4) 争点(4)(被控訴人の被控訴人製品の形態に係る先使用権の有無)につい

  (被控訴人の主張)
    被控訴人は、被控訴人製品を平成6年から製造販売してきた。控訴人は、
平成4年以降の販売実績を主張しているところ、仮に、控訴人製品の形態に商品表
示性が認められるとしても、平成6年までの2年間で周知性を獲得することはあり
得ないから、被控訴人は、被控訴人製品の形態について先使用権を有する。
  (控訴人の主張)
   ア 被控訴人の先使用権の抗弁は、控訴審の口頭弁論終結直前に突如主張さ
れたものであって、時機に後れた攻撃防禦方法として却下されるべきである。
   イ 控訴人が平成4年以降における控訴人製品の販売実績を主張しているの
に対し、被控訴人は、被控訴人製品を平成6年から製造販売していたとして、先使
用権を主張する。しかしながら、控訴人は、昭和38年以降における控訴人製品の
販売開始時期も明らかにしている。控訴人製品は、昭和46年以降、安定した成長
を遂げ、特に、昭和59年以降、平成3年まで顕著な伸びを示しており、その形態
は、平成6年よりはるか以前に商品表示としての周知性を獲得していたから、被控
訴人の上記主張は失当である。
  (5) 争点(5)(被控訴人製品の製造販売等を差し止める必要性の有無)につい

  (控訴人の主張)
    被控訴人は、被控訴人製品の仕様変更を行い、平成13年12月から順次
新しい仕様の製品に切り替え、平成14年1月中には、営業所に旧仕様の在庫があ
ってもすべて引き上げるというが、被控訴人は、かつて、平成12年初めに、代理
店及び控訴代理人らに対し、同様の連絡をしたにもかかわらず、いまだに変更後の
仕様で販売をしていない。
    また、被控訴人が変更を予定する商品形態は、控訴人製品のものに類似し
ており、従前の金型を利用し得る範囲で仕様変更するものであるから、商品形態の
変更には限度がある。形態変更後の被控訴人製品は、単に、控訴人製品の形態中ご
く一部の微細な点及び見えない点について変更を行うにすぎない。さらに、その仕
様変更の内容は、控訴審における和解の席上で控訴人が断ったものであって、口頭
弁論終結の直前に至って一方的にこのような仕様変更をすることは、許されるべき
ではない。
    したがって、本訴において、被控訴人製品の製造販売等の差止めの必要性
が存在することは明らかである。
  (被控訴人の主張)
    被控訴人は、本訴にかんがみ、被控訴人製品の仕様変更を行うこととし、
金型変更を平成13年11月中に完了した上、その性能について試し打ち等の工程
を経て、同年12月から順次新しい仕様の製品に切り替え、平成14年1月中に
は、営業所に旧仕様の在庫があってもすべて引き上げることとする。したがって、
被控訴人製品について製造販売等を差し止める必要性が喪失した。
  (6) 争点(6)(被控訴人による被控訴人製品の製造販売等の行為の不法行為該
当性)について
(控訴人の主張)
    控訴人製品は、形態の主要部分が技術的機能に由来するものではなく、類
似する同種製品は存在していなかった。そのような状況下において、被控訴人は、
他の形状、寸法等を採用して電路支持材を製造、販売することができたにもかかわ
らず、控訴人製品と形状、寸法、素材の色等の外観において実質的に同一というべ
き被控訴人製品を製造し、控訴人製品との品番対比表及び価格対比表を作成して電
設資材業者に配布し、かつ、販売価格を控訴人製品よりも大幅に下げるなど、不公
正な方法で被控訴人製品を販売している。
このような被控訴人の行為は、控訴人が全技術と能力を傾注して作り上げ
た、営業努力の結果蓄積した控訴人の無形の財産である商品形態を、故意に、取引
における公正かつ自由な競争として許される限度を逸脱した不当な手段によって横
取りしたものであって、民法709条所定の不法行為を構成する。
(被控訴人の主張)
    控訴人製品の形態的特徴は、いずれも技術的機能に由来するものであるか
ら、控訴人は法的保護に値する営業上の利益を有しない。また、被控訴人による被
控訴人製品の製造販売等の行為は、取引界における公正かつ自由な競争として許さ
れる範囲内のものであり、不法行為としての違法性を欠く。今日では、商品形態を
意匠法、不正競争防止法2条1項等によって保護する制度が採られているから、他
者と同一形態の製品を製造販売しても、よほど違法性が高い行為でない限り、不法
行為には当たらないというべきである。
(7) 争点(7)(被控訴人製品の製造販売等により控訴人が被った損害の額)に
ついて
(控訴人の主張)
ア 不正競争防止法に基づく請求
    (ア) 値引きによる損害
      被控訴人が、被控訴人製品を控訴人製品よりも大幅に安い価格で販売
しているため、控訴人は、控訴人製品を値引きして販売せざるを得なかったとこ
ろ、平成6年9月から平成9年3月までの値引きによる控訴人の損害額は、別紙
(四)値引額一覧表記載のとおり、3億4318万4000円(同表の平成6年度分
ないし平成8年度分の合計額)である。控訴人製品の電路支持材市場におけるシェ
アが90ないし95%という独占に近い状態にあること、被控訴人製品が控訴人製
品と酷似し同一目的に使用されるものであること、両製品が取引者、需要者を同一
にしていること、両製品の販売領域が競合していること、被控訴人が利益率がマイ
ナスになるほどの廉売をしたことなどに照らすと、被控訴人が被控訴人製品を製造
販売した行為と控訴人の上記値引きによる損害との間には、相当因果関係が認めら
れる。
    (イ) 不正競争防止法5条1項により推定される損害額
      平成6年度以降の被控訴人製品の売上額(値引き後)は、別紙(五)電
路支持材営業利益一覧表記載のとおり、平成6年度(平成6年7月ないし11月)
1049万8000円、平成7年度(平成6年12月ないし平成7年11月)64
31万6000円、平成8年度(平成7年12月ないし平成8年11月)2281
万9000円、平成9年度(平成8年12月ないし平成9年11月)2859万1
000円、平成10年度(平成9年12月ないし平成10年8月)2084万20
00円である。控訴人製品の販売による利益率は、平成6年度10.43%、平成7年度
8.51%、平成8年度12.84%、平成9年度11.18%、平成10年度7.57%であり、被
