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平成22年10月21日判決言渡同日原本交付裁判所書記官
平成22年(ワ)第3273号損害賠償等請求事件
口頭弁論終結日平成22年8月30日
判決
原告全国柔整鍼灸協同組合
同訴訟代理人弁護士溝上哲也
同岩原義則
同江村一宏
被告P1
主文
1被告は,原告に対し,55万円及びこれに対する平成22年1月19日から
支払済みまで年5%の割合による金員を支払え。
2原告のその余の請求をいずれも棄却する。
3訴訟費用は,これを6分し,その1を被告の負担とし,その余を原告の負担
とする。
4この判決は,1項に限り,仮に執行することができる。
事実及び理由
第1当事者の求めた裁判
1原告
(1)被告は,原告に対し,東京都渋谷区(以下略)所在の株式会社ミクシィの
運営するソーシャルネットワーキングサイト「mixi」上において,被告が管
理する日記のページに,別紙第1項にある表題で,同第2項の謝罪文を,同
第3項の掲載条件にて掲載せよ。
(2)被告は,原告に対し,330万円及びこれに対する平成22年1月19日
から支払済みまで年5%の割合による金員を支払え。
(3)訴訟費用は被告の負担とする。
(4)仮執行宣言
2被告
(1)原告の請求をいずれも棄却する。
(2)訴訟費用は原告の負担とする。
第2当事者の主張
1請求原因(原告の主張)
(1)当事者
ア原告
原告は,大阪市内に主たる事務所を置き,「全柔協」と通称される,柔道
整復師や鍼灸師の組合員を擁する協同組合であり,柔道整復師や鍼灸師の
養成校である学校法人平成医療学園も設立している。
イ被告
被告は,インターネット上における,いわゆるソーシャルネットワーキ
ングサイトで「mixi」と称するサイトのコミュニティ「接骨院・整骨院の
経営を考える」(以下「本件コミュニティ」という。)において,ハンドル
ネーム「P2」を名乗って書き込みを行っていた者である。
(2)被告の行為
被告は,本件コミュニティにおいて,次のアないしウの書き込みを行った
(以下「本件書き込み1」ないし「本件書き込み3」といい,併せて「本件
各書き込み」という。)。
ア平成21年12月12日(本件書き込み1)
「大坂(ママ)に本部を置く柔整団体が次々と査察を受けています。保険
金詐欺で協同組合などを隠れ蓑にして柔整学校法人まで設立し理事長まで
になっているのですから悪事千里を走るの例え通りですね!開業するには
所属団体選びにも注意したいものです。」
イ平成21年12月17日(本件書き込み2)
「大阪に本部を置く,全柔協(協同組合・学校法人等)に検察の手が入っ
たことにより,各団体別の整骨院・接骨院への官憲臨検が開始されていま
す。これを受けた院は大概は倒産です。所属の団体が会員請求分に付加増
額して請求して受給を得ているため,一旦,査察が入ると賠償返還金は莫
大になるためです。
また,話題の仕分けでは,こうした全柔協(協同組合)事件を背景に健
康保険に係る柔整料金を2部位は20%3部位は50%減額する逓減制度
を為すように自民党案が出されているという噂もあります。」
「こうした状況を受け,東京恵比寿の日本柔道整復師協会(●-●●-●
●)が誰でも簡単に入れるようにと入会金をZEROにし,レセコンソフト
無償貸与で,負担は保険請求事務費1.7%のみとし,柔整師・接骨院・整
骨院の支援を図る他,全柔協(協同組合)等不正者に対しては官憲捜査に
よって厳しく裁かれるのは当然であるものの,真面目な各院には波及させ
ない他,逓減によって全接骨院・全整骨院への減額支払い制度とする措置
は絶対に行なわれないよう各団体有る中で唯一不正請求者を全く出してい
ない実績を背景に,維新政府に強く働きかけるとともに,柔整師がビクビ
クした保険請求をしなくて済む制度への根本的な改革改正へのCHANGE
を求めています。」
ウ平成22年1月19日(本件書き込み3)
「さて,今,柔整界は史上にない極めて大変な死活事態に遭遇していま
す。それは,事業仕分けで2部位30%減額,3部位50%減額,4部位
全額カットという案が政府から出され,この儘で何の対策もしなければ本
