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平成20年9月11日判決言渡同日原本交付
平成18年(行ケ)第10304号特許取消決定取消請求事件
口頭弁論終結日平成20年9月4日
判決
原告ベイセルノースアメリカインコーポレーテッド
訴訟代理人弁護士吉武賢次
同宮嶋学
同高田泰彦
訴訟代理人弁理士中村行孝
同紺野昭男
同横田修孝
同高村雅晴
被告特許庁長官
指定代理人一色由美子
同前田孝泰
同徳永英男
同小林和男
主文
1特許庁が異議2003−72227号事件について平成18年2月
13日にした異議の決定を取り消す。
2訴訟費用は,各自の負担とする。
事実及び理由
第1請求
主文同旨
第2事案の概要
本件は,本件訴訟に係る特許(以下「本件特許」という)についての特許権者。
である原告が,本件特許の特許異議の申立てについて特許庁がした主文第1項掲記
の異議の決定の取消しを求める本件訴訟を提起した後,平成18年9月19日付け
で本件特許の特許請求の範囲の減縮等を目的とする訂正審判を請求したところ,平
成20年6月10日,訂正を認める旨の審決がなされその後同訂正審決が確定した
という事案である。
1特許庁における手続の経緯
(1)原告は,平成3年8月1日,特許出願(優先権主張平成2年8月1日,イ
タリア。特願平3−216053号)をし,その一部を新たな特許出願(特願20
01−170689号)とし,平成14年12月27日,特許庁から特許第338
」,5274号として設定登録を受けた(発明の名称「弾塑性ポリオレフィン組成物
本件特許。)
これに対し,三菱化学株式会社から本件特許について特許異議の申立てがされた
ので,特許庁はこれを異議2003−72227号事件として審理し,その中で原
告は訂正請求(以下「異議申立て手続における訂正」という)をしたが,特許庁。
は,平成18年2月13日,同訂正を認めた上,本件特許の請求項1∼4に係る特
許を取り消すとの決定(以下「本件異議の決定」という)をし,その謄本は,平。
成18年3月16日,原告に送達された。
(2)原告は,平成18年9月19日,特許請求の範囲の減縮等を目的として訂
正審判の請求をした(以下「本件訂正」という。その内容は下記2(3)のとおり)
ところ,特許庁は,同請求を訂正2006−39154号事件として審理した上,
平成20年6月10日,本件訂正を認める旨の審決(以下「訂正審決」という)。
をし,その謄本が原告に送達されて訂正審決が確定した。
2訂正審決の内容
訂正審決による訂正前の特許請求の範囲の記載,異議申立て手続における訂正後
の特許請求の範囲の記載及び訂正審決により確定的に訂正された後の特許請求の範
囲の記載は,それぞれ次のとおりであって,本件訂正は特許請求の範囲の減縮に当
たるものである。
(1)訂正審決による訂正前の特許請求の範囲の記載
【請求項1】A)80よりも大きいアイソタクチック指数を有するプロピレンの
単独重合体,またはプロピレンとエチレン,式CH=CHR(式中,Rは炭素数2
2∼8のアルキル基である)のα−オレフィンまたはそれらの組み合わせとの共重
合体(該共重合体はプロピレン85重量%以上を含有する)10∼50重量部,
B)室温のキシレンに不溶性のエチレン含有共重合体画分5∼20重量部,
C)エチレンとプロピレンまたは式CH=CHR(式中,Rは炭素数2∼8のア2
ルキル基である)の別のα−オレフィンまたはそれらの組み合わせと場合によって
小割合のジエンとの共重合体画分(該画分はエチレン40重量%未満を含有し,室
温のキシレンに可溶性であり且つ固有粘度1.5∼4dl/gを有する)40∼8
0重量部を含み,全ポリオレフィン組成物に対する(B)画分と(C)画分との和
の重量%は50%∼90%であり且つ(B)/(C)の重量比は0.4未満である
ことを特徴とするポリオレフィン組成物。
【請求項2】組成物が,平均直径0.5∼7mmを有する回転楕円面状粒子の形態で
ある,請求項1に記載のポリオレフィン組成物。
【請求項3】共重合されたエチレンの全含量が,15∼35重量%である,請求項
1または2に記載のポリオレフィン組成物。
【請求項4】曲げ弾性率が150MPa未満であり,75%での残留伸びが20%∼
40%であり且つ曇り度が40%未満である,請求項1ないし3のいずれか1項に
記載のポリオレフィン組成物。
【請求項5】請求項1に記載のポリオレフィン組成物を含んでなる製品。
(2)異議申立て手続における訂正後の特許請求の範囲の記載(異議申立て手続
における訂正箇所を下線で示す)。
【請求項1】A)80よりも大きいアイソタクチック指数を有するプロピレンの単
独重合体,またはプロピレンとエチレン,式CH=CHR(式中,Rは炭素数22
∼8のアルキル基である)のα−オレフィンまたはそれらの組み合わせとの共重合
体(該共重合体はプロピレン85重量%以上を含有する)10∼50重量部,
B)室温のキシレンに不溶性のエチレン含有共重合体画分5∼20重量部,