控訴人製品の販売による利益率は、控訴人の上記利益率を下らないものと推認され
る。そうすると、被控訴人製品の販売により被控訴人が得た利益の額は、平成6年
度109万4941円、平成7年度547万3292円、平成8年度292万99
60円、平成9年度319万6474円、平成10年度157万7739円であ
り、以上の合計1427万2406円は、控訴人の被った損害の額と推定される。
      被控訴人の試算によれば、被控訴人が得た利益額は、第1グループ被
控訴人製品がマイナス175万4000円、第2グループ被控訴人製品中、別紙被
控訴人製品目録十ないし十五のもの(以下「第2グループ被控訴人製品1」とい
う。)が762万4000円、上記目録十六ないし十八のもの(以下「第2グルー
プ被控訴人製品2」という。)が8万7000円であるが、被控訴人の試算によっ
ても、第2グループ被控訴人製品の利益率は毎年同程度で推移しているのに対し、
第1グループ被控訴人製品の平成6年度及び平成7年度の利益率がマイナスとなっ
ているのは不自然であって、仮に、真実マイナスが生じたとすれば、被控訴人が廉
売により故意に招いたものであって、本件損害賠償額の算定の基礎とすることはで
きない。したがって、損害賠償額の算定に当たって、第1グループ控訴人製品の平
成6年度及び平成7年度の利益額を控除すると、被控訴人が得た利益額は、第1グ
ループ被控訴人製品234万円、第2グループ被控訴人製品1が762万4000
円、同2が8万7000円であり、合計1005万1000円となる。
      被控訴人の金型の耐用年数は、少なくとも10年程度あり、税法上の
償却期間とは異なる。また、控訴人は、金型の原価償却を実質的に既に完了してお
り、その後も営業努力を継続し、周知の商品形態に蓄積された営業成果に依拠し
て、当該製品を製造販売している。一方、被控訴人は、少なくとも控訴人と同じよ
うな販売収支実績を挙げることが可能であるとの予測の下に、控訴人の努力にフリ
ーライドして、控訴人の周知の商品形態を細部まで模倣した商品を製造販売してい
るのであるから、このような不正競争行為の実行に当たり、商品の金型を製造した
からといって、その減価償却費を控除して控訴人の逸失利益を算定することは、不
当かつ不合理である。したがって、不正競争防止法5条1項により推定される控訴
人の逸失利益は、製造販売のための変動経費のみを控除した販売利益と見るのが正
当である。
    (ウ) 無形損害
  控訴人は、被控訴人による被控訴人製品の製造販売等により、顧客の
減少に恐怖を感じ企業としての存立が脅かされたことなど無形の損害を被ったとこ
ろ、上記損害額は500万円を下らない。
    (エ) 弁護士費用
  控訴人は、本訴提起に当たり、本件訴訟代理人に対し、弁護士報酬と
して500万円を支払ったので、同額の損害を被った。
イ 不法行為に基づく請求
被控訴人の不法行為は、日々継続的に行われていることから、控訴人が
被った損害の額は、上記アと同額である。
(被控訴人の主張)
   ア 不正競争防止法による損害
    (ア) 値引きによる損害
      控訴人製品の中には、平成6年以降、販売数を伸ばしているものが多
いが、この販売数の増加は、値引きによって販売数が増加したことを意味してお
り、被控訴人製品の販売によって控訴人製品の市場が奪われたという因果関係は認
められない。
    (イ) 不正競争防止法5条1項により推定される損害
      被控訴人製品の売上額(値引き後)及び控訴人製品の販売による利益
率が控訴人主張のとおりであることは認める。
      被控訴人の営業利益は、別紙(五)電路支持材営業利益一覧表記載のと
おり、被控訴人製品全体で595万6000円(「合計」欄)、第1グループ被控
訴人製品に限るとマイナス175万4000円(「パイプセッター」欄)となる。
また、被控訴人は、金型費用として6223万円余りを投資し、金型の減価償却は
終わっているので、損害額の算定に当たっては、その減価償却費を利益額から控除
すべきである。
   イ 不法行為による損害
     上記アと同旨である。
第3 争点に対する判断
1争点(1)(控訴人製品の形態の商品表示としての周知性の有無)について
(1)控訴人は、第1グループ控訴人製品の形態が、遅くとも昭和58年には、
控訴人の商品表示として周知になったと主張するので、この点について判断する。
   ア 製造販売等について
(ア) 製造販売
      控訴人は、Aが昭和22年6月に創業した個人企業を発展させた会社
であり、同人が、昭和34年、我が国において初めて電路支持材であるパイラック
製品を製造販売し、その一種である控訴人製品も順次販売され、、今日まで販売さ
れてきた(甲第37号証)。昭和46年から平成10年8月までの間における控訴
人製品の販売数量は、別紙(二)控訴人製品販売数量一覧表記載のとおりであり(甲
第60号証)、平成4年から10年までの間における控訴人製品の売上額は、別紙
(三)控訴人製品売上額一覧表記載のとおりである(甲第44号証)。
平成9年当時における控訴人製品の販売先は、全日本電設資材卸業協
同組合連合会の卸売業者約1090社中428社、工事業者772社である(甲第
19号証の1~3、第20号証の1~1957)。控訴人製品は、これらの卸売業
者等を通じ、全国の需要者に販売されてきた。
(イ) 広告宣伝
      控訴人は、昭和38年以来、電路支持材の総合カタログを作成し、そ
の冒頭には、パイラック製品を掲載するのを常としていたが、上記カタログは、電
気設備業界及び空調衛生業界の工事業者、電設資材の卸売業者、設計事務所、官公
庁、総合建設業の電気設備担当者等に広く配布され、その数は、平成2年から平成
9年の間だけでも、総数194万7400部に達している(甲第22~第33号証
[枝番を含む]、第36号証の1、2)。
また、控訴人は、パイラック製品の販売30周年に当たる昭和63年
5月から平成2年9月まで記念キャンペーンを実施し、約10万部のちらしを作成
して、全国の電気工事業者、電設資材の卸売業者に配布し、1万1629名から景
品の応募があった(甲第34、第35、第36号証の1、2)。
(ウ) 試験問題等
