弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

主文
被告人を懲役4年6月に処する。
未決勾留日数中120日をその刑に算入する。
理由
(罪となるべき事実)
 被告人は,平成17年7月17日午前零時20分ころ,兵庫県A市B町a番C前歩道橋
上において,通行中のDを認めて劣情を催し,強いて同女を姦淫しようと企て,その背後
からいきなり両腕を同女(当時19歳)の首に巻き付けて後方に引き倒す等の暴行を加え
,「声を出したら殺す。お前なんかすぐ殺せる。」旨申し向けて脅迫し,その反抗を抑圧
して,同女を同所から同市E町b番c号所在のA市F小学校内に連行した上,同日午前1
時ころから同日午前1時30分ころまでの間,同所において,上記暴行脅迫により畏怖し
ている同女に対し,さらに,被告人に犯行を命じた者が付近から監視しているかのように
装うなどして脅迫し,その反抗を抑圧して,強いて同女を姦淫したものである。
(証拠の標目)―括弧内の甲,乙に続く数字は検察官請求証拠番号―
省略
(事実認定の補足説明)
 被告人による最初の脅迫文言につき,被害者は判示のとおりの文言を告げられたと供述
をしているところ,その供述内容に一貫性があること,自己の置かれた状況と脅迫文言と
を場面ごとに区別しながら供述していること,被害者にはこの点について虚偽の供述をす
る必要性がないことなどに照らすと,少なくとも脅迫文言の趣旨に関する限り,その信用
性は十分である。これに対し,被告人は脅迫文言につき「殺されるから静かにしろ。」な
どと言ったと弁解するが,その程度の文言を告げたにとどまるというのであれば,被害者
の上記供述と特に矛盾するとまではいえないし,被害者が被告人以外の者によって殺され
るとか,被告人がその者から命じられている旨を告げようとしたというのであれば,深夜
突如として被害者を引き倒して脅迫したという切迫した状況に整合せず,多分に不自然で
あることに照らし,たやすく措信できない。そこで,脅迫文言の趣旨に着目して,判示の
とおり認定した。
(法令の適用)
 判示所為は刑法177条前段に該当するところ,その所定刑期の範囲内で被告人を懲役
4年6月に処し,同法21条を適用して未決勾留日数中120日をその刑に算入すること
とし,訴訟費用については,刑事訴訟法181条1項ただし書を適用して被告人に負担さ
せないこととする。
(量刑の理由)
 本件は,被告人が帰宅途中の19歳の被害者を強姦した事案である。
 被告人は,交際中の女性をタクシーで送り届けた後,徒歩で約20分の距離にある自宅
に向かって歩くうち,帰宅途中の被害者を見つけるやにわかに劣情を催し,自己の性欲を
満たすため同女を強姦しようと企て,後ろからいきなり引き倒すなどの暴行脅迫を加える
とともに,自らも犯行を命じられているかのように装い,被害申告を阻止するため携帯電
話の電源を切らせるなどしつつ,小学校の校庭において被害者を姦淫したものである。そ
の身勝手かつよこしまな動機に酌量の余地はない上,その手口は誠に卑劣かつ狡猾で大胆
でもある。
 被害者は,何らの落ち度もないのに突如判示の被害を受けたもので,本件犯行後には精
神的に不安定になり,現在もその症状に苦しんでいることがうかがえるのであって,被告
人の厳重処罰を望んでいるのも当然であるが,被告人側からは何らの慰謝の措置も講じら
れていない。また,最寄りの駅から幹線道路沿いに徒歩で帰宅途中であった被害者を歩道
橋上で襲った本件犯行が地域住民に与えた不安感にも大きいものがあったと考えられる。
 以上の諸事情に加えて,被告人は,平成15年11月に窃盗罪(ひったくり)により懲
役1年6月,執行猶予3年に処せられ,社会内で更生する機会が与えられたのに,その執
行猶予期間中にまたもや本件犯行に及んでいるのであって,規範意識の希薄さも認められ
る。これらの諸事情に照らすと,その刑責は相当に重いといわざるを得ない。
 しかしながら,他方で,被告人はいまだ若年で反省していること,実母が出所後の監督
を誓約していることなど,被告人のために酌むべき事情も認められるので,本判決が確定
すれば,上記執行猶予が取り消され併せて服役することを余儀なくされることをも考慮に
入れて,刑を量定した。
 よって,主文のとおり判決する。
  平成18年1月20日
神戸地方裁判所第1刑事部
裁判長裁判官  的  場  純  男
   裁判官  西  野  吾  一
   裁判官  三重野  真  人

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