決まりになる可能性が大となてきた(ママ)事です。
その切っ掛けは,大阪に本部を置き保険代行屋でありながら,恰も,公
共の柔整団体を標榜する輩,全柔協(協同組合・学校法人等)が朝日放送
(大阪)の番組に出演した事に由来します。
更に,大阪で柔整団体そのものに検察の手が入り,実に21億円もの組
織的保険金詐欺が発覚した事に端を発し,各柔道整復師の所属団体別に闇
の整骨院・接骨院への官憲臨検が開始されていることです。
実際に,これを受けた院は倒産してしまいます。
驚くなかれ,所属の団体が会員請求分に会員が全く知らない間にレセプ
トを付け増し増額請求して受給を得ており,この状況で一旦,査察が入る
と会員に要求される保険者からの賠償返還金は莫大な金額になり,あえな
く破綻し一家心中か夜逃げと悲惨な実態です。」
「全柔協(協同組合・学校法人)は,こうした付加請求と別に,脱会し,
今は健保取扱をしていない元会員柔整師名義での架空請求もします。
柔整師の保険取扱史上,始まって以来,始めて(ママ)全柔協(協同組合・
学校法人)という組織全体の犯罪が浮き彫りにされましたが,大阪府保険
部局では,これは氷山の一角という表現で,ほとんどの団体が,この様な
不正をおこなっている事実の存在を認めています。」
「こうした状況を臍を咬む思いでみていた東京恵比寿の日本柔道整復師
協会(TEL&FAX東京●-●●-●●・メールアドレス=●●@●●.jp)は,
柔整師救護の緊急措置として,入会金・会費ともZEROにし,レセコンソ
フトは無償貸与にし,更には保険請求事務費も僅か1.7%のみとするなど
の新方策を打ち出しています。」
(3)名誉・信用毀損(民法709条)
本件各書き込みは,以下のとおり,いずれも,原告の社会的評価と信用を
害するものである。
ア本件書き込み1
本件書き込み1は,特定の団体の理事長が極悪人であるかのようなイ
メージを与え,当該理事長の団体に所属しないよう呼びかけるものであり,
原告の名指しこそないものの,本件コミュニティの参加者には,原告を指
すとわかるような情報が記載されている。
イ本件書き込み2
本件書き込み2は,原告を名指しした上,原告が検察による捜査の対象
になっているかのように誤信させ,原告に所属すると不利益を被ると訴え
るものである。
ウ本件書き込み3
本件書き込み3は,「全柔協」が原告を指すとわかるような情報を記載し
た上,原告が検察による捜査の対象になっているかのように誤信させて,
原告に所属すると不利益を被ると訴えるほか,原告が架空請求や組織犯罪
を行う反社会的団体であると誤信させるものである。
(4)営業誹謗(不正競争防止法2条1項14号)
本件各書き込みの内容は,原告の営業上の信用を害する虚偽の事実である
ところ,被告は,本件各書き込みと共に,原告と事業内容を同じくする「東
京恵比寿の日本柔道整復師協会」に所属するよう誘導しており,原告の競業
者であることが推認されるし,少なくとも,競業者である同協会と一体とし
て評価すべきである。
(5)原告の損害
ア無形損害300万円
本件各書き込みによって原告の社会的名誉及び信用が毀損され,業務が
妨害されたことについて,原告が被った無形損害の額は,少なくとも30
0万円を下らない。
イ弁護士費用30万円
(6)原告の名誉・信用の回復措置
なお,原告の名誉・信用を回復するためには,本件コミュニティ上で,被
告により直接謝罪させることが不可欠かつ簡便である。
(7)よって,原告は,被告に対し,不法行為及び不正競争防止法に基づき,別
紙のとおりの謝罪文の掲載と,330万円の損害賠償及びこれに対する不法
行為の後である平成22年1月19日から支払済みまで年5%の割合による
遅延損害金の支払を求める。
2請求原因に対する認否・反論
(1)請求原因(1)について
イについては記憶がない。
(2)請求原因(2)について
本件各書き込みを行った記憶はない。
(3)請求原因(3)について
「全柔協」と略称される団体は数多く存在するのであって,「全柔協」は,
原告を指すものではない。大阪で21億円の保険金詐欺を行って摘発された