      パイラック製品ないし第1グループ控訴人製品のうち控訴人製品目録
一及び四記載の製品の形態は、特に早くから知られており、早いものでは昭和38
年から、特に昭和57年以降は、電気工事関係の雑誌、第二種電気工事士試験など
の試験問題、電気工事に関する資材の解説、マニュアルのほか、教科書において広
く取り上げられ、その際、これら製品の形態も同時に掲載されることが多く、「パ
イラック」という名称が使用されることもあった(甲第3~第16号証[枝番を含
む])。
(エ) 模造品の新聞報道等
      控訴人のパイラック製品が同種製品で月産70万個、全国で90%近
いシェアを有する商品になったため、昭和51年ころ、模造品が製造販売され、そ
の製造販売にかかわった業者が逮捕されたが、これを報ずる同年10月7日付け朝
日新聞(甲第17号証)及び同日付け中日新聞(甲第18号証)の紙上に、本物の
パイラック製品として、第1グループ控訴人製品の写真が掲載された。
   イ 形態的特徴について
    (ア) 第1グループ控訴人製品の形態が別紙控訴人製品目録一ないし七記
載のとおりであることは当事者間に争いがないが、その形態的特徴は、概要、以下
のとおりである。
      まず、基本的構成として、以下の形態(以下「基本的形態」とい
う。)を有する。
     ① 一枚の鋼板で構成されており、左側面から見て、ほぼC字形を形成
する。
     ② C字形の上辺が下辺より短い。
     ③ 正面から見て、締め付けねじを除外した基本形状は、左右及び上下
が対称である。
     ④ 上面、背面及び底面の両側に、連続するビードがある。
     ⑤ C字形の上部に締め付けねじがあり、背面及び底面部に取付孔が存
在する。
      次に、具体的構成として、以下の形態(以下「具体的形態」とい
う。)を有する
     ① C字形の文字幅は、約10ないし14mmである。
     ② C字形の上辺が下辺より4.5ないし10mm程度短い。
     ③ C字形の下辺の前部から縁部にかけ、歯状の小切り込みがほぼ等間
隔に3ないし5個ある。
     ④ ビードは連続して7ないし12mm程度の顕著なものである。
     ⑤ 背面及び底面部の左右ビードを除いた幅一杯に大きく丸い取付孔が
存在する。
    (イ) 被控訴人は、商品形態が出所表示機能を取得するためには、その形
態に、同じ存在目的を達成する同種の製品のものとは異なる相対的特異性がなけれ
ばならないとした上、控訴人製品については、古くから、同業他社により同種形態
のものが複数販売されているから、控訴人製品の形態は相対的特異性を有しないと
主張する。
      確かに、外国において発行され昭和31年11月国立国会図書館受入
れの雑誌「エレクトリカルコンストラクションアンドメンテナンス」1951年
(昭和26年)4月号(乙第7、第31号証)202頁掲載の製品は、C字形を形
成すること、上辺が下辺より短いこと、上下左右が対称であること、上面、背面及
び底面の両側に連続するビードがあること、底面及び背面の孔を有すること、すな
わち、基本的形態において、第1グループ控訴人製品と共通する。しかしながら、
より子細に観察すると、上記製品は、第1グループ控訴人製品のC字形に相当する
部分がU字形により近いこと、上辺が下辺より顕著に短いこと、上辺及び下辺の前
面が斜めかつ直線的に切り落とされていること、下辺に歯状の小切り込みがないこ
と、取付孔が左右ビードを除いた幅一杯に大きいものではないことにおいて、第1
グループ控訴人製品の形態と異なっている。昭和35年7月国立国会図書館受入れ
の上記雑誌1960年(昭和35年)6月号(乙第9、第30号証)202頁掲載
の製品も、その形態は同様である。
   ウ 商品形態が出所表示機能を取得するためには、同種商品が一般に有する
ものとは異なる形態であることが必要であるが、この形態が他の同種商品と比較し
て特異な形状であるとまではいえなくとも、当該商品の製造販売、広告宣伝等の程
度によっては、出所表示機能を取得することができる。また、上記の同種商品一般
と異なる形態は、必ずしも、基本的形態において具備する必要はなく、具体的形態
におけるものも、当該商品の製造販売、広告宣伝等の程度に加え、その具体的形態
が看者の注意をひく程度によって、出所表示機能を取得することができるというべ
きである。
     本件において、第1グループ控訴人製品の形態は、基本的形態において
他の同種製品と異なるところはないが、具体的形態においては、他の同種製品と異
なっており、上記のとおり、パイラック製品が、昭和38年ころから市場において
圧倒的シェア、販売数及び売上高を有し、大量の広告宣伝を継続してきたこと等を
総合すると、第1グループ控訴人製品の形態は、遅くとも、被控訴人において被控
訴人製品の製造販売を開始したと主張する平成6年までには、その具体的形態が控
訴人の商品表示として周知になったということができる。
   エ 南電機株式会社のカタログ(乙第12号証の1、2)、沼田金属工業株
式会社の電路支持材カタログ(乙第13号証)及び株式会社昭和コーポレーション
の配管支持金具のカタログ(乙第14号証)に掲載された製品は、基本的形態のみ
ならず、具体的形態においても、第1グループ控訴人製品とほぼ同一のものであ
り、株式会社昭和コーポレーションの上記製品の形状については、平成5年9月1
0日、物品を吊具として意匠登録がされ、同年12月3日、意匠公報によって公開
された(乙第43号証の1)。しかしながら、これらの製品の市場におけるシェア
は、合計しても数%程度にすぎず(甲第50号証)、仮に、これらの製品がこの程
度市場において販売されていたとしても、上記のとおり、市場における控訴人製品
のシェアが圧倒的であるという状況が今日まで継続している以上、第1グループ控
訴人製品の具体的形態が控訴人の商品表示として周知である事実は、上記乙号証に
より左右されるものではない。
被控訴人は、製品の発売後、同一又は類似の形態のものが複数の業者に
より複数の同種商品に使用され、そのような状態が長期間経過した場合には、希釈
化により、当該商品の形態を特定の出所の表示として認識することができなくな
り、周知の商品表示ということができなくなると主張する。確かに、一般的に、被