C)エチレンとプロピレンまたは式CH=CHR(式中,Rは炭素数2∼8のア2
ルキル基である)の別のα−オレフィンまたはそれらの組み合わせと場合によって
小割合のジエンとの共重合体画分(該画分はエチレン20∼38重量%を含有し,
室温のキシレンに可溶性であり且つ固有粘度1.5∼4dl/gを有する)40∼
80重量部を含み,全ポリオレフィン組成物に対する(B)画分と(C)画分との
和の重量%は50%∼90%であり且つ(B)/(C)の重量比は0.4未満であ
る,ポリオレフィン組成物であって,
共重合体画分(B)および(C)が,エチレン−プロピレン混合物,エチレン−
別のα−オレフィン混合物,またはエチレン−プロピレン−別のα−オレフィン混
合物を重合して得られるものであり,前記ポリオレフィン組成物が,塩化マグネシ
ウム上に担持されたチタン化合物および電子供与体化合物を含有する固体触媒成分
とAlトリアルキル化合物および電子供与体化合物との反応生成物からなる触媒を
用いた重合を用いることにより得られるものであることを特徴とするポリオレフィ
ン組成物。
【請求項2】共重合されたエチレンの全含量が,15∼35重量%である,請求項
1に記載のポリオレフィン組成物。
【請求項3】曲げ弾性率が150MPa未満であり,75%での残留伸びが20%∼
40%であり且つ曇り度が40%未満である,請求項1または2に記載のポリオレ
フィン組成物。
【請求項4】請求項1に記載のポリオレフィン組成物を含んでなる製品。
(3)訂正審決により訂正された後の特許請求の範囲の記載(本件訂正による訂正
箇所を下線で示す)。
【請求項1】A)80よりも大きいアイソタクチック指数を有するプロピレンの
単独重合体,またはプロピレンとエチレン,式CH=CHR(式中,Rは炭素数2
2∼8のアルキル基である)のα−オレフィンまたはそれらの組み合わせとの第一
の共重合体(該共重合体はプロピレン85重量%以上を含有する)10∼50重量
部,
および
B+C)エチレン−プロピレン混合物,エチレン−別のα−オレフィン混合物,ま
たはエチレン−プロピレン−別のα−オレフィン混合物を成分(A)の製造工程と
は異なる重合工程で重合して得られる第二の共重合体45∼100重量部であって,
下記成分からなるもの:
B)室温のキシレンに不溶性のエチレン含有共重合体画分5∼20重量部,
C)エチレンとプロピレンまたは式CH=CHR(式中,Rは炭素数2∼8のア2
ルキル基である)の別のα−オレフィンまたはそれらの組み合わせと場合によって
小割合のジエンとの共重合体画分(該画分はエチレン20∼38重量%を含有し,
室温のキシレンに可溶性であり且つ固有粘度1.5∼4dl/gを有する)40∼
80重量部を含み,全ポリオレフィン組成物に対する(B)画分と(C)画分との
和の重量%は50%∼90%であり且つ(B)/(C)の重量比は0.4未満であ
る,ポリオレフィン組成物であって,
前記ポリオレフィン組成物が,塩化マグネシウム上に担持されたチタン化合物およ
び電子供与体化合物を含有する固体触媒成分とAlトリアルキル化合物および電子
供与体化合物との反応生成物からなる触媒を用いた重合を用いることにより得られ
るものであることを特徴とするポリオレフィン組成物。
【請求項2】共重合されたエチレンの全含量が,15∼35重量%である,請求項
1に記載のポリオレフィン組成物。
【請求項3】曲げ弾性率が150MPa未満であり,75%での残留伸びが20%∼
40%であり且つ曇り度が40%未満である,請求項1または2に記載のポリオレ
フィン組成物。
【請求項4】請求項1に記載のポリオレフィン組成物を含んでなる製品。
第3本件訂正に係る訂正審決の確定についての当事者の主張
1原告
訂正審決の確定により,本件異議の決定には発明の要旨の認定に影響を及ぼすべ
き誤りがあることは明らかであるから,本件異議の決定は取り消されるべきである。
2被告
訂正審決の確定を認める。しかるべく判断されたい。
第4当裁判所の判断
本件においては,訂正審決の確定により,本件明細書の特許請求の範囲の記載が
前記第2の2(3)のとおり確定的に訂正されたことが認められ,この訂正によって
特許請求の範囲が減縮されたことは明らかである。そうすると,本件異議の決定が,
本件特許の各請求項に係る発明について,発明の要旨を本件訂正前の特許請求の範
囲記載のとおり認定し,異議申立て手続における訂正を認めた上で判断したことは,
訂正前と訂正後の特許請求の範囲を対比検討するならば,結果的に誤りであり,そ
の誤りは本件異議の決定に影響を及ぼす瑕疵であるということができる。
よって,本件異議の決定を取り消すこととし,主文のとおり判決する。
知的財産高等裁判所第1部
裁判官
本多知成
裁判官
田中孝一
裁判長裁判官塚原朋一は,差し支えのため署名押印することができない。
裁判官
本多知成

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