弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     原判決を破棄する。
     被告人を罰金千円に処する。
     右罰金を完納することができないときは金五百円を一日に換算した期間
被告人を労役場に留置する。
     当審における訴訟費用は被告人の負担とする。
         理    由
 検察官長井省吾の陳述した控訴趣意は、検察官事務取扱検事大野正作成名義の控
訴趣意書の記載と同一であるからこれを引用する。
 同控訴趣意(法令違背)について。
 原審が「被告人は昭和二十八年九月十一日付で青森県公安委員会より銃砲所持許
可証の交付を受けて所持していた猟銃一挺を昭和三十二年九日十四日頃肩書自宅に
おいてAに貸与したことによりこれを所持することができなくなつたにも拘らず該
猟銃の所持許可証を所轄公安委員会に返納しなかつた」旨の本件公訴事実に対し右
貸与は(一)一時的のもので所持を喪失したものと解しえない、又(二)少くとも
何時でも容易に返還を受けて直接の所持を回復しうるのであるから銃砲等所持取締
令第六条第一項第一号の「銃砲等を所持することができなくなつたとき」に該当し
ないとの見解のもとに無罪を言渡しておることは原判文に徴し所論のとおりであ
る。
 <要旨>よつて按ずるに同条項同号に所謂「所持することができなくなつたとき」
とは物件の所持者が該物件に対する事実上の支配関係を喪失したときを指称
するものであることは多言を要しないのであつてその原因については法文が譲渡を
例示したに止め別段制限するところはないのであるから所持許可証の悪用を防止す
る本条制定の趣旨に鑑みるときは物件に対する事実上の支配関係を喪失した以上そ
れが一時的であり又回復可能であると否とにかかわりなく(自己の意思に因らない
所持の喪失については同条項第四号の規定するところであつてこの場合も観念的に
は一時的乃至は回復可能の喪失が予想せられる)本条項による許可証の返納を要請
せられているものと解するを相当とする。これを本件につき検討してみるに被告人
はA所有の畑に出没する熊の危害を防止するため同人の懇請を容れて本件の猟銃を
昭和三十二年九月十四日頃自宅で同部落に居住する同人に貸与したものであること
が記録並に当審証拠調の結果明かでこれにより右猟銃に対する事実上の支配関係は
Aに移転し被告人は一時的にせよその所持を喪失するに至つたことを確認しうるの
であるから(原審が右の関係を単に保管を託した場合と同視して被告人の右猟銃に
対する支配関係が持続しているものの如く解している点は貸与の趣旨を誤解したも
ので当をえない)前説示に照らし被告人は右猟銃をAに貸与したことにより該許可
証を所轄公安委員会に返納すべき義務を負つたものといわなければならない。なお
Aは被告人より右猟銃を借受け所持していたこと等により有罪の裁判を受け確定し
ているのである。
 してみれば右と異る見解に出た原審の認定は畢竟法令の解釈適用を誤つた違法を
冒したものというべく右は判決に影響を及ぼすことが明かであるから原判決は破棄
を免れない。論旨は理由がある。
 よつて刑事訴訟法第三百九十七条第一項第三百八十条により原判決を破棄し同法
第四百条但書により改めて次のとおり判決する。
 (罪となるべき事実)
 被告人は昭和二十八年九月十一日付で青森県公安委員会より銃砲所持許可証の交
付を受けて所持していた猟銃一挺を昭和三十二年九月十四日頃肩書自宅において同
部落に居住するAに貸与したことによりこれを所持することができなくなつたにも
拘らず該猟銃の所持許可証を所轄公安委員会に返納しなかつたものである。
 (証拠の標目)
 一、 被告人の原審公判廷における供述記載
 一、 被告人の検察官副検事に対する第一、二回各供述調書
 一、 Aの同上に対する供述調書
 一、 銃砲所持許可証写
 (法令の適用)
 法律に照らすと被告人の判示所為は銃砲刀剣類等所持取締令第六条第一項第一号
第二十九条第一号罰金等臨時措置法第二条に該当するので所定罰金額の範囲内にお
いて被告人を罰金千円に処すべく右罰金を完納することができないときは刑法第十
八条第一項により金五百円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置すべく当審
における訴訟費用は刑事訴訟法第百八十一条第一項本文により被告人の負担たるべ
きものとして主文のとおり判決する。
 (裁判長裁判官 松村美佐男 裁判官 小田倉勝衛 裁判官 三浦克己)

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