控訴人主張のような希釈化が生ずることはあり得るが、そのためには、単に同一の
商品形態が同種商品に採用されただけでは足りず、同一形態の同種商品が、希釈化
を生ずるに足りる程度の数量及び期間、販売されることが必要である。本件におい
ては、第1グループ控訴人製品の基本的形態及び具体的形態の双方を具備する上記
製品は、市場におけるシェアがわずかであり、控訴人製品が市場において有する長
期的かつ圧倒的なシェアを脅すに至ることはないのであるから、希釈化によって第
1グループ控訴人製品の具体的形態の商品表示としての周知性が失われたというこ
とはできない。
   オ 技術的機能に由来する形態
    (ア) 被控訴人は、商品の形態的特徴が技術的機能に由来する場合には、
不正競争防止法2条1項1号所定の商品表示該当性が否定されるべきであるとした
上、第1グループ控訴人製品の形態的特徴は、いずれも、電路支持材としての技術
的機能に由来するものであると主張する。
(イ) 被控訴人は、第1グループ控訴人製品の下記①ないし⑤の形態(以
下「技術的形態」という。)が、電路支持材としての技術的機能に由来する旨主張
するところ、第1グループ控訴人製品がこのような形態を有することは、別紙控訴
人製品目録一ないし七から明らかである。
①鉄骨、アングル材等の構造物に電線管等を固定するための電路支持
材であって、上板、下板及びこれらの一端片に介在する側板とから成り、側面略コ
字形に形成されている。
     ② 上板、下板、側板の両縁から内側に向けて金属板を屈曲して製造さ
れるため、側板と上板、下板の境界部は、丸みをもって構成されている。
     ③ 上板、下板、側板の両縁に折曲片及びビードが設けられ、金具本体
の強度を補っている。
     ④ 電線管を挟持固定するためのクリップ金具が選択自在に取り付けら
れるように、下板、側板の両方に取付孔が穿設されている。
     ⑤ 上板には、締め付けねじが螺設され、下板には鋸歯状部が形成され
ており、上板と下板の間に鉄骨等の片を挟み、締め付けネジを締め付けてねじ先端
のくぼみ先と下板の鋸歯状部により鉄骨等の構造材の片を強固に挟持固定するよう
になっている。
    (ウ) 第1グループ控訴人製品において、被控訴人の主張する技術的形態
を基本的形態と比較すると、技術的形態のほとんどは基本的形態と一致し、具体的
形態と技術的形態との相違点は、下板に鋸歯状部が形成されているかどうかという
点だけである。そこで、鋸歯状部が技術的機能に由来するものかどうかについて検
討するに、電路支持材において、下板の果たす機能は、上板との間に鉄骨等の片を
挟み、締め付けねじ先端でねじを締め付けて強固に挟持固定することである。この
ような機能は、下板の摩擦が十分に確保され、ねじを締め付けることで強固に挟持
固定することにより果たされるから、このような摩擦が十分に確保される限り、下
板の形状が平板であるか、凹凸を有するか、又は鋸歯状部を有するか、そして、鋸
歯状部を有する場合においてこれを何個有するかは、下板の機能に必然的に由来す
るものということはできない。そうすると、下板に鋸歯状部が形成されていること
は、第1グループ控訴人製品の技術的機能に由来する形態ということはできない。
      次に、第1グループ控訴人製品の具体的形態は、C字形の下辺の前部
から縁部にかけ、歯状の小切り込みがほぼ等間隔に3ないし5個あることに加え、
C字形の文字幅が約10ないし14mmであること、C字形の上辺が下辺より4.5ないし
10mm程度短いこと、ビードが連続して7ないし12mm程度の顕著な怒り肩を形成して
いること、背面及び底面部の左右ビードを除いた幅一杯に大きく丸い取付孔が存在
することであるが、これら具体的形態は、いずれも、電路支持材の技術的機能を果
たすために必然的に採用せざるを得ないものではなく、その機能を果たしつつ他の
具体的形態を採用することも可能である。ビードを例にとれば、その形状を上記の
ような顕著な怒り肩にする必然性はなく、より緩やかな形状のものでもよいし、さ
らには、カナフジ電工株式会社の製品(甲第50号証掲載)のように、ビードを設
けなくとも商品としての市場性を十分取得できるのである。したがって、これら第
1グループ控訴人製品の具体的形態は、技術的機能に由来するものということはで
きない。
    (エ) 被控訴人は、技術的機能を実現するための機能的制約に基づく形態
をとっているにすぎない場合には、この種の形態を特定の者に独占させることは、
製品や技術の独占につながり、不正競争防止法の趣旨に反することになると主張す
る。しかしながら、第1グループ控訴人製品の基本的形態中、下板に小切り込みが
形成されているという構成及び第1グループ控訴人製品の具体的形態は、上記のと
おり、技術的機能を実現するという機能的制約の下において選択可能な複数の形態
の一つを控訴人の意思で選択したものであるから、被控訴人主張のような技術的機
能を実現するための機能的制約に基づく形態をとっているにすぎないということは
できない。
      また、被控訴人は、ある製品がいくつかの基本的構成要素から成る場
合において、各構成要素の組合せには一定の限度があるから、各構成要素の具体的
な形態を離れて、その組合せ自体が商品表示として保護を受けることはできないと
主張する。しかしながら、第1グループ控訴人製品において、上記具体的形態は、
そのそれぞれが技術的機能に由来するものにすぎないということができないばかり
か、これらの具体的形態が組み合わさって一つのまとまった商品形態を形成してい
るから、不正競争防止法2条1項1号により保護される商品表示となり得るという
べきである。
    (オ) さらに、被控訴人は、第1グループ控訴人製品の形態に係る控訴人
の意匠登録が無効となったことから、このような形態による商品表示としての周知
性獲得の主張は信義則上許されないと主張する。しかしながら、意匠登録を受ける
ためには、当該意匠が創作性を有するなど固有の要件が必要とされる一方、不正競
争防止法2条1項1号所定の商品表示として同法による保護を受けるためには、上
記創作性は必要とされない代り、当該商品等表示が周知性を有することが必要であ
る。このように、意匠法と不正競争防止法とは、その目的、保護の要件及び効果が