人物も,協同組合の理事長であるところ,同組合は全日本鍼灸柔整協同組合
と称していたと報道されていたし,学校法人も設立していた。
そして,本件各書き込みは,マスコミ報道の範囲内の事実を記載し,不正
が噴出する柔道整復師界全体を糾弾しているに過ぎない。
(4)請求原因(4)について
被告が日本柔道整復師協会を宣伝した事実はなく,これにより被告が得る
利益もないが,同協会は,原告に比して会員の金銭的負担が軽く,推奨され
て当然である。
(5)請求原因(5)について
否認する。
(6)請求原因(6)について
争う。
第3当裁判所の判断
1請求原因(1)ア(原告)について
原告が,大阪市内に主たる事務所を置き,「全柔協」と通称される,柔道整復
師や鍼灸師の組合員を擁する協同組合であり,柔道整復師や鍼灸師の養成校で
ある学校法人も設立していることについて,被告は争っていない。
2請求原因(1)イ(被告)及び(2)(被告の行為)について
(1)書き込みの事実
甲1ないし3によれば,「P2」のハンドルネームを使用している人物によ
り,本件各書き込みが行われた事実が認められる。
(2)書き込みの主体
原告は,本件各書き込みの主体であり,「mixi」において「P2」のハン
ドルネームを使用している人物は,被告であると主張する。
この点,被告は,「mixi」内の「P2」のページ(甲6)において,被告
の顔写真が掲載されていることや,プロフィールに被告の電話番号やメール
アドレスが記載されていることは認めている。また,被告は,平成22年1
月25日に,本件各書き込みが原告の名誉・信用を害するとして,書き込み
の削除,謝罪,300万円の損害賠償を請求する,原告代理人弁護士作成の
内容証明郵便を受領しているが(甲4の1・2),その後,「P2」は,上記
内容の文書が原告代理人弁護士から送付されてきた旨の書き込みを行ってい
る(甲8)。さらに,被告が,原告の代表理事であるP3を糾弾する文書を送
付していた事実も認められる(甲10,11)。
これらのことからすれば,本件各書き込みを行った「P2」とは,被告で
あると認められる。
3請求原因(3)(名誉・信用毀損)について
文章中の表現が他人の名誉や信用を毀損するか否かは,当該文章を読むであ
ろう一般的な読者の,通常の知識と読み方を基準とした場合に,当該表現が当
該他人の社会的評価や信用を低下させる内容といえるか否かを基準として判断
すべきである。
したがって,文章に実名が記載されていない場合であっても,当該文章の一
般的な読者であれば,そこに記載された他人の属性等について一定の知識や情
報を有しており,そのような読者が当該文章を読めば,当該他人を特定するこ
とが可能な程度の情報が記載されているのであれば,名誉毀損や信用毀損が成
立しうるというべきである。
以下,本件各書き込みについて検討する。
(1)本件書き込み1について
ア本件書き込み1の内容
本件書き込み1は,柔道整復師が開業する際の所属団体の選択について
注意を促す内容であり,選択すべきでない団体の属性として,次の要素が
挙げられている。
(ア)大坂(大阪の誤記であることが明らか)に本部を置く柔整団体である。
(イ)協同組合である。
(ウ)柔整学校法人を設立している。
イ原告の属性
他方,原告は,次のような属性を有する(争いがない。)。
(ア)大阪市内に主たる事務所を置く,柔道整復師等を擁する団体である。
(イ)協同組合である。
(ウ)柔道整復師等を養成する学校法人を設立している。
ウ原告の特定
前記ア,イのとおり,原告は,本件書き込み1において「柔道整復師が
開業する際に,所属団体として選択すべきでない」と評された団体の属性
を,いずれも備えている。
しかし,「大坂に本部を置く柔整団体が次々と査察を受けています。」と
の記載は,明らかに複数の団体を指す表現である。また,「協同組合などを
隠れ蓑にして柔整学校法人まで設立し理事長までになっている」との記載
は,記載者において特定の人物を指していることは窺えるものの,限定的
な条件ではないため,読者において該当者を特定できるとはいい難い。し
たがって,この条件を満たす人物が限られていたとしても,表現自体にお