異なるから、第1グループ控訴人製品の形態に係る意匠登録が無効とされたからと
いって、控訴人において不正競争防止法に基づく権利を主張することが信義則に反
するということはできない。
  (2) 次に、第2グループ控訴人製品の形態について判断する。
   ア 形態的特徴について
    (ア) 第2グループ控訴人製品の形態が別紙控訴人製品目録十ないし十八
記載のとおりであることは当事者間に争いがないが、その形態的特徴は、概要、以
下のとおりである。
     ① 正面から見て左右同形の縦長の頭部と、楕円形状にふくらみをもつ
胴部があり、その下には、左右に張り出した2本の脚部があり、頭部の丈は脚部の
丈よりやや高い。
     ② 頭部には、ねじとナットが取り付けられている。
     ③ 外側面から見て、頭部と胴部の両縁には連続して2ないし3mm程度
のリブがある。
     ④ 外側面から見て、脚部は胴部より小さい曲率半径をもって湾曲を有
し、脚片の幅は胴部より狭いが、脚部の先端部は半円形である。
(イ) 第2グループ控訴人製品は、鉄骨等の構造物に固定された取付金具
に取り付けられ、電線管等を固定するための配管用クリップ金具であり、この配管
用クリップ金具は、二つの金属主片から成る。金属主片は、電線管を挟むための湾
曲部を持ち、その上端には、鉄骨等の構造物用の取付金具のクリップ取付孔に挿入
係止するための外向きの屈曲部が形成され、下端には、他方の金属主片と係合する
ための締め付けボルト挿着孔が穿設されている。
この配管用クリップ金具は、一対の金属主片の上端の外向き屈曲部を
取付金具のクリップ取付孔に挿入係止し、相対向する湾曲部に電線管を緩く挟んだ
状態で、下端の締め付けボルト装着孔にボルトを装着し、ナットを螺合して緊締す
ることにより、取付金具に取り付け固定される。
この場合、締め付けボルト挿通孔に挿着されたボルトをナットで締め
付けるに従って、湾曲部が電線管を強固に挟持し、かつ、電線管の反発力により、
てこの原理で外向きの屈曲部が外方へ作用し、取付金具のクリップ取付孔への取付
固着も強固に行われる。
(ウ)ところで、ドイツ公報(乙第21号証)の製品は、①正面から見て
左右同形に、小さい縦長の頭部と、環状にふくらみを持つ胴部があり、その下に
は、左右に張り出した2本の脚片がある、②頭部にはねじとナットが取り付けられ
ている、③外側面から見て、脚片は胴部より小さい曲率半径を持った湾曲を有し、
脚片の幅は胴部より狭いという、第2グループ控訴人製品の形態的特徴をすべて備
えている。
      控訴人は、ドイツ公報の製品は、頭部が手首を突き合わせただけで掌
は離したままの形状をしているとか、脚部の先端部と平行した根本が張り出して段
部を形成していると主張するが、ドイツ公報(乙第21号証)の記載から読み取れ
る製品の形状は上記のとおりであって、第2グループ被控訴人製品と異なるところ
はない。
    (エ) そうすると、第2グループ控訴人製品のこれらの形態は、これを構
成する各部分の形状が、いずれも、上記(イ)の機能上最も適した形状、これと類似
した形状及び電路支持材として最もありふれた形態であるばかりか、各部分を組み
合わせた全体的形態も、上記のとおりありふれたものであって、現に、昭和3年の
ドイツ公報に掲載された製品において、既に採用され、その後、我が国において、
南電機株式会社のカタログ(乙第12号証の1、2)に掲載された製品及び沼田金
属工業株式会社の電路支持材カタログ(乙第13号証)に掲載された製品において
も採用されている形態であって、従来の電路支持材と比べて特徴的形態を有するも
のではなく、電路支持材として通常予想される形態選択の範囲を全く出ていないか
ら、その形態に自他商品識別性を認めることはできない。
    (オ) 商品の形態が他の同種製品にない特徴的なものであって、自他商品
識別性を有する場合には、当該商品について広告、宣伝、展示、販売等が繰り返さ
れることにより、商品の形態のみにより自他商品の識別がされるに至ることがあり
得るが、第2グループ控訴人製品の形態は、このような特徴的なものではないか
ら、その広告、宣伝、展示、販売等が継続して行われてきたとしても、商品の形態
が独立して自他商品識別力を獲得することはなく、商品表示性を欠き、したがっ
て、周知性を獲得する余地もないというべきである。
2 争点(2)(控訴人製品と被控訴人製品の形態の同一性)について
 当事者間に争いのない第1グループ控訴人製品及び第1グループ被控訴人製
品の各形態を対比すれば、両製品の形態は実質的に同一であることが明らかであ
る。
3 争点(3)(控訴人製品と被控訴人製品が混同を生ずるおそれの有無)について
(1)不正競争防止法2条1項1号所定の「混同を生じさせる行為」とは、他人
の周知の商品表示と同一又は類似のものを使用する者が自己の商品と他人の商品と
の誤信(以下「狭義の混同」という。)を生じさせる行為等をいうところ、上記
「混同」とは「混同のおそれ」をもって足りると解すべきである(最高裁昭和44
年11月13日第一小法廷判決・裁判集民事97号273頁参照)。本件におい
て、第1グループ被控訴人製品の形態は、控訴人の周知の商品表示である第1グル
ープ控訴人製品の形態と実質的に同一であるから、第1グループ被控訴人製品の販
売により、第1グループ控訴人製品との間に狭義の混同を生ずるおそれのあること
を認めることができる。
(2) 被控訴人の主張について
ア 被控訴人は、不正競争防止法2条1項1号所定の混同のおそれとは、控
訴人の主張するような単に許諾を受けていると誤信される場合までは含まれないと
主張する。しかしながら、本件においては、上記のとおり、狭義の混同のおそれが
生ずるのであるから、広義の混同を前提とする控訴人の上記主張の当否につき判断
するまでもなく、第1グループ被控訴人製品の販売が狭義の混同を生じさせるおそ
れがあると認めることができる。
   イ 被控訴人は、控訴人と被控訴人との営業規模の違いも主張するが、第1
グループ控訴人製品と同種製品の市場において第1グループ控訴人製品が上記のと
おり圧倒的シェアを継続して有している以上、控訴人と被控訴人が営業規模を異に
するからといって、狭義の混同を生ずるおそれを否定することはできない。
ウ 被控訴人は、被控訴人製品がすべて被控訴人の代理店を通じて販売さ
れ、その後、代理店から電気工事業者に販売されるのが通常であるとか、代理店か
ら購入する電気工事業者が、通常、代理店の店頭で製品を購入するのではなく、自
分の知っている品番や社名を特定した上で代理店に電話等で注文を出し、それを受
けた代理店が倉庫等に保管している商品を箱ごと配送又は店頭渡しをすると主張し
た上、代理店が被控訴人製品を控訴人製品と誤認混同するはずはないとか、被控訴
人製品及び控訴人製品は、有資格者でなければ使用しないものであり、一般消費者
が購入することはなく、電気工事業者などの有資格者が上記入手方法をとるときに
は、パンフレット等を参照しながら品番を特定するから、控訴人製品と被控訴人製
品が誤認混同を生ずるおそれはない旨主張する。
     しかしながら、控訴人従業員作成の上申書(甲第40~第42号証)に
よれば、被控訴人製品の一部は、大手ホームセンターにおいて販売され、その際、
被控訴人製品は、社名及び品番が貼付された価格ラベルに覆われ、その結果、控訴
人製品と区別することが不可能な状態であることが認められる。そうすると、一般
消費者が控訴人製品と混同して被控訴人製品を購入するおそれがないとはいい難
い。
     被控訴人は、被控訴人製品及び控訴人製品が有資格者でなければ使用し
ないものであり一般消費者が購入することはないと主張するが、このような事実を
認めるに足りる証拠はないばかりか、むしろ、上記のとおり、被控訴人製品が大手
ホームセンターにおいて販売されているのであるから、一般消費者も購入するもの
であることが推認されるというべきである。
エ これに対し、被控訴人は、被控訴人製品がホームセンターのような小売
店を通じてばら売りされるのは全販売額の0.01ないし0.09%程度で、非常に少ない
こと、これらの製品は被控訴人が直接販売したものではないこと、上記販売に際し
ては被控訴人製品のみが陳列されていたのであって、控訴人製品と混然と並べられ
ていたわけではないと主張する。
     しかしながら、被控訴人の主張によっても、被控訴人から譲り受けた取
引者がホームセンター等に転売している実情があることとなり、他方、小売店を通
じてばら売りされる被控訴人製品が全販売額の0.01ないし0.09%程度で非常に少な
いという被控訴人の主張事実を認めるに足りる証拠もない上、被控訴人製品をばら
売りしているホームセンターは、本件証拠上認められるだけでも、神奈川県内に2
店、千葉県内に1店あり(甲第40~第42号証)、ばら売りされる被控訴人製品
の数量は、狭義の混同を生ずるおそれを判断する際に無視し得るほど少ないという
ことはできない。また、被控訴人製品のみが陳列され控訴人製品と混然と並べられ
ていない場合であっても、需要者がこれを控訴人製品であると誤信して購入するお
それがあれば、狭義の混同を生ずるおそれがあるというべきであるから、被控訴人
の主張は失当である。
オ さらに、被控訴人は、控訴人製品及び被控訴人製品は、一般に箱単位で
取引され、両製品の梱包される箱は、形状、模様、色彩が全く異なっている上、社
名及び品番が目立つ態様で記載されていることを主張し、これに沿う証拠(乙第3
2号証の1~18、第33号証、第42号証の1~5)もあるが、上記のとおり、
被控訴人から譲り受けた取引者がホームセンター等に転売し、無視し得ない数量の
被控訴人製品がホームセンターにおいてばら売りされている実情があるのであるか
ら、両製品の梱包される箱の形状等が異なっているとしても、狭義の混同を生ずる
おそれを否定することはできない。
カ加えて、被控訴人は、両製品にそれぞれ商標が刻印され、被控訴人の商
標が被控訴人の著名ブランドであることを主張する。しかしながら、上記のとお
り、第1グループ控訴人製品の形態は、独立して控訴人の商品表示として周知であ
るから、取引者、需要者がこれら商標に注目せず、両製品の形態のみに注目して自
他商品の識別を行うおそれがある。確かに、両製品に商標の刻印があることによ
り、取引者、需要者が両製品の形態のみに注目して自他商品の識別を行うことがな
い場合においては、商標が混同防止手段となり狭義の混同を生ずるおそれが否定さ
れることはあり得るが、本件においては、商標がこのような混同防止手段となって
いることを認めるに足りる証拠はない。被控訴人は、両製品の表面色についても主
張するが、取引者、需要者が表面色により両製品の識別を行っていると認めるに足
りる証拠はなく、両製品の形態に注目して自他商品の識別がされるおそれは否定し
得ないから、表面色も商標と同様、混同防止手段ということはできない。
 4 争点(4)(被控訴人の被控訴人製品の形態に係る先使用権の有無)について
  (1) 被控訴人は、被控訴人製品を平成6年から製造販売しており、仮に、控訴
人製品の形態に商品表示性が認められるとしても、被控訴人製品の製造販売の開始
時までに周知性を獲得することはあり得ないから、被控訴人は、被控訴人製品の形
態について先使用権を有すると主張する。
    これに対し、控訴人は、被控訴人の先使用権の抗弁は、控訴審の口頭弁論
終結直前に突如主張されたものであって、時機に後れた攻撃防禦方法として却下さ
れるべきであると主張するが、本件訴訟の経緯に照らすと、時機に後れた攻撃防禦
方法ということまではできない。
  (2) 進んで、被控訴人の上記主張について検討するに、控訴人は、本訴におい
て、控訴人が被った損害額を基礎付ける事実としては、平成4年以降の販売実績等
を主張しているが、第1グループ控訴人製品の形態が控訴人の商品表示として周知
であることを基礎付ける事実としては、昭和33年以降の事実関係を主張立証して
いる。これにより、上記のとおり、第1グループ控訴人製品の形態が控訴人の商品
表示として周知性を獲得した時期は、遅くとも、被控訴人において被控訴人製品の
製造販売を開始したと主張する平成6年より前であると認められるのであるから、
被控訴人の主張を前提としても、その商品形態について先使用権を有するというこ
とはできない。
 5 争点(5)(被控訴人製品の製造販売等を差し止める必要性の有無)について
  (1) 被控訴人は、被控訴人製品の仕様変更を行うこととし、金型変更を平成1
3年11月中に完了した上、その性能について試し打ち等の工程を経て、同年12