いて原告の代表理事を指すものとはいえない。
したがって,本件書き込み1が原告についてのものであるとは認められ
ない。
(2)本件書き込み2について
ア本件書き込み2の内容
本件書き込み2は,「全柔協」に対し検察による捜査が行われたため,各
柔整団体に所属する整骨院や接骨院等が損害を受けており,柔道整復師業
界に不利益な制度ができるかもしれないという内容のものである。
そして,「全柔協」について,次の要素が挙げられている。
(ア)大阪に本部を置いている。
(イ)協同組合・学校法人等である。
イ原告の属性
他方,原告は,次のような属性を有する(争いがない。)。
(ア)大阪市内に主たる事務所を置いている。
(イ)協同組合であり,学校法人を設立している。
(ウ)全柔協と通称される。
ウ原告の特定
「全柔協」は,一般的には原告を指す略称と認められるところ(甲9),
前記ア,イのとおり,原告は,本件書き込み2における「全柔協」の属性
をいずれも備えている。
また,本件コミュニティは,柔道整復師の経営能力について考えるもの
であるから(甲1),本件コミュニティにおける書き込みであれば,「柔」
は柔道整復師を指すと受け取られるし,「協」は協同組合の意であることが
現実に記載されているから,「全柔協」とは,大阪にある柔道整復師関係の
協同組合ということになる。そして,本件コミュニティの趣旨からして,
そのメンバーは,柔道整復師業界の関係者や,同業界に興味を持つ者がほ
とんどであると考えられるから,本件コミュニティの一般的な読者の通常
の注意の読み方を基準とすれば,本件書き込み2の「全柔協」は,原告の
ことであると理解できたといえる。
したがって,本件書き込み2は,原告を特定した書き込みであると認め
られる。
エ名誉・信用毀損該当性
前記ウのとおり,本件書き込み2は,一般的な読者(本件コミュニティ
のメンバー)の通常の注意と読み方を基準とすれば,原告に対し検察によ
る捜査が行われ,原告に所属すると不利益を被るとの事実を摘示するもの
と認められる。
そうすると,本件書き込み2が示した事実は,原告の社会的評価・信用
を低下させるものといえるから,原告は,本件書き込み2によって名誉・
信用を毀損されたものと認められる。
なお,本件コミュニティのメンバーの通常の知識からして,検察による
捜査が行われたのは原告に対してではないと明確に認識できた者もいたと
考えられるが,このことは上記認定を左右しない。
(3)本件書き込み3について
ア本件書き込み3の内容
本件書き込み3は,「全柔協」が,会員のレセプトの付け増し請求や,元
会員名義での架空請求などの犯罪を行っていることを示す内容のものであ
る。
そして,「全柔協」について,次の要素が挙げられている。
(ア)大阪に本部を置いている。
(イ)協同組合・学校法人等である。
(ウ)朝日放送(大阪)の番組に出演している。
イ原告の属性
他方,原告は,次のような属性を有する((ウ)を除き,争いがない。)。
(ア)大阪市内に主たる事務所を置いている。
(イ)協同組合であり,学校法人を設立している。
(ウ)代表理事が朝日放送(大阪)の番組に出演している(乙1)。
(エ)全柔協と通称される。
ウ原告の特定
本件書き込み2と同様の理由に加え,前記ア(ウ)とイ(ウ)が共通すること
からも,本件書き込み3は,原告を特定した書き込みであると認められる。
エ名誉・信用毀損該当性
本件書き込み2と同様,一般的な読者(本件コミュニティのメンバー)
の通常の注意と読み方を基準とすれば,本件書き込み3は,原告が架空請
求などの犯罪を行っている事実を摘示するものと認められる。
そうすると,本件書き込み3が示した事実は,原告の社会的評価・信用
を低下させるものということができるから,原告は,本件書き込み3によっ
て名誉・信用を毀損されたものと認められる。
4請求原因(4)(営業誹謗)について
営業上の信用を害する虚偽の事実の告知等が不正競争防止法2条1項14号
に該当するのは,それが競争関係にある他人について行われる場合であるとこ
ろ,被告は,自称「整骨鍼灸マ院開業・柔整学校創設・健保取扱・保険取扱団