月から順次新しい仕様の製品に切り替え、平成14年1月中には、営業所に旧仕様
の在庫があってもすべて引き上げることとするから、被控訴人製品について製造販
売等を差し止める必要性が喪失したと主張し、上記仕様変更に関する社内連絡文書
(乙第48号証の1~3)を証拠として提出する。
  (2) しかしながら、不正競争行為を差し止める必要性が喪失したというために
は、不正競争行為を行った者が単に当該行為を中止した事実だけでは不十分であ
り、当該行為を再開することが事実上困難であると認めるに足りる客観的事情が存
在することが必要である。
    本件においては、被控訴人は、被控訴人製品の製造に使用していた従前の
金型を利用し得る範囲で被控訴人製品の仕様を変更するというのであるから、当該
金型を復元して不正競争を再開することが事実上困難であるということはできな
い。また、被控訴人は、被控訴人製品に係る従前の販路により仕様変更後の製品を
販売するものと推認されるから、同一の販路により第1グループ被控訴人製品の販
売を再開することが可能な状況はなお維持されているというべきである。
  (3) したがって、控訴人が、被控訴人に対し、第1グループ被控訴人製品の製
造、譲渡、引渡し、譲渡又は引渡しのための展示を差し止める必要性は、依然とし
て存在しているというべきである。
    他方、控訴人は、第1グループ被控訴人製品の輸出及び輸入の差止めも請
求するが、被控訴人が第1グループ被控訴人製品の輸出又は輸入をした事実は認め
られず、そのおそれを認めるに足りる証拠もないから、輸出及び輸入を差し止める
必要性は認めることができない。
 6 争点(6)(被控訴人による被控訴人製品の製造販売等の行為の不法行為該当
性)について
  (1) 第1グループ控訴人製品については、被控訴人に不正競争防止法2条1項
1号所定の不正競争行為が成立するから、民法709条所定の不法行為の成否につ
いては判断を要しないので(弁論の全趣旨によれば、前者に基づく損害賠償請求と
後者に基づく損害賠償請求とは選択的併合の関係にあるものと解される。)、以
下、第2グループ控訴人製品について、被控訴人に上記不法行為が成立するかどう
かについて判断する。
  (2) 控訴人は、第2グループ被控訴人製品の形態の主要部分は技術的機能に由
来するものではなく、形態の類似する同種製品は存在しないとした上、そのような
状況下において、被控訴人が第2グループ控訴人製品と同一形態の第2グループ被
控訴人製品を製造し、控訴人製品との品番対比表及び価格対比表を作成して電設資
材業者に配布し、かつ、値段を控訴人製品よりも大幅に下げるなど、不公正な方法
で被控訴人製品を販売した行為が、営業努力の結果蓄積した控訴人の無形の財産
を、故意に、取引における公正かつ自由な競争として許される限度を逸脱した不当
な手段によって横取りしたものであって、不法行為を構成すると主張する。
  (3) しかしながら、上記のとおり、第2グループ被控訴人製品の形態は、あり
ふれたものであって、従来の電路支持材と比べて特徴的形態ではなく、電路支持材
として通常予想される形態選択の範囲を全く出ていないから、その形態に自他商品
識別性を認めることはできない。そうすると、第2グループ控訴人製品について
は、控訴人を法的に保護すべき営業上の利益が存在しないし、また、被控訴人の行
為が取引界における公正かつ自由な競争として許される範囲を超えるものであると
も認められないから、第2グループ被控訴人製品の製造販売行為は、民法709条
所定の不法行為には当たらないというべきである。
7 争点(7)(被控訴人製品の製造販売等により控訴人が被った損害の額)につい

(1) 値引きによる損害
   ア 控訴人は、被控訴人が被控訴人製品を控訴人製品よりも大幅に安い価格
で販売しているため、控訴人製品を値引きして販売せざるを得なかったとして、値
引額相当の損害を被ったと主張する。
     しかしながら、一般に、多数の同種製品を多数の企業が販売しているよ
うな場合においては、当該製品の販売に係る各企業の行為が、他の複数の企業の販
売に係る製品の販売数に影響を及ぼし、各企業の行為が複雑な相互作用の様相を呈
するから、被控訴人製品の販売が控訴人製品の価格にどのような影響を及ぼしたか
を確定することは甚だ困難である。また、被控訴人製品の販売とは無関係に、同種
製品全体の需要が景気等の影響により低下し、製品価格の下落を招くことも、一般
にあり得ることである。特に、本件においては、控訴人製品中、平成6年以降、販
売数を伸ばしているものもあり、控訴人が値下げをしなかった場合、控訴人製品の
販売数がどのような経過をたどったかは、証拠上全く不明であるというほかはな
い。
イ したがって、控訴人が控訴人製品の価格を値引きしたことが、被控訴人
製品の販売を原因とするものであるとか、上記値引きによる売上の減少が被控訴人
製品の販売と相当因果関係を有する損害であると認めることはできない。
   ウ 控訴人は、控訴人製品が電路支持材の市場において圧倒的なシェアを有
することなどを主張するが、このことから、直ちに控訴人製品の値引きが被控訴人
製品に対抗するためにやむを得ない措置であったとか、上記値引きが被控訴人製品
の販売を原因とするものであると認定することはできない。
  (2) 不正競争防止法5条1項により推定される損害額
   ア 平成6年度以降の第1グループ被控訴人製品の売上額(値引き後)が、
別紙(五)電路支持材営業利益一覧表の「パイプセッター」欄記載のとおり、平成6
年度(平成6年7月ないし11月)657万9000円、平成7年度(平成6年1
2月ないし平成7年11月)4153万4000円、平成8年度(平成7年12月
ないし平成8年11月)1946万円、平成9年度(平成8年12月ないし平成9
年11月)2294万5000円、平成10年度(平成9年12月ないし平成10
年8月)1724万5000円であることは、当事者間に争いがない。また、控訴
人製品の販売による利益率が、平成6年度10.43%、平成7年度8.51%、平成8年度
12.84%、平成9年度11.18%、平成10年度7.57%であることも、当事者間に争い
がないところ、被控訴人製品は、先発製品である控訴人製品と実質的に同一の形態