体設定などのプロフェショナル(専門)プロデューサー」というにすぎず(甲
2),また,被告について,原告と事業内容を同じくする「東京恵比寿の日本柔
道整復師協会」(甲5の1・2,甲7)のためにする関係があることを認めるに
足りる証拠もない。
したがって,被告が,原告と競争関係にあると認めることはできず,原告の
不正競争防止法に基づく請求は理由がない。
5請求原因(5)(損害)について
(1)無形損害について
本件書き込み2,3は,ことさらに,大阪で逮捕された業者と原告とを混
同させ,原告の社会的評価・信用を低下させようとする意図が窺える,悪質
なものといえる。
一方,被告は,平成22年1月25日に,原告代理人から内容証明郵便を
受領して,「全柔協」を名指しした書き込みを自主的に削除しており(甲8),
本件書き込み2が掲載されたのは1か月と1週間程度,本件書き込み3が掲
載されたのは1週間程度と,いずれも比較的短い期間である。
また,本件コミュニティのメンバー数は,本件書き込み2直後の平成21
年12月18日時点で2093名であるところ,これは,同時点において,
同じ「mixi」内の柔道整復師関係のコミュニティである「鍼灸・柔道整復・
按摩マッサージ」のメンバー数が3490名,同じく「柔道整復師・接骨院」
のメンバー数が4664名であるのと比べて(甲1),必ずしも少ないとはい
えないが,柔道整復師全体の数からすると僅かであり(毎年5000人が柔
道整復師となっている〔乙8〕。),本件コミュニティ自体が「接骨院・整骨院
の経営を考える」という限定的な集団であるといえる(これらのコミュニティ
における書き込みは,コミュニティの構成員以外の者は閲覧することができ
ない。)。
また,本件コミュニティのメンバーのうち何人が,現実に本件書き込み2,
3を閲覧したかも不明である。しかも,本件書き込み2について,本題から
ずれているとたしなめるメンバーが存在したり(甲2の「P4」の書き込み),
本件書き込み3について,詐欺事件を起こしたのは原告ではないとして,混
同していないメンバーが存在するなど(甲3の「P5」の書き込み),本件コ
ミュニティのメンバーは,必ずしも本件書き込み2,3を,原告の社会的評
価・信用を低下させるものとして真摯に受け取っていたわけではないことが
認められる。
これらの事情を考慮すると,本件書き込み2,3により原告の被った無形
損害は,50万円と認めるのが相当である。
(2)弁護士費用について
本件事案の内容や認容額などを考慮すると,被告の不法行為による弁護士
費用相当額の損害は,5万円と認めるのが相当である。
6請求原因(6)(原告の名誉・信用の回復措置)について
原告の損害を回復させるための謝罪広告については,本件書き込み2,3に
よる名誉・信用毀損の内容,程度に照らし,必要性があるとまでは認め難い。
第4結論
以上のとおりであるから,原告の請求は,主文記載の限度で理由がある。
よって,主文のとおり判決する。
大阪地方裁判所第26民事部
裁判長裁判官山田陽三
裁判官達野ゆき
裁判官北岡裕章
別紙
1表題
全国柔整鍼灸協同組合に対する謝罪
2謝罪文
私,「P2」ことP1は,コミュニティ「接骨院・整骨院の経営を考える」等に
おいて,全国柔整鍼灸協同組合(全柔協)が,あたかも不正を行い捜査の対象と
なっているかのような真実に反する書き込みを行い,全国柔整鍼灸協同組合の名
誉及び信用を著しく傷つけたことを心から謝罪するとともに,今後,本謝罪の趣
旨に反するような行為をしないことを約束します。
3掲載条件
(1)掲載場所
ソーシャルネットワーキングサービス「mixi」における
①被告がハンドルネーム「P2」として管理する日記のトップページ
②コミュニティ「接骨院・整骨院の経営を考える」
(開設日:平成18年7月24日,管理人「P6」)
(2)掲載期間
①につき,掲載日より1か月間
②につき,新たなトピックとして投稿し,削除しないこと
(3)その他
①につき,全体に公開の設定で表示させること,また,掲載ページは掲載期
間中更新しないこと

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