を有し、かつ、取引者、需要者を同じくするから、その製造販売に当たっては、控
訴人製品に比べ、製品の研究開発、販路の開拓等に必要な経費の支出を節約するこ
とができたものと認められることなどにかんがみると、その販売による利益率は、
控訴人製品の上記利益率を下らないものと推認するのが相当である。
     そうすると、被控訴人製品の販売により被控訴人が得た利益の額は、平
成6年度68万6189円、平成7年度353万4543円、平成8年度249万
8664円、平成9年度256万5251円、平成10年度130万5446円と
なることが計算上(小数点未満切捨て)明らかであるから、不正競争防止法5条1
項により、以上の合計1059万0093円が被控訴人製品の製造販売により控訴
人が被った損害の額と推定される。
   イ 被控訴人は、被控訴人が第1グループ被控訴人製品の販売により得た利
益額は、マイナス175万4000円であると主張する。しかしながら、被控訴人
の主張自体、平成6年度ないし平成10年度において、第2グループ被控訴人製品
1の利益率が18ないし24%、同2の利益率が13ないし19%と、毎年、控訴人製品の
販売に係るものを大きく上回る利益率で推移しているのに対し、第1グループ控訴
人製品の販売に係る利益率は、平成6年度がマイナス7%、平成7年度がマイナス
9%と突出してマイナスとなっており、かつ、平成8年度ないし平成10年度にお
いても、3ないし6%と、控訴人製品及び第2グループ被控訴人製品のものに比べ
て著しく低い利益率となっている。そして、このような利益率を招来すべき特殊事
情について、被控訴人は何ら主張立証をしていないから、被控訴人製品の利益率に
係る被控訴人の主張は、全体として裏付けを欠き、採用することができない。
   ウ 被控訴人は、さらに、金型の減価償却費を上記利益額から控除すべきで
あると主張する。しかしながら、上記減価償却費算出の基礎となるべき金型の耐用
年数は、経済的に使用できる現実の見積年数であって、税法上の償却期間とは異な
るところ、被控訴人の主張自体、一方で、金型の減価償却は終わっているとしなが
ら、他方では、第1グループ被控訴人製品の金型を変更して、仕様変更した電路支
持材を製造する予定であるというのであるから、上記金型は、現時点においてなお
相当の耐用年数を有していることが推認される。また、本件全証拠によっても、被
控訴人製品の金型について、減価償却費算出の基礎となるべき上記耐用年数、した
がってまた減価償却費の額を確定することはできない。そうすると、不正競争防止
法5条1項による逸失利益額の算定上、金型の減価償却費を売上額から控除すべき
かどうかはさておき、本件においては、売上額から控除すべき減価償却費の額を確
定することができないのであるから、いずれにせよ、被控訴人製品の販売による利
益率は、金型の減価償却費に係る被控訴人の主張によって左右されるものではな
い。
  (3) 無形損害
被控訴人は、その主張によれば平成6年以降、第1グループ控訴人製品と
形態が実質的に同一である第1グループ被控訴人製品を製造販売するに際し、価格
を名目上第1グループ控訴人製品のものと同額に設定し、第1グループ被控訴人製
品と実質上同一形態の第1グループ控訴人製品の品番を記載した品番対比表及び注
文書用紙を作成して、電設資材卸業者に配布するなどの行為を行った(甲第46号
証)。こうした行為は、それ自体が独立の不法行為としての違法性を帯びるとまで
はいえないとしても、上記のとおり、控訴人は、昭和38年以来、大量の広告宣伝
を継続するなどして、パイラック製品及びその一種である第1グループ控訴人製品
の圧倒的なシェア、販売数及び売上高を保持し、第1グループ控訴人製品の形態の
商品表示性については、その周知性を遅くとも平成6年までには獲得し、現在に至
っているものである。これらの事実によれば、控訴人は、第1グループ控訴人製品
の製造販売による利益を維持するため、被控訴人の上記行為に対抗して種々の営業
上の防衛手段を講ずることを余儀なくされたこと、それにもかかわらず、控訴人の
取引先や消費者一般の中には、現実に第1グループ被控訴人製品を第1グループ控
訴人製品と混同するなど、混乱を生じた者も少なからず存在することを推認するこ
とができる。そうすると、上記の状況により、控訴人は、被控訴人による第1グル
ープ被控訴人製品の製造販売行為により、被控訴人の得た利益相当の損害にとどま
らず、信用毀損による無形の損害を被ったと認められるところ、本件における上記
認定の諸事情を総合勘案すれば、その損害額は、200万円と認めるのが相当であ
る。
  (4) 弁護士費用
控訴人は、本訴提起に当たり、本件訴訟代理人に対し訴訟委任をしたとこ
ろ、本件事案の内容、訴訟の経緯、請求の認容部分等の諸般の事情に照らせば、被
控訴人による第1グループ被控訴人製品に係る不正競争行為と相当因果関係を有す
る弁護士費用は、200万円と認めるのが相当である。
8 以上のとおり、控訴人の第1グループ被控訴人製品に係る製造、譲渡、引渡
し、譲渡又は引渡しのための展示の差止請求は理由があり、同被控訴人製品に係る
損害賠償請求は、1459万0093円及び内金671万9396円(平成6年度
分ないし平成8年度分の損害額の合計)に対する控訴人主張の平成9年3月4日か
ら、内金787万0697円(平成9年度分及び平成10年度分の損害額並びに無
形損害及び弁護士費用の損害額の合計)に対する損害が遅滞に陥った平成10年8
月31日から支払済みまで民法所定年5分の割合による金員の支払を求める限度に
おいて理由があるからいずれも認容し、控訴人のその余の請求は理由がないから棄
却すべきである。
  よって、原判決を上記のとおり変更することとし、訴訟費用の負担につき民
事訴訟法67条2項、64条本文、61条を適用して、主文のとおり判決する。
   東京高等裁判所第13民事部
       裁判長裁判官   篠   原   勝   美
          裁判官   長   沢   幸   男
    裁判官石原直樹は填補のため署名押印することができない。
       裁判長裁判官   篠   原   勝   美

